ニュース

「Pokémon GO」は年内に3つの大型アップデート、今後はビーコンなどに期待~ナイアンティックのハンケ氏が語る

 2月28日、スペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2017」の基調講演に、ナイアンティックCEOのジョン・ハンケ氏が登壇した。終盤、今後の予定について同氏は「Pokémon GOでは3つの大型アップデートを予定している」とコメント。さらにPokémon GOのもとになった同社のゲーム「Ingress」の次バージョンを年内に投入することなども明らかにした。

 ハンケ氏が今後の予定を語ったのは、20分強の講演が終わるころ。同氏は「2017年最初のメジャーアップデートで80種類のポケモンが追加された。そして年内には3つのメジャーアップデートを予定している」と説明。それ以上の詳細は明らかにされなかったが、僚誌「GAME Watch」がレポートした「GDC2017」(※関連記事)でのデニス・ホワン氏の講演では、オフラインイベントの構想などが語られており、そうした要素が今後、実装される可能性がある。

ハンケ氏

Ingressの次バージョンは年内、別のARゲームも開発中

 さらにハンケ氏は、Pokémon GOのベースとなったオリジナルゲーム「Ingress」について、次の新しいバージョンを年内(later this year)に投入すること、そしてPokémon GOやIngressとは異なる、別のARゲームを開発していることを明らかにした。

 Ingressの新バージョンについては、昨年11月、本誌の取材に対してナイアンティックのアジア統括本部長である川島優志氏もコメントしていた(※関連記事

Pokémon GOのスポンサードロケーション

 ハンケ氏の講演では、Pokémon GOの開発秘話や、海外でのスポンサードロケーションの実例などが紹介された。いくつかは既にナイアンティック関係者から語られていたエピソードをあらためて繰り返したものだが、MWCというモバイル業界では世界最大の展示商談会で、Ingressの熱狂的なファンの動向や、Pokémon GOが産みだしたグローバルでの興奮があらためて披露されたことで、現実世界を舞台にしたARという分野の潜在力をアピールした格好だ。

 ハンケ氏によれば、Pokémon GOのダウンロード数は6億5000万件を超えており、その通信量はグローバルで4万4600TB(44.6PB)に達した。

 Pokémon GOのスポンサーになって、ゲーム中のスポットとして実店舗が登場するというスポンサードロケーションは、ナイアンティックならではの特徴的なビジネスモデル。既にPokémon GOの世界にはスポンサーによるスポットが3万5000カ所、誕生している。そうしたスポットへの訪問回数は5億回を超えた。たとえば米国におけるスターバックスのスポットは、1万3000カ所に及ぶ。店内では「Pokémon GO フラペチーノ」を用意して楽しめるという。

 このほか、インドの通信キャリアのJioや、フィリピンの通信キャリアであるGlobe、米国のSprintもPokémon GOのスポンサーになっている。

 ハンケ氏は、Ingressのエージェント(ユーザー)が、2つの陣営に属し、自分の陣営のロゴマークのタトゥーを彫ったり、エージェント同士が結婚して子供をもうけたり、ゲームのためにヘリをチャーターしてゲーム中のスポット(ポータル)にアクセスしたりするなど、熱狂的なファンを産みだしたことも紹介。人々を外に誘い出すというビジョンを掲げる同社がIngressでのさまざまな事例をPokémon GOの開発に活かしたと語る。

Ingressは200以上の国でプレイされ、2000万以上のダウンロードに
タトゥーを入れる人々も

今後期待する技術はビーコン、ウェアラブル

 Pokémon GOのメジャーアップデートの予定だけではなく、同社が関心を抱く分野についてもハンケ氏は語る。

 同氏は「GPSによる測位は完璧ではない。たとえばビーコンのような技術は大変興味深い」と説明。さらに昨年はApple Watch向けアプリやPokémon GO Plusをリリースするなどウェアラブルにも関心があるとしており、「リアルワールドゲーム」の次の道筋を示唆した。