【Mobile World Congress 2013】

ファーウェイ、薄さと機能を両立させた「Ascend P2」を発表

 ファーウェイは24日(現地時間)、プレスカンファレンスを開催し、カテゴリー4のLTEに対応した薄型スマートフォン「Ascend P2」を発表した。同社 コンシューマー・ビジネス・グループのCEO、リチャード・ユー氏によると、この端末は「欧州や日本をはじめとした世界各国で発売される」という。ファーウェイ・ジャパンの広報担当によると、「Ascend P2」の日本版は、イー・アクセスが2月21日に発表した「STREAM X GL07S」のベースモデルとのこと。日本版はおサイフケータイに対応するが、チップセットやカメラ、ユーザーインターフェイス(UI)など、多くの部分がグローバル版と共通している。

「Ascend P2」の外観。8.4mmの薄型モデルだが、クアッドコアCPUや13メガのカメラなど、高いスペックを誇る
カラーはホワイトとブラックの2色

 プレスカンファレンスでは、ユー氏が米調査会社のIDCが発表したデータを挙げ、「ファーウェイは3番目に大きなスマートフォンメーカーになった」と語り、戦略を大きく転換したことを解説。同社はOEMメーカーから脱して自社ブランドを強化し、ミドルレンジやハイエンドの端末にも積極的に取り組むようになった。その第一弾とも言えるのが、2012年の「INTERNATIONAL CES」で発表した「Ascend P1」。これを機に、ファーウェイはAscendブランドを立ち上げ、フラッグシップのDシリーズ、機能とデザインを両立させたPシリーズ、コストパフォーマンスに優れたGシリーズ、エントリーモデルのYシリーズを世界各国で展開している。

プレスカンファレンスでは、ファーウェイのリチャード・ユー氏が端末を発表した
2012年を通して業績を大きく伸ばしたファーウェイ

 「Mobile World Congress 2013」に合わせて発表された「Ascend P2」は、「Ascend P1」の後継機にあたる。プレスカンファレンスでユー氏が真っ先に挙げたのが、カテゴリー4のLTEへの対応だ。下りの速度は最大150Mbpsまでサポートし、「競合と比べても速い」と自信をのぞかせた。基地局ベンダーでもある同社の強みを生かし、いち早くカテゴリー4を採用できたという。また、「Ascend P2」は電波特性にも優れており、ユー氏が公開した資料によると、Band1(2.1GHz帯)、バンド3(1.8GHz帯)、バンド7(2.6GHz帯)、バンド20(800MHz帯)のいずれにおいても、競合となる端末より感度が高いとした。

LTEのカテゴリー4に対応する。ただし、ネットワークが対応しているのは国は少なく、日本でもまだエリアは一部に限られる
競合端末との電波特性を比較したグラフ

 端末の厚さは8.4mmで、「Ascend P1s」で実現した世界最薄は目指さなかった。これは、「もっと薄くはできるが、13メガピクセルのカメラを搭載しているため」(ユー氏)で、サイズの数値より機能を選んだ格好だ。そのカメラには、「第3世代の裏面照射型CMOSセンサー(Exmor RS for mobile)」(同)を採用。本体側面にカメラ用のボタンを設け、ダブルクリックでカメラを即座に起動できる機能も取り入れた。

カメラは13メガピクセルで、最新の裏面照射型CMOSセンサーを採用する

 1月に開催されたCESで発表されたグローバル版「Ascend D2」は、フルHDで443ppiのディスプレイを搭載していたが、Ascend P2は1280×720ドットの4.7インチとなる。「もっとppiの高いディスプレイもあるが、バッテリーを必要とする」(ユー氏)のがフルHD化を見送った理由で、スリムさが重要な「Ascend P2」のコンセプトを重視した結果の仕様となっている。CESで発表されたグローバル版「Ascend D2」と共通する機能もあり、手袋をつけたまま操作できる「マジックタッチ」や、アプリ一覧を廃し、ホーム画面のみの構成にした「Emotion UI」などは継承する。

 「Ascend P2」の主なスペックは次のとおり。チップセットはハイシリコン(ファーウェイの関連会社)製の「K3V2」で、1.5GHz駆動のクアッドコアとなる。カメラは動画のHDRに対応した13メガピクセルの裏面照射型CMOSセンサー。1GBのRAM、16GBのROMを内蔵し、NFCにも対応する。バッテリーは2420mAhで、急速充電に対応。OSはAndroid 4.1となる。サイズは136×67×8.4mm、重量は122g。

ディスプレイのスペック。インセル方式のタッチパネルを採用しており、コントラスト比は1000:1。315ppiとなる
バッテリーの容量や、省電力技術にもこだわった
「Androidは普通の人に難しい」(ユー氏)というファーウェイが独自に開発したユーザーインターフェイス。テーマの変更などにも対応する
ROMは16GBで、展示されていた実機では11.8GBほどの空きスペースがあった

 このほか、プレスカンファレンスではファーウェイのブランドメッセージも明らかになった。キャッチコピーは「MAKE it POSSIBLE」で、不可能を可能にする同社の技術革新や創造性をアピールするものになっている。

新たに打ち出していくブランドメッセージ

石野 純也