ニュース
ドコモが語る5Gネットワークの特徴とこれまでの進化の道筋とは
2020年4月22日 12:50
5Gでは広大な電波を使い、大幅に通信スピードがアップする――NTTドコモはどんな考え方で5Gのエリアを作り上げようとしているのか。これまでの歴史を踏まえたドコモの考えを紹介しよう。
携帯電話のネットワークは10年ごとに進化を遂げてきた
まず、携帯電話のネットワークについて、5Gまでの進化を。2Gのデジタル通信を開始した当初の通信速度は2.4kbpsであった。約10年後の2000年代には次世代ネットワークの3Gが登場、384kbpsと約100倍の通信速度に成長した。3G登場からおよそ10年後の4Gでは、37.5Mbpsと3Gからさらに約100倍の通信速度となっている。
携帯電話のネットワークは、おおよそ10年ごとに次世代ネットワークが登場し、約100倍のペースで通信速度が増加してきたという。
4G世代の高速化技術
続いて、現行の4G世代では、どのような高速化技術がなされているかについての解説があった。「キャリアアグリゲーション」と「4×4 MIMO」と「256QAM」について道路のたとえを交えて解説した。
キャリアアグリゲーション
キャリアアグリゲーションは、複数の周波数を組み合わせて利用することで時間あたりの通信量を増やすしくみ。通信経路を道路にたとえると、道路幅を横に拡大し、車線を増やすイメージ。
4×4 MIMO
4×4 MIMOは、1つの周波数に複数のルートを作ることで、通信量を増やすしくみ。道路でいうと都市高速のように道路の上に高架で道路を作り、道を増やすようなもの。
256QAM
256QAMは、一度で通信できるデータ自体を増やすしくみ。道路を走るトラック1台1台の積載量を増やして、全体の運搬量を増やすようなものである。
5Gネットワーク
5Gネットワークが使用する周波数は、4Gのものよりも帯域が広いことが大きな特徴のひとつ。つまり、一度により多くのデータを運ぶことができる。先ほどの道路のたとえでいうと、4Gのものよりも車線が非常に多いと言える。
これによって、5Gのサービス開始時点で、5Gと4Gの帯域を組み合わせて、受信時最大3.4Gbpsの超高速を実現している。
同社では、今後の5Gサービスを、3.7GHzなどの5G専用通信帯域のみで展開していきたいとしている。大容量を扱える専用回線のみを使用することで、5Gの性能をフルに引き出したサービスを展開していきたいとしている。
エリア展開はドコモ計画の2年前倒しで実施
5Gネットワークで使用する周波数は、4Gよりも1つの基地局でカバーするエリアが小さいため、より膨大な数の基地局を用意する必要があるという。
同社では、5Gエリアを積極的に展開している。サービス開始の2020年3月は全国150箇所、500局からスタートした。このあとの計画では、6月までに全国の都道府県、2021年3月には全政令指定都市を含む500都市に展開するという。
また、都市部に限らず、地方まで必要とされる場所を中心に、適切な機能と周波数帯で展開をするという。約1年後の2021年6月までに1万局、約2年後の2022年3月までに2万局に拡大していくとしている。
エリア展開の目安として、5Gから重要視されている「基盤展開率」の解説もあった。基盤展開率とは、日本全土を10km四方のメッシュに区切り、海上や無人地帯などを除いた区域に対して、5G専用周波数を使った基地局が設置されている範囲の割合である。
これは、従来の人口カバー率とは異なり、地方にも基地局を展開しないと上がらない数値である。このため、この数値が高いほど、日本全国まんべんなくエリア展開されているということがいえる。
ドコモでは、基盤展開率を2023年度中に97.0%にするとし、他社よりも優位な数値であることを強調していた。
ドコモオープンイノベーションクラウド
同社では、基地局とモバイルデバイス間の速度向上以外の部分にも着目している。基地局からインターネットにつながるまでには、伝送網やNW装置といったデバイスや、有線回線がある。この距離を短く、経由機器を少なくすれば、低遅延が実現できる。同社では、基地局からインターネットに繋がるまでのところにサーバを置くことで、低遅延を実現する、「ドコモオープンイノベーションクラウド」のサービスの提供を開始している。
5Gネットワーク内にサーバーを設置するため、5G接続はもちろん、ドコモ網を使用する4G・3Gの接続でもメリットを享受できるという。
5Gの料金プランは他社と差別化
エリアとは直接関わりがないが、ドコモの5G向け料金プランについても、ドコモ側の考えをご紹介しよう。
同社では、5Gの料金プラン作成にあたり、今まで複雑であった料金体系を一新。シンプルでわかりやすいプランとなった。
他社の料金プランと比較すると、期間限定の割引が他社にはあり、同社のほうが一見料金面で劣っているように見える。
しかしドコモでは、3回線以上の場合、他社の割引期間が終了する9月以降は同社が最安となると説明。
また、テザリング制限が無制限であったり、Amazonプライムなどの付帯サービスにより、ユーザーにとってのメリットは他社を上回るとアピールする。
端末を下取りすることで端末代を実質割り引く購入プログラムでも、他社と差別化を図っている。携帯各社では、分割払い中の端末を下取りに出すことで、残りの支払いを免除する、端末購入プログラムを実施している。他社では、次の機種の購入が条件に含まれていたり、端末を購入しない場合はポイントが付与されたりするが、ドコモでは、次の端末の購入有無を条件に含んでおらず「競合他社は実質的に、自社ユーザー向けとなっている」と指摘する。
同様の購入プログラムでの残債免除に、次の機種の購入が必要ないのはドコモだけであるとアピールする。