本日の一品

ついに来たApple SiliconのMac miniを使ってみた

 6月のWWDCで「Apple Silicon」に移行すると発表されていたMacが2020年11月10日(現地時間)に発表、発売された。筆者は新製品に飛びつくタイプではなく型落ちの中古の方を選ぶタイプなので今回も様子見のつもりだった。

 しかし、レビューなどを見るに従来のソフトもかなり問題なく動くということ、そして処理速度も遜色ないか速いくらいということ、発表されたのがエントリーモデル中心で今後Macを買う人はM1搭載機を買う可能性が高いことを考えて購入することに決めた。最後の理由は、仕事関連でユーザーサポートする必要があるからだ。

 購入するとなれば早く手元に来ることを優先したかったのでメモリー8GBでSSD512GBのMac miniにした。MacBook Air/Proは入荷まで時間がかかりそうだったのと、筆者は家でMac miniを使っているので比較しやすいだろうと考えたためだ。

箱の中身はこれだけと相変わらずのシンプルさだ。

 現在使っているMac mini 2012と比較すると色も含めて外見の違いはほどんどなかった。違うのは背面の端子と裏蓋を開けるためのくぼみがなくなっていることくらいだろうか。背面にUSB Type-CだけでなくType-Aもあるため2012からの移行も問題なかった。

 OSの設定をした後に筆者か使っているソフトをいろいろとインストールした。ほかのレビューにもあるように今まで使っていたソフトは基本的にそのまま動いている。ターミナルで使うソフトはちょっとややこしいが、ターミナル自体を「Rosetta」で開けば使う事ができるものも多い。仮想マシンが動作する環境関連のものは動かないが、「Docker」は使っていないしWindows環境が必要な場合はWindowsマシンを起動すればいいので筆者としては困っていない。

背面は黒い保護テープが貼られていた。

 具体的にはVisual Studio Code、ATOK Passport、Firefox、Vivaldi、Chrome、Path Finder、Alfred、ScanSnap Home、iTerm2、Affinity Photo、Microsoft Excelなどが動作している。また回路図CADソフトのAutodesk Eagleも問題なく使えている。まだざっと動かしただけだがAutodesk Fusion360とKiCad、OpenSCADも大きな問題はなさそうだ。

 この記事を執筆している12月1日時点で動作しておらず早く対応してくれるといいなと思っているのはキヤノンのEOS Webcam Utilityだ。このソフトはIntel MacでもmacOS 11.0 Big Surには対応していないのでまだ時間がかかりそうな気はしている。

 SSDが速いこともあると思うが、動作はキビキビしていて気持ちがいい。ただ今はOSセットアップ直後なので今後どうなるのかは気にしておく必要があると思う。ファンはどうやら回っているようだが非常に静かで、動画のエンコードなどで負荷をかけても背面からちょっと暖かいなくらいの風がゆるゆると出てくる程度なので、ノートパソコンでも相当に電池は長持ちするだろうなと感じた。ファンコントロールソフトで風量を最大にすると「ゴー」と音がしてちゃんと排気するので、ファンが異常に静かということではなく音が感じられないくらいの回転数に収まっているということだ。

Mac mini 2012との比較(上段左がM1)。上から見た限りでは違いはわからない(ので写真の左右を間違えてしまった)。裏面は違いがある。
背面の比較(上がM1)。だいぶすっきりした。

 仕事しながらアクティビティモニターでメモリーの使用量を見ていると6.5GBくらいで頭打ちになってそこから先はスワップしているようだ。そこからさらにWebブラウザーのタブを開いていくとだんだん使用メモリーが増えていき、タブをロードするまで時間がかかるようになる。しかし一度ロードが終わってしまえば、スクロールなどがもっさりすることはないのでよくできているなあと感じた。

 スワップしている遅さを強く感じる事があまりないので8GBのメモリーでも困ることはないと思うが、今後のことを考えると業務で使うとか重いソフトを使うなら16GB版を購入した方がよさそうだ。

常用しているコンパニオンソフトだけを起動した状態。

 Mac mini 2018からUSB Type-CのAlternate modeに対応したので、映像信号と電源を一本のケーブルで供給できるモバイルモニタを調達してMac miniをコワーキングスペースで使ってみた。デスクトップパソコン―ノートパソコン間で同期しなくてもいいのは非常に安心感があったのは予想外だった。大半の資料はクラウド上にあるとはいえ、データやソフトウェアがそのまま使えるのは気が楽だ。Mac mini単体でも1.2kgあるし毎回シャットダウンしないといけないのでノートパソコンと同じ運用ができるわけではないが、二拠点で作業する人なら考えていいと思う。

コワーキングスペースに設置したところ。画面が小さい以外は特に変わりなく使えて快適だった。Bluetoothマウスは自宅で有線やUSBドングルのマウスが使える状態で設定しておかないと詰む、ということがわかった。

 あえて今までと同じ形状で出てきた最初のApple Silicon Macは非常に高い完成度で十分使い物になりそうだ。買い換えタイミングにある人は手を出しても問題ないだろう。

製品名発売元実売価格
Mac mini(M1 2020) 8GB/512GBApple10万2080円
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