ニュース

「iモードケータイ出荷終了」、編集部がチョイスする名機・迷機10選

 1999年に登場し、モバイルインターネットの先駆けとなった「iモード」。誕生から17年以上を経て、NTTドコモはついに「iモードケータイの出荷終了」を発表した。

 これからもiモードサービスは引き続き提供される。そしてiモードこそ使えないが、Androidベースのケータイ(フィーチャーフォン)はこれからも開発される。それでも「iモード対応の携帯電話」が消えていくことが決まった、というニュースは時代の節目を象徴するトピックだ。

 2000年に創刊した本誌では、過去、さまざまなiモード端末をご紹介してきた。その中でも、思い出深い、名機・迷機たちは数多い。強いインパクトを与えたそれらの機種を振り返ろう。

最初のiモード機のひとつ「F501i」

 1999年2月22日、iモードが始まったときに登場した機種が「F501i」。いわゆるストレート型(海外ではキャンディバーと称された)で、EメールやWebブラウザ(iモードブラウザ)を搭載。当時の記事を振り返ると、価格は約3万6000円、iモードサービスとして銀行、株価、航空便の座席予約と言った実用的なサービスに加えて、ゲームなどもラインアップされていたことが紹介されている。

キワモノといえばこれ、「Lechiffon」

 編集部で「キワモノ」な携帯電話として連綿と語り継がれる機種といえば、iモード登場から約6年、2005年1月に発売された「Lechiffon」(ルシフォン)だ。パナソニックが手がけた折りたたみ型携帯電話だが、国内の携帯電話で合皮カバーという初めて柔らかい素材を採用し、ヒンジにあたる部分が蛇腹状に仕上げられ、ポーチのようなデザインが強烈な印象を残した。

攻めたFOMA初期モデル「SH2101V」

 高速な通信など最先端の通信技術を採用して颯爽と登場しつつ、当初、苦戦を強いられたNTTドコモの3Gサービス「FOMA」。そのFOMA初期の端末で、PDAタイプのiモードとして投入されたのがシャープ製の「SH2101V」。小さなノートパソコン風(当時はハンドヘルドといったワードも使っていた)の機種で、Bluetoothで繋がるスティック型の通話用ハンドセットも用意されていた。

コンパクトを極めた「premini」

 2004年夏、手のひらにすっぽり収まる、ひたすらコンパクトなiモード端末が登場した。ソニー・エリクソン(当時)による「premini」だ。スタイリッシュなデザインで注目を浴び、後継モデルも登場。FOMA対応の「SO902i」まで続いた。

モバHO!対応の音楽ケータイ

 2004年~2009年にかけて、モバイル機器向けとうたう衛星放送「モバHO!」が提供されていた。最終的には10万人の契約者が残っていた同サービスに対応するiモード端末として、2006年3月、「MUSIC PORTER X」が登場。ソリッドなデザインで、ハイエンドを好むユーザーをターゲットにしたようだが、ブレイクはかなわなかった。

デュアルディスプレイの三菱製ケータイ

 2007年2月に発売された「D800iDS」(三菱製)は、シンプルな折りたたみケータイのように見えて、実はテンキー部までディスプレイという意欲的な機種だ。今のスマートフォンと違って、画面をプレスしないと操作できない圧力検知タイプのタッチパネルで、開発時には「2画面搭載ユニバーサルデザイン」として、多くの人にとって使いやすいことを目指していた。

セパレートスタイルの「F-04B」

 ディスプレイユニットとキーユニットに分離するという、非常に稀なギミックを採用したのが富士通の「F-04B」。2010年3月に発売され、普段はスライド型、いざというときにはQWERTY配列のキーを分離して使うというスタイルは、実に尖ったアイデアだった。

フルキーボードなiモード端末「N-08B」

 2010年に登場した「N-08B」はQWERTY配列のフルキーボードに、横長ディスプレイを採用し、パソコンを相当意識させる仕上がりのiモード端末。スマートフォンが登場しつつある一方でフィーチャーフォンが成熟する中で登場した機種で、現在からすれば突然変異のような存在にも見える。

iモードとWindows

 2011年に登場した「F-07C」は、パソコン向けOSであるWindows 7を搭載するという荒技を成し遂げた富士通製のiモード端末だ。いわばWindows 10 Mobileの先駆けのような存在で、スマートフォンが普及しはじめた時期らしい機種とも言える。

ヒノキを使った「TOUCH WOOD」

 同じく2011年に登場したシャープ製の「TOUCH WOOD SH-08C」は、ボディに国産の檜(ヒノキ)を採用、販売数も限定する形で提供された意欲的な機種だ。おサイフケータイやテレビ機能、GPSなど、いくつかの機能を省略し、機能面ではシンプルに仕上げられる一方、木材をそのまま用いたデザインは、iモードか、スマートフォンか、といった垣根を超えて、今も物欲を刺激する。

未来を見せてくれたケータイたち

 スマートフォンに押され、今や“旧型”扱いされるフィーチャーフォン。だがiモードの誕生以降、急激にスペックを向上させ、市場が成熟すると、その都度、個性に溢れた機種が続々と登場して話題をふりまいた。

 ここでは収録しきれなかったが、スイーツをテーマにした機種や、独特のテイストで魅了したノキアやエリクソンのiモード端末、沈胴式レンズを採用した機種、スマートフォンに先駆けて登場したLG製の“Googleケータイ”など、実に多くのバリエーションが登場した。それらが培った要素は、当時、新しい体験をもたらそうとチャレンジしたものばかりであり、今のスマートフォンにも繋がっている。

 ここまでご覧いただいた読者の皆さんにとっても、思い出深い端末があるはず。「これは忘れてくれるな!」というものがあれば、また編集部のTwitterアカウントや、Facebookページに向けてコメントを寄せてほしい。