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ドコモ、5Gを活用した「リモートレンダリング」の共同実証実験に成功

大容量の3D建築モデルをVRヘッドセットへストリーミング配信

 NTTドコモは、大容量の3DモデルをVRヘッドセットにストリーミング配信する「リモートレンダリング(3Dモデルの映像化)」の実証実験を実施し、成功した。同実験は、エヌビディア(NVIDIA)やヴイエムウェア(VMware)、x gardenと共同で実施されたもの。

 ドコモは今後、リモートレンダリングの技術の商用化を目指し、技術検証などを進めていく。

大容量VR画像の例(愛媛県歯科医師会館)

実証実験の概要

 実験で用いられたのは、矢野青山建築設計事務所が作成した3D建築モデル。クラウドサービス「ドコモオープンイノベーションクラウド」上でレンダリングした3Dデータを、VRヘッドセット「Oculus Quest 2」の複数端末にストリーミング配信した。

 配信では、高速かつ低遅延な特長を持つ5G通信が活用されている。これまでVR機器単体では投影が難しかった高精細な3Dモデルが、時間や場所を問わず見られるようになった。

VRリモートレンダリング技術

ワークステーションの持ち運びが不要に

 建築設計事務所による近年の新たな試みとして、VR上に実物大で3D化した建築物の内覧が、計画の段階で実施されている。これらは、空間の大きさや素材の質感などを、顧客に直感的に把握してもらうための取り組み。

 しかし、高解像度のモデルを用いる場合、高性能のワークステーションを打ち合わせ場所に運ばなければならず、運用可能な場面が限定されていたという。また、複数人の同時視聴などに対応させることは難しいとされてきた。

 こうした課題の解決につながる今回の技術では、モバイルルーターなどの5G通信機器とVR機器を用意すれば、高精細な3Dモデルを複数人で同時視聴できる。

エヌビディアの技術を活用

 今回の技術は、前述のクラウドサービス「ドコモオープンイノベーションクラウド」や5G通信に加え、クラウド上での処理速度向上を実現する「NVIDIA Quadro RTX 8000 メニュー」と、XRコンテンツをストリーミング配信できる「NVIDIA CloudXR」を組み合わせたもの。

 これらは、レンダリングの際に必要とされる、高性能なワークステーションの代わりとして機能する。

 今回の取り組みの詳しい内容は、6月16日と17日に開催されるエヌビディアのオンラインイベント「NVIDIA AI DAYS」で発表される見込み。「国内初5G×MEC提供から1年、見えてきたこととドコモの今後の展望」と題した講演が、17日の12時に予定されている。