スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

iPhone XS Maxで商品撮影~♪

今時のスマートフォンは写真がキレイ!

 最近の新型スマートフォンで撮った写真はとてもキレイ。背景をボカすとか美肌にするとか目を大きくするとか特殊な処理を抜きにしても、スマホで単に撮っただけの写真が美しく感じられます。先日買った最新型iPhoneこと「iPhone XS Max」(レビュー記事)はとてもキレイに撮れる。いや、約1年前の端末である「iPhone X」(レビュー記事)でもかなりキレイに撮れます。

2017年11月3日に発売されたアップルの「iPhone X」。中央と右はiPhone Xで撮った写真ですが、2枚ともリサイズしただけです。発色も解像感も良好で、十分な光量があれば被写体のディテイルまで鮮明に写ります。たまに色味がハズレたりしますが。でも普段使いのカメラとして画質的には満足しています。
2018年9月21日に発売された「iPhone XS Max」。中央と右の写真はiPhone XS Maxによるもので、リサイズしただけ。こちらはさらに画質がアップし、より美しい写真が撮れるようになりました。ただ、被写体によってはやや「エモーショナル感」が強くなり過ぎ? ってコトもありますが、多くのケースで発色も解像感も十分満足できています。

 iPhoneの場合、デュアルカメラになったiPhone 7 Plus以降から急激に画質が向上したような印象があります。iPhone 7 Plusは2016年発売ですが、その頃から現在に至る「スマートフォン全体の急激な画質向上」が始まったって感じですネ。

 ともあれ、そういう最近のスマートフォンで写真を撮っていると、「これってけっこー仕事に使えちゃうレベルの画質だなあ」と頻繁に思います。筆者的には「スマートフォンで撮った写真をレタッチして縮小して」という前提付きではありますが、Web媒体などあまり高解像度を必要としない用途ならかなりイケちゃうと思います。

2枚ともiPhone Xで何となく撮ったスナップです。左は明るい場所で撮った時計ですが、1.8倍のデジタルズームを使っているのにここまで写っちゃいました。この画像を見て「これやっぱり仕事に使える画質だわ」と確信。右はポートレートモードを実験中の1枚で、部分的におかしなボケが発生していますが、時計の部分は意外にキレイに撮れています。
iPhone Xで撮った写真がミョーに高画質なので、仕事でWebページに掲載するための写真撮影にiPhone Xを使うようになりました。これらは紐の結び方を説明した写真で、iPhone Xで撮影。レタッチなどしてありますが、今時のスマートフォンってここまで撮れちゃうんですね。

 写真画質の向上が著しい今時的スマホ。ミラーレス一眼あたりと比べると、まだまだデジタルカメラ専用機のほうがずっと高画質ですが、スマホでもソコソコ撮れちゃうんだから、もっと活用しよう! そう考え、最近は仕事の撮影にスマホも使ってみたりしています。そんなわけで今回は、筆者が行っている「スマホでの商品撮影方法」などについて書いてみたいと思います。スマホでブツ撮りってわけですね♪

机上スタジオをセッティング!

 まずは商品撮影っていうか小物撮影の舞台となる「机上スタジオ」をセッティング。と言っても、好みの色のボードを置くとか、背景をすっきり見せるためにやはりボードを置く程度です。

 それから光源。照明はなるべく明るい方が好ましいです。暗いと画質的にノイジーになるスマホが多いからです。

 また、筆者が感じるところとしては、スマホやデジカメなどデジタルな撮像素子に都合の良い光源は、やっぱり太陽光です。机上スタジオが窓辺にあれば最高(昼間は、ですが)。

 人工の光源としては、昼白色の蛍光灯(色温度5000Kくらい)がいいと思います。やや黄色みがかって写ることもありますが、最もクセのない発色をしてくれると感じられます。

 LED光源もいいですが、LEDって演色性の高い白色でも、妙に赤が強調されたりすることがあります。以前はプロ向け機材でもそうで、強めの赤の補正で痛い目に遭ってからは撮影用LEDはスルーしています(最近の撮影用LED照明は良くなっているのかもしれません)。

 とか言いつつも、白色の光源ならまあだいたいイイんじゃないかと思います。スマホ写真は色味などをかなり「盛ってイイ色に見せる処理」がされていますので、神経質に光源を考えてもしょうがないかも、的な。

筆者の机上スタジオ。仕事用デスクトップPCの左側の僅かなスペースです。机面は白。背景を整理して後のレタッチなどを行いやすくするため、机面と同じような白いボードを後方に置きます。今回使う主な光源は白色LEDのデスクライト×1灯。天井には蛍光灯の照明や白色LEDの照明があり、これらもある程度被写体を照らしています。

 それから、多くのケースでスマホを固定するホルダーと三脚の類が必要になると思います。なくても撮れますが、光量が足りないほど手ブレが起きがち。ブレるとライティングや発色がよくても写真自体が台無しになりますので、ぜひ三脚・ホルダー類の使用を!

 また、撮影するときは、スマホのフラッシュ機能をオフに! フラッシュ機能を使うと、被写体に違和感のある反射が出たり、コントロールしにくい影が出たりします。オフにしたほうが自然な雰囲気で撮れるでしょう。

左はSLIKの「メモアールミニ T2」(公式ページ)。ミニ三脚+スマホホルダーという感じの製品で、三脚とホルダーはバラしてそれぞれ個別でも使えます。右はよくあるスマートデバイス用スタンド。こういうスタンドにスマホを置いて撮るだけで手ブレを防げます。
スマホの高さなど位置を容易に変えるには、少し機能性の高いアームなどとスマホホルダーを組み合わせて使いましょう。左はカメラ固定用のクリップに、自由に動き強固に固定できるアームをセットし、その上にスマホホルダーを装着したもの。右は、小型三脚に自撮り棒をセットし、その上にホルダーを装着したものです。これでもかなり手ブレ補正効果があります。もっと大きな三脚にスマホホルダーをセットして使ってもいいんですが、そうすると撮影機材がどんどん大がかりになり、スマホで撮影できるという手軽さが低減してしまいます。
上の机上スタジオで、水彩絵の具を撮ってみました。使ったスマホはiPhone X。左が撮ってリサイズしただけのもので、右がレタッチ・トリミングしてリサイズしたものです。けっこうキレイ。
こちらは懐中時計。同じくiPhone Xを使いました。左がリサイズのみで、右がレタッチ・トリミング・リサイズしたもの。やや不自然な影が出ました。

 けっこう目立つ影が出ちゃいましたネ。でも画質的には上々。細部まで克明に写りました。では、さらに写真をキレイにしていく方向で。

一工夫で写真のキレイさが向上

 机上スタジオで撮った写真は、強めの影が出ていて、イマイチって感じですネ。そこで影を消すための工夫を。オススメなのは「レフ板」と呼ばれる、光源からの光を跳ね返して被写体の影部分に当てるためのボードです。専用品もありますが、白や銀のボードなら何でもOK。紙やノートでもいいですし、ボードの類にアルミホイルを貼ったものでも大丈夫です。

「レフバンα」という商品名で売られているレフ板。光源からの光を反射させ、被写体の影の部分を明るくするように使います(その逆の使い方もありますが)。白、光沢の銀、梨地の銀など反射の違いで光のソフトさなどが変わってきます。また、黒いレフ板があると、被写体近くに置くことで被写体の明暗を強調することなどができます。光沢のある被写体に白っぽい写りこみが入ってしまったときも、黒いレフ板を使って写り込みを除去できることがあります。
こちらはM-PLANの「レフ板のついたリングノート」(公式ページ)。A5サイズ・リングノートの一部ページが銀色のレフ板になっていて、自立させて使えます。最大でA4サイズのレフ板としても使用可能。ノートのページを使えば白レフ板としても使えると思います。メーカー税別価格500円。

 では、先ほどの影が出ちゃった被写体を、レフ板を使いつつ再撮影してみましょう。撮影はiPhone Xで。写真は、左が撮ってリサイズしただけのもので、右がレタッチ・トリミング・リサイズしたものです。レフ板を使うにあたって、光源の位置なども調節しています。

水彩絵の具。レフ板不使用時とあ~んまり変わらない感じですが、僅かに全体の明暗差が縮まりました。これによりレタッチ結果がより良好に。
懐中時計。こちらも同様に全体の大きな明暗差が抑えられ、より良いレタッチ結果が得られました。

 レフ板を使うと、最終的な写真の仕上がりがかなり変わってきますね~。レフ板を使う場合、スマホスタンドがあるとレフ板を自立させておけて便利です。

 肝心なのはレフ板をどの位置に置いて、どう光を反射させて被写体に当てるか、ですが、率直なところ「被写体がイイ感じに見えるようにする」です。「レフ板 使い方」で検索すれば、教科書的な方法が多々見つかると思いますが、やっぱり結局、「これが良い見栄えだと思う」というのは人それぞれです。アレコレ試しつつ「イイ感じ!」と思える光の当たり方を見つけてみてください。

もっとキレイに撮れるアイテム

 スマートフォンとデスクスタンドと背景を隠すボードやレフ板、それから三脚やスマホホルダーがあれば、スマホでブツ撮りができたりするわけですが、より手軽なアイテムもあります。卓上スタジオ的な製品です。

 2017年12月7日にエツミから発売された「ドームスタジオ ネオ(S/M/Lの3サイズ)」(公式ページ)があり、良さそうだったのでソレを買って使ってみたら、なかなかナイス。なので、ソレをご紹介しましょう。

購入したのは、左のSサイズと中央のMサイズ。どちらもワンタッチで広げられ、1分くらいで設置を完了できます。収納時は畳むと傘のように細くなります。グレー・白でリバーシブルのバックスクリーン付き。なかに被写体を入れて撮るわけですが、入る被写体の最大サイズは、Sサイズが10cm程度までの立方体、Mサイズが20cm程度までの立方体です。※画像はメーカーウェブサイトより抜粋。

 これ、光源からの光をソフトにぼかすボックス型のディフューザー。なかに入れた被写体に、光源からの光がわりと均一に当たります。これにより、違和感のある強いコントラストや影が出にくく、被写体全体の色やディテイルがバランスよく写るというわけです。

ドームスタジオ ネオのMサイズで撮影してみます。光源のデスクライトを2つに増やしました。スマホはiPhone X。撮る前から、被写体がなんかイイ感じに見えます。
水彩絵の具。撮っただけの状態でもかなり良好な画質に。色味を整えてゴミを消し、トリミングしましたが、元の写真からそんなに変わりません。
懐中時計。光の当たり方も細部の見え方もイイ感じです。かなり接写していますので、文字盤左側はピントが甘いです。iPhone Xの光学2倍ズームを使い、被写体から少し離れて撮るべきでした。

 とても簡単にセットできるわりには、背景もキレイに処理されますし、良好なライティングになります。また、昼間に明るい場所で使っても、上のような光の当たり方になるので、使い方によってはデスクスタンドも不要になります。さらにレフ板を使えば、より多彩なライティングが可能になりますが、レフ板を使わなくても十分イイ感じに光が当たることが多かったりします。

 てな感じで、スマートフォンによるブツ撮りを試してきました。っていうか、こんな感じでスマホでブツ撮りして納品している筆者。まだまだ「デジタルカメラさえもスマートフォンの一機能として吸収されてしまう」ことはないと思いますが、それでもどんどん実用性を高めているスマホのカメラ機能。今後も注目しつつ、仕事の撮影にもスマホを使っていきたいと思います。

 余談ですが、この記事中の写真で、冒頭のiPhone本体写真および断り書きがない写真は、全てiPhone XS Maxで撮影したものです。けっこーちゃんと撮れてますよね!? ツカエルぜiPhone XS Max!

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。