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働き方改革の先を見据えた「健康経営」を支援、ドコモ・ヘルスケアの取り組み

 ドコモ・ヘルスケアは3月6日、「企業と社員をつなぐヘルステック戦略」についての記者説明会を開催。「健康経営」に関する社会全体の動きや同社の取り組みを紹介した。

設立から7年、自治体・法人向けソリューションを強化

カラダのキモチ(左)、my Sleep(右)
わたしムーヴ(左)、歩いておトク(右)
ムーヴバンド3
健康マイレージ

 ドコモ・ヘルスケアは、NTTドコモとオムロン ヘルスケアの合弁会社として2012年に設立された。

 当初はコンシューマー向けに、ドコモの通信とオムロン ヘルスケアの健康機器を組み合わせたサービスを展開。女性向けの健康管理サービス「カラダのキモチ」や、活動量計「ムーヴバンド」を使ったサービスからスタートした。

 その後、コンシューマー向けのサービスの中心はアプリに移り、現在ではドコモユーザー向けのdポイントが貯まる歩数計アプリ「歩いておトク」が最も利用されているサービスだという。

ドコモ・ヘルスケア 代表取締役社長 和泉正幸氏

 一方で、自治体向け、法人向けの健康支援ソリューションの提供も増え、事業の柱となっている。

 背景としては、国や自治体にとっては高齢化や生活習慣病の増加によって年々増える医療費(社会保障給付費)が1つの課題で、病気になってからの治療だけではない「予防医療」へのシフトが急務となっている。その一環として企業の「健康経営」を後押しする動きがあり、高い関心を持つ企業も増えてきているという。

「健康経営」とその効果

 健康経営とは、企業が従業員の健康維持に経営的な視点を持って取り組むことで、従業員個人の健康だけではなく、企業の収益性や生産性の向上にもつながるという考え方。

 日本では、2014年の日本再興戦略、未来投資戦略に位置づけられた「国民の健康寿命の延伸」に関する取り組みの1つとして、経済産業省が東京証券取引所の上場企業を対象とした「健康経営銘柄」の選定を開始した。また、2016年度には上場企業に限らない「健康経営有料法人認定制度」も始まった。

 これらの制度によって、予防医療は国や保険会社だけの課題ではなく、企業にとっても取り組むメリットが出てきた。健康経営に取り組む優良企業として認定されることで、具体的には株価の上昇やリクルートにおける効果が期待できる。

 認定制度のメリットに限らず、企業の収益性を高めるための取り組みとしてその効果を見ると、従業員の健康状態が良くない場合の損失のうち、医療費や欠勤による損失が占める割合は以外にも4分の1程度だという。

 残りの4分の3は「相対的プレゼンティーイズム」と呼ばれるもので、会社には来ているが本来のパフォーマンスが発揮できていないことによる損失。

 ドコモ・ヘルスケアの健康支援ソリューションでは、この相対的プレゼンティーイズムにも目を向け、ユーザー企業の従業員が「健康上の大きな問題は感じない」状態ではなく「本来持っている力を最大限に発揮できる」状態を“真の健康”と定義し、最終的な目標とする。

ストイックではない、継続して楽しめるサービスを提案

 ドコモ・ヘルスケア取締役の出井京子氏は、「企業における健康経営の最大の課題は『ほとんどの人が、健康を続けることは大変で楽しくないと考えている』ことにある」と語る。上層部は導入に積極的でも従業員が乗り気でないケースはどうしても見られるという。

ドコモ・ヘルスケア 取締役 出井京子氏

 同社は健康経営の支援において、健康に関心のない人でも楽しめるコンシューマー向けのヘルスケアサービスを提供してきたノウハウを活かし、「ちゃんと使われること」「効果が出ること」「効果が持続すること」にこだわる。

 企業ごとに異なる健康経営のための課題を抽出し、それに合わせたソリューションを提供する。2018年9月には睡眠状態の管理に加えて睡眠改善のためのフィードバックを受けられる「my Sleep」を発表。運輸交通業を中心に複数の引き合いがあった。

リボーンマジック

 無理なく続けられることを意識したサービスの例としては、生活習慣の改善を目的とする「リボーンマジック」では、食事の内容や量ではなく、“食事をとる時間”にフォーカス。生活のリズムを整えることで無理なく効果が上がっているという。このように、ストイックな内容になり過ぎないことを意識したり、ゲーミフィケーションの要素を取り入れたりと、継続しやすいサービスを提案している。

 出井氏は健康経営を昨今話題の「働き方改革」と絡めて、改革によって労働時間や勤務場所のあり方が変われば効率を高めることがより重要になり、健康経営が企業の業績を上げる鍵になると説明。

 ドコモ・ヘルスケアでは、来年度以降もこの動きが加速していくことを想定し、健康経営支援事業を拡大していくとした。