【Mobile World Congress 2013】

最新端末や新OSについて語るファーウェイ

 ファーウェイは、報道陣向けのラウンドテーブルを開催。ファーウェイデバイス(端末部門)のPresident Handsets Product Line、Kevin Ho氏が質問に答えた。

 1月開催の「INTERNATIONAL CES 2013」でフルHDディスプレイ搭載の「Ascend D2」、今回の「Mobile World Congress」(MWC)ではカテゴリー4のLTEに対応した「Ascend P2」を発表したファーウェイ。それぞれの端末は日本でも、ドコモの「Ascend D2 HW-02E」やイー・モバイルの「STREAM X」として発売される。

 一方でファーウェイは、MWCで話題を呼んだFirefox OSやTizenといった新OSにも積極的だ。Firefox OSは搭載端末の開発を表明しており、TizenもTizen Associationのメンバーの一員になっている。これらの新端末に関する戦略や、OSについての考え方を聞いた。

――Ascend P2を含め、ディスプレイサイズのトレンドをどう見ているのか。

ファーウェイデバイスのPresient Handsets Product Line、Kevin Ho氏

Ho氏
 かつて社内で議論したときは、4.0インチでも大きいとみんなが思っていた。4.5インチ以上だと、持てなくなるのではとも考えていた。しかし、当時の考え方は誤りだった。今では4インチはローエンドのスマートフォン。4.5インチがメインになりつつあり、5インチも受け入れられている。

 そういった経験から考えると、一度大きなディスプレイを使い出すと、さらに大きなディスプレイが使いたくなる。弊社が発表した「Ascend Mate(6.1インチのディスプレイ)」については、企画段階で5インチから7インチまで、0.1インチ刻みで20個のモックアップを作ってリサーチした。その中で6インチがもっとも好まれた。ユーザー体験はパッド(タブレット)に近いが、スマートフォンとしてもコンパクトに使える。

――Ascend P2はデザインに重きを置いているが、意図や狙いは。

Ho氏
 P2はP1の後継機で、デザインやファッションに興味を持つ方に向けた端末。ふちが見えないようなボディラインで、インセルタッチパネルを使い筐体も薄型化している。背面の素材も滑らない、マットなもので、よりよいユーザー体験を提供したい。

MWCで発表されたカテゴリー4のLTE対応端末「Ascend P2」
CESで発表された「Ascend D2」。フルHDディスプレイ搭載のフラッグシップモデルだ

――Dシリーズと、機能が近くなっているようにも感じる。

Ho氏
 Dシリーズは技術やテクノロジーを極める、Pシリーズはファッションを極めるという違いがある。Ascend D2も、フルHDのディスプレイや、1300万画素のカメラ、金属フレーム、防水といった先進技術を実現している。P2に関してはスペックはもちろんだが、それ以上にバランスを取った端末で、薄型を目指し、使い心地を重視している。

――Ascend P1Sでは世界最薄をうたったが、後継機でそれがないのはなぜか。

Ho氏
 今はLTEのニーズが増えているからだ。今回は、もっとも速い端末ということで、カテゴリー4対応を打ち出している。

――ファーウェイはFirefox OSとTizenの両方に名を連ねている。ズバリ本命はどちらか。

Ho氏
 Firefox OSもTizenも、関心を示しているオペレーターがいる。お客様(オペレーター)と一緒に、こういったシステムのフィジビリティスタディーを進めている。ファーウェイはお客様と強いコミュニケーションをして、ユーザーに価値を提供するという考え方を持っているからだ。

 ただ、どのタイミングで商品化するのかといった、より詳しい情報は現段階では申し上げられない。

――お客様はキャリアということか。

Ho氏
 もちろん商品は購入するエンドユーザーとオペレーター、両方のことを考えて企画している。

――そのエンドユーザーにとって、新しいOSは何が魅力と考えているのか。

Ho氏
 Firefox OSもTizenも、HTML5をベースにしたOSになっている。UXはよりスムーズで、スピードも提供できる。一方で、スマートフォンはアプリの数も重要だが、そこはこれからの課題になる。ただし、将来的にはアプリもHTML5に向かうと考えている。

――家電メーカーは、他の製品との連携を打ち出している。ファーウェイは、携帯電話専業だが、どう戦うのか。

最新ネットワークへのすばやい対応が、ファーウェイの強みだ

Ho氏
 ソニーやサムスンはコンシューマー商品では強い会社で、家電連携の方向性はとてもよく、正しい戦略だと思う。一方でファーウェイは、ネットワークに強みを持っている。たとえばAscend P2では、20年を経験を活かし、もっとも速い端末を出すことができた。LTEのスピードという点では、半年以上業界をリードしている。ネットワークのノウハウを端末に導入でき、よりよいものを作っていく。

――省電力技術もその一貫か。

Ho氏
 そのとおり。ディスプレイ以外では、通信がたくさん電池を消費している。ネットワークのノウハウで、エコなシステムを作る点でも業界をリードしている。また、ファーウェイはCPUについてもノウハウを持っている。これも弊社の優位性で、お客様が満足できる商品を作れると思っている。

――現在の世界シェアは?

Ho氏
 IDCやGartnerの調査では、世界3位になっている。

――年間ではどうか。

Ho氏
 まだデータが出ていない。ただ、感触として、端末ビジネスはスピードアップしている。昨年は年始に5位、6位だったのが、年末は3位になった。引き続き、ビジネスを加速させていきたい。

――Ascendブランドは浸透していない地域もある。オペレーター向け端末とブランドが被りもあるが、Ascendに一本化しないのか。

Ho氏
 ブランドは、販売チャネルや消費者を理解して、引き続き広げていきたい。もちろん今までのオペレーターとの関係も維持していく。

――上位2社は強力なブランドを持っている。

Ho氏
 Ascendのブランディングを始めたのは、昨年から。今年も引き続きブランディングには投資している。マーケットに合わせたプランがあるが、これはエリアごとに続けていく。世の中にあるブランドは、長い間出し続けている。また、ブランドは高い品質の商品を出して成り立つものだ。その意味で、Ascendシリーズはまだ始めたばかり。未来に向けて投資を続け、時間をかけてブランドを作っていきたい。

石野 純也