【CES 2020】

Snapdragon 865/765の採用状況を語るクアルコム

車載向けの「Snapdragon Ride Platform」も発表

 クアルコムは、1月7日(現地時間)に開幕する「CES 2020」に先立ち、6日にプレスカンファレンスを開催。自動車向けのプラットフォームでレベル4までの自動運転などをサポートする「Snapdragon Ride Platform」などを発表すると同時に、19年12月に米ハワイ州で発表された「Snapdragon 865」や「Snapdragon 765/765G」の採用状況などを、社長のクリスティアーノ・アモン氏が語った。

プレスカンファレンスに登壇したクアルコムのアモン社長

 アモン氏によると、「懐疑論があるにも関わらず、5Gは4G以上のスピードで進んでいる」という。その証拠として、アモン氏は340のキャリアが5Gに投資していることを紹介。「2023年までに、5Gの接続数は10億に達する」との見通しも披露された。

アモン氏によると、5Gは4G以上のスピードで普及が進むという

 「ベストなスマートフォンには、すべて5Gが入ってくる」と語られていたように、2020年はスマートフォンの5G化も加速する見込み。一例として挙げられたのが、Snapdragon 765Gを搭載したOPPOのスマートフォン「Reno 3 Pro」。上記のように、Snapdragon 765Gは12月に披露されたばかりのチップセットだが、同月中にそれを搭載するスマートフォンが発表された格好だ。アモン氏は「数日前にOPPOが商用端末を発表したが、非常に素早かった」とこの動きを称賛する。

 12月に発表されたSnapdragon 865や765/765Gも、好調に推移しているようだ。アモン氏によると、Snapdragon 865の採用が決まった端末は、Snapdragon 855比で2倍になっているという。これは、あくまで出荷開始当初の比較だが、端末メーカーも採用を積極化しているようだ。アモン氏によると、「より興味深いのがSnadpragon 765/765G」で、こちらは2.5倍とSnadpragon 865を上回る勢いで採用が決まっているという。

 Snapdragon 765/765Gは、ミドルレンジの端末向けに、アプリケーションチップとモデムチップを1チップ化。通信速度などはモデムが別のSnapdragon 865に一歩劣るが、実装の容易さや、価格などが端末メーカーに評価されていることがうかがえる。上記のReno 3 Proも、Snapdragon 765Gを採用したスマートフォンで、価格は3999元(約6万2500円)と、ハイエンドモデルよりリーズナブルだ。

12月に発表されたSnapdragon 865や765/765Gは、採用が今まで以上に順調に進んでいるという。シャープや京セラの名前も明かされた

 米国ハワイ州でSnadpragon 865、765/765Gが発表された際には、OPPOのほか、Xiaomiやモトローラなどのメーカーが登壇し、これらを採用したスマートフォンを発売していくことが明かされたが、CESのプレスカンファレンスでは、より多彩なメーカーの名前が挙げられていた。日本メーカーは、シャープや京セラもここに名を連ねる。サムスンやBlack Shark、ASUS、ZTEなど、日本市場で端末を展開するメーカーも、Snapdragon 865、765/765Gを採用していくようだ。

 固定通信の代替となるFWA(Fixed Wireless Access)にも、Snapdragon X55 5Gモデムの採用が進む。アモン氏によると、同モデムを採用するCPE(据え置き型ルーター)は34にのぼり、そのうち11は、Wi-Fi 6に対応した「IPQ8074 Wi-Fi 6 SoC」を搭載するという。メーカーでは、OPPOやNokia、inseegoなどが、こうしたCPEを開発していくようだ。

クアルコムの5Gモデムを搭載した据え置き型ルーターも増えている

 米ハワイ州で開催されたクアルコムの自社イベントでは、パソコン向けのチップセットのラインナップを広げ、より廉価な「Snapdragon 8c」や「Snapdragon 7c」を発表していた。その上位版として、2018年12月には「Snapdragon 8cx」が発表されていたが、CESでは、このチップセットを搭載し、5Gに対応したパソコンも披露された。レノボの「Yoga 5G」がそれで、アモン氏は「5G PCはここにある」と宣言。プレスカンファレンスには、レノボのシニアバイスプレジデント、ジョンソン・ジア氏がゲストとして登壇し、「2020年は5G PCの年」になると宣言。CESで発表されたYoga 5Gを披露した。

「5G PCはここにある」と宣言。このスローガンは、昨年のMWCで掲げられた「5Gはここにある」を踏襲したものだ
プレスカンファレンスには、レノボの幹部も登壇。「Yoga 5G」が披露された

 このほか、冒頭で挙げたとおり、車載向けのプラットフォームであるSnapdragon Ride Platformが発表されている。同プラットフォームはレベル1~レベル4までの自動運転をカバーする。

 アモン氏によると、自動車分野でクアルコムが注力するポイントは4つあるという。1つがコネクティビティで、同社が推す「セルラーV2X」がこれに当たる。デジタルコックピットも、クアルコムが得意とする分野の1つ。クラウドデバイスマネージメントや先進運転支援システム/自動運転にもフォーカスしていくことが明かされた。

Snapdragon Ride Platformを紹介したアモン社長
自動車関連では、ここに挙げた4つの分野にフォーカスしていくという