スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

写真は四角がキマる! スマホ用プリンター「スマホdeチェキ」

写真は四角がキマる! スマホ用プリンター「スマホdeチェキ」

 2017年11月17日に発売された富士フイルムの「スマホdeチェキ(instax SHARE SP-3)」(公式ページ)。富士フイルムのインスタントフィルムに写真をプリントするプリンターで、スマートフォンなどスマートデバイス用です。非常に最強に欲しいっていうか使ってみたいと思ったので、発売直後に購入しました。

富士フイルムの「スマホdeチェキ(instax SHARE SP-3)」。新しく発売されたインスタントカラーフィルムの「instax SQUARE」を使うスマートデバイス用プリンターで、スマホで撮った写真をWi-Fiで転送してプリントできます。カラーはブラックのほかホワイトも。実勢価格は2万3000円前後。

 この製品に興味を持ったきっかけですが……少し以前に、富士フイルムのインスタントカメラことチェキシリーズの「instax SQUARE SQ10」(公式ページ)という機種に触れました。プリンター内蔵のデジカメ。知人が使っていたんですが、チェキシリーズはけっこう使っていたので「新しいのが出たのか」程度の印象。しかし意外なインパクトが。

 目を見張ったのは「スクエアフォーマットのインスタントフィルム」が使われていた点。これまでのチェキ用のフィルムとは異なる、アスペクト比1:1の四角い写真がプリントされていたんです。

 1:1のアスペクト比は、ご存知Instagramの画像と同じで、正方形の写真ですネ。ただ、それが物理的にプリントアウトされたのを見ると、な~んか、とても懐かしい感じ。

 ……そう言えば30年くらい前に見た気が、こういう紙の写真。あーアレか、120フィルムのコンタクトプリントとかか。ローライとか? みたいな記憶が蘇ったのはさておき、この縦横比の写真なんかイイな~、と。

「スクエアフォーマットのインスタントフィルム」である「インスタントカラーフィルム instax SQUARE」(公式ページ)にプリントした写真。プリント画面サイズは62×62mmです。正方形の写真って、なんと言うかこう「どんな被写体を配しても決まる」という感覚。正方形なのでバランスがよく最初から安定感があるからでしょうか。それが紙の状態になり周囲に白い枠があると、さらにアート感のようなものがある写真だと感じられます。不思議ですが、なんかイイですネ♪

 そんな「独特のアスペクト比の紙の写真」を見て、急激に「instax SQUARE SQ10」を使いたくなりました。でも「instax SQUARE SQ10」はデジカメとしてはプリンタ内蔵のため大きめ。四角写真はイイ感じなんですが、このサイズ・スペックのデジカメが欲しいわけではありません。出力されるプリントは魅力的だけど、まあちょっと今回は見送りかな~、みたいな流れに。

 そして、しばらくして登場したのが「スマホdeチェキ(instax SHARE SP-3)」でした。スマートフォンやタブレットで使えるモバイルプリンターで、前述の「インスタントカラーフィルム instax SQUARE」を用紙として使います。つまりスマホで撮った写真を、正方形の写真としてプリントできる! これは楽しいハズ♪ ということで購入に至りました。てなわけで以降、「スマホdeチェキ(instax SHARE SP-3)」の機能や使用感についてレビューしてみたいと思います。

スマートデバイス用のモバイルプリンター

 まず「スマホdeチェキ(instax SHARE SP-3)」(以下、SP-3)の概要ですが、前述のとおりWi-Fiでスマートフォンなどスマートデバイスに接続できるモバイルプリンターで、スマートデバイス内の写真を「インスタントカラーフィルム instax SQUARE」でプリントアウトできます。スマートデバイスに専用アプリ「スマホ de チェキ」(Android/iOS対応)をインストールして使います。

「SP-3」の本体サイズは、横116×縦130.5×厚さ44.4mmです。質量は312g(バッテリー/フィルム別)。バッグに入れて持ち歩けるサイズ・質量です。
使用時は縦置き。上部からプリントされたフィルムが出てきます。プリント出口にはLEDがあり、バッテリー残量やフィルム残量を確認可能(これらはアプリでも確認可能です)。「インスタントカラーフィルム instax SQUARE」のカートリッジをセットして使います。
ボタン類は、電源ボタン、直前の画像を再度プリントする「REPRINT」ボタンだけです。電源は脱着可能な充電式バッテリー(NP-50)で、本体のmicroUSB端子からUSB充電して使います。満充電から約160枚プリント可能。スマートフォンとの接続はWi-Fi(IEEE802.11b/g/n)です。

 写真は「インスタントカラーフィルム instax SQUARE」に印刷されます。プリント画面サイズは62×62mm。プリント画素数は800×800ドット。プリント解像度は318dpiで、RGB各色256階調=最大1677万7216色で印刷されます。

「SP-3」によるプリント例。発色は良くコントラストも良好。白のヌケや黒の深さも十分だと感じられます。
プリント画素数は800×800ドットですが、パッと見では「解像度が低い」という印象はありません。写真によっては「高解像度」だと感じられることも。

 アプリからプリントを開始して「SP-3」からフィルムが排出されるまでにかかる時間は、約13秒。フィルム排出時間については「待たされ感」はあまりありません。ただ、そこから数分、フィルム上に画像が現れるまではやや待たされます。でもまあ、「ほっとけば画像が浮かび上がっている」という感じなので、これもまた「待たされている感じ」は希薄です。

 漠然とした印象ですが、これまで使ってきたチェキシリーズの印刷結果のなかでは、この「SP-3」の出力がいちばんキレイだと感じられました。まあ、印刷した写真は最新世代のスマートフォンで撮ったものなので、最新スマホのカメラ性能の高さ+最新instaxプリンター&インスタントフィルムの画質の良さで、かなりキレイに見えるのだと思います。とは言え、こういうポータブルプリンター+スマホで、こういうレベルの写真がすぐプリントできることには、ちょっとした驚きがあります。

平易な使用感のアプリ

 専用アプリ「スマホ de チェキ」の使用感も、わりと平易で良好だと感じられます。アプリでできることは、「SP-3」からのプリントや、プリント用に作成した画像のSNS共有あたり。アプリで撮影してその画像をプリント、ということも可能。Instagramから写真を読み込んでのプリントもできます。

専用アプリ「スマホ de チェキ」(iOS版)の表示例。左がホーム画面ですが、できることはそれほど多くないので、迷わず使っていけます。中央はInstagramの写真を閲覧している様子で、Instagramの写真をプリントすることもできます。右は、「SP-3」からのプリント用にトリミングや色補正などを行った画像を、SNSに投稿する機能。背景として写真や好みのカラーを設定することもできます。

 このアプリは主にプリントのために使うケースが多いと思いますが、プリントの手順もわりとシンプル。直感的に使っていけると思います。以下で、実際のプリント手順を見てみましょう。

スマートフォン内の写真をプリントしてみます。まずは「写真から選択」を選んで作業を進めます。中央のスクリーンショットはスマートフォン内の写真を選んでいる様子ですが、InstagramやFacebookの自分のタイムラインから写真を選んだり、DropboxやGoogle PhotoやFlickrなどから写真を選び出すこともできます。
選んだ写真を正方形にプリントすることができますが、「テンプレート」を使えば1枚のフィルムのなかに複数の写真を入れて「分割写真」としたり、1枚の写真を複数枚にまたがらせる「組写真」もつくれます。通し番号とテキストを入れた「枚数限定プリント」も可能。ここでは単純に、1枚の写真を色調整などしてプリントしてみます。
調整後、それで良ければ「プリントする」をタップ。約13秒でフィルムが排出され、その後数分でフィルム上に写真が現れます。
ホーム画面で「マイテンプレート」を選べば、あらかじめレイアウトされた位置に自由なテキスト(色なども指定可能)を配置してのプリントができます。雑誌表紙やCDジャケットを思わせるプリントとしたり、メッセージ入り写真なども手軽にプリント可能。なかなか楽しい機能です。

 専用アプリ「スマホ de チェキ」は高機能ではありませんが、必要十分+ちょっと楽しい機能も備えているという感じ。アプリが平易に使えて、さらにプリント時間も約13秒と高速なので、とてもクイックに使えるモバイルプリンターだと感じられます。

残念なフィルム価格、でもそれ意外はナイス!

 最後に「SP-3」をしばらく使ってみての印象ですが、前述のようにプリントも速いですし、アプリも簡単に使えます。また、「SP-3」のWi-Fiアクセスポイントとしての立ち上がりも十分速く(電源を入れてから12~13秒でスマートデバイスから接続可能になることが多い)、なかなか快適。ポータビリティも高くて好印象ですが、電池がよく保つ(満充電から約160枚プリント可能)あたりまで含めて実用性が高いモバイルプリンターだと思います。

 じつは「SP-3」の電池室のフタが「電池交換時には本体から完全に外れるタイプ」で、「SP-3」購入当初は「これだと電池交換時にフタを落とすだろうし、そのうち無くすだろうな~」と思っていました。でも電池が十分保つので、まあ普通に使っていたら予備電池は不要。なので、電池室のフタの件は気にならなくなりました。

 あと、人前でプリントして見せると高確率で「ウケる」のも楽しい点。「あーっその箱、ポラロイドなんだー!」(いやあのソレ富士フイルム的には禁句っていうか……)とか「すごいキレイに印刷されるんだね~このポラロイド」(だからあのinstaxっていうかインスタントフィルムっていうかあの……)みたいな感じで、軽く盛り上がります。

 アスペクト比1:1、スクエアの写真というのも飽きなくて良いです。たいていの写真が「キマる」という感じ。写真をどうトリミングしても、どう色調整しても、それっぽいというか意味深というか、なんか「この写真はアリだな」という印象になるから不思議。やっぱりいいですね、正方形写真。

 写真の発色や解像度まで含めて実用的で、かなり使えるし遊べる「SP-3」。なのですが、ひとつ残念に思うのが、使用するフィルムである「インスタントカラーフィルム instax SQUARE」の実勢価格に割高感があるところ。従来のチェキ用フィルムは10枚入り×2パックで1200~1300円ですが、「SP-3」で使う「インスタントカラーフィルム instax SQUARE」は10枚入り×1パックで1200~1300円しちゃいます。

 まあ、新フォーマットなので、生産量などの関係でまだ安くはならないんでしょう。しかし従来比約2倍のランニングコストは痛いかも。画質も良好ですしスクエアという点でも魅力的なフィルムだけに、現在のこのランニングコストが残念です。近未来に期待、みたいな。

 でも、それ意外はほぼ文句ナシ。画質がしっかり向上した現在のスマートデバイスから、キレイでキマったプリントを手軽に得られるのはとても愉快です。より高性能なデジカメで撮った写真でも、スマートフォンなどに転送すればこの「SP-3」でプリント可能。単機能ではありますが活用幅は広いので、興味のある方はぜひ「スマホdeチェキ(instax SHARE SP-3)」をチェックしてみてください♪

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。