スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

大人のスパイ手帳!? 実用品かオモチャか?

充電ノート、いきなり半額で思わず購入!

 ケータイWatchのこのニュースを見て「あっ欲しいかも!」と物欲反射。モバイルバッテリーを内蔵したA5サイズのリフィルノートカバー、ソウイジャパンの「充電ノート SY-106」(公式ページ)です。

ソウイジャパンの「充電ノート SY-106」。A5サイズ6穴タイプのリフィルをセットできるリフィルノートカバーで、8000mAhのモバイルバッテリーを内蔵しています。内蔵のUSBケーブルおよび表紙部分のQi充電パッドでスマートフォンなどを充電可能。ありそうでない、なかなかユニークな製品です。

 これは面白そう~。ということで買おうとしましたが、えっ……メーカー希望小売価格が1万6800円(税込)! そ、それは、ちょっと……と物欲急冷。でも一応とネット通販サイトでチェックしてみましたところ、軒並み7980円(税込)で販売中。

 発売直後にイキナリ半額以下! ポチるしか! ……と思いましたが、ん~むむむ、メーカー希望小売価格と実売価格のギャップで消費者の目を眩ませ金銭感覚を鈍らせ買わせちゃう作戦かも!? ……と思いましたが身を任せて買ってみました。

 購入理由は、あーなるほどリフィルノートにモバイルバッテリーが入っていたら便利そうだな~ってのもあったんですが、なんかコレ「スパイ手帳」みたい! と思ったからです。

 スパイ手帳とは、1969年(昭和44年)にサンスター文具から発売された文具系玩具。スパイ用手帳とスパイ用秘密アイテムがセットになったもので、証拠隠滅セットとか、極秘事項を書き込んでも水で紙自体が溶けるメモとか、書いても文字が見えないけど何かすると文字が浮かび上がるペンとか、ナンカの暗号一覧みたいなのとか、殺しのライセンス的なものとか、意味深なバッヂとかそういう「少年の心を揺さぶるアイテム」一式。スパイ手帳の表紙には、敵を発見し次第銃殺しそうな一目瞭然スパイ丸出しの男が描かれていたという記憶も。子供心に「すぱいてちょうほしい!」と興奮したものです。当時の日本では「スパイ大作戦(Mission:Impossible)」というテレビドラマが流行っていたこともあり、スパイ手帳は大ヒット商品となりました。

 そ~んな妙味が、この充電ノートにも感じられる。スパイ手帳を友だちに見せて「あーっスパイ手帳だカッコイイな~!」と盛り上がるのと同様に、リフィルノートカバーの上にiPhone置いて充電するのを見せて「えーっソレってQiなんですか~!」と盛り上がるのではないか、と。

 でも、盛り上がるだけのネタ的製品かもしれない。いや、使ってみたら案外実用性が高い製品なのかもしれない。ともあれ、スパイ手帳っぽいし実用性も確かめてみたいので、この充電ノートを購入してみたのでした。ということで、以降、充電ノートについてレビューしていきます。

充電ノートはどんなモノか?

 前述のとおり、充電ノートは容量8000mAhのモバイルバッテリーを内蔵したリフィルノートカバーで、A5サイズ6穴タイプのリフィルをセット可能。A5のシステム手帳ですね。かなりわかりやすい製品なので、充電ノートがどんなモノかを写真と説明文で見ていきましょう。

充電ノートのサイズは縦240×横180×厚さ30mmで、質量は506g(実測値)。A5サイズ6穴タイプのリフィル80ページ程度が付属しています。100枚程度までのリフィルをセットできる感じ。リフィル留め具はスチール製。表紙部に2つのポケットがあり、内側左に2つのポケットと4つのカード/名刺ホルダーがあります。
内側左にはA5サイズリフィルが数枚収まるポケットが2つあり、その手前にはカードや名刺が収まるポケットが4つあります。内側右にはペンホルダーが。モバイルバッテリー本体は右側に内蔵されています。
内側右にあるモバイルバッテリー電源ボタン/電池残量インジケーターと、USBケーブル類。モバイルバッテリー充電用ケーブルと、スマートフォンなど外部機器への給電用ケーブルです。溝にケーブルが収まった状態でケーブルやコネクタの凸凹がほとんどないので、ノート記入の支障はほぼありません。各ケーブルを引き出したときの長さは約25cm。これらのケーブルは本体に直結されていて外せません。給電用ケーブルは先端は差し替え式で、microUSB、USB-C、Lightningに対応します。ケーブル近くには「OUTPUT 1:DC5V/2A」「OUTPUT 2:DC5V/2A」という刻印があります。試したところ、QiとUSBの同時充電が可能で、モバイルバッテリーを充電しながらでも端末に給電できました。
表紙にはポケットが2つあり、メモなどの薄いものやペンなどを入れられます。
表紙部分の中央がQi充電パッドになっています。ここにQi充電対応端末などを置いて充電。また、大きい方のポケットに端末を入れてQi充電することもできますので、歩きながらなどの移動中でもQi充電を行えます。
ノートの留め具先端はUSBメモリーになっています。容量は32GBでUSB2.0対応。

 ノートカバーなのにQi充電対応! 留め具がUSBメモリー! スパイ手帳っぽ~い! ですよね!? そうでもない?
 ともあれ、けっこうイロイロな機能性を持っている充電ノート。続いては実際の使用感を見ていきましょう。

ノートで充電できるって、意外に便利!

 まずリフィルノートカバーとしての使用感ですが、これはフツーです。可もなく不可もなくといった平凡な使用感。ポケットが多いのはけっこう便利。でもまあ、取り立ててどこがイイ、ココが悪い、という印象はありません。フツー。

 で、このリフィルノートカバーがモバイルバッテリーになっているわけですが、これが意外に便利。結論から言えば、いつも机上に出しているリフィルノートで充電できるので、さぁ充電しようとモバイルバッテリーやケーブルを取り出す一手間が省けてイイ。いつでもスムーズに充電できる感覚です。

打ち合わせなどに持って出かけましたが、ミーティング中などにサッと端末を充電できて便利です。ノートを開いている時はUSBケーブルで充電、ノートを閉じている時はQi充電。スマート&スムーズに使えて好印象です。

 充電ノートを使うと、これまではどの方法でも端末の充電に一手間かかっていたんだなと感じます。普通のモバイルバッテリーなら、バッグからバッテリーとケーブルを取り出して、端末につなぐという使い方。ミーティングでPCを広げている場合は、バッグからケーブルを取り出して端末につなぐという使い方。

 充電ノートの場合、それ自体がメモ取り用などに使うノートなので、最初から机上に出ているケースが大半です。そこで端末を充電しようと思うと、そのノートに端末を置くか、ノートに収まっているケーブルと端末をつなげばOK。単純なことですが「バッグからゴソゴソと取り出す」というアクションが不要なだけで、端末充電時の面倒感が激減。非常にイイ感じで使えます♪

 そんなふうに使っていて気になったのは、Qi充電の端末位置がシビア気味ということ。慣れてくると「一発で適切な充電位置に置ける」ようになるんですが、使い始めは「あれ……端末をどこに置けば……充電されるの……かな?」と若干の手探りが必要な感じ。ちなみに、筆者が使っている端末はiPhone 11 Pro Max(レビュー記事)です。

 でもまあ、充電される位置を体感的に覚えてしまえばスムーズ。表紙ポケットに端末を入れたままQi充電した場合、例えばiPhone 11 Pro Maxなら十分しっかりと「定位置に固定されつつQi充電できる」ので、使用感的には「充電ミスが起きにくいQi充電パッド」という印象でもあります。

半月使って思うに「実用性は高い」けど「完成度はもう一歩」

 充電ノートを半月ほど使いましたが、良さとイマイチな点がけっこうハッキリしました。ので、まず、良さから。

 イイのは、実質的にモバイルバッテリーとUSBケーブルとQi充電パッドをまとめて携帯できるという使用感。前述のとおりスマート&スムーズに端末を充電できます。それに加えて「あっケーブル忘れた」というようなことも起こり得ない。「充電ノートさえ持ち出せばOK」という手軽さ気楽さもイイ。

 Qi充電パッド内蔵であるのは、特に便利。前述のように端末を置く位置がややシビアではありますが、机上の充電ノートに端末を置くだけ。実際は充電ノート内側の電源ボタンを押すという操作がありますが、これは充電ノートを開かず指を滑り込ませて押せますので、手間はかかりません。

 ちょっと前述しましたが、表紙のポケットに端末を入れつつQi充電できるので、移動中のQi充電も現実的。またこれに加えて端末をポケットに入れつつUSB充電することもできます。表紙のポケットが案外役立つんですね。

Qi充電時でもUSB充電時でも表紙のポケットが端末ホルダーとして役立ちます。移動中の充電も現実的。

 イマイチな点ですが、USBメモリーは、あればあったでいいんですが、筆者の場合は使用頻度が高くありませんので、あーんまり役立っていない。ノートを閉じる止め金具がナンとUSBメモリーだった! というのはヒキが強いアイデアだとは思います。

 しかし、このUSBメモリーには構造的な残念さがあります。というのは、ノートを開く時にUSBメモリー部分が抜けることがあるということ。ロック機構がなく、挿入したときの抵抗だけで留まっているUSBメモリー部分なので、ちょっと注意して使わないと不意に抜けることがあるんですね。ここはもうひと工夫欲しい。

 でもUSBメモリーの使用頻度が低い筆者の本音は、この留め具部分のUSBメモリーなくしちゃってOK、的な。その分価格を安くしてよ、みたいな。
 もうひとつ気になったのが、ノートカバーとしての作りが若干チープであること。頻繁に折り曲げるような箇所は、けっこう擦れ傷が出たり色が落ちてきたりします。材質的に耐久性不足という印象です。壊れはしないのですが、7980円で買ったリフィルノートとしては満足感がありません。
 結局、意外なほど便利に使えるけれども、何となく詰めが甘い感じが残る充電ノートとなりました。完成度はもう一歩という気がします。
 コスパ方面の話をすると、8000mAhモバイルバッテリー内蔵の便利アイテムでノートとしても使える製品が7980円というのは、どうなんでしょう? 2000円あれば8000mAhのモバイルバッテリーは余裕で買えますので、充電ノートの機能性に6000円くらい払ったとして、見合うのか? 上記のイマイチ感などを考えると、コストパフォーマンスはいまひとつといったところでしょうか。

 ただ、他にはちょっとない、意外なほど高い実用性がある充電ノート。便利なのでこのまま使い続けようと思います。ノートとモバイルバッテリーの合体はとても現実的でナイスなアイデア。なので、さらに洗練された新型を期待。その時はまた買いますので、ゼヒ!

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。