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地方ですぐに5Gエリアを、ソフトバンクが可搬型の「おでかけ5G」
2018年11月30日 16:58
ソフトバンクは、2020年の商用化を目指す5G(第5世代の携帯電話向け通信システム)の屋内トライアル環境である「5G×IoT Studio」のお台場ラボをリニューアルした。
あわせて企業の工場内など、限られた場所で5Gのサービスエリアを構築して、ビジネスに活用できるようにする可搬型設備「おでかけ5G」の試作機が公開された。
おでかけ5G とは
今回、ソフトバンクが公開した「おでかけ5G」は、小型のアンテナと基地局、5Gの端末装置を組み合わせ、ごく限られたエリアで5Gの電波を発射し、企業や自治体が大容量・低遅延という特性を活かして自社業務に活かせるようにするというもの。
装置は、ベースバンドユニットと呼ばれる装置を組み込んだアンテナ、あるいはアンテナ単体のものと、基地局装置、MEC(モバイルエッジコンピューティング)サーバーがセットになる。試作機では28GHz帯の電波を使う形。5G向けの周波数帯はまだ割り当てられていないが、ソフトバンクでは地域限定のものではなく、全国で利用できるバンドで「おでかけ5G」を運用したいという。
現在の課題は電源や全体のサイズ感とのことだが、技術開発による小型化が期待されている。
携帯電話で新たな規格が導入される際、ほとんどの場合、都市部で人の多い地域からサービスエリアが構築される。だが、ビジネスでの活用が想定される5Gでは、たとえば、ロボットや建設機械の遠隔操作といったニーズは、山間部にある機材をリモートで操作する、といった例も考えられる。そうした企業側のニーズへ「おでかけ5G」ではスピーディに対応できるようにする、というのがソフトバンク側の狙いだ。
幅広い産業での活用目指す
リニューアルした「5G×IoT Studio」のお台場ラボは、今年5月にオープンしたばかりの施設。来たる5G時代に向け、パートナー企業と新たな用途を開拓すべく、さまざまな検証ができるようになっている。
これまでに大成建設と、力触覚伝達型の遠隔ロボット操作システムと5Gの連携を確認。これは少子高齢化を踏まえ、そのソリューションのひとつとしてロボットをさらに活用する未来を見据えた取り組みだ。
今回は、そうしたユースケースを、製造業、建設業、ゲーム(エンターテイメント業)、放送業などにあわせたデモンストレーションに刷新した。
ソフトバンクの先端事業企画部 部長の船吉秀人氏は、5G×IoT Studioでは、パートナー企業に5Gそのものを知ってもらい、ともにサービスを開発し、商用化を目指す場と位置づける。
同氏は5GでIoTの時代が本格的に到来すること、その中でやり取りするデータは高度化すると指摘。ソフトバンクでは2020年から5Gの商用サービスを提供する予定であり、農業などいわゆる一次産業をはじめ、さまざまなジャンルでの活用を進めたい考えを示す。