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MVNOのシェア、大手キャリアの対策でブレーキかかる――MM総研調査
2018年12月26日 17:05
MM総研は、2018年9月末時点での国内MVNO市場の実績を発表した。
MVNO契約数は増大、成長率は昨年に比べ鈍化
独立したMVNO事業者が独自に料金プランを設定して提供する「独自サービス型SIM」の回線契約数は、1202.7万回線となった。2017年9月末時点は934.4万回線で1年間で28.7%増となっている。
携帯電話市場全体から見ると独自サービス型SIMの回線契約数は全体の約7%となり、2017年9月末時点の5.7%から1.3ポイント増加した。一昨年の2016年9月末から昨年の2017年9月末にかけては1.6ポイント増となっており、わずかながら成長率は鈍化している。
要因について同調査では、NTTドコモの「docomo with」、KDDIの「au ピタットプラン」、ソフトバンクの「動画SNS放題」など、大手キャリアが出してきたMVNOに対抗した料金プランを挙げている。同社のレポートでは、「個人向けスマホの勢いにブレーキがかかった」としている。
MVNOのシェア1位は楽天に
MVNO市場の事業者シェアの調査では、楽天モバイルなどを提供する楽天が15.6%で187.2万回線となり1位、次いでIIJの13.2%で158.5万回線となり2位。3位はUQコミュニケーションズが提供するUQ mobileで11.3%、135.4万回線となった。
楽天がシェアを伸ばした理由については、混雑時間帯を除き、高速通信容量を使い切った後も最大1Mbpsの通信ができる「スーパーホーダイ」が中心になっていると説明している。
また、同調査では、IIJとOCN モバイル ONEを提供するNTTコミュニケーションズは、MVNEとして回線を提供しており、MVNE事業を含めたトータルシェアで見ると市場における優位性は高いと説明している。2社は、コンシューマー向けの回線はMVNE経由で獲得し、自社ではIoTを含む法人向けで回線数を伸ばす傾向が強まっていると分析する。
19年度以降はIoT向けの需要拡大
同調査における独自サービス型SIMの市場規模の予測では、23年3月末には2420万回線に達すると予測されている。個人のスマートフォンなどに向けた用途では成長率は鈍化するが、IoT向けの需要が拡大し、回線比率では23年3月末で30%超になるという。
市場拡大の要素として、「eSIM」「LTE-M」への対応が挙げられている。組み込み型SIMのeSIMの機能がMVNOに開放されれば、スマートフォンなどから事業者の切り替えがしやすくなる。iPhone XSなどにはeSIMが搭載されており、ユーザーのMVNOサービスへの切り替えが促進されると分析されている。また、IoT向けの通信規格の1つであるLTE-Mに関しても対応チップを使用することで、MVNO事業者も技術的には提供が可能となる説明している。