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モトローラ、「Moto Mods」のアイデアソンを大阪で開催

アイデアソンの様子

 モトローラ・モビリティ・ジャパンは9月2日、同社のAndroidスマートフォン「Moto Z」シリーズでサポートされる拡張パーツ「Moto Mods」の新たな可能性を考えるアイデアソン「mods of the future from japan」を大阪市内で開催した。

 同様のアイデアソンは、これまでにサンフランシスコやニューヨークで開催されてきたが、Moto Modsの開発キットの日本向け提供開始を機に、国内でも実施されることになった。国内初となる同イベントには、37人が参加。9チームに分かれてアイデアソンに臨んだ。

 最も遠方では福岡県久留米市から、最年少では16歳の高専生が参加。大阪での開催ということもあり、エレコムやcheeroブランドでスマートフォン向けのアクセサリー事業を展開するティ・アール・エイの地元企業チームも参加していた。

ユーザー目線で日本らしいアイデアの実現に期待

モトローラ・モビリティ・ジャパン代表取締役社長のダニー・アダモポウロス氏

 冒頭、同社の代表取締役社長 ダニー・アダモポウロス氏が挨拶。同氏は、Moto Modsに互換性がある端末は400万台に上ることを明らかにした上で、同社がなぜこうした取り組みを行うのかを語った。

 同氏は、「この10年間、端末はどんどん出てきているが、カメラの画素数が増えたり、メモリーの容量が増えたり、プロセッサーの処理速度が速くなったりしただけで、根本的なところはほとんど変わらなかった。みんなに合う一つの端末を作るのは難しい。Moto Modsにより、自分だけの端末にできる、これが大きな理由」と説明する。

 続けて「日本市場においてはハッセルブラッドのカメラが一番よく売れている。ということは、日本の消費者がカメラに高いクオリティを求めている。オーストラリアはスピーカーが売れている。つまりノイズが大好きということ。アメリカではバッテリーが売れている」という状況を披露し、地域によるニーズに対応できるところがMoto Modsの魅力だと語った。

 その上で、「みなさんからの素晴らしいアイデア、日本らしいアイデアを期待している」と、アイデアソンへの期待を述べた。

(左から)モトローラ・モビリティ・ジャパン プロダクトマネージャの島田日登美氏とモトローラ・モビリティ・USA Modsエコシステム担当シニア・マネージャーのステファン・マクドネル氏

 続いて、同社プロダクトマネージャの島田日登美氏からの質問に対し、モトローラ・モビリティ・USA Modsエコシステム担当シニア・マネージャーのステファン・マクドネル氏が答える形で、今回のアイデアソンの主旨や審査基準についての説明がなされた。

 その中でマクドネル氏は、Moto Modsのコンセプトであるモジュラリティに託した可能性についても解説。「このアイデアは、シカゴにいる頭がいいモトローラのエンジニアたちが考えた。端末の小型化・薄型化に伴いモジュラリティというのは長きにわたって考えられてきたが、ユーザー体験を向上していくことが一番大切で、使い勝手がよく、すぐに使えるということが大事」(マクドネル氏)という。

 同氏は、「(同様に拡張できる端末を出していた)LGは消費者目線ではなく、技術目線で開発した結果、ユーザーフレンドリーではなかった。LGのアプローチは失敗し、モトローラは消費者に受け入れられた」と振り返り、エンジニア目線よりも消費者目線のアイデアを実現するソリューションとしてMoto Modsが存在するという意義を説明した。

 しばし夫婦漫才のようなトークが繰り広げられた後、審査基準として提示されたのは、「実現性があるか」「ユーザーの問題解決(になっているか)」「日本らしさ」の3つ。グランプリ受賞チームのメンバーのうち2名を、Moto Mods発祥の地であるシカゴのラボに招待することなど、今回のアイデアソンでのご褒美が発表され、参加者はアイデアソンの作業に入った。

背面イルミの「Design Mod」がグランプリ獲得

 最終審査は、各チーム5分のプレゼンテーションと5分の質疑応答という構成。各チームは、審査員のアダモポウロス氏とマクドネル氏を前に、ユーモアを交えながら熱意をもってプレゼンテーションを行った。

 審査の結果、背面全体にイルミネーションが埋め込まれたデザインカバー「Design Mod」を考えたチーム「modify」がグランプリを獲得。シカゴへの招待権のほか、Moto Z2 PlayとMoto Modsの開発キット(MDK)を受け取った。

グランプリに選ばれた「Design Mod」
チーム「modify」

 2位には、センサーにより前方の障害物を感知する「Moto Mods Safer」を考えたチーム「cheero」が入った。当初の予定では、2位にはMDKのみがプレゼントされることになっていたが、発表の勢いでMoto Z2 Playがプレゼントされた。

2位に選ばれた「Moto Mods Safer」
チーム「cheero」

 実際に稼働する状態を求められるハッカソンとは異なり、アイデアベースで審査するアイデアソンだが、審査結果を見ると、事前に伝えられた審査基準の通り、実現性が強く求められた印象だ。質疑応答でも、コストの試算やパーツ選定の理由など、細かく説明が求められていた。

 グランプリを受賞したチーム「modify」は、「Design Mod」のモトローラの助けを得ながら製品化に向けてのチャレンジを継続していくことになる。そのコンセプト自体はかつてauがiidaシリーズで製品化した端末「LIGHT POOL」によく似ており、プレゼンテーションでもLIGHT POOLからインスピレーションを得たというような説明もなされた。製品化にあたっては、意匠権などの面で課題を抱えることが予想されるが、どのような形でこのアイデアが実現されるのかに見守っていきたい。