スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

6年ぶりの新型ScanSnap「iX1500」でスキャン!

雑多な紙書類よ、クラウドに飛んでゆけ~♪

 今回のネタは超久々のドキュメントスキャナ。ど定番ドキュメントスキャナのScanSnap(スキャンスナップ)シリーズの最新型ことPFU「ScanSnap iX1500」(公式ページ)です。2012年に発売された「ScanSnap iX500」(公式ページ)の後継機種で、6年ぶりの新機種となります。なお、旧機種iX500については6年前にレビューを書いております。

PFUの「ScanSnap iX1500」。ドキュメント用の高速スキャナで、A4カラー原稿(両面)を毎分30枚(60面)スキャンできます。PCとはUSBでもWi-Fiでも接続可能で、スキャンしたドキュメントを各種クラウドストレージに自動転送することも可能。スキャン設定などを手軽に切り換えられるタッチパネルが搭載され、iX1500のみでスキャン設定~スキャン実行が可能です。オフィス機材っぽくない白で統一されたデザインも新鮮。PFUダイレクト税別価格は4万8000円。

 ちょっと前……というか一昔前は、ドキュメントスキャナを多用した筆者。昔は仕事上発生しまくりの紙書類をスキャン&電子化して保存&活用していました。ですが、最近手にするドキュメントはだいたい電子的なファイル。もう紙書類をスキャンする必要なんてナイ……と言いたいところですが、まだまだドキュメントスキャナを使いたいシチュエーションがあります。

 そんな状況のなか、iX1500を使ってみたわけですが、結論的な印象をまず書いてしまいますと、なるほど今時的ScanSnapは現在のニーズをキッチリ押さえてきてるかも。てゅーか超便利コレ。拙宅の「まだミョーに発生している紙書類」の撲滅が捗る! 部屋にあった雑多な紙書類がどんどんクラウドに上がっていってスッキリ! みたいな感じです。

 てなわけで以降、iX1500の使用感についてレビューしてみたいと思います。なお、iX1500の機能やスペックなど詳細については、PFUの製品紹介ページをご覧ください。

筆者的ドキュメントスキャナ事情

 iX1500をレビューする前に、筆者がどういうスタンスでドキュメントスキャナを使うかについて、少々書いておきます。どんな人がどうiX1500を使ってレビューするのか、を明確に。

 まず、筆者がドキュメントスキャナを多用したのは、2013~2014年頃までです。その頃までは仕事上で紙書類がけっこう発生しており、また紙の書籍や雑誌もけっこう買っていました。ですが、その頃を境に、筆者周辺の仕事上でやり取りされる紙書類が電子化傾向に入り、電子書籍コンテンツも急増したという印象があります。

 自炊(紙の本を自分でスキャンして電子化すること)し残した本類も、この頃くらいまではあったんですが、次々と電子書籍化された感じ。なので、そういう電子化されたものを買い直して読んだりしていました。ネットにて無料&合法で読めるマンガも急増したような記憶があります。

 そんな感じで徐々に紙書類や紙書籍が「たまらない」ようになり、それらを電子化して処分するためのドキュメントスキャナの出番は減っていきました。最終的には2016~2017年頃で完全に使わなくなったかな? 多枚数のドキュメントを高速にスキャンする必要がなくなったからですね。それでも少しは「紙書類や紙書籍がたまる」わけですが、「このくらいの枚数・冊数なら、とりあえず手を付けず一時保管で!」みたいな。

 また、スマートフォンのカメラが高画質化してきた頃でもありました。なので、保管せず利用したいドキュメントに関しては、「この程度の枚数の紙書類ならスマホで撮って使えばいいや」みたいなスタンスにもなりました。

 現在、本については「電子書籍のみ購入する」「電子化されていないような書籍は読まない」をわりと徹底しているので、一昔前のように物理的に本がたまることは激減しました。たまに紙の本も買いますが、それを自炊することはありません。自炊は手間も時間もかかりつつ、かつて感じた「その本が電子化されたときの自炊の徒労感」がヤなので、「再読したいなら一時保管」「読んで気が済んだら処分」としています。

 ただ、紙のドキュメントやメモなど細々した紙情報は、今でもけっこう残りがち。紙の状態であることが非常に重要な契約書などのドキュメントは除いても、雑多な紙書類っていまだに発生します。ペラ1枚の書類、シリアル番号か書かれた紙、名刺とか、ちょっと重要なメモ類とは、あとで必要になりそうな注意書きとか説明書きとか……。

 まあそういう枚数の少ない「電子化してとっておくのが無難」な書類は、スマホで撮ってクラウドに保存する感じです。クラウドに上げちゃえば、PCでもスマホでもすぐ見られますしネ。

 けど、写真を撮るのがちょい面倒で、撮った画像をクラウドにコピーするのにもちょい手間がかかります。それと画像なので検索性がイマイチ。それに、最近のスマホは画質がイイと言っても、写真だとなんか「汚いドキュメント」に見えて少しモヤモヤと。

 まあでも少数だし……いやアレか、ScanSnapとかでスキャンしてPDF化すれば内容で検索できるファイルになるのか。画質もかなりイイし。

 いやいやいや、ペラ1枚の書類をアレするのにドキュメントスキャナをパソコンにつないで……面倒だし大げさだなぁ。というコトで、最近の筆者は素朴な方法というか原始的な手法というか、スマホで書類をスキャン(というか撮影)して電子化し、紙を処分しているのでした。

 でも、最新型ScanSnapことiX1500は、そんなプリミティブな筆者の都合を知ってか、イキナリとてもスマートなソリューションになってくれました。マジこれスゲく便利なんですけどぉ~、的な。

紙書類や紙メモをクラウドに上げたい人目線の利便とは?

 筆者の紙書類事情をまとめますと「多量じゃないけどチョイチョイ発生する紙書類をサクッとクラウドに上げて保存・管理・閲覧したい」というコトです。「あとで必要になりそうな情報が書かれた紙書類を電子化してクラウドに上げとけば、いつでもどこでもその情報を見られてグレイト!」という話です。

 で、そんなスタンスの筆者におけるiX1500は、かなり好都合。どこが好都合かと言うと、iX1500のひとつの機能性である「ScanSnap Cloud」の存在です。ScanSnap Cloudは、iX1500をクラウドストレージと接続するようなイメージのサービスです。iX1500でスキャンしたドキュメントがダイレクトにクラウドストレージに保存されるという感じ。

 このScanSnap Cloud自体は2015年11月25日にスタートしたサービスで、当時はiX500やiX100といった機種で使えました。そして、最新機種iX1500ではより自由度の高い活用が可能になっています。

 さて、iX1500が各種クラウドと直接つながるイメージのサービスことScanSnap Cloud。具体的な動作としては、たとえば紙書類をiX1500に乗せて本体前面のタッチパネルをポンとタップすると、その紙書類がスキャンされ電子化されつつクラウドに保存されます。

 クラウドストレージのどのフォルダへ、どのファイル形式で保存するなどの設定も可能。名刺をOCRしたPDFファイルにして、ファイル名を会社名・人名にしてクラウドの特定フォルダに保存みたいなことも容易です。

ScanSnap Cloudサービスのイメージ。iX1500がWi-Fiでインターネットと接続されていれば使えて、iX1500をパソコンなど端末と接続する必要はありません。スキャン結果がクラウドストレージへ保存されるルートは、[iX1500でスキャン]→[ScanSnap Cloudへ自動アップロード]→[ScanSnap Cloudから設定したクラウドストレージへ転送]といったもの。使うにはScanSnap Cloudのアカウントが必要です。

 iX1500に書類をセットして、ボタンを押せば、書類のスキャン結果が常用のクラウドストレージ上に保存されます。でも……ボタンって? 複数のクラウドストレージを使っていた場合は? 書類の種類や保存場所は? いろいろ疑問ですが、このあたり、かなり自由度が高いです。

 その理由のひとつは、iX1500の前面にはタッチ対応液晶パネルがあり、その機能性が高いことです。液晶パネルにスキャンやスキャン設定などのボタン(アイコン)が並んでいます。画面上にある丸いボタンはスキャン条件やスキャン結果の保存先などをひとまとめにしたプロファイルになっていて、これは詳細にカスタマイズしたり追加したりできます。

iX1500の前面にはタッチ対応の液晶パネルが搭載されていて、ユーザーインターフェースがこの一箇所に集約されています。スマートフォンに近い操作感で、この画面からスキャン操作やスキャン設定変更など様々な操作が可能。右の画像は液晶パネルの表示例ですが、上の段に並ぶ丸いアイコンは「プロファイル」と呼ばれるスキャン設定・保存先などのひとまとまりの設定です。スキャンの目的に合わせてプロファイルを選び、下の大きなScanボタンを押せばスキャンが始まります。PCに触れずにスキャンを行えるというわけです。
筆者が使用中のiX1500。プロファイルを追加・カスタマイズしました。スキャン結果の保存先を常用のクラウドストレージ上として、書類に応じてスキャン設定や保存先フォルダを変えてスキャンできるようにしてあります。

 前の型までのScanSnapは、総じてPCとつないで使う機材というイメージでした。本体に書類をセットして、PC側でスキャン設定を行い、スキャンボタンを押すと、PC上にドキュメントが保存される。これ以外の使用シチュエーションもありますが、まあだ~いたいPCとセットで使っていたScanSnap。

 ですが、iX1500はスキャン設定などがプロファイルとして本体内に保存されますので、スキャン時にPCを操作する必要はありません。さらに、ScanSnap Cloudサービス使用時、つまりクラウドストレージをスキャン結果の保存先とした場合は、PCは不要です。ただし、プロファイルをiX1500上に設定するときにはPCが要ります。

 てな感じで、従来のScanSnapからけっこー違った使用感・利用価値があるiX1500。本体上に加わったタッチパネルと、スキャン設定・スキャン結果保存先などをひとまとめにした設定であるプロファイルがあること、それから、ScanSnap Cloudサービスをより高い自由度で活用できるようになったことで、なんつーか、一皮むけた新次元&現代的なドキュメントスキャナになったという印象があります。

 もちろん、従来型ScanSnapのように、PCとセットにして使うこともできますし、iX1500上のボタンを操作せずにPC上から操作することもできます。従来機の機能性と使用感も内包しているiX1500です。

 てゅーか、クラウドストレージ方面を向きつつ率直な印象を言えば、「iX1500はクラウドへの窓口」「iX1500でスキャンするだけでクラウド上に分類整理可能」といった感じ。しかもPC不要(プロファイル設定時には要るけど)です! 筆者にとっては、コレってクラウド向けスキャナって気がしまくり。なんか、いまの筆者の指向とバッチリとマッチ!

 そして、iX1500の利用のキモは、ScanSnap Cloudサービスの利用とプロファイルの設定なのだと思ったりもします。上の写真の丸いボタン。これをどう使うかですね~。

プロファイルには何を設定できる?

 ここで言うプロファイルとは、iX1500でスキャンするときの設定です。原稿種別(自動判定なのか文書なのかレシートなのかなど)、スキャン設定(カラー設定や両面/片面スキャンや解像度やファイル形式)、スキャン結果保存先(PC/クラウド/保存フォルダなど)、スキャン完了後の連携アプリケーション等々。スキャン動作や保存先などの一連の設定のセットですね。プロファイルはiX1500に保存されますが、その設定はPCから行います(一部はiX1500上でも行えます)。

iX1500でスキャンした結果を一望したり、iX1500のプロファイルを追加・編集・削除したりする場合は、PC用アプリケーション「ScanSnap Home」(画像はMac版)を使います。画像左はホームウィンドウで、PC・クラウド上のスキャン結果を見ることができます。このウィンドウの左上にある「Scan」をクリックすると、画像中央の「スキャン画面」が表示され、接続されているiX1500の設定内容を変えたり、ウィンドウ上のScanボタンを押してスキャンを開始することができます。また「スキャン画面」右上のグレーのアイコンをクリックすると、プロファイルを追加したり編集したりすることができます(アイコン左が追加で右が編集)。画像左はプロファイル編集中の様子。

 目的に合ったプロファイルを作成・使用することが、iX1500の活用のキモだと思います。ただ、ScanSnapを使ったことがない場合、iX1500は「いろいろ設定でき過ぎて迷う機材」になるかもしれません。使い始めは、初期設定のプロファイルを試しつつテスト的にアレコレとスキャンしてみるのがいいでしょう。

 で、慣れたら、新たにプロファイルをつくっていきます。ユーザーのオリジナル設定でのスキャンをするための設定セットづくりですね。上の画像のようにPC上でScanSnap Homeアプリを使ってつくります。

PC用アプリケーション「ScanSnap Home」から「スキャン画面」を呼び出し、プロファイルを新規作成していく様子。スキャン画面の○に+があるアイコンをクリックすればプロファイルの新規作成です(その右のアイコンは既存プロファイルの編集)。20種類以上の「プロファイルのテンプレート(ひな形)」があり、基本的な設定がなされています。そこから選んで設定をカスタマイズする感じです。画像右はテンプレートから「おまかせスキャン」を選んでカスタマイズを開始した様子です。

 どんな設定ができるのか? 上の右画像で少々ご説明します。

 まず「プロファイル名」のところですが、○に★マークの絵柄と、その横の「おまかせスキャン」が、iX1500画面上に表示されるボタンのアイコンと名称になります。これらは変更可能で、アイコンは約50種から選べます。アイコンは直感的に理解しやすいものが多く、名前も付けられるのでとても実用的ですが、手持ちの画像をアイコンとして使えないのが残念です。iX1500の画面がカラーで大きくてキレイなだけに。

 その下の「原稿種判別」や「スキャン設定」では、スキャンする原稿種類とその原稿に応じたスキャン設定を行います。原稿種類は、文書/名刺/レシート/写真の4種。これらを自動的に判別させることもできますし、固定的に指定することもできます。スキャン設定は初期値でだいたいOKという感じですが、目的に応じて変更することもできます。

原稿種別を自動判別させるか固定するかなどを設定。原稿種別に応じたスキャン設定も行えます。iX1500では原稿をOCRし、原稿の日付やタイトルを抽出し、それらをスキャン結果のファイル名として適用することができます。たとえば文書とレシートでは(中央と右の画像のように)、自動的に付けられるファイル名が異なります。これらを含め、ファイル名、ファイル形式、スキャン設定やファイルサイズなどを自由に設定できます。

 そのほか、フィードの設定として、通常スキャンか断続スキャンか手差しスキャンか、原稿サイズは自動検出か固定かなど細かな設定もできます。新規プロファイル追加画面の左にあるプロファイルのテンプレートには、あらかじめかなり実用的な設定がなされています。ので、テンプレートを切り換えつつ良さそうな設定のものを選び、それを少しイジって自分に都合が良いようにカスタマイズするのがいいでしょう。

 プロファイルづくりで、わりと重要なのがスキャン結果の保存先です。PCに保存するのか、クラウドに保存するのか。さらに、どのフォルダに保存するのかなどです。

保存先を設定している様子。保存先はPC上かクラウド上か、どのフォルダに保存するか、PC上に保存した場合は連携アプリを使うかどうか、連携アプリは何かを設定できます。中央画像は保存先をクラウドストレージ(Dropbox)にした様子。その場合も保存先フォルダを選べます。右画像はクラウドサービス選択画面。利用できるクラウドサービスはbox、Dropbox、Evernote、Google Drive、OneDrive、Eightなど10種類以上あります。

 という感じで、必要に応じてプロファイルをつくっていきます。そして、プロファイルができると、iX1500上に新しいボタンが追加されます。独自のスキャン設定・保存先設定などが詰まったボタンですね。

iX1500の液晶パネル表示ですが、左が初期状態、右がプロファイル追加後の状態です。独自のスキャン設定・保存先などを、アイコンをワンタップするだけで選べるようになります。

 単にプロファイルというスキャン設定セットをボタンのカタチで追加しただけではあります。ですが、iX1500上のそのボタンを、タップするだけで設定セットを選べて、すぐスキャンできるのが意外なほど便利だし快適です。

 それと、クラウド保存用のボタンの不思議感。クラウドへの保存はPCレスで行えます。つまり、クラウド保存のためのボタンを押す程度。

 それを使っていると、なんだかそのボタンが「クラウドの特定フォルダへ直接通じるワームホール」のような気がしてきます。「このボタンを押すと、ここにある紙が、瞬時にクラウドへ吸い込まれて消えていく」という不思議な感じ。実際はプロファイルのボタンを押して、さらにScanのボタンも押しますし、紙書類はiX1500の下から出てくるすわけですが。

 ともあれ、いきなりグイッとクラウドを「ここに持ってきた感じ」がするiX1500。iX1500のなかにクラウドを「引っ張り込んできた感じ」かも。まあそういう印象はどうでもいいことですが、紙書類とクラウドストレージを非常に近づけてくれるドキュメントスキャナであることは確かですし、激便利です。クラウドも多用するし、相変わらず紙書類が発生してかったるいし、という方はぜひこのスキャナをチェックしてみてください!

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。