ドコモ吉澤社長、「MVNO買収はしない」

　楽天によるFREETEL SIMの買収や、KDDIがBIGLOBEやソラコムを傘下に納めるなど、MVNOを取り巻く環境に変化が見える中、NTTドコモの吉澤和宏社長は「MVNOを傘下にするといったことはまったく考えていない」とコメントした。

　26日の2017年度上期の決算説明会の質疑応答で、楽天がFREETEL SIM（プラスワン・マーケティングのMVNO事業）を買収したことについて感想を求められた吉澤氏。これに「MVNO側の事情なのでコメントする立場ではない」としつつ、一般的な話としてMVNO事業者も何らかの特徴を打ち出すことが生き残るために必要ではないか、と語る。

吉澤氏
「一般的な話として、特徴をお持ちになった使い方が必要なんじゃないかと思います。MVNOさんのお客さんの対象や料金の立て方といったところで、どういった特徴を出せるかが重要になるのではないか」

　ドコモ回線を利用するMVNOは、いわばドコモにとって提携先と語る吉澤氏は、MVNOを買収する考えは？　という問いには「まったく考えていない」と否定。MVNOの連携はいろんなやり方があり、何らかのソリューション、自治体向けサービスを提供するMVNOの存在は歓迎するもので、MVNOが回線を提供してドコモがサポートするといった形での展開も十分考えられるという。

　またKDDIがIoT向けプラットフォームや回線を提供するソラコムを買収したことに対して、ドコモもIoT向けの取り組みを充実させる考えであり、そうしたジャンルのMVNOとの関係作りとして「資本提携などは考えられないことではない」と含みを持たせた。

242万の純増も予想を下回る

　2017年度上期の純増数は3％増の242万件。当初予想よりも少ないのでは？　という問いに「去年と違うのはモジュールの動き。昨年まではスマートメーターがかなり出ていたが落ち着いてきた。そこの数が一番大きな影響で、想定よりも少なかった。それからMVNO（回線）が少し減ってきているのかなという影響がある」と説明する。

　こうしたドコモ以外の要素を明示するためか、今回、初めてドコモでは「ハンドセット解約率」という数値を明らかにした。これは携帯電話（スマートフォン、フィーチャーフォン）の解約率を示すもので、今期は0.47％（前年同期は0.45％）だった。スマートフォンやタブレットの利用数は3709万契約。なお全体の解約率は0.64％。

　吉澤氏は「セカンドブランドへのMNPへの転出もあるが、ドコモ光にあわせて、固定とのねじれを解消するためモバイル回線をドコモにして新規契約する方もかなりの割合でいる。純増の水準が下がっていくことはない」とも説明。そのドコモ光の契約数は前年同期から1.7倍と大幅に伸びて418万契約に達した。これにより業績としては517億円の収入増となる一方、光回線利用料などで費用も486億円増えている。

　競合他社ではKDDIが「auピタットプラン」「auフラットプラン」の契約数が200万を突破したものの、「その料金のためにドコモからポートアウトという顕著な動きは見えない。KDDI内の契約変更がかなり動いているのでは」と推測した。

業績とオペレーションデータ

　2017年度上期の営業収益は2兆3001億円で前年同期よりも118億円増加した。その一方で、営業利益（償却方法変更分除く）は5328億円で28億円の減少となった。

　スマートライフ領域の業績の内訳は、端末故障時の保証などの“安心系”が35％、dTVなどのコンテンツコマース系が25％、dカードなどの決済系が20％だった。

　このほか、ARPUやPREMIUM 4Gの基地局数、dポイントクラブの会員数なども紹介。また今年4月に発表した中期戦略「beyond宣言」のひとつとして導入された「docomo with」に関しては70万台の利用に達したことが明らかにされたばかりだが、今年度の目標は140万台程度となっている。