インタビュー

縦折り「Galaxy Z Flip」auで発売決定! 実機写真&KDDI雨宮氏インタビュー

 KDDIと沖縄セルラー電話は、2月12日、米国サンフランシスコで開催されたサムスンのイベント「Galaxy UNPACKED 2020」で発表された縦折りスマートフォン「Galaxy Z Flip」を、auで取り扱うことを発表した。auは昨年、サムスンの折りたたみスマートフォン「Galaxy Fold」も限定で販売した実績があり、これに続く販売になる。

 本稿では、実機写真とともにKDDIのキーパーソンへのインタビューをお届けする。

「Galaxy Z Flip」
KDDIの雨宮氏

全国のau取り扱い店で販売

 Galaxy Z Flipは6.7インチのInfinity Flex Dsiplay(有機EL)を搭載したスマートフォンで、縦長のディスプレイを搭載したボディを縦方向に折りたたむというユニークな形状にデザインされている。

 折りたたんだ状態のボディは一般的なスマートフォンの半分程度の大きさしかなく、コンパクトで持ちやすく仕上げられている。重量も一般的なスマートフォンと同じ183gに抑えられた。

 おサイフケータイや防水防塵といった日本仕様はサポートされていないが、対応する周波数はauの携帯電話ネットワークに合うようにチューニングされており、通信規格としては4G LTE/WiMAX 2+に対応する。カラーはミラーパープルとミラーブラックの2色展開。

 昨年のGalaxy Foldはau直営店など、一部の販売店のみでの限定的な取り扱いだったが、今回の「Galaxy Z Flip」は全国のau取り扱い店、au Online Shop、東京・原宿の「Galaxy Harajuku」で取り扱われ、2020年2月18日から予約受け付けが開始される。

 発売日は2月下旬を予定している。価格は未定で、近日中に発表される予定。

au UNLIMITED WORLDを表現する一台

 今回、米国サンフランシスコで開催された「Galaxy UNPACKED 2020」の終了後、いち早くGalaxy Z Flipの取り扱いを発表したKDDIに、グループインタビューという形で話を聞くことができた。KDDI株式会社の取締役執行役員常務の雨宮俊武氏、同社パーソナル事業本部プロダクト部長の木下祐介氏に、製品導入の背景や意気込みなどについて聞いた。

木下氏(左)と雨宮氏(右)

――昨年はGalaxy Foldを取り扱い、今回はGalaxy Z Flipを扱われるわけですが、Galaxy Foldの反響はどうだったのでしょうか?

雨宮氏
 Galaxy Foldは本体が少し大きかったこともあり、男性のお客さんの比率がたいへん高かったですね。

木下氏
 実は、ご購入いただいたお客さまに調査をしたのですが、満足度という点では過去、もっとも高い結果でした。

雨宮氏
 Galaxy Foldは満足度が高い一方、男性のお客さまが中心で、女性の方にはなかなか持っていただけなかったのですが、そんな中、サムスンさんから新しいGalaxy Z Flipのご提案をいただきました。コンパクトで親しみやすいデザインですし、男性も女性も使えるうえ、機能的にも先進性がありますよね。

――Galaxy Z Flipは4Gネットワーク対応です。auは来月にも5Gの正式サービスを開始する予定ですが、このタイミングで、この4G端末で良かったのでしょうか?

雨宮氏
 そうですね。auは5G時代へ向けて、「au UNLIMITED WORLD」の実現を目指しています。「UNLIMITED」というと、データ通信量を思い浮かべられてしまいますが、我々が考えている「UNLIMITED」は料金やデータ通信量に限らず、ネットワーク、デバイス、サービスによって、表現されていくものだと考えています。

 たとえば、ネットワークであれば、5Gですし、デバイスであれば、新しい感覚のもの、新しい体験が得られることが重要です。サービスも新しい使い方や体験が得られるものがいいですよね。

 Galaxy Z Flipは「スマートフォン=板」という既成概念から飛び出した端末で、こういう新しい形によって、新しい使い方、折りたたみにあったアプリやサービスなどが出てくるかもしれません。そういう意味では「au UNLIMITED WORLD」を表現する一台とも言えますね。

――Galaxy Z Flipは具体的にどれくらいの価格で販売されるのでしょうか?

雨宮氏
 申し訳ありませんが、今日の時点ではまだ価格のことなどをお話しできません。18日の予約開始までには、きちんとアナウンスさせていただきますので、しばらくお待ちください。

――前回のGalaxy Foldはauのアップグレードプログラムの対象ではなく、価格的にも買いにくい印象がありました。今回はどうされるのでしょうか?

雨宮氏
 できるだけ、お客さまが買いやすいしくみを作りたいと考えています。そのためには今のアップグレードプログラムも進化させないといけないかもしれませんね。

――Galaxy Fold、Galaxy Z Flipと専売が続きますが、KDDIとサムスンの間に何があったのでしょうか?

雨宮氏
 いや、サムスンさんだけを独占扱いをしたいわけではないですよ(笑)。どんなメーカーさんとも仲良く仕事をさせていただきたい。

 ただ、先ほども申し上げたように、au UNLIMITED WORLDを拡げて行くうえでは、やはり、先進的な優れた端末、新しさを感じさせる端末、技術的な先進性を持っている端末が大切です。

 その点で見ると、やはり、サムスンさんは優れた企業ですし、さまざまな革新的な製品を開発していらっしゃいます。これからもいっしょにやっていきたいと考えています。

――昨年10月に電気通信事業法が改正され、端末購入補助が制限される市場では、かつてのau design projectのようなオリジナル端末は難しいのでしょうか?

雨宮氏
 法改正によって、いろいろと条件が変わってきたことは確かです。ただ、端末だけを完全に切り離しても各社が提供したい世界観は表現できませんよね。

――Galaxy Foldは販売ルートも台数も制限されていた印象でした。今回のGalaxy Z Flipは取り扱い店舗も増えるようですが、その意気込みをお聞かせください。

雨宮氏
 今回はGalaxy Foldのような限定販売ではありませんから、それなりの数はしっかりと販売していきたいと思います。取り扱う台数もGalaxy Foldより確実に多いですし。

 Galaxy Foldは先進的な端末でしたが、やはり、価格が高く、なかなか手を出せないお客さんがいらっしゃったのは事実です。今回のモデルはそこを変えることができるんじゃないでしょうか。

――Galaxy Z Flipには防水防塵やおサイフケータイなどの日本仕様がありません。通信速度も4G LTEのフルスピードではないですよね。

雨宮氏
 そうですね。日本仕様をサポートした端末など、日本向けのカスタマイズはお客さまの反応を見ながら考えていきたいと思います。ただ、必ずしもフルスペックでなければ、買っていただけないわけではないことも理解しています。

――同梱するケースなどはどうされるのでしょうか? 今回の端末でauオリジナルというか、グローバル版からカスタマイズしているところは何ですか?

木下氏
 今回は試供品という形でクリアケースを同梱させていただく予定です。一般的なスマートフォンとは少し形状が異なりますから、現在、適切なものを検討中です。また、カスタマイズはヒンジ部分のGalaxyのロゴくらいで、あとはauのアプリなどですね。

――電気通信事業法改正以来、どの市場も売れ行きは普及価格帯に移行しています。そんな中で、Galaxy Z Flipのように、ある程度の価格のモデルを出すのはどういった理由からなのでしょうか?

雨宮氏
 確かに、昨年来、市場の動きは変わってきていますし、そのことはよく存じております。

 ただ、すべてが普及モデルになってしまうようだと、お客さまから見ても面白みに欠けます。やはり、auとしては未来を感じられるものを表現していきたいですね。

 メインストリームで販売する製品ではないかもしれませんが、端末はひとつのツールです。技術的なことも含め、先進性を感じられること、先を行ってることを表現できる製品を扱っていきたいと考えています。

――今回のボディカラーの2色展開の意図を教えてください。また、なぜグローバル版の発表から、すぐに発表されたのでしょう?

雨宮氏
 Galaxy Foldのときはブラックのみで、男性のお客さんが大半を占めました。

 今回はミラーパープルを加えたことで、女性のお客さまにも手に取っていただきやすくなるんじゃないかと期待しています。本体もコンパクトなので、持ちやすいですし。

 発表からすぐに取り扱いを発表したのは、やはり、いい商品が発表されたから、できるだけ早くお客さまに届けたいと考えたからです。

――もし、他メーカーでも先進的なものが登場すれば、採用するのでしょうか? また、そのときはau専売、au独占をめざすのでしょうか?

雨宮氏
 当然、優れた製品、先進的な製品があれば、常に検討はします。専売や独占については、auとしてはそう考えてもメーカーのみなさんがそう考えるとは限らないですから。

 いろいろな話し合いをしながら、より良い製品を多くのお客さまにお届けできるようにしたいと頑張って行きたいと思います。

――今日はありがとうございました。