本日の一品

画面が浮かび上がって見える車載用ヘッドアップディスプレイ

 筆者が新車とともにカーナビを購入したのは約8年前、ネットワーク機能も搭載していないので地図は当然アップデートされておらず、近年は高速・一般道路とも道路拡張がなされ、目的地に向かうのにカーナビ上では道なき道を走っているなどということも珍しくありません。

 カーナビの買い換えや地図情報にお金をかけるくらいだったら、スマホの地図機能で代用すれば良いやと思う反面、視認性や操作性で専用機に一歩及びませんし、運転中にスマホを触る行為を厳罰化する動きもあり、一概にスマホをカーナビ代わりにして済ますわけにもいかないのが現状です。

 といった悩ましい状況の中で、第三の選択肢があることを知りました。「CarPlay」です。これは車載モニタにiOS端末を接続して、カーナビゲーションのほか、メッセージの送受信や電話などを音声コントロール経由で利用可能になる機能です。この機能を利用するために導入したのが、今回ご紹介するヘッドアップディスプレイ「NEOTOKYO HUD-2020」です。本製品、WEB上でよくプロモーションが出ていたので見たことのある方もいらっしゃるかも知れません。

「NEOTOKYO HUD-2020」。「CarPlay」や「Android Auto」を利用できる車載ヘッドアップディスプレイです

 本製品はスマホをUSB経由で接続して、前述の「CarPlay」や「Android Auto」を後付けで利用できるというヘッドアップディスプレイです。なお筆者はiOS端末しか所持していないため「CarPlay」のみの利用体験記になりますことをあらかじめご了承ください。

電源はシガーソケットから取ります。ケーブルが多少煩わしくはあります
ハンドルに取り付け可能な専用コントローラが付属します。使い勝手は今ひとつです

 利用開始は簡単で、運転席の前面に設置したら、電源用にシガーソケットにプラグを入れ、スマホと本体を接続すれば自動的に「CarPlay」が立ち上がり、ナビゲーション画面になります。操作は付属のリモコンでも行えますが、お世辞にも操作性・追従性が良いとは言えないので、音声での操作がメインになります。

横から見た様子。左側の小さなモニタを、右側の大きく歪曲した半透明の板に反射することで「浮き上がるディスプレイ」を実現しています

 本製品の面白いところは、画面が目の前に「浮かんでいるように」見えるところ。これは、本来の液晶画面を前面の半透明の板に反射させるという仕組みです。よい陽気の昼間でも視認性は良く、夜間だとむしろ少し眩しく感じるくらい。解像度的にも充分で、文字がはっきり読み取れます。

 音声はスマホから取れるほか、FMトランスミッターを内蔵しているため、カーラジオ経由で出力できます。スマホに入れた音楽のほか、ストリーミングサービスの曲を出力しても良いですし、ラジオアプリ「Radiko」の音声をFMラジオ経由で出力するという倒錯した行為も行えます、FMトランスミッタを使うとカーラジオの周波数が固定されてしまうので、ラジオを聞きたい場合はこうするほか無かったりします。

CarPlay上で利用可能なアプリ。ためしにSiriに「LINE起動」と言ったところ「現在利用できません」と返されてしまいました

 カーナビとしての機能は、本製品というより「CarPlay」の感想になってしまうのですが、必要十分に感じました。これまでもスマホをカーナビ代わりにしたことはありましたが、CarPlayはより「運転中」を意識した画面が自動的に表示され、専用カーナビに遜色のない動きをします。Siriによる音声操作にもまったく問題はなく、これまでSiriをほとんど使ってこなかった筆者は「こんな便利なものだったとは……」と舌を巻きました。

ナビ機能は必要十分。運転を開始すると自動的に走行中画面になります。昼間でも視認性に問題はありません

 とはいえ難点がないわけではありません。一番困ったのは「設置位置」です。製品の性質上、運転席から見えるところに設置しますが、筆者の愛車「Fit Hybrid(2012年型)」の場合、ハンドルの目の前が丸く山なりになっているため、設置用の粘着シートが剥がれてしまい、「載っているだけ」という状態になってしまいました。ただ、本体が軽いので今のところ支障はありません。

夜は当然のように視認性バッチリになりますが、明るすぎて筆者はかえって気が散ってしまいました

 また「目の前で画面が浮いているように見える」のは、傍目には格好良くはあるものの、筆者にとっては少し気が散ってしまう原因になりました。昼間は存在感が薄いのでさほど気になりませんが、夜は画面がギラついて見えるため、どうしても集中力の一部を持って行かれるように思います。同様に気になる方は輝度を下げるなどして対応したほうが良いかもしれません。

 などといった多少の難点はあるものの、手持ちのスマホをカーナビ化するためのツールとしては大変安価かつお手軽です。カーナビを買い換えようかなとお思いの方は、選択肢の一つに数えてみてはいかがでしょうか。

製品名購入場所価格
NEOTOKYO HUD-2020neotokyo.store3万9800円(税込)