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シャープ、透明NFCアンテナ内蔵ディスプレイを開発

 シャープは5日、透明なNFCアンテナを搭載したディスプレイを開発したと発表した。NFC対応のスマートフォンやICカードをディスプレイ面にかざすことで決済や認証などが行える。

 用途としては、POSターミナルや自動販売機などでの決済、オフィスや教育・医療機関での個人認証、ゲームセンターのようなアミューズメント施設での応用などが想定されている。2019年度の量産体制構築を見込む。

ショッピングモールなどでのサイネージを意識したデモ
ポイントカードをかざすと保有するポイントやクーポン情報を確認できる
自動販売機での利用を想定したデモ
NFCチップを内蔵したトランプは裏返してディスプレイに置いても、どのカードか分かる
シャープ ディスプレイデバイスカンパニー 開発本部長の伊藤康尚氏

 シャープ ディスプレイデバイスカンパニー 開発本部長の伊藤康尚氏は、「これまでのNFCはディスプレイとリーダーが別々になっており、どこにタッチしていいのか躊躇するような場面もあった。それらを一緒にすることで使いやすくなるのではないか」と考え、今回のディスプレイを導入するメリットを説明する。

 新開発のディスプレイの肝となるのは、目に見えないように配線するメタルメッシュ技術を用いたNFCアンテナの透明化と、それを制御する技術。ディスプレイ全面にアンテナとしての機能を持たせながら、光透過率80%以上を確保することに苦労したという。FeliCaなど、一般的な近距離無線通信規格で必要とされる通信距離は2.5cmとされているが、今回開発されたディスプレイでは約3.0~3.5cmの性能を確保した。応答速度は1秒以下でストレスは無いとされる。

 大きさとしては、今のところ42インチまでの対応が可能とされており、小型のディスプレイでの利用はあまり想定されてはいないが、スマートフォン程度のサイズであれば実現は可能という。過去には金属素材を背面パネルに採用したためにNFCやFeliCaに対応できないスマートフォンもあったが、同技術を使えばディスプレイ面にそれらの通信を逃がすこともできる。

 NFC以外の通信用アンテナへの応用も期待されるが、伊藤氏は「まずはNFCに特化して開発を進めたい。ワールドワイドのクレジットカードへの対応が次の課題。将来的には他の通信規格にも対応できるように開発していきたい」としている。