スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

大容量のクラウド「BeeStation」の使い勝手が良すぎる!!! Webブラウザでどこからでも簡単にアクセスできる!

 10年前に使っていたNAS(ナス/Network Attached Storage/LAN経由でPCに接続するストレージ)が出てきて、面倒なことを思い出した。扱うファイル(データ)をどこにまとめて置くか、である。

 現在はややバラバラの場所にファイルを置いている。多用しないファイルはSSDにアーカイブしていて、そのSSDはデスクトップPCにつながっている。よく使うファイルやデータは、AppleのiCloudに置いていて、PCからもスマートデバイスからもメモアプリやファイルアプリで扱えるようにしている。原稿や写真はデスクトップPC内に置いている。これらデータは定期的に外部ディスクにバックアップしている。

仕事机のデスク下に設置したデスクトップPCのMac Studio。机とMacの間に見えるのがMacにつながっているSSD。おもなファイルはだいたいココにある。
ファイルはすべて外付けSSDにバックアップしている。

 だが、この状態だとなーんかファイルが扱いにくい。「あっあのファイルは自宅のデスクトップPCの中だった」的に、出先で突然必要になったデータにアクセスできないことが、たま〜にある。

やや余談だが、俺の場合は撮った写真はすべて「iCloud写真」に読み込んでいる。こうするとiPhoneでもiPadでもMacでも同じ写真を扱えるからだ。なお、写真もすべてSSDにバックアップしている。また、閲覧頻度の低い写真は「iCloud写真」から削除している。

 ↑写真は基本的に「iCloud写真」に読み込むので「あの写真にアクセスできない」ってコトがほとんどない。また「iCloud写真」については「写真が消えた〜」的なトラブルは経験していない。やっぱりクラウド便利かも〜。

 なので「そろそろクラウドにファイル全部置いちゃおうかな〜」と考えている。だが、まだ、なーんかクラウドが信用できない。実際、検索すると「クラウドに置いていたデータが消えた」的なトラブルが散見される。

 じゃあもうファイルは全部自宅デスクトップPCに置いて、リモートアクセスでファイル扱えばよくない? でもそういう環境構築メンド臭そう〜。

 じゃあ自宅にモバイルアクセス可能なNASを設置? そのNASのデータを定期的にっていうか自動的にバックアップすればよくない? あーでも環境構築やっぱり面倒な感じ。現在のファイルバラバラ状態でもいっかな。困るのたま〜にだけだし。とか逡巡していて、なかなか先に進まない俺。もうそういうのが何年も続いているのであった。

 ……でもやっぱりNASかな? とか思って最近のNASを調べていたら、こんな記事に行き当たった。

 あっ! ニャ! これは! 村上俊一氏の連載「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!」。この記事はよく目にするのだ。冒頭に猫が出てくるから。「マフ」ちゃんという名の長毛三毛猫。ニャわいい! ともあれ、その記事中にSynology(シノロジー)の「BeeStation(ビーステーション)」というNASが紹介されていた。

 と思ったら、上記リンク(連載第185回目)から現在まで20回以上もこのBeeStationの機能や使い方を説明している。非常にわかりやすい解説になっていて、「この連載記事を読めばBeeStation買っても使い方に困るコトがなさそう!」と思って即座にBeeStationを購入した。

BeeStationを3万8,500円で買い、翌日届いて15分でセットアップ完了

 Synologyの「BeeStation」は4TBのHDDを搭載する「パーソナルクラウド」だ。いやNASなんスけどね。でもLANの外からでもモバイル回線経由でアクセスできて、今どきのクラウドっぽく扱えるから「パーソナルクラウド」としているらしい。

Synologyの「BeeStation」。ネット通販で3万8,500円で購入した。サイズは148×62.6×196.3mmで、大きめのハードディスクエンクロージャーって感じ。

 ネット通販にてBeeStationを3万8,500円で買ったら翌日届いたまではよかったが、俺はあまり明るい気分ではなかった。というのはッ!!! 俺の場合ッ!!! こういうネットワーク機器の使用において「悪い意味でハマりがち」だからだッ!!!

 あーなんか気が重いニャ〜ネットワーク機器。でもまあ前述の村上俊一氏の連載に情報多々だし、とりあえずセットアップしよっかな。えーと、電源つないで、このNASもスイッチングハブにつないでいい、んだよね?

 そしてセットアップはSynologyのWebサイト(BeeStationセットアップポータル)から行う。で、指示に従っていくと……。

BeeStationのセットアップは、SynologyのBeeStationセットアップポータルから行う。スマートフォンでセットアップできる。途中、Synologyアカウントを作ったりしていくが、間違えるような箇所はなく非常にスムーズにセットアップが完了する。ちなみにセットアップの詳細は村上俊一氏の連載「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!」の第186回で解説されている。

 えっ? なにそれ? ウソでしょ? もう完了!? ってほど簡単に設定が済んでBeeStationが使える状態になった。

一瞬で……といっても過言でないくらい簡単にセットアップできたBeeStation。仕事机の横の狭い棚に置いているが、たまーにHDDの「ゴリゴリ」という低く小さいアクセス音が聞こえてくるくらいで、エアコンが動作していればそれも聞こえにくい。静音性は十分だと感じられる。

 15分でセットアップできた。ウソ。ホントは5分くらい。途中でトイレ行ったりコーヒー取ってきたりしたから、まあ15分くらいって書いとこう、的な? この簡単さにはあっけにとられた。

BeeStationクラウドにはWebブラウザやアプリでアクセス

 サクッと済んだBeeStationのセットアップ。じゃあテストしていきましょう〜と使い始めたが、なんかイロイロお手軽なのであった。

 BeeStationにアクセスする方法はいくつかあるが、Webブラウザを使えばどの端末からでも容易にアクセスできる。具体的には、BeeStationポータルからアクセスできる。

BeeStationポータルにログインするまえの初期表示。

 BeeStationポータルにログインすると、Synologyアカウントに紐付けられているBeeStationにアクセスきるようになる。WebブラウザでBeeStation上のファイルを開いたり、ダウンロードしたりアップロードしたりと、一般的なクラウドサービスと似た使い心地で「自分のクラウド」を利用できるというわけだ。

BeeStationポータルにログインすると自分のBeeStationにアクセスできる。BeeStation内は、ファイルを置けるBeeFilesという領域と、スマートフォンの写真などをバックアップ・閲覧できるBeePhotosという領域に分けられている。
あらかじめBeeStationにファイルをアップロードしておいたが、それをWebブラウザで見ている様子。
アップロードしておいたファイルのうち、写真をサムネイル表示した様子。もちろん1枚の拡大表示なども行える。ファイルの移動や検索などもできて、一般的なクラウドサービスと同様の使い勝手だ。
こちらはテキストファイルを表示した様子。
これはBeePhotos領域にアクセスした様子。スマートフォンからアップロードした写真がサムネイル表示される。
BeeStationポータルでは、iPhoneのLive Photo(静止画+H.264圧縮動画というApple独自の特殊な写真)の動画表示も可能。

 PCからはWebブラウザでBeeStationポータルにアクセスすることになると思うが、スマートフォンからなら専用アプリを使うのがより便利だと思う。以下はiOS版の2つのアプリの表示例だ。

スマートフォン用には、BeeFilesとBeePhotosという2本のアプリが用意されている。それぞれ、BeeFiles領域とBeePhotos領域にアクセスするためのアプリだ。Webブラウザでアクセスするより「とっつきやすい」と思う。
こんなふうに、Webブラウザでアクセスしたときとだいたい同じことができる。

コンピュータから直接 BeeStation 上のファイルにアクセスするには?

 LAN上にあるBeeStationに、パソコンから直接アクセスする場合は「デスクトップ用 BeeStation」を使えばOK。Windowsならファイルエクスプローラーと同様の感覚で、macOSならFinderと同様の感覚BeeStation上のファイルを扱えるようになる。

macOS版「デスクトップ用 BeeStation」を使用している様子。メニューバーに常駐し、そこから使っていける。メニューからWebブラウザ版BeeStationポータルを呼び出すこともできる。
BeeStation上のファイルをFinderとほぼ同じ感覚で扱えるようになる。
ファイルやフォルダのリンクを取得し、誰かとそれらを共有するのも容易だ。

 俺の場合、一般のクラウドには一時的にファイルを置くことが多い。自分で閲覧するためのファイルもそうだが、「アーカイブの容量が大きいからメールなどでは送れない」という場合にクラウド経由でやり取りしている。フォルダやファイルのリンク(URL)を取得してそれを共有するという方法ですな。

 で、「デスクトップ用 BeeStation」を使うと、ファイルやフォルダの共有が簡単。2〜3ステップで共有リンクを取得できる。またファイルエクスプローラーやFinderでその数ステップの操作を行うだけという感覚で使えるので、「一般的なクラウドサービス使うよりBeeStationのほうが簡単かも」という印象になる。

 ちなみにスマートフォン用アプリでも共有リンクの取得は可能だ。ただスマートフォンの場合はアプリを切り換えつつリンクを送るといった作業になるので、若干手間がかかる印象ではある。まあすぐ慣れちゃいますが。

いろいろデキ過ぎて迷っちゃう? 自前クラウドってだけでOKかもしれない

 まだまだBeeStationを使い始めたばかりの俺。というかまだテスト中って感じだ。「どういうスタイルで使おうかな?」と試している最中である。

 そうしていて「こういうコトできるのかな?」と調べると、だいたいできちゃう。たとえばパソコン上の特定のフォルダをBeeStationと同期させるとか、BeeStationを丸ごと外部ストレージに自動バックアップするとか、イロイロと。

 BeeStationでやりたいことをネットで検索すればSynologyのBeeStationナレッジセンターのアドバイスをすぐ見つけられる。また前述の村上俊一氏連載「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!」を一望していると「あーそれそれ、BeeStationでソレやりたいでーす」というBeeStation関連記事が見つかるし。

 てゅーか改めて感じるが、BeeStationを3万8,500円で買ったということ。この原稿を書いている時点での最安値は3万6,890円となっているが、そのくらいの投資で4TBくらいのクラウドが手に入ってしまう。4TBってスゴくないですか?

 まあNASなので、ローカルのストレージっていうか端末にダイレクトにつなげられるDAS(Direct Attached Storage)とかよりも読み書きが遅いというのはある。でも頻繁に巨大ファイルを読み書きするわけではないし。多数のファイルをズラリと保管していつでもどこでもアクセスできるようにするためだし。と考えると、4万円でお釣りもらって4TB弱のクラウドを持てちゃうってイイ。

 でもまだBeeStationの機能を学習中。いろいろデキ過ぎて迷っちゃう〜って感じではあるが、まあでも各機能をなるべく多く使えばいいってモンでもない。なので必要な機能だけ使って、どんどん活用し始めようかなと思い始めている。せっかく大容量クラウドが手に入ったんだし、鋭意活用してゆきたいッ!!!

 てな感じのBeeStation。安い……かどうかは人により感じ方が違うと思うが、多くの人にとって便利であり、また多くの人にとってカンタンに扱えるNASだと思う。なので、興味のある方はぜひチェックしてみてほしい。

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スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。