スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

FILCOの60%キーボード「Majestouch MINILA-R Convertible」がとてもイイ!!!

うっかり死蔵、でも使ってみたら「よくできてるぅ〜!!!」と♪

 2020年8月26日に発売されたFILCO「Majestouch MINILA-R Convertible」(以下、MINILA-R)。フルサイズキーボードからテンキー部やカーソルキー部を省いた、いわゆる“60%キーボード”だ。キー配列が良さそうで外見的にも好みだったので、予約注文して購入した。

FILCO「Majestouch MINILA-R Convertible」はテンキー部やカーソルキー部、さらにファンクションキー部を省いたコンパクトキーボード。キースイッチにCHERRY MXスイッチを採用たメカニカルキーボードで、BluetoothおよびUSBでPCなどに接続可能。配列(JP配列/US配列)・キー種類・筐体カラー・キーカラーの組み合わせで78種類を超えるバリエーションから選べる。俺が購入したのは「Majestouch MINILA-R Convertible 赤軸・英語・Sky Gray配色・ASAGI(KOBO-ASG08-MRL-ESG【2900】)」で、ダイヤテックオンライン価格1万7380円

 そして発売日に入手した、の、だ、がッ!!! その頃は超絶多忙であり猛暑であり、時間もなく気力も体力もなく連日ヘトヘト化していたら、あら秋に。「そう言えばアレ買ったんだよな〜カワイイ色の60%キーボードをさぁ〜」とMINILA-Rを使おうと思ったら……なななナイ!!! あれぇ〜? どこ行っちゃった?

 そして部屋中、いや家中を捜索した、の、だ、がッ!!! 再び多忙化しつつ残暑もありヘロヘロ化してしたので「アレ捜すのまた今度でいいや」と。

 そして先日、もはやMINILA-Rの存在すら忘れて仕事場を片付けていたら、アーッ!!! こんなトコからMINILA-Rが出てきたーッ!!! マジすか、ココって俺的イマイチ製品置き場すなわち“ガジェット墓場”っすよ。まだ生まれる前(使用前)のMINILA-Rが置かれる場所じゃナーイ!!! 誰だココにMINILA-Rちゃんを置いたバカは……って俺しかいない? すまんす。

 というわけで、死蔵していたMINILA-Rをここ半月ほど使ってみたが、おぉ〜コレ、いいじゃ〜ん♪ カワイイし、実はカスタマイズ性が非常に高いし。案外使いやすい。

2021年になってガジェット墓場から救出された2020年生誕のMINILA-R。写真はキー位置などをかなりカスタマイズしてmacOS仕様にした状態だが、こういうコトが簡単にデキるのもMINILA-Rの凄いところである

 MINILA-R、もしかしたら、俺がこれまで触れてきたこのサイズのキーボードとしては最もスンナリ使えているかも。機能性的にもグレイト。ディップスイッチによるキーアサインの変更もよくできている。省サイズ化に対する使用感的トレードオフがかなり抑えられた秀逸なキーボードと感じられた。ので、以降、発売からけっこう経ってしまったが、改めてMINILA-Rをレビューしてゆきたいッ!!!

MINILA-Rはどんなキーボード?

 MINILA-Rはキー数を必要最小限に減らしたコンパクトキーボード。幅広い選択肢が魅力のFILCOブランドらしいトコロは、そのバリエーションの豊かさだ。

 前述のとおり、配列(JP配列/US配列)・キー種類・筐体カラー・キーカラーの組み合わせで78種類を超えるバリエーションから選べる。

MINILA-Rのキー配列はJP配列(日本語配列)とUS配列(英語配列)の2種が用意されている。
打鍵感を左右するパーツであるキースイッチには「CHERRY MXスイッチ」を採用。MX茶軸、MX青軸、MX赤軸、MX SILENT静音軸のほか、MX黒軸も選べる。それぞれのスイッチの打鍵感の違いについてはコチラを。キースイッチやCHERRY MXスイッチについてより細かく知りたい方は本連載過去レビューを。
キーボードを覆うガワのカラーバリエーそhンは4種類。このほか、特殊塗装を施すなどした「キーボード工房モデル」からも選べる。
キーのカラーも選べる。

 バリエーション各機種へのリンクは、このページ(https://www.diatec.co.jp/shop/MINILA-R/)の下の方にある。色違いはどれもなかなかイイ感じのカラーで、選ぶにおいて悩ましい。キー種類も同様。そう言えば買う時、かな〜り迷ったのであった。まあ、選ぶこと自体も楽しむ感じですな。

 MINILA-Rに共通する仕様としては、まずPCなどとの接続がBluetoothとUSBの両対応であること。Bluetooth接続では4台の端末とペアリングでき、キーボード右上のスイッチで接続先を切り替えられる。またBluetooth接続で使用する場合は本体内に単3形電池×2本を入れる必要があるが、USB給電すれば電池ナシでも使用できる。
 MINILA-RにはminiBのUSBポートがあり、これを使ってPCなどとUSB接続する。またType-AのUSBポートもあり、これはMINILA-RとPCなどをUSB接続した時にUSBハブとして機能する。USBメモリーや各種USBドングルなどを、MINILA-R経由でPCなどと接続できるというわけですな。

MINILA-Rの右上にはBluetooth接続用の切り替えスイッチがある。押すと一定時間青色に点灯する。「U」とあるボタンは、MINILA-Rと端末をUSB接続する時に押す。端末との接続には片端がminiBのUSBケーブルを使う。Type-AのUSBポートは、MINILA-RをUSB接続で使った場合にUSBハブとして利用できる

 えっ「miniB」!!! とか一瞬思ったり。いやminiB久しぶりに見たなあって感じだが、こういうキーボードのUSB接続インターフェースとしてはminiBけっこうイイっスね。小ささがありつつ、microやCほど華奢な感じでもないし。

 また、Bluetooth接続時の電源が、電池でもUSB給電でもOKというのもナイス。キーボードって長持ちするハードウェアなので、交換不能な内蔵バッテリー式では、いずれ困る。不意の電池切れも困る。そういった困りごとがなさそーなMINILA-R、こなれた仕様だと思う。

 なお、MINILA-R対応OSはWindows XP SP2以降/Vista/7/8/8.1/10となっている。また「Mac専用モード(簡易Macモード)」もあり、このモードにするとmacOSでも使えるが「Macモードは全てのmacOSでの動作を保証するものではありません」としている。

 てゅーか俺の場合はmacOSでMINILA-Rを使用中(詳細は後述)だが、特にトラブルや問題のようなことは起きていない。また、iPhoneとも接続して使っているが、基本的な文字入力系の操作なら大きな問題なく行える。ただ、iOS専用キーボードのように「iPhoneなどを便利に使える系の機能性」はほとんどない。

キー配列や打鍵感は?

 続いてキー配列や打鍵感について。MINILA-Rには、JP配列(日本語配列)版とUS配列(英語配列)版があり、それぞれ以下のようなキー配列になっている。

JP配列(日本語配列)版のキー配列
US配列(英語配列)版のキー配列

 キーの並びは、フラットな並び。キーの並びが奥から手前にかけて階段状に下がっているステップタイプでも、各段のキーが指へ向いているスカルプチャータイプでもない、平らな並びになっている。

 キートップは中央が凹んでいるスフェリカル形状。キートップの左右が上っているU字湾曲のスカルプチャータイプではなく、中央がすり鉢状に凹んだより立体的な形状だ。

キーはフラットに並んでいる
キートップはすり鉢状のスフェリカル形状

 続いて打鍵感。俺の場合はキースイッチが赤軸のものを選んだ。型番は「KOBO-ASG08-MRL-ESG【2900】」。

MINILA-Rの型番「KOBO-ASG08-MRL-ESG【2900】」のキースイッチはCHERRY MX赤軸スイッチ。クリック感がなく、メカニカルスイッチとしては静音の部類だ

 押下感はフツーの赤軸って感じであり、スイッチの音自体は静か。なのだが、押下した時に底づきする感触が強く、またその底づきの音も小さくない。「コツコツ」「ゴツゴツ」という音がすると同時に、指先に僅かながら衝撃もある。

 これたぶん長時間使い続けると指や手首が疲れるやつ〜!!! と思ったが、そこまでは疲れない。でも少し疲れる感じがしなくもない。

 ので、対処。巷には「CHERRY MX軸対応 静音化リング」といったものが売られている。これをキーの軸受外側にはめ込むと、底づき時の音や衝撃を和らげるというものだ。打鍵感がソフトになる。↓こんなの。

俺が使っている静音化リング(ダンパー)は、WASDの「Cherry MX Rubber O-Ring Switch Dampeners(125pcs)」。こんなふうにキートップの軸受に装着するだけで、打鍵時の音や衝撃を和らげられる。CHERRY MX軸のキーボードの打鍵感をチューンしたい派にオススメ♪

 この静音化リングで対処したら格段に打鍵感が良くなり、音も静かになり、指先への衝撃も和らいだ。でもまあ、メカニカルキーボード特有の「ガシッと入力した感」は少々薄まったが。

 あとこのキーボード、俺的にはもうちょっと奥を高くして傾きを強くしたいところ。FILCOのキーボードの多くは手前がやや高めだし、MINILA-Rはキーの並びがフラット。手を意識して少し持ち上げないと打ちづらい感じ。恐らく奥を高くして傾きを増せば、快適に使えるようになると思うっていうか、薄めの雑誌をキーボード底部の脚の下に置いタイプしたら、より快適になった。

キー配列のカスタマイズ性が高い、macOSにも対応

 MINILA-Rは、基本的には上のようなキー配列(US配列版の場合)。だが、背面のディップスイッチの設定を変えつつ、付属のキーと交換すると、CapsLockと左Ctrlの入れ換えをはじめとするけっこう自由度の高いキー配列カスタマイズを行える。

 キー数を極力抑えたMINILA-Rでは、2つ以上のキー機能をもたせているキーが複数ある。使い方としては、たとえばスペースキー左右にある「Fn」キーを押しながら「E/S/D/F」を押せばカーソルキーの動作となる。「Fn」キーを押しつつ「ALT/WIN/DEL/?」を押してもカーソルキー動作。ほか「Fn」キーを押しつつで、「M」が「Del」だったり「J」が「Ins」だったり。

MINILA-Rのスペースキー左右には「Fn」キーがある。「Fn」キーを押しながらキートップ手前側面に記号などがあるキーを押せば、それら記号どおり機能する。「Fn」キーを押しながら「5」を押せば「F5」となったり、「Fn」キーを押しながら「;」を押せば「Bs(backSpace)」となったり

 この「キートップに刻印されている文字や記号」を「キーの表」、「キートップ手前に刻印されている記号など」を「キーの裏」と呼ぶ。キーの表裏。

 で、MINILA-R背面のディップスイッチの設定で、このキーの表裏を入れ替えることができる。また、キーの表裏などを入れ替えた時に使う「正しい刻印のキー」も付属している(JP配列版とUS配列版では付属するキーが異なる)。

 キーボードのキー配列カスタマイズをMINILA-R本体のみで行えて、さらにカスタマイズしてもキーバインドとキー刻印がちぐはぐにならない交換用キーも付属している、というわけだ。なお、こういったカスタマイズは、JP配列版(https://www.diatec.co.jp/support/pdf/MINILA-R_JP_swapguide.pdfhttps://www.diatec.co.jp/support/pdf/MINILA-R_JP_swapguide.pdf)とUS配列版(https://www.diatec.co.jp/support/pdf/MINILA-R_US_swapguide.pdf)で入れ替えられる機能が少々異なる。
 俺の場合、macOSでMINILA-Rを使用中。そして下の画像のようにカスタマイズしている。基本的なキー配列(デフォルト)と、俺的カスタマイズ例を並べてみた。

 奇妙な位置に「ESC」キーがあったり、右の「command」「option」キーがなかったり。カーソルキーを多用するので、こんなふうな配列になった……というか追い込まれてしまった。

 でもなかなか良好な使い勝手。このサイズのキーボードの中では、これまで使った中で最も快適に使えている。

 しかしまあ、痒いところに手が届く感じのカスタマイズ性だと感じる。また、キートップを逆さにしてキーを180°回転させてセットすれば「裏を示す刻印」を隠せたり……使っていて「なるほど〜だからフラットなキー並びなんだー」と気づかされたりする。いろいろな箇所で非常によく考えられ作られた製品だと思う。

 サイズと使用感のトレードオフはやはりあるわけだが、60%キーボードにおいては突出した実用性がある製品だと思う。また、マニア心をくすぐる「作り込み」も感じられる。ので、こういうサイズ感の製品を探しているなら、ぜひ一度触れてみて欲しい……って既に去年触れてましたよね、きっと。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。