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OPPO日本参入、キャリア対応や防水性能など日本戦略を聞く

 OPPO Japanは1月31日、スマートフォンで日本市場に参入する発表会を開催した。OPPO Japan 代表取締役の鄧宇辰(トウ・ウシン)氏は発表会終了後、囲み取材やラウンドテーブル形式で報道陣からの質問に答えた。

 なお、第1弾モデル「R11s」のニュース記事法林岳之氏によるレビュー記事発表会の模様のニュース記事はぞれぞれ別に掲載している。

取材に応じたOPPO Japan 代表取締役の鄧宇辰氏(中央)。中国OPPOおよびOPPO Japanの製品マネージャーも参加した

――日本の3キャリアや、MVNOとの交渉は行っているのか。

 3キャリアともに接触し、商談に入っているところもある。MVNOとも交渉を始めている。(OPPO Japanは)11月に設立したばかりでまだ時間が経っていないが、進捗があれば報告することになるだろう。

――日本市場では端末への要求も高いと言われている。例えば防水やFeliCaへの対応は。

 日本市場への参入にあたり調査してきている。技術的には準備ができている。防水については過去3年をかけて研究開発を重ねてきた。非接触ICも中国ではすでに搭載した端末を提供している。技術的には問題はないが、ニーズに応じて提供していきたい。

――「R11s」で、日本向けにカスタマイズされた部分は。

 初めて日本市場に投入する端末で、OPPOとしてリサーチしている最中だ。カメラなどもユーザーに合わせていきたい。Rシリーズはグローバルでも重要なモデル。ただ、日本向けに大きくカスタマイズされているかといえば、まだということになる。

――VoLTEの3キャリア対応は、すでにキャリアと連携してテストを行ったということか。

 事業者のニーズは取り込んでいきたい。VoLTEについてもキャリアと連携していくつもりだ。

――IOT(相互接続性試験)は現状では実施していないということか。

 積極的に話し合い、テストを行っていくことはあるだろう。

――発表会ではセルフィーが強くアピールされていたが、日本には昔からプリクラがあり、美顔の方向性や“セルフィー文化”が違うかもしれない。OPPOのセルフィーは、日本のセルフィー文化と合っているという認識か。それともあくまで“OPPOのセルフィー”を推していくということか。

 まだ日本市場に参入したばかりで、慣れる期間をもらいたいが、我々は“カメラフォン”を長く開発してきた経験があり、美顔機能も世界で初めて提供した。カメラのセンサーもソニーと共同開発してきた。また、中国市場だけでなく、グローバル全体に向けて、開発を行っている。ただ、日本人の好みに合わせた開発はしていく意向で、仮に“プリクラ”が必要なら、開発していきたい。

――カメラ機能に注力した端末は、実際のところかなり多く、日本でも有名カメラブランドとコラボレーションした端末が販売されている。それでも自信があるのか。

 カメラはスマートフォンの主な機能の一つになっており、各社が独自に追求している。ただ、メーカーやブランドでその位置付けは異なり、一眼レフを扱うときのような、専門性を問われるものもある。

 我々のカメラフォンは、気軽に撮れる。それが、最も多くのユーザーにとって必要な機能。若い人、多くの一般大衆にとって重要なことだ。この点で日本のユーザーに受け入れられる自信はある。

囲み取材に応じる鄧氏(左)

市場戦略

――日本での市場シェアや販売台数の目標は。

 シェアの具体的な数字は言えないが、事業者と交渉は始まっている。販売数については、はっきり言って、決めていない。ただ目標として、5年以内に、グローバルと同等のポジション(4位)になればありがたいと考えている。

――なぜOPPOは日本市場に進出しようと考えたのか。

 先進国・地域への進出は、初めてではない。オーストラリアやシンガポール、台湾などにも参入しており、オーストラリアではキャリアを通じて提供している。

 ただ日本は特別な意味を持っている。電子機器の分野では“聖地”であり、ブランドイメージも高まると考えている。

 日本の通信キャリアも、技術の追求や水準は世界で最も高い。キャリアと協力して、我々の実力が上がることも想定している。また、日本のユーザーとコミュニケーションを図ることは、新たな海外市場の開拓にもつながるだろう。

 OPPOは5Gなど次世代の技術にも投資している。日本では2019年にも5Gが始まると言われている。こうしたインフラへの対応も整えていきたい。

――東南アジアでは非常に多くの広告を出している印象だ。日本でも同様の展開なのか。

 日本のユーザーへの理解から――まだ短い期間の理解だが――言うと、広告を単純に見て買い替えるような市場ではないと思っている。美術館や旅行先などの、実際にスマートフォンが活用される場所での体験型プロモーションが有効になるのではないか。ほかの市場とは違う方針になるだろう。

――新興国ではOPPOの実店舗が展開されており、店頭での体験を含めて、支持が広がったのではないか。日本では実店舗の展開は向いていないのか。

 日本はすでに、キャリアショップや量販店など、実店舗のネットワークができあがっており、どこでも触って購入することができる。日本で実店舗の開拓はそこまで(新興国ほど)追求しない。

 少し違う話になるが、上海など一部では「スーパー旗艦店」と呼ぶものを展開している。これは、販売が主な目的ではなく、ブランドイメージの向上を狙ったものだ。デザインにこだわり、店舗面積の7割を石と樹が占めているところもある。こうした店舗なら、日本で展開する余地はあるかもしれない。

――実店舗は追求しないとのことだが、サポート拠点としての店頭サービスはどうか? 修理拠点などは整備されているのか。

 アフターサービスについては、現状では10時~19時に電話で受け付けている。365日の体制だ。修理拠点は東京に設けた。店頭での受付は無いが、要望が多ければ、対応していくつもりはある。

――日本はiPhoneのシェアが高く、Androidでも競合は多い。どういう方針で展開するのか。

 我々のターゲットは若者で、具体的には20~40代に絞っている。これは日本でも世界でも変わらない。ただ、日本には40代以上でもデザインや個性を追求している人は多い。そういう人も我々のターゲットになるだろう。

 iPhoneは、日本で非常に高いシェアを獲得している。これは良いことだ。iPhoneが人気ということは、デザインや、ユーザー体験を重視しているユーザーが多いということ。これは重要なことだ。

 目標は、市場のニーズを理解し、それに基づいて開発していくこと。キャリアとの提携・連携も検討しつつ、それらの要素を満たしながら、販売チャネルを拡大していきたい。日本のオフィスも、2年以内に数百名規模にまで拡大する計画だ。

発表会に登壇した鄧氏。「最高のものを提供する」と自信をみせた