【CES 2018】

6インチのWindowsタブレット、モバイルバッテリーになる「CATスマホ」新モデル――CESで見つけたモバイルデバイス

 今年のCESでは、中小メーカーによるスマートフォンはあまり見られなかった。それどころか大手メーカーによるスマートフォンの新製品も少なく、モバイル分野は落ち着いていた印象だ。それでもスマートフォンなどユニークなモバイル製品は展示されていたので、それらをレポートする。

フルキーボードデバイス「Gemini PDA」

 すでに会期前イベント「CES Unveiled」の記事でも紹介しているが、フルキーボード搭載Androidスマホ「Gemini PDA」はCES会場にも展示されていた。Gemini PDAはWi-FiモデルとCellularモデルがあり、Cellularモデルは3G/4Gで音声通話やデータ通信が可能だ。

Gemini PDA

 現在はIndiegogoでクラウドファンディングを展開中で、Wi-Fiモデルは299ドル、Cellularモデルは399ドルとなっている。日本の技適も取得予定で、日本語キーボード配列も用意される。クラウドファンディングなので現状では誰でも手軽に変えるというものでもないが、ちょっと変わったSIMフリースマホが欲しい人にはよい選択肢になるかも知れない。

 ちなみにLTEの対応バンドはBand1/2/3/4/5/7/12/17/20/41とのこと。日本では2.1GHz帯のBand1が全キャリアで、1.8GHz帯のBand3がNTTドコモとソフトバンクで、2.6GHz帯のTD-LTEバンド41がauとソフトバンクで利用されている(実際につながるかは不明)。イギリス発のスタートアップによる製品だが、なぜかCDMA2000のEV-DOもサポート。カタログのスペック表によるとVoLTEやeSIMにも対応している。

超小型Windowsタブレット(?)のOckel

 手のひらサイズのWindowsパソコン「Ockel」は、Indiegogoブースに成功例として展示されていた。6インチのタッチパネルディスプレイを搭載しているので、ほぼほぼタブレットなのだが、くさび形断面の筐体上端にはUSBやHDMI、有線LANといった各種インターフェイスを搭載していて、持ち運びできるデスクトップPCやテレビにつなぐPCとしての利用も想定されている。

展示されていたのはおそらく「Ockel Sirius A」というモデル

 モデルによって価格は異なるが、たとえばSirius Aの場合、通常価格699ドルのところ、Indiegogoで549ドルでファンディングの出資を募っている。

どこでも高精度な翻訳機能が使える「POCKETALK」

 ソースネクストは同社が販売中の製品「POCKETALK」を展示している。すでに日本では2万7780円で販売中。今年5月より米国でも販売開始されるため、CESに出品された。

POCKETALK

 この製品、3G通信機能を内蔵していて、SIMを挿しておくことで、クラウドを使った高度な音声同士の翻訳機能を利用できる。SIMがない場合はWi-Fiでも利用できるが、SIM付きモデルは3万2780円で、2年間の利用が可能となる。その後は2年ごとに1万円の利用料がかかる。

 63の言語に対応し、相互に通訳できる。ソースネクストはさまざまな国からの来場者が集まるCESのEureka Parkに出展していて、デモ希望者に合わせた言語をデモしたとのこと。欧州のほとんどの言語はもちろん、やや珍しいところではヘブライ語(Eureka Parkにはイスラエルがパビリオンを出展している)のデモも行なったという。日米以外での販売の要望もかなり寄せられたようだ。

こちらはTravisの製品

 ちなみにこの製品、オランダのTravisというスタートアップの製品で、日本と米国での販売をソースネクストが担当しているという。しかしTravis自身はスタートアップで販売網も弱いため、販売数量的にはTravis自身よりもソースネクストの方が多いくらいとのことだ。TravisはCESのオランダパビリオンに出展していたが、ややブース的に目立たず、本家Travisよりソースネクストの方が賑わっていた。

やたら頑丈なスマホ「CAT」の新モデル「S41」

 CESではないが、同時期に開催されたプレス向けイベント「ShowStoppers」において、CATブランドスマホの最新モデル「CAT S41」が展示されていた。

「CAT S41」から電力供給を受ける筆者のiPhone

 「CAT S41」は、モバイルバッテリーのように利用できるのが特徴。専用の出力ケーブルを装着すると、専用アプリ上でS41本体のバッテリーがどのくらい減るまで電力供給を続けるかを設定できる。スマホとしては標準的なサイズ感ながら、内蔵バッテリーは5000mAhと大きめ。外部電力供給せずアプリも使わなければスタンバイ44日、連続通話38時間を謳っている。

4G/LTE搭載のヘッドマウントディスプレイ「MOON」

RoyoleのMoon。4Gモデルの実機は試せなかった

 「Moon」はRoyoleのヘッドマウントディスプレイだ。HDMI入力やWi-Fiストリーミングなどで映像を視聴できるが、新たに4G/LTEモデルも用意され、どこにいてもストリーミング動画を楽しめるようになっている。

 しかし移動中や出先でこれを使って映像を楽しむというのは、なかなかすごいと思う。3D動画表示に対応するが、ヘッドトラッキングなどはないので、VRは楽しめない。

3G対応スマートウォッチを使った見守りサービス

OMATEのARKEA版

 こちらもCESではなくShowStoppersでの展示だが、3G対応スマートウォッチ「OMATE」を使ったサービス「ARKEA」も展示されていた。

 フランスの企業が提供するサービスで、緊急通報やリモート位置トラッキング、ビデオ通話などの機能を腕時計型デバイスOMATEで利用できる。シニアや子どもの安全対策を想定している。欧州全域で利用可能とのこと。