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「契約数にサブブランドの影響が出ている」ドコモ吉澤社長

ドコモ第3四半期決算は増収減益、特殊要因を除くと順調な推移に

NTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏

 NTTドコモは、2017年度第3四半期の決算を発表した。30日に開催された説明会には同社 代表取締役社長の吉澤和弘氏が登壇し説明を行った。

 ドコモの第3四半期決算(累計)は、営業収益が前年同期比3.6%増の3兆5957億円、営業利益が前年同期比0.8%減の8353億円で増収減益だった。営業利益については、償却方法の変更など会計上の特殊要因を除くと実質的には増益とし、事業は順調とした。

 営業利益を「通信事業」と「スマートライフ領域」の2つのセグメントに分けると、通信事業は前年同期比3.2%減の7200億円、スマートライフ領域は前年同期比17.5%増の1153億円だった。通信事業については、収益に連動する販売関連費用の増加や、光通信サービス関連の費用を含むネットワーク関連費用が増加したことで前年同期比で減益となった。

通信事業

 事業の状況を表すオペレーションデータは、携帯電話契約数が前年同期比3%増の7568万件になった。解約率は0.63%、ハンドセット解約率は0.49%と低い水準で推移している。スマートフォン・タブレットの利用数は前年同期比7%増の3747万契約。「ドコモ光」契約数は大きく伸長し、前年同期比1.5倍となる448万契約になった。

 ARPUは増加傾向が続き、4720円。内訳の音声ARPU、パケットARPU、ドコモ光ARPUのいずれもが増加した。MOU(Minutes of use:1利用者当たりの月間平均通話時間)は139分で前年同期と同じだった。

 LTE基地局数は、前年同期が15万4300局だったところが、17万5100局に増加。このうちPREMIUM 4G対応の基地局は4万9400局から9万5000局にまで拡大し、下り最大788Mbpsのサービスは全国241都市で展開している。吉澤社長は「できるだけ早く下り最大1Gbpsのサービスをスタートさせたい」と設備を引き続き強化していく方針を語っている。

スマートライフ領域

 スマートライフ事業は営業利益が前年同期比17%増の1153億円。主な内訳は、補償サービスなどの「あんしん系サポート」が35%で最も多く、次いでdTVなどの「コンテンツ・コマース」が25%、dカードなどの「金融・決済」が20%などとなった。1300億円の業績予想に「着実に進捗している」と、こちらも順調とする。

 金融・決済サービスの取扱高は前年同期比22%増の2兆3200億円。dカード契約数は1860万件で、このうちdカードGOLDは前年同期比1.7倍の345万件になった。

 dポイント関連では、dポイントクラブの会員数が6432万件、「dポイントカード」登録数は前年同期比2倍となる1974万件になり、1月10日には2000万件を突破している。dポイント提携先は前年同期比2.6倍の190社で、dポイント対応の店舗数は約3万2200店舗になった。

 吉澤社長からはこのほか、中期戦略の「beyond宣言」の内容に沿った取り組みやそのトピックが解説された。この中では、QRコードで後からまとめて支払える「d払い」や、専門チャンネルをそろえた「dTVチャンネル」、実証実験からパートナー向けまで幅広い取り組みを続ける5G関連、1月からドコモショップ全店舗で実施している「ドコモスマホ教室」、R&Dの人員と法人営業が一体となって営業する“トップガン営業”、ラストマイルに挑むオンデマンド運行のAI運行バスなどの取り組みが紹介された。

らでぃっしゅぼーや全株式を売却

 スマートライフ事業に関連し、ドコモは30日、らでぃっしゅぼーやの全株式をオイシックスドット大地に譲渡した上で、オイシックスに出資、共同事業に向けて提携すると発表している。吉澤社長は、「有機・低農薬食材の市場の拡大を牽引しながら、新たな市場の創出を目指す」とコメントしている。

 後の質疑応答の時間には、らでぃっしゅぼーやを買収した当初の予想よりも、有機・低農薬食材を宅配する市場が伸びなかったと認めているが、有機野菜宅配の市場で大きなシェアを持つ2社が統合されたことで拡大の余地が大きくなるとし、農家側も提供先をまとめられるなど、流通面でもメリットは多く、「市場の拡大に貢献できる」としている。

サブブランドの影響でMVNOが伸び悩み

 質疑応答の時間に、契約数の増加が年間計画に届かないのではないか、との指摘が出ると、吉澤社長は、昨年度の実績と比較して伸びが少ない点を認め、大きな要因は通信モジュールとMVNOの動向であると指摘する。「昨年度はスマートメーターなどで法人契約が進んだが、ある程度落ち着いてきた」としたほか、MVNOについては「“セカンドブランド”の影響もあるかもしれない。ドコモ網のMVNOの伸びは少し減っている」と、総務省などでも議論が続く“セカンドブランド”(サブブランド)の影響が出ているとの認識を示している。

 一方、総務省の検討会の議論については、2種指定などを念頭に「規制を強くするのは、いいことではないと思う」とコメント。「議論を見守りたい」とした。

楽天の携帯電話事業への参入表明、ローミングは「交渉に応じる」

 楽天が、周波数の追加割当のタイミングで携帯電話事業への参入を表明している点については、いくつか質問が挙がった。吉澤社長は、参入が決まっていない(周波数が割り当てられていない)、詳細が明らかになっていない状況ではコメントできないというのが基本的な立場であると繰り返したが、ドコモの立場や方針は「全く変わらない」とし、物販などサービスで競合する部分についても、参入に関係なく競合になる場合があるとした。

 楽天が当初の設備投資額として6000億円という数字を挙げているが、これはドコモの年間設備投資額と同等。これから新規にエリア展開を行うなら、これでは足りないのではないか、というのが多くの関係者の見方で、翻って、少なくともエリアが整わない初期は、既存キャリアとのローミングを検討している可能性が高くなる。この点について、仮にローミングの申し入れがあった場合にどうするのかと問われた吉澤社長は、「周波数を取得した後、ローミングの要請があれば、真摯に交渉に応じていく。今までもローミングで交渉してきた経験はある。(料金などの)条件は当然でてくるだろう」とし、交渉には応じられるとの立場を示している。

 また、ドコモの年間設備投資額である6000億円の内訳については、大まかに、4000億円がネットワーク、2000億円が研究開発と情報システムへの投資であるとし、特に業務に関わるシステムの構築は、表には出ない部分だが、事業運営には重要であるとした。また、4Gから5Gへの変遷でも、設備投資額の内訳は大きく変化しないだろうとの予想も示している。

OPPOがドコモから? 「直接の連絡は無い」

 質疑応答の時間には、中国のメーカー「OPPO」が日本市場に参入を表明している点に関連し、キャリアとしてドコモの名前が噂されていると質問が出た。吉澤社長は「直接連絡があったかというと、無いと認識している。(先方にそういう)意思はあるかもしれないが」とコメント、現時点で具体的な話は無いとした。