スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

書画カメラで書類スキャン・Web会議・音声入力を全部やるゼ!!!

IPEVOのUSB書画カメラ「V4K PRO」を買ったョ♪

IPEVO「V4K PRO」

 2021年7月12日に発売となったIPEVO(アイピーボ)の「V4K PRO」。PCとUSB接続できるビデオカメラ(UVCカメラ)で、机上に置いた書類などを撮影するのに向いた機構を備えた、いわゆる“書画カメラ”だ。価格は1万9800円。

 で、コレを見て最初に思ったのが「何年か前に書画カメラ買ったけど、あんまり使わなかった……けど、今だとけっこう使うかも!?」ということ。現在の俺に役立つかも〜!!! と。

 以前に興味本位で買った書画カメラは、あまり高解像度でもなく、「こう使おう」という明確な用途もなかった。しかし現在は、Webカメラで紙書類などをメモ撮影したりビデオ会議したりする機会が増えた。それと、Macの音声入力をするようにもなった。

左はWeb会議でよく使うロジクール「STREAMCAM」と、それを目の高さに上げるスタンドのサンワサプライ「Webカメラ用スタンド 200-DGCAM023」。中央はWeb会議や音声入力に使っているサンワサプライ「USBマイク MM-MCUSB25」。けっこう使うので机上に出しっぱなしにしていることが多い

 Webカメラ+スタンドとUSBマイクを机上に出していることが多いが、使わない時はちょっと邪魔。まあでも出しっぱなしだから、思い立ったら即使えて便利。でも机上を掃除しにくいし、机上がごちゃつくし……みたいなモヤモヤを、もしかしたらIPEVO「V4K PRO」が解消してくれたりしない? と思ったのであった。

 で、結果どうだったのかと言えば、予想よりずっとスッキリと解消してくれたのであった♪ てなわけで以降、V4K PROの機能や使用感などをレビューしてゆきたいッ!!!

多関節アームと回転ヘッドが実用的な4K解像度のUSB書画カメラ

 まずはV4K PROの概要から。その名が示すように4K解像度(最大3264×2448ピクセル)のUSB書画カメラ(UVC規格)だ。3関節・カメラ部回転で、机上の書類などを撮影するのに好適な構造となっている。カメラはAF対応で、AFボタンや露出補正ボタンを使えば任意のAF動作・露出補正が可能。カメラ部には被写体を照らす白色LEDが内蔵されている。マイクも内蔵されており、独自の音声向上テクノロジー「AIVC ノイズキャンセリング技術」が搭載されている。ほか細かなスペックはメーカー製品ページでご確認いただければと思う。

3つの関節を持つアームの先にカメラ部。カメラ部も回転する。台座は重めで底部に滑り止めがあり、カメラを安定的に支える。アーム部上部と中間関節部にはケーブルをホールドする溝がある
カメラ部は180°以上回転し、カメラの反対側には各種操作ボタンがある。カメラ横には白色LEDライトやマイクが内蔵されている
3つの関節はその硬さをコインなどで調節できる
基本的には、机上に置いた書類などをPCに取り込むための書画カメラだ
独特の構造ではあるがWebカメラなので、手元などを撮影して動画配信することもできる
「IPEVO Visualizer」アプリを使えば、撮影〜カメラの機能設定〜エフェクトの付加などさまざまな機能をスムーズに利用できる

 といった感じのV4K PRO。触れてみての印象は、全体的に樹脂素材で作られているが落ち着いた高級感がありつつ、堅牢。特に関節部の動きがスムーズでありつつやや硬めに設定されていて、カメラの安定感が良い。台座も重めで滑りにくく、このタイプの書画カメラとしてはかなり使いやすい部類なのではないだろうか。

ビデオ会議用のWebカメラとして便利♪

 V4K PROを使い始めてまず試したのが、ビデオ会議用のウェブカメラとしての使用。アームがあるから、カメラを目の高さにセットしやすいに違いない!!! と。

 結果、抜群っス。カメラの高さをほぼ自由自在にセットでき、また、カメラが安定する。

 さらに構造上、カメラの傾きの調節も容易。さらにさらに、使い終えたら意外なほどコンパクトに“机上に出しっぱなしにしておける”のであった。どんな感じか写真でどうぞ〜♪

仕事場のディスプレイ前にV4K PROを置いた様子。ディスプレイは43インチ4KディスプレイDELL「P4317Q」
ビデオ会議に使うWebカメラとして、カメラ位置を目の高さに合わせるべく、V4K PROのアームをいっぱいに伸ばしてみた。ちょうど目の高さに♪ 思ったよりも画面を隠さないので、わりとスムーズにビデオ会議アプリを利用できた。画質も良好
使わない時はこんなふうに横によけておいてもいいが……
V4K PROは、こんな感じで平べったくコンパクト化して置いておける
ので、机の端などに押しやれば、机上に出しっぱなしにしておいてもそーんなに邪魔ではなく、圧迫感や存在感もない。なかなかイイ!!!

 ビデオ会議の時、Webカメラを目の高さに持ってくると得られる効果については、コチラの記事で書いている。ぜひご参照あれ。

 いや〜しかしV4K PRO、いきなり「ビデオ会議用Webカメラとして秀逸」であり、その秀逸さが予想を超えていてビックリ。目の高さに合わせるの超簡単でしょ〜、カメラの傾きを修正するのも容易でしょ〜、ツイデにカメラ横のLEDライトがほどよく顔を照らしてくれつつ目にキャッチライトを入れてくれる。

 また、「IPEVO Visualizer」アプリを使えば、フォーカスの自動/手動調節や露出補正、ホワイトバランス調整、LEDライトのオンオフあたりもササッと設定できて便利。IPEVO Visualizerアプリの全ての機能の処理結果が映像として送り出されるわけではないが、WebカメラとしてのV4K PROをアプリから手軽にコントロールできて快適だ。

IPEVO Visualizerアプリを使えば、映像の明るさ調節などのコントロールを手早く行える。ここで調節した露出やホワイトバランスなどは、そのままビデオ会議アプリ上の映像にも適用される。ただし、IPEVO Visualizerアプリによる一部エフェクト類はビデオ会議アプリ上では適用されない

マイクのノイズキャンセリングが凄い!!! 音声認識用マイクとしても「○」

 V4K PROの内蔵マイクには「intelliGo チップ」が搭載されているそうで、これによりAIによるノイズリダクション機能を使えるそうだ。これを「AIVC ノイズキャンセリング技術」としていて、製品紹介ページの中ほどにはその効果を試せるサウンドが用意されている。

 で、ソレを試してみると、凄い効果。オフにすると話者の声に掃除機の音がカブっているのだが、オンにするとその掃除機の音が消えてしまう。その凄すぎる効果に「え〜コレってチートじゃないの〜?」と思ってしまうほど。

V4K PRO内蔵マイクのノイズリダクション機能を使うには、カメラ部の中央にある「AI」スイッチを右側にスライドさせるだけでいい。オフにする場合は左側にスライド

 で、実際に試してみたところ、近くで掃除機がけをしている状態でノイズリダクションをオンにすると、確かに掃除機のノイズがほとんど消え、話し声だけ聞こえる(相手に伝わる)。あるいは、BGMを流しつつ試すと、やはりBGMがほとんど消える。ほかにも、キーボードを叩く音、マウスのクリック音、机上をコンコンと叩く音などなど、いろ〜んなノイズがけっこう強烈に消えてしまう!!! 話し声だけが残る!!! すっご〜い♪

 ただし、ノイズの大きさに応じて、話し声の音質が変化してしまう。ノイズの音が大きいほど、話し声が劣化する度合いも大きい。

 たとえばある程度音量を抑えてBGMをかけている場合、話し声の声質はそれほど変わらなく感じられる。「話し声の低音が少し減って高音成分が増えたかな?」といった程度だ。こういうレベルだと「話し声はほぼ同じでBGMだけザックリ消えて凄い!!!」と喜べる。

 一方、ノイズの大きさが増していくと、話し声の声質もどんどん変わる。ノイズが大きいほど、話し声の音質から中低音が抜けて機械的な声になっていくという感じ。また、一瞬だけ大きくてほかは小さめの連続したノイズだと、ノイズが一瞬だけ大きいタイミングで声質が大きく変わる。イントネーションが変わるような印象を受けるので「えっ、今何て言った?」と思うことも。

 でもまあ、どんな大きさのノイズでもだいたい強力にリダクトしてくれるのは凄い。声質が変わる違和感も多かれ少なかれあるわけだが、「だいたい何を話しているのかはわかる」のであり「ほとんどのケースで話し声にカブっていたノイズが消える」ってのは大したモンと言えよう。

 それと、V4K PROのマイクをノイズリダクション機能オンの状態にし、音声入力でも使っている。大きめの声で話しても小さな声で話しても、高い認識率で声が声がテキスト化される。認識率の高さはmacOSの音声認識システムの秀逸さゆえのことかもしれないが、Webカメラを音声認識用にも使っちゃうのはアリですな。別途マイクを出しっぱなしにする必要もなくなるし。

V4K PRO(のマイク)をMacの音声でのテキスト入力用としても使っている

 なお、これは当然のことなのかもしれないが、V4K PROをPC(Mac)にUSB接続しっぱなしにした状態で、V4K PROから映像を出力させている状態(アプリでV4K PROを映像ソースと指定して映像出力させている状態)だと、V4K PROはある程度の熱をもつ。逆に、V4K PROから映像を出力させない状態(アプリからV4K PROを使っていない状態)だと、USB接続しっぱなしでもV4K PROはほとんど熱をもたないようだ。

V4K PROがカメラ映像を出力している時、赤矢印部分の白色インジケーターが点灯する。これが消えていれば映像が出力されていない状態。マイクのみ使った場合、このインジケーターは点灯しない

 なーんでそんなコト気にしてるの? それは、今後V4K PROを音声入力用マイクとして(も)使っていくうえで、「ずーっとV4K PROとPCをつないだままにしてて大丈夫かな?」と思ったから。試してみたら、大丈夫そう。また、MacとV4K PROをUSB接続した状態でMacをスリープさせ、V4K PROの各ボタンを操作してみたが、Macがスリープから復帰することはなかった。

 ん。これでV4K PROをMacをつなぎっぱなしにしての運用、問題なさそうである。余談だが、V4K PROをMacをつなぎっぱなしにし、Macをスリープさせた状態でも、V4K PROのLEDライトを点灯できる(点灯してもMacがスリープから復帰することはなかった)。なので、V4K PROを常夜灯として使うこともできますな。……って、ハイ、細かい話でした〜。

書画カメラとしても便利、さまざまな動画も撮影可能

 最後に、一応、V4K PROの書画カメラとしての性能を。結果から言えば、AFがちゃんと合焦するので、800万画素CMOSセンサーの解像度もまずまずしっかり出ているように思う。なお、撮影解像度(ピクセル数)は、3264×2448、3264×1836、2592×1944、2048×1536、1920×1080、1600×1200、1280×720、1024×768、800×600、640×480から選べる。以下に、伝票を撮った(スキャンした)画像をサンプルとして挙げてみたい。

IPEVO Visualizerアプリを使って伝票を撮影(スキャン)した。解像度はメニューから選べる
3264×2448ピクセル設定で撮影したもの。左から、リサイズ処理のみ、ドットバイドット画像、リサイズして少しレタッチした画像。クリアですな
1920×1080ピクセル設定で撮影したもの。左から、リサイズ処理のみ、ドットバイドット画像、リサイズして少しレタッチした画像。このくらいの伝票ならフルHD解像度でも十分イケる
800×600ピクセル設定で撮影したもの。左が原画像、右が原画像を少しレタッチした画像。どちらもドットバイドット画像だ

 光源の状態や光の当て方により鮮明さにはけっこう差が出てくるので、あくまでもご参考までに。ピクセル設定と生成される画像サイズは、IPEVO Visualizerアプリの表示サイズで少し変わってくるようだ。さておき率直なところ、書画カメラとして十分高画質だと感じられた。

 てな感じで、なかなか多角的に高性能を発揮してくれたV4K PRO。専用アプリも扱いやすく、カメラ画質も良好。さまざまな用途に対してスマートに応えてくれる良製品だと思うので、興味のある方はジックリとチェックしてみてほしい。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。