本日の一品
NEO TOKYO発! ワイヤレスでAndroid Auto&CarPlayを使える「HUD-2023」
2022年11月10日 00:00
今回ご紹介するのは、車載関連機器を数多く販売している新興メーカー・NEOTOKYO(ネオトーキョー株式会社)による、HUD(ヘッドアップディスプレイ)です。手持ちのスマホのナビや音楽再生画面を、運転中の視界内にオーバーレイ表示できる……といったら、イメージが伝わるでしょうか。
透明パネルにナビ画面。視線移動も少なく
この製品「HUD-2023」は、2022年7月に発売。NEO TOKYOのオンラインストアでの販売価格は4万4800円です。本稿執筆にあたってはデモ機をお借りしています。
HUD-2023の外観で最も目立つ部分は、可倒式の湾曲パネルでしょう。一方からは透明、その裏側は反射鏡のような仕上げになっていますが、実はこれが映像プロジェクターのスクリーンにあたる部分。ここに映像が投影される仕組みです。
AndroidにはAndroid Auto、iOS(iPhone)にはCarPlayという自動車運転インターフェイスがそれぞれ存在しますが、HUD-2023はこれらの表示に対応しています。それでいてHUD-2023は、車のダッシュボード部分にペタッと粘着パッドで貼り付けられ、かつシガーライターからの給電で動作します。つまり、取り付け工事を業者に依頼することなく、大半の車でAndroid AutoとCarPlayの機能を後付けできる訳です。
HUD-2023とスマホの接続は、Wi-FiとBluetoothの2つを組み合わせで完全ワイヤレス化されています。これは前身機種からの大きな改善ポイントとのこと。ナビを使う度にUSBケーブルを接続するのは、それなりに骨が折れる作業ですから、歓迎する方は多いでしょう。なおナビ音声などはFMトランスミッターで出力できます。
なによりHUD-2023はダッシュボード上に設置する製品です。運転のために前を向いたまま、少ない視線移動で地図を確認できるのが大きな特徴となっています。
ただ、頭の位置がちょっと変わるとスクリーンの見え方が途端に変わってしまいます。透明パネルの角度調整(無段階)、取り付けパッドに内蔵された首振り機能などで適宜調整しましょう。
リモコン操作に慣れると俄然便利に
セットアップ完了後に車のエンジンをかけると、HUD-2023のスクリーン上には設定メニューが表示されるので、Android AutoとiOSのどちらを利用するかをここで選択。あとはそれぞれのシステムへ移行する選択するイメージです。ちなみにFMトランスミッターの周波数切り替えなどもこの冒頭メニューから行います。
筆者は普段からAndroid端末をよく使っているので、今回はAndroid AutoでHUD-2023との接続を試してみました。軸となるのは当然、ナビ用の「マップ」なのですが、他にも電話をかけたり、音楽を再生したりするためのアプリがメニュー形式で並んでいます。ナビだけに留まらない、総合的な運転サポートシステムといったおもむきです。
Android Autoの操作は、付属の無線リモコンで原則として全て行います。スマートフォン側でタッチパネル入力ができるのは、目的地検索時など限られたタイミングだけ。ゲーム機を片手だけで操作する感覚に近いです。積極的に音声入力を利用するのが良いでしょう。なお、リモコンはハンドルにゴムバンドで取り付けられるようになっており、右手側・左手側どちらの設置にも対応可能です。
リモコンでのカーソル操作は、いわゆるジョグダイヤルによる上下操作のみ(カーソルキーが存在しない)。またAndroid Autoの基本構造が上下2ペイン構成になっていて、メイン領域とサブメニュー領域の間を行き来するときに「▲」「▼」ボタン(ジョグダイヤルとは異なる)を使うなど独特な体系のため、最初は扱うのが難しいかもしれません。
ただ、このあたりの作法が頭に入ってくると、音声入力の組み合わせでかなり思い通りの操作ができるようになります。安全のためにしっかりと前を向いたまま、音声入力で「今日の天気は?」と聞くのもOK。リモコンの出番は相当多いので、操作は利き手で行うのが良いと思います。
難点としては、スクリーンの見える範囲が狭いため、運転手に最適な調整をしてしまうと、助手席や後部席の乗客からはHUD-2023の表示内容がほとんど見えません。表示の色味が液晶や有機ELとは違うところも、念頭に置いておくべきでしょう。
1993年公開の劇場アニメ「機動警察パトレイバー 2 the Movie」の冒頭では、乗用車のフロントガラス全体にナビ画面らしき映像を投写する表現がありました。それを見て「未来ってこうなるかもしれない」と夢想したものです。
HUD-2023は、そうした夢をちょっとだけ現実化したものと言えましょう。小型とはいえ透明なスクリーンの上にナビ画面が映り、それが現実の視界と重畳するのは、未来的でなかなか面白い体験でした。ちょっと古めの車で手軽にAndroid Auto(とCarPlay)を体験したい、運転するのは1人だけが多いといった方にオススメできそうな製品です。