インタビュー

オプテージ福留氏に聞くmineo新サービス、カギは「ユーザーの声を拾った独自サービス」

オプテージ モバイル事業戦略部長の福留 康和氏

 オプテージは24日、MVNOサービス「mineo」の新サービスを発表した。

 競争環境が激化している携帯電話業界において、今回mineoが発表したサービスはどのようなものなのか? 同社モバイル事業戦略部長の福留 康和氏から、新サービス概要や今後mineoが目指す姿を聞いた。

mineoにしかできないサービスを追求

 福留氏は、現在の携帯電話業界について「20GB以下の中低容量メニューにおける競争環境は激化している」とコメント。2021年を振り返り、これまで同様ファン(ユーザー)とのコミュニケーションを通じて「mineoらしく、mineoにしかできないサービスを提供」できたという。

 2021年は、新料金プラン「マイピタ」や最大1.5Mbpsの速度でデータ使い放題の「パケット放題Plus」オプションを提供。それぞれ約80万契約と約13万契約を達成しており、好調なスタートとなっている。

 福留氏は、2022年も「ファンファーストを徹底し、mineoにしかできないサービスを追求」するとアピール。競争が激化している時こそ、ファンサービスを徹底していくことを、2022年の戦略に置いた。

 そこで、2022年の取り組みとして「ファン・ボイスの徹底解決」と「独自サービスの追求」を挙げた。この取り組みにより、今回の新サービスが誕生したという。

ファン・ボイスの徹底解決

 これまでのmineoの取り組みとして、「料金不満」「容量不足」「契約不安」の3つの声に応えられたと福留氏は説明する。

 「20GBも使わないし、もっと安くスマホを使いたい」というファンからの声に、1人1人にあった料金プランとして「マイピタ」を提供、一方で「低容量プランでお得だけど、容量がなくなったら不安」という声にはオプションの「パケット放題Plus」で不安不満の解消を図ってきた。

 また、格安スマホならではの「実店舗が少なく、気軽に相談できない」不安については、ネットや電話、mineoの実店舗など手厚いサポート対応を実施してきた。

 今回は、「有効期限なしでパケット(データ容量)を繰り越したい」「料金を気にせず電話したい」「お試しで使いたい」といった声に応える形で新サービスを提供するという。

有効期限なしでデータ容量を繰り越す

 「有効期限なしでパケットを繰り越したい」という声に応えたのが、新オプション「パスケット」(4月1日~)。月額110円で、最大10PB(100万GB)までデータ容量を有効期限なしで繰り越せる。

 ユーザーは、繰り越したいデータ容量をパスケットに預け入れ、利用したい場合はパスケットから引き出すことで、データ容量を有効期限なしで繰り越せる。パスケットに預け入れなかったデータ容量は、有効期限は翌月までとなる。

 サービス開始時点では未提供だが、今後パスケットに貯めた容量ランキングなど貯める楽しさ、増えていく楽しさなど付加価値が提供できるように、サービスを充実させていくことを検討している。

 データ容量を貯めておけるサービスとしてmineoでは「フリータンク」などを提供しているが、フリータンクでは第三者に譲るためのもの。今回の「パスケット」は、旅行先や出張先でWi-Fiが利用できない場合など、もしもの時にそなえて自分用に貯めておけるサービスという位置づけだという。

通話に対する不満の声

 「料金を気にせず電話したい」という声には、専用アプリなしのかけ放題サービスとして、「10分かけ放題」(月額550円)と「時間無制限かけ放題」(月額1210円)を3月1日に提供開始する。どちらも「業界最安水準」(福留氏)とアピールする。

 これまでは、専用アプリ「mineoでんわ」を使った10分かけ放題(月額935円)や、総通話時間に制限がある通話定額プラン「通話定額30/60」(月額924円/1848円)を提供していたが、通話時間に制限のないかけ放題オプションを提供する。

 各キャリアがMVNO向けに提供しているプレフィックス番号自動付与サービスを活用したオプションで、NTTドコモ、au、ソフトバンクいずれの回線でも利用できる。

 今回のタイミングでの提供になった経緯を福留氏は「3キャリアのプレフィックス番号自動付与の対応が完了したためこのタイミングとなった。キャリアごとにリリースすることも考えたが、家庭内で複数のキャリアを利用しているユーザーもあり、混乱を避けるために一斉に開始することとした」と説明。また、「『10分』のかけ放題」となった理由について「ユーザーから『5分(かけ放題)ではせわしない』という意見を受けたため」とコメントした。

お試し割引キャンペーン

 「お試しで使いたい」という声に応えたのが、実施中の「お試し割引キャンペーン」だ。現在提供中の「マイピタ基本料金を3カ月間1188円割引」「端末価格最大1万6500円割引」に加え、前述の「新かけ放題オプション」の割引施策を実施する。

 「10分かけ放題」と「時間無制限かけ放題」について、利用開始月の1カ月間は月額料金無料で利用できる。さらに、利用か石附から1年間、月額料金をそれぞれ110円(10分かけ放題)/220円(時間無制限)割引する。

 たとえば、マイピタの5GBプランなら月額1518円が3カ月間330円/月で利用できる。かけ放題オプションは、10分かけ放題が1年間440円/月、時間無制限かけ放題が990円/月で利用できる。

独自サービス「混雑時以外の空き帯域を活用」

 mineoではユーザーとさまざまなサービスを共創してきたといい、福留氏は「これならほしいと(ユーザーに)言ってもらえるサービスを作っていきたい」とコメント。そのなかで「使い放題系サービスの充実」がユーザーから出てきたという。

 一方で、MNOとの契約で一度に通信できるボリュームは決まっているため、混雑時は通信速度がほかと比べて遅くなってしまう。だからといって、帯域幅を増強すると、サービス価格に多大な影響を与えてしまいかねないため、なかなか難しいのが現状だ。

 これを踏まえ、「混雑時以外に空いている帯域」を活用した使い放題サービスが、今回発表された「マイそく」(3月7日~)だ。

 「マイそく」は、混雑する平日(祝日含む、以下同)以外で最大通信速度1.5Mbps/3Mbpsで使い放題となる料金プラン。価格は最大1.5Mbpsの「スタンダード」で月額990円、3Mbpsの「プレミアム」で月額2200円。いずれも、平日の12時~13時は最大通信速度が32kbpsに制限される。

 なお、平日昼間に高速通信が必要な場合、「24時間使い放題」(330円/回)を利用すれば、速度制限が解除できる。

 「マイそく」と同様のサービスとして、「パケット放題Plus」オプションがあるが、「パケット放題Plus」は基本通信プラン「マイピタ」のオプションとして利用するもので、オプションをオンにすると最大速度1.5Mbpsでデータ容量を消費しないサービス。一方、今回の「マイそく」は、通信プランとして提供される。

 福留氏は「昼間は使わないユーザーやWi-Fiを使うユーザー」「節約志向のユーザー」が主なターゲットだと説明する。また、使い放題の料金プラン向けに専用帯域を確保することは考えておらず、今回の「マイそく」は、帯域の空きを有効活用したサービスという位置づけだという、

mineoの今後について「独自のサービスを追求する」

モバイル事業戦略部長の福留 康和氏

 福留氏は、現在の携帯電話業界について「流動性が高まっている」と指摘。

 昨年2月にスタートした「マイピタ」では、開始以前と比較して新規契約数が1~2割増加しており、2020年よりも獲得数が増えており、新料金プランやパケット放題Plusオプションが受け入れられていると分析。一方で、解約率も2020年より増加しているものの、契約数自体は維持できているという。

 福留氏は、今後のmineoについて「激しい競争環境が緩やかになるとは思っておらず、価格や機能といった基本的な部分だけでなく、『独自のサービスを追求する』ことで、他社との差別化を図ってオンリーワンなサービスを提供していきたい」とコメント。MNOとMVNOの境界がなくなって行く中で、独自のサービスを追求していく考えを示した。