スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

最新ハッピーハッキングキーボードをイジってゆきたい!!!

新型Happy Hacking Keyboardが気になるッ!!

 2019年末はキーボード界隈がザワついた時期だったのかもしれない。本連載前回にて紹介した東プレ「REALFORCE for Mac TKL」シリーズがMac野郎を沸き立たせたのがひとつ。それからコンパクトキーボードのド定番機種ことPFU「Happy Hacking Keyboard」シリーズに最新機種が加わったことがひとつ。

 ちなみにHappy Hacking Keyboard(以下、HHKB)とは、高性能・コンパクトなキーボードで、PCが世代交代しても使い続けられるような理想のキーボードとなるよう突き詰めた設計がなされた製品。キースイッチには東プレREALFORCEシリーズと同じ静電容量無接点方式を採用し耐久性が非常に高く、余分なキーを排して合理的なキーレイアウトとし、省スペース・軽量であるため携帯性にも優れる。それら特性はプログラマからも高い評価を得ているという。

 そんなHHKB、現行品は何種類かあるが、そのうちハイエンド系製品として3グレード16モデルが加わった。HHKB ProfessionalのHYBRID Type-S/HYBRID/Classicである。

2019年12月10日に3グレードの新型HHKBが新発売となった。左から、HHKB Professional HYBRID Type-S、HHKB Professional HYBRID、HHKB Professional Classic。PFUダイレクト税別価格はHYBRID Type-Sが3万2000円、HYBRIDが2万7500円、Classicが2万3000円。

 で、ですね、この3グレードのうち、ヒッジョーに気になるのが製品名に“HYBRID”が付くHYBRID Type-SとHYBRID。両グレードともPCなどホストへUSB接続およびBluetooth接続できるんですよ。4台までのBluetooth機器とペアリングでき、さらにUSB接続もできるので、合計5台のマシンを切り替えて使えるのだ。いいですね~USBとBluetoothのハイブリッド接続♪

 それから、これまでのHHKBでは一部キーを入れ替えたり機能を変更したりして、WindowsでもmacOSでも使えるようになっていた。新型HHKBもそのあたりは継承しつつ、HYBRID Type-SとHYBRIDでは、なんとキーマップを自由に変更できるようになっている。これは興味深い!!! HHKBをユーザー好みの配列に追い込めるかも!!! 「ここにDeleteキーがあるのが気に食わねぇんだッ!!」的な鬱憤もキーマップ配置を変えれば解消できる、かもしれない!!!
 USB&Bluetoothのハイブリッド接続。そしてキーマップの変更。そのあたりに強い興味を持ったので早速試用してみた。以下、最新HHKBの機能性や使用感などについてレビューしてみたい。

HHKB Professional HYBRID Type-Sを試す

 使ってみたのは最高グレードのHHKB Professional HYBRID Type-S(英語配列/白)。ひとつ下のグレードのHHKB Professional HYBRIDとの違いは、HYBRID Type-Sが静音性と高速打鍵性能が高いこと。キー押下圧は両機とも45gだが、キーストロークはHYBRID Type-Sが3.8mmでHYBRIDが4mm。キースイッチに東プレREALFORCEシリーズと同じ静電容量無接点方式で、このスイッチは東プレのOEM品だそう。

英語配列を使ってみた。キー配列はこんな感じで、部分部分がHHKB独自の特殊な配列になっている。
ファンクションキー機能などは[Fn]キーと同時押しで使用可能。英語配列モデルでは専用のカーソルキーは省かれている([Fn]キーと同時押しでカーソル移動は可能)。
Windowsで使うかmacOSで使うか、一部機能のキーを何に設定するかなどを、本体裏面にあるDIPスイッチで設定する。設定項目を示したラベルがDIPスイッチの近くに貼られている。
本体背面4箇所に滑り止めがあるほか、格納式の脚がある。これらにより、本体の設置角度を3段階に変更可能。
本体奥には電源スイッチ(Bluetooth接続用)、電池室(単3形電池×2本)、USB接続用のUSB-Cポートがある。

 実際に使ってみた感触としては、いや~久々にHHKBのProfessional系を使いましたけど、小気味良い打鍵感ですな~。キーインの瞬間が優しく感じられる静電容量無接点方式独特のタッチも好印象だし、キーが指先に吸い付くような感覚もイイ。打鍵音もわりと静かだと思う。高速タイピング性については、特殊な配列でない英文字部分を打っている限りでは、上記のタッチの良好さや指先の感覚が「気持ちいい」ので、自然と積極的にタイプするためかスラスラと速く書いていける感じがある。

 ただ、俺が現在超絶愛用中の東プレ「REALFORCE TKL SA for Mac」と比べると、このHHKB Professional HYBRID Type-Sはストローク(3.8mm)が深めでキー(押下圧45g)も重めという印象になる。ちょっと気にして強め深めにタイプするとスムーズに打鍵できるという感覚だ。

 なかなか慣れられなかったのが、HHKB独特の配列。いつもそうですけど、ん~、普通じゃない配列が所々にありつつ(Professional系英語配列版は)カーソルキーも無いあたり、ちょいと頑張る必要があった。

 俺の場合、HHKBは使っていたりしたのだが、ぶっちゃけた話、キー配列の独自さから、メインのキーボードとしてはあまり使っていなかった。HHKBの配列に慣れれば「Professional系HHKBはサイコーのキーボードのひとつ」と感じられるのだが、配列がねぇ……ハッキリ言ってけっこう特殊。

 でもまあ、打鍵感は非常に秀逸で、そのコンパクトさからはミニマルな美しさも感じられる。小さくて美しくて打ち心地も最高クラスのキーボードという魅力を鷲掴みにすべく、HHKBの配列に鋭意慣れていくというのは大いにアリだと思う。

キーマップ変更機能がステキっ♪

 キーボード自体はとても快適に使えると感じたが、しかし、やはり、俺はHHKBの変態配列に慣れきれないのであった。特に慣れにくいと感じたのは、カーソルキーと[~](チルダ)と[BackSpace]。このキーボードのカーソルキーは[Fn]キーと同時押しで、[Return]キー右のダイヤモンドカーソル的配置になっていて、俺的には狭くてすんごく押しにくい。また、[~]や[BackSpace]は多用するので、フツー配列キーボードにおけるそれらキーの位置を指が覚えていて、たびたびタイプミスが起きるのであった。

 でもまあその程度のキー数。意識しつつ頑張って使えば、たぶん数日から1週間くらいで慣れられるとは思う。のだが、しかし、メインキーボードをHHKBにするがために、そういうコストをかけていいのだろうか? HHKB以外のフツー配列のキーボードを使う時、今度はフツー配列キーボードに慣れるためのコストがかかる。

 だがしかし!!! HHKB Professional HYBRID Type-SやHHKB Professional HYBRIDには、キーマップ変更機能がある!!!! それを使えば上記のようなコストを最小限に押さえられるハズ!!!!!

 キーマップ変更機能とは、HHKBのキーマッピングをキーボード本体のレベルで変更してしまうというもの。特別な機能を割り当てられた一部のキーを除いた制御キーと文字キー全般を、自由なキー位置に割り振ることができる。一度キー配列を変更してしまえば、それはHHKB本体内に記憶されるので、どのPCにつないで使っても変更したキー配列が維持される。キーマップ変更機能はHHKBをオリジナルキー配列のキーボードへ変身させる機能なのである。

 キーマップ変更機能を使うには、現在のところWindows用「Happy Hacking Keyboard キーマップ変更ツール」が必要(macOS版は開発中だとか)。WindowsマシンにHHKBをUSB接続し、このソフトウェアを使ってキー配列を変更する。実際にキーマップを変更して行く様子をスクリーンショットで見ていこう。

Happy Hacking Keyboard キーマップ変更ツールを起動し、キーマップ変更を開始した様子。
上キーボードが現在のキー配置を示す。例えば[~]の位置に[BackSpace]を入れたい場合、上キーボードの位置を選び、そこに配置したいキー機能を下キーボードから選ぶ。
[~]と[BackSpace]と[Esc]の位置を入れ替えた様子。入れ替えが完了したら[HHKBへ書込み]ボタンをクリックすると、HHKBのキーカスタマイズが完了する。
さらにカーソルキーの位置を修正したりも。キーカスタマイズはDIPスイッチ位置毎に行えるようだ。工場出荷時状態に戻すのも簡単。
結果、俺的HHKB配列はこんなふうになりましたとさ。さて、どんな使用感か?

 上のようにキーマッピングを変更し、使いやすいようにし……てみたつもりだが、使いやすいのか? 早速、試してみる。

 結果、ヒッジョーに使いやすくなった!! やっぱ[~]と[BackSpace]はこの位置だわ~。でも[Esc]の位置気持悪いけど、ま、そーんなに[Esc]多用しないしネ。カーソルキーもマシな感じの使用感になった。ただこちらは多少頑張って慣れる必要がありそう……左側に[Fn]キーがもう1個あればな~。

 いや~しかし、これまで使ったHHKBの中で最もスムーズに使えるって感じになりましたよ~。キーマップ変更機能超いいな。PC毎にキーマッピング変更用常駐ソフトとかインストールする必要ないし。かなり実用的。後は……物理的にキートップを交換してキー機能とキー刻印をマッチさせる、か、HHKBの使いやすさをスポイルしない刻印シール的なものを貼るか……HHKBカスタマイズの夢がちょっと膨らむのであった。

案外イイっすね、iOSデバイスで使うHHKB、そしてHHKBの携帯

 HHKB Professional HYBRID Type-SとHHKB Professional HYBRIDは、USB接続に加えてBluetooth接続にも対応。試しにiOSデバイスとBluetooth接続して使ってみた。

 結果、ちょっと斬新な良さを体感。これまでの俺の場合、iOSデバイスにつなぐキーボードはカバータイプとか、コンパクトさ重視の薄いキーボードとかであった。一方、HHKB Professional HYBRID Type-Sはマジでガチな本格派ハイエンドキーボードである。打鍵感最高レベルのキーボードだと、iOSデバイスへの入力効率もグッと高まるのであった。

iPhone 11 Pro MaxにHHKB Professional HYBRID Type-SをBluetooth接続して使っている様子。HHKB側はMacモードにして使ったが、ほとんどmacOS感覚で文字入力することができた。なお、iPhone側のソフトウェアキーボードも併用したい場合、[Fn]+[F]キーを押すことで、ソフトウェアキーボードの表示・非表示を切り替えることができる。

 iPhone 11 Pro Maxの大きめ画面に大きめ文字でメモアプリを使うと、けっこう文字数イケつつ視認性も十分イイですね~。これならコラムの原稿くらいなら書ける気がするなあ。いいかも、iOSデバイスとHHKBの併用。

 あとHHKBの質量。電池込みで582gなので、薄型のモバイル用キーボードと比べたら若干重めでけっこう嵩張るものの、本格派キーボードなのに十分携帯性が良好という点には改めて魅力を感じた。バッテリー内蔵ケースに入れたiPhone 11 Pro Maxの質量は345gなので、両方合わせても927g。場合によっては、出張先とかでメッセージやメールに多々返信する必要がある場合でも、モバイル端末をiPhoneだけに絞ることも現実的だ。

 あと、妙な話ではあるが、iOSデバイスでHHKBを使うと、HHKB独自の配列もそーんなに気にならなかったりする。iOSデバイスでの文字入力自体がPCと大きく異る感覚だし、テキストを高速で入力しようとするスタンスでもない。なので、“独自配列により入力のテンポが乱される”ということがあまり意識されない感じ。ん~、いいかもHHKBとiOS端末を携帯してのモバイル。

 てな感じで使えたHHKB Professional HYBRID Type-S。USBとBluetoothのハイブリッド接続になった点は非常に大きな魅力であり、かつ、キーマップ変更機能も非常に実用的。そして相変わらずの品質および打鍵感の良さがある。従来機種ユーザーであっても欲しくなる新型だと思うし、これまでちょっとHHKBを敬遠してきた人にとっても実用性と活用幅が広く魅力的に映る新型だと思う。実機に触れられるショールームがあるので、興味のある方はぜひ新型HHKBをイジってみて欲しい。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。