スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

iPhone 11 Pro Max、買って、使って、どうだった?

iPhone XS MaxからiPhone 11 Pro Maxへ乗り換えだゼ~!

 2019年9月20日に発売された最新iPhoneことiPhone 11シリーズ(公式ページ)。iPhoneの新型が発売されるとなると毎回「ん~どうしようかなぁ」とゆるく考える筆者ですが、今回は「あっコレ買うし!」と速攻で予約注文いたしました。1世代前のiPhone XS Maxから、最新のiPhone 11 Pro Max(公式ページ)への乗り換えです。

購入したiPhone 11 Pro Maxは、スペースグレーの256GB。アップルストアからの購入で、税込み14万6664円でした。高っ! と思いましたが、使ってみたら「わりとコストパフォーマンスが良好なのでは」と思うように。

 第11世代となるiPhone 11シリーズですが、ラインナップとしては3種あります。まず6.1インチ液晶を搭載したスタンダードモデルのiPhone 11(公式ページ)。赤や黄色まである6種類のカラーバリエーションから選べる楽しげなiPhone 11ですね。

 それからProシリーズに2種あり、iPhone 11 ProとiPhone 11 Pro Maxです。Proは5.8インチ有機ELを搭載した上位モデルで、Pro Maxは6.5インチ有機ELを搭載した最上位モデル。この2種の違いは本体サイズ、画面サイズ・解像度およびバッテリー持続時間といったあたり。大画面スマートデバイス大好き野郎なので迷わずPro Maxを選んだという次第です。

 筆者にとってiPhone 11 Pro Maxの魅力の大半はカメラ。超広角カメラが非常にイイ感じなんですが、カメラ関連全体が好印象です。他にもいろいろイイところはあるんですが、「カメラ機能に魅力を感じないなら11世代iPhoneはスルーしてもいいのでは」というのも筆者の本音です。

 もうひとつ、iPhone XS Maxと比べるとかなりコストパフォーマンスが上がっているiPhone 11 Pro Max。各容量のモデルで5000~7000円安くなりつつ全体の性能が上がっていますので、iPhone XS Maxをスルーしてきた人がiPhone 11 Pro Maxを買うとナニカとシアワセになれるような気もします。

 ともあれ以降、iPhone 11 Pro Maxのレビューをば。旧機種となったiPhone XS Maxも併用中なので、両機をちょっと比べたりしつつ書いてみたいと思います。

11 Pro MaxとXS Max、どのくらい違う?

 まず11 Pro MaxとXS Maxの違いですが、雑な見かただと似たような端末なんですが、繊細に見るとそこそこ違ったりします。同じに見える端末本体ですが、11 Pro Maxのほうが短辺が0.4mm・長辺が0.5mm大きく、厚さが0.4mm厚く、質量は18g重くなっています。じ~っくりと持ち比べないとわからないレベルの差ですね。まあ結局は、どちらも大きめ重めのスマートフォンです。

 それからボタン位置などが微妙に違っています。カメラ形状も異なります。写真で見比べてみましょう。

ロックボタン周辺もボリュームボタン周辺も、微妙に位置が異なります。上の白い端末がXS Maxで、下の黒っぽい端末が11 Pro Max(以下同様)。

 パッと見で変わったのは、カメラの形状・存在感や背面の雰囲気と質感でしょうか。まあでも、ある程度強い興味がない人にとっては「どっちも同じようなスマホ」に見えますね。

 余談ですが、サイズがだいたい同じ11 Pro MaxとXS Maxなので、XS Max用の柔らか系ケースになら11 Pro Maxを入れることはできます。ただし、ボタン位置やカメラサイズが微妙に違うので、実際に使うにはケースへの加工が必要でしょう。

 またさらに余談ですが、タイトに作られたXS Max用ケースに11 Pro Maxを入れると、ギリギリ入ったはいいが抜けなくなった! みたいな目に遭いますのでヤメといたほうがいいです。筆者は試して抜けなくなって悪い汗をかきつつどうにか抜きました。ホッ。

11 Pro MaxとXS Maxのスペックの違い、どう感じた?

 11 Pro MaxとXS Maxでは、そのスペックもちょっと異なります。例えば11 Pro Maxのプロセッサーは、XS Maxのそれより1世代上がってA13 Bionicチップ・第3世代Neural Engineを搭載しました。メモリー(RAM)はどちらも4GBのようです。こういった違いは、筆者の感覚だと「どっちも同じような感じ?」で、実際の処理速度に大きな差は感じられません。

 すんごく変わった! のはカメラ機能・性能ですが、これは後述しますネ。

 おっコレは違うなとわかるのは、ディスプレイですね。どちらも6.5インチ(2688×1242ピクセル)で画素密度やアスペクト比は同じですが、パネルが変更されてコントラスト比が100万:1から200万:1に変わりました。また輝度も高くなっています。

 この違いは、例えば撮影した写真(フォトストリームなどで共有された同じ画像)を見比べるとわかります。11 Pro Maxのほうが明暗階調も色調も豊かという印象で、写真がより自然に見えます。とは言っても「画面を並べてよく見比べれば」という話。並べて見比べなければ「どっちもキレイじゃね?」と感じたりもする僅差の表示性能かもしれません。

 それから、Face IDの認識がちょっと速くなった感じがします。顔のほぼ正面に11 Pro MaxとXS Maxを並べて置いて、せ~の! でロックボタンを押してFace ID認識の速さを比べると……ほぼ同時という感じ。「アップル公称のFace IDが30パーセント速くなったってウソじゃね?」とか思ったりします。が、顔を認識できる角度(画角)がより広くなったそうで、iPhoneが顔と正対せずやや斜めを向いた状態でもFace IDが機能します。そんな使いやすさスムーズさの向上を含めると「Face IDが30パーセント速くなりました」という点にも頷けます。

 ユーザーとして嬉しいスペックアップのひとつとして、バッテリー持続時間の向上があります。アップル曰く「iPhone XS Maxより最大5時間長いバッテリー駆動」と。内訳はビデオ再生が最大20時間、ビデオ再生(ストリーミング)が最大12時間、オーディオ再生が最大80時間となっています。5時間って凄いですよね。
 11 Pro Max使用開始後、11 Pro MaxとXS Maxを併用してみましたが、まあだいたい同じように使っていると、11 Pro Maxの電池残量のほうが少し多い感じでした。いつもだいたい11 Pro Maxの電池残量が多いという結果になったので、11 Pro Maxはバッテリー持続時間が伸びているのだと思います。

 ただ、これも比べないとわからない……というか気にならない違いかもしれません。筆者の使い方では、11 Pro MaxもXS Maxも「2日くらいは普通に使える」という感じで、画面が大きいのにまずまず電池がもつスマートフォンだと思います。基本的には毎日充電する派なので、このくらい電池がもてば文句はありません。

 以上、数値的にはけっこう凄いけれど、体感的にはどれもちょっとした機能・性能の向上という感じですね。大雑把に言えば、大幅な進化というよりも順当な進化といった印象です。

 それから、ひとつXS Maxからのダウングレード点がありました。それは11 Pro Maxは3D Touchに対応していないという点です。これは「指先で画面を強く押すと各種機能を呼び出せる」という機能・操作です。例えばアプリアイコンをギュッと押し込むとアプリのメニューが表示され、それを選んでアプリ機能をダイレクトに呼び出せる、といったショートカットに使えます。11 Pro Maxではこれができません。

 それって不便になったのでは? と一瞬思ったりしますが、3D Touch自体がどうもイマイチなユーザービリティという雰囲気でありつつ、iOS 13からはアイコンなど長押しによってより実用的なユーザービリティがもたらされたので、3D Touch削除をダウングレード点としてカウントするまでもないかな、と。なお、3D Touchで「できたこと」のほとんどが、iOS 13からの「長押し操作」でできるようになっています。

11 Pro Maxの価値はカメラ系機能の捉え方次第!?

 最後に11 Pro Maxのカメラ機能を。話題のトリプルカメラが搭載されていますが、注目されているのは3つのレンズってよりも「超広角レンズ」が使えるようになった点。35mm換算で13mm相当という「非常に広い視野(画角120°)を1枚の写真に写し込めるレンズ」が利用できるようになりました。実際にどういう写真が撮れるようになったのか、ちょっと見てみましょう。

 以下の写真は11 Pro Maxのトリプルカメラで撮影したもので、3枚組のうち左から超広角(13mm相当)、広角(26mm相当)、望遠(52mm相当)です。広角や望遠の写真はXS MaxなどのデュアルカメラiPhoneでも撮影できるものでしたが、11 Proシリーズでは超広角撮影性能も加わったというわけです。

建物を撮影したもの。左の超広角撮影だと広々とした感じを表現できます。
夏の終わりのゲレンデ。超広角なら広大な自然の雰囲気が伝わります。
標高約1800mの高地。超広角撮影だと流れる雲がダイナミックに写ります。
超広角、広角、望遠の3つのレンズが使えるので、被写体をより自由に撮影できるようになりました。

 iPhoneで13mm相当の超広角撮影ができるようになり、iPhoneの活用幅がグッと広くなったと痛感した筆者です。思うに、わりと最近の世代のiPhoneは「作り過ぎないキレイな画質」の写真が手軽に撮れて、また生成されたJPEG画像をレタッチしても画質的に破綻しづらいなぁ、と。ウェブ媒体あたりだと商利用に耐えうる画質だと思います。そこに超広角が加わったから「さらにツカエル!」というわけです。

 ちなみに、iPhone 11シリーズ全機種で、この超広角撮影を行えます。iPhone 11では超広角と広角で撮影ができ、iPhone 11 ProとiPhone 11 Pro Maxでは超広角と広角と望遠撮影ができます。
 スタンダードなiPhone 11と、iPhone 11 Proシリーズのカメラの差は、望遠撮影(52mm相当の光学2倍望遠撮影)ができるかどうかです。なので「その超広角撮影性能だけ欲しい!」という場合は、第11世代iPhoneならどれを選んでも目的を果たせますネ。

 やったー! iPhoneで超広角撮影だ~♪ と喜んでいる筆者なんですけど、iPhone派でないなら、他のスマートフォンの超広角撮影もチェックしたいところ。例えばサムスン「Galaxy S10+」(公式ページ)だと、iPhone 11シリーズと同等またはそれ以上の広角撮影ができます。iOSの利便を含めて超広角撮影性能が欲しいならiPhone 11シリーズしか選択肢がないわけですが、そうでないならAndroidスマートフォンという選択肢もあるわけです。

 個人的に残念だったのが、超広角ではRAW撮影できないという点。RAW撮影とは撮影後の画像データを無加工のまま(RAWファイルとして)保存する方法です。RAWファイルはJPEGファイルと違い、圧縮処理などで失われるデータがないなど、最も情報量が多い「カメラが生成した生のデータ」です。撮影後にこのRAWファイルを調整(現像)することで、画質を保ちつつ明暗・色調の調整や写真の変形などを行えます。JPEGよりもずっと素材性に優れているのがRAWというわけです。11 Pro Maxなどの超広角撮影だと、ユーザーがRAWファイルを利用することができません。

iPhoneでRAW撮影できるProCam 7アプリを使った様子。左画像のように、レンズとして超広角を選択した場合のみ、RAW画像で撮影できない状態になってしまいます。広角や望遠のレンズを選択した場合は、以前通りRAW撮影が可能です。
こちらはiPhoneでRAW撮影できるiOS用Lightroomアプリ。Lightroomだと超広角レンズの選択すらできませんでした。他のレンズは選択でき、その時はRAW(DNG形式)撮影が可能です。

 余談ですが、RAW撮影などは本来のiPhoneの方向性ではない、とは思います。高度な撮影が行われるものの、ユーザーがモード変更をしたり使用アプリを選んだりせずともそれができるのが、たぶん目指されているiPhoneの方向性。写真なら、画面に被写体を収めてシャッターを切れば、プロも唸るような一枚が残せる、みたいな。でもその一方で、「ここまで撮れるなら、ちょっと凝って撮れば、より納得のいく一枚が手に入るハズ」と思っちゃうのも人情。そんな観点から、やっぱり超広角撮影がRAW非対応なのは残念です。

 さておき、カメラ関連ではインカメラも進化しています。自撮りなどに使われる画面側のカメラですね。

 そのインカメラが、700万画素・30mm相当レンズのカメラから、1200万画素・23mm相当レンズにアップグレード。高画素化しつつ広角化しました。特に広角化の点で、2~3人の自撮りを行いやすくなったり、あらかじめ広めに撮っておいて後でトリミングといった使い方もしやすくなりました。

 この広角自撮りカメラ、ちょっとおもしろい動作をします。具体的には、横位置だと23mm相当の広角撮影ができますが、縦位置にすると30mm相当のやや狭い画角になります。縦位置30mm相当は、1200万画素の一部を切り出したものになり、画素数は700万画素相当になるとのこと。集合自撮りでよく使われる横位置と、顔アップ単独自撮りで使われる縦位置とで、自動的に画角を変えてくれるというのはユニーク。

 なお、縦位置で画角が狭くなった場合でも、ソフトウェアシャッターボタン近くの矢印付き丸ボタンを押せば30mm相当・23mm相当を切り替えられます。横位置の場合も同様に画角を切り替えられます。

 他、iPhone 11シリーズのカメラ系機能に関しては、インターフェース刷新やポートレートモードの追加、ビデオ撮影・編集機能の強化など、イロイロと強化されています。詳しくは公式ページをご覧ください。

 といった感じのiPhone 11 Pro Max。入手直後にこの端末を持って仕事のロケ撮影に行きましたが、そこでiPhone 11 Pro Maxによる静止画撮影を試してみました。結果、多くのケースで「これからはiPhone 11 Pro Maxも撮影機材としてガッツリ使えるなあ」と感じた次第。状況によってはまだまだレンズ交換式カメラが必要にもなりますが、第11世代目となって特に映像機器としての大きな進化を遂げたiPhoneだと感じられました。

 iPhoneで写真やビデオをよく撮るという人にとっては、かなり魅力的な機能性能を備えているiPhone 11シリーズですので、ぜひじっくりとチェックしてみてください。ただ、写真やビデオの撮影快適化や高画質化にはあまり興味がないという方にとっては、この最新世代iPhone、そーんなに大きな魅力はないかもしれません。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。