スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

あのガラケー型Androidスマホは、どうなのか?

「Mode1 RETRO」買っちゃいました♪

あのガラケー型Androidスマホは、どうなのか?

 あ~っ! ガラケーっぽいスマートフォン! 2017年9月25日に発売されたピーアップ(PUP)の「Mode1 RETRO MD-02P」(公式ページ)ですが、なんかミョーに惹かれて発売日にテルル店頭で買っちゃいました♪ 税込2万1492円(税別1万9900円)でした。

ピーアップの「Mode1 RETRO MD-02P」。一見、二つ折りのフィーチャーホンですが、OSはAndroid 7.0。もちろんGoogle Playからアプリをインストールできます。SIMロックフリーの端末で、SIMサイズはnanoSIM。NTTドコモとソフトバンクのネットワークに対応しています。ディスプレイは3.5インチWVGA(800×480ピクセル)のIPS液晶で、もちろんタッチ操作可能。内蔵ストレージは16GB、外部ストレージは32GBまでのmicroSDに対応。画面にタッチして操作できるほか、テンキーなどの物理キーでも操作できる、ガラケー・スタイルのスマートフォンというわけです。カラーはブラックのほかホワイトがあります。
「Mode1 RETRO MD-02P」のスペック。Android端末としてはエントリー機というイメージの、あまり高くないスペックです。※ピーアップウェブサイトより抜粋。

 惹かれた点は、二つ折りのテンキー付きAndroid端末というところ。漠然と「これはガラケーっぽく使えるAndroid端末なんだろう」と思って衝動的に購入した感じです。

 現在のスマートフォン機能をかつての二つ折り端末で使えたら、パカッと開いてクイックに使えそうです。さらに片手でラクに操作できそう。カパッと閉じればコンパクトになるし、コレはやっぱり非常にイイのでは! と思ったわけです。

 ただ、実際にはけっこー違いました。筆者は当初この「Mode1 RETRO MD-02P」を「ガラケーっぽく使えるスマホ」と思い込んだわけですが、実際は「スマホにテンキー部を装着したような端末」でした。かつての二つ折りガラケーの使用感とはたいぶ違う。そんな意味では、ちょっと期待外れとなりました。

 とは言っても、使い方によっては「あらこのテンキー部分が便利!」というナイス要素も多々ありました。逆に「テンキーがあってもこうなっちゃうのか~」という残念要素もありました。てなわけで以降、「Mode1 RETRO MD-02P」の良かった点・イマイチだった点を、約2カ月間ポチリポチリと使ってきたユーザーの観点で書いてみたいと思います。

なかなかイイぞ! 「Mode1 RETRO MD-02P」

 まずは「Mode1 RETRO MD-02P」(以下、MD-02P)の「ココがイイね!」と思える点から。なお、この「MD-02P」の機能や対応SIM等々については製品の公式ページをご覧ください。

 この端末はAndroid 7.0搭載のスマートフォンで、画面はタッチ対応。画面のタッチ操作だけでも使えます。それに加えてテンキー部分の物理ボタン類を使うと、Android 7.0搭載スマートフォンの機能を「物理ボタン一押し」で使えるのが、まずイイ感じです。全ての機能を物理ボタンで呼び出せるわけではありませんが、テンキー類で機能をサクッと呼び出す「物理ボタンでのショートカット操作」はなかなか快適。

下部にある物理ボタンがAndroidスマートフォンのショートカットボタンとして機能します。テンキー上部はアプリや機能へのショートカットで、最上段は左から、アルバム、Google音声検索(音声認識)、タスクマネージャー。その下の段の左右4つのキーは、左上(MENU)がアプリ一覧、右上(地球マーク)がWebブラウザ、左下(フキダシ)がマルチキー(短押しで登録アプリ起動/長押しで好みのアプリを登録)、右下がカメラ機能の起動。中央の4方向キーは、左が着信履歴表示、右が連絡先表示、中央ボタンはアプリ一覧となっています。その下のクリアボタンは「戻る」や「通知表示」などに使えます。
上段中央のボタンを押せばGoogle音声検索が機能します。「OK、Google」と言わずにボタンを押すだけで使えるので、より手軽&気軽にGoogle音声検索を使うことができます。あるいは、テンキーを押せば電話機能への番号入力となりますので、電話機能を呼び出すというステップを省いて電話をかけることができます。

 といった感じで、一般的なスマートフォンではできない「ボタン一押しでの機能呼び出し」がイロイロとできます。ショートカット操作を使っていると、とても便利だと感じられます。ガラケーにあった良さが思い出されもします。特定の機能・アプリのみ使うなら、テンキーなど物理ボタンだけでの操作も現実的かもしれません。

 ちなみに、「MD-02P」の表示は2種類から選ぶことができます。Android端末の表示である「ベーシックホーム」と、ガラケーというかガラホっぽい表示の「シンプルホーム」です。

左が「ベーシックホーム」で、右が「シンプルホーム」。それぞれホーム画面とアプリ一覧表示です。テンキー操作でもタッチ操作でも、「MD-02P」の操作は「シンプルホーム」のほうが行いやすいと思います。ただ、筆者はより慣れているほうの「ベーシックホーム」で使用中。

 それから、背面のサブディスプレイ(モノクロTFT液晶/32×109ピクセル)もちょっと便利。閉じた状態で本体右サイドのボタンを押すと時刻が表示されます。着信があった場合、サイドのボタンを押すと着信マークと着信時刻を表示。充電中は「CHARGING」、着信中は「CALLING」と表示されたりもします。

背面サブディスプレイの表示例。時刻をはじめ、ちょっとした情報が表示されます。ただ、着信時に相手の番号が出なかったり、着信があった場合は現在時刻が表示できないなど、あくまでも「サブ」のディスプレイという感じ。

 ほか、電池パックが交換できるのも実用的。スマートフォンには電池パックという概念がほぼ無くなってしまい、電池切れにはUSB充電で対応。「MD-02P」は電池切れ時に、電池パックの交換でもUSB充電でも対応できます。もちろん使用中のUSB充電もOK(電池にはよくありませんが)。内蔵バッテリーが膨らんでスマートフォンの画面に滲みが……みたいなことを考えても、交換可能な電池パックは好都合。「MD-02P」のバッテリー面での自由度の高さは、現在のスマートフォンよりも好印象です。

本体背面のカバーを外すと電池交換できます。ただし、SIMカードやmicroSDカードの脱着時は電池を外す必要があります(電源はいったんオフ/電池再装着後に端末は再起動)。

 といったところが、良いと感じられた要素。「MD-02P」を「スマホにテンキー部を装着したような端末」として考えると、追加されたテンキー部はしっかり役立ちます。二つ折りにできて画面やキーを保護できる点も実用的。形状・長さ・イヤホンとマイクの位置などは通話に適切というあたりも、「MD-02P」の利便だと感じられます。

ここはイマイチかも~

 続いて「MD-02P」のダメな点……とは言いませんが、イマイチな点、期待外れだった点などを。そういう点が、けっこー細々とあり、少なくない感じ。

 まず、比較的に多くのケースで「結局は画面にタッチしての操作」が必要になること。アプリの操作を各種物理キーで行うわけですが、必要な操作全てを物理キーだけで行えるとは限りません。その場合は画面をタッチ操作することになります。またその場合、画面が小さいことと、保持する手からやや離れた位置に画面がある分、ちょっと操作しにくいことも。

 このことは、操作性云々よりも「なーんだ、結局また画面操作が必要なのか~」という期待外れ感が強いというイメージ。「MD-02P」について「ガラケーのように片手で操作できちゃうハズ」という思い込みが強いほど、この期待外れ感も強くなると思います。

 あと、物理キーがポイントとなる端末のわりには、ちょ~っと物理キーがチープな使用感、かも、しれません。まあ好みによりますが、フラットで感触に乏しいこのキーは筆者の好みではありませんでした。また、キー押下感自体は悪くないんですが、テンキー部がやや下寄りなので、数字入力や文字入力(トグル入力)は想像していたよりスムーズではありません。文字刻印もやや薄いので見づらさもあります。でもまあ、ある程度使い続ければ、どれも慣れられる範囲だと思います。

 それとバッテリー容量。1650mAhという容量で、「MD-02P」もエントリー機くらいのスペックなのですが、けっこー早く減るという印象です。使い方にもよりますが、Android端末としてアプリをガンガン使ったりすると1日は保たないように思います。ただ、バッテリー交換できるので、ガシガシ使う場合でもバッテリー容量不足を回避するのはわりと容易でしょう。

 動作速度については、思ったよりサクサクと動くような気がしております。ただ、筆者はゲームアプリを使いませんし、この端末で動画を観たりもしません。メールを読んだりSNS系アプリをちょっと使ったり、Googleマップを閲覧したり、という程度です。そのくらいの使い方なら、動作速度や、あるいは画面解像度についてもあまり不満は出てこないのかも、です。

 ちょっと残念なのがカメラ機能です。今時的なスマートフォンと比べちゃうと明らかに見劣りする画質。一昔前のカメラ性能という感じで、ホワイトバランスの的確さや露出の的確さは物足りないレベルです。具体的には、ホワイトバランスは背景や被写体の色により簡単に引っ張られて狂いがちですし、露出も同様。ガラケー時代のカメラよりは高性能・高画質だとは思いますが、このカメラで撮った写真が「インスタ映え」するようなことは無いんじゃないかな~とか思います。

 あ、あと、カメラのAFの音が凄く大きいのが気になりました。最初に使ったときは「ビクッ」と驚くほどの音量。「カカン!」みたいな音がするんですが、過剰な音量でした。設定で「スピーカーのボリュームブースター」をOFFにしてみたら少し軽減された気がしますが、それでも大きめの音。謎のAF音量仕様です。シャッター音もかなり大きな音ですが、AFはシャッターより頻繁に使いますので、たびたびそういう音量が出るのは……結局、画質もイマイチで音量も凄いカメラ機能は次第に使わなくなりました。

 もうひとつ、どうやらこの端末は使用中に二つ折りにしてスリープ状態に入ると、起動しているアプリをいったん終了させてしまうようです。筆者は「MD-02P」にてバックグラウンドで走らせておきたいアプリはほとんどないので、大きな問題ではないのですが、それでも少し支障が。

 たとえばGoogleマップを見つつ目的地に向かっていて、この先まっすぐ進めばいいからと、Googleマップを表示したままいったん端末を二つ折りにしてスリープにします。で、次の分岐などで再度端末を開いてスリープから復帰させると、ホーム画面が表示されます。フツーのスマホならさっきのGoogleマップが表示されるハズですが、「MD-02P」はスリープに入るとGoogleマップを終了させてしまいます。ですので、再度Googleマップを起動する必要が出てしまうのです。

 そんな動作をする「MD-02P」なので、アプリを再度起動させる手間がかかったりします。使うアプリによっては困ったことになることもあると思います。

過去の「成功体験」が物理キー搭載端末を好きにさせる?

 さて、「MD-02P」にはテンキーなどの物理キーが付いていて、それをうまく使うとけっこー快適だったりする端末です。ただ、それら物理キーは無くてもOK。「MD-02P」はAndroid端末であり、画面をタッチして操作できるからです。また、この「スマホにテンキー部を装着したような端末」について、上記のようにいくつか難点があり、けっこーユーザーを選ぶことも事実です。

 そういったことまで含めて考えても、筆者は「やっぱり物理キーボード的インターフェースがある端末は楽しいナ♪」と感じてしまいます。結局、キーボード類を搭載している端末が好きなんですよね。

 あと、「MD-02P」の画面サイズ・解像度も好きです。閲覧したりタッチ操作したりするのにギリギリ最小サイズという印象ですが、この凝縮感が好み。テンキー部を取り払って「超小型スマホ」として売ったりしたら、ミニサイズ好きな人に売れそうです。超小型スマホ「Jelly Pro」(関連記事)のような良さとなるかも。

 でもまあ「MD-02P」の特徴はテンキーなどの物理キー。ということで話を戻しますが、考えてみれば筆者は物理キー満載のスマートフォンを多々使ってきました。10年くらい前にはノキアの「E61」とか。その後はブラックベリーの「BlackBerry Bold」とか。どちらも物理キーボードを備えたスマートフォンです。

左写真のシルバーの端末がノキア「E61」(隣は「E61i」)。中央写真はノキア「E90 Communicator」。右写真はブラックベリー「BlackBerry Bold」で、キーボードとトラックボールを搭載していました。物理キーボード内蔵端末がけっこーあったんですネ、一昔前は。

 上の写真のノキア「E61」やブラックベリー「BlackBerry Bold」は日本国内でも発売されていました。どちらも非常に使いやすい物理キーボードを内蔵していたので、当時はすご~く多用しました。こういう端末が今の時代に出てきてくれたら、やっぱり惹かれて思わず購入しちゃうと思います。

 ていうか、ブラックベリーから「KEYone」(公式ページ)あたりの物理キーボード内蔵Android端末が出ていたりします。そういうのを使うとイイのかも! 欲しいかも「KEYone」!

 ……とか何度も思ったりしている筆者ですが、そういうコトを思うたびにヒトツの結論に行き着いて、軽くブルーになったりします。というのは、「物理キーボード内蔵端末」に惹かれるのは、筆者の「過去の成功体験への執着」からではないのか? と考えてしまうからです。

 昔を思い起こしてみますと……、携帯電話が普及し始めた頃の端末は、通話程度しかできず、電話帳もカタカナで手入力というレベル。その後、携帯電話で日本語テキストのメールが使えるようになり、文字入力用キーボード内蔵端末が登場し、携帯電話メールとインターネットメールの相互乗り入れが果たされ、さらにメールもウェブブラウジングも行える上記のノキアやブラックベリーの端末が出てきたり。

 そういう端末に次々飛びついてきたアーリーアダプタの筆者には、端末が与えてくれた「成功体験」が多々あります。成功体験ってよりは「新機能体験」かも。ともあれ、最初は単なる電話機だった端末に、次第に快適な操作・文字入力ができる機構・性能が備わっていき、端末はどんどん進化。そんな端末を次々使ってきた筆者は、「新しい端末に乗り換えると、いつも必ず、さらに自由に文字入力したり、快適に操作できるようになる!」という良い体験を重ねてきたのです。

 なので、「MD-02P」についても、自分内部のバイアスとして「良いもの」と思い込む傾向が少々あります。初めて二つ折り端末を使ったときは「わぁ便利!」って感じだったんですね。当時の成功体験のイメージが「MD-02P」により脳内に再出現し、それで「MD-02P」が過度に魅力的に見えちゃっている、という気がします。

 そんな感覚は、こないだまで買いそうになっていたブラックベリー「KEYone」についても同様。過去のキーボード搭載最新鋭端末はどれも効率良く使えましたので、「あの効率の良さ」に「現在の先端OS」だから「最高に便利だろう!」などと脊髄反射的に考えてしまいがち。でも、実はそうではありません。

 実際はどうなのか? たとえば、現在でも一応動作するノキア「E61」などを使ってみますと、「くぅ~カッコイイ! すげぇイカス! 完成度高っ!」とか軽く興奮したりはしますが、冷静に使ってみると操作も文字入力も(現在としては)かなり効率が悪いです。

 それに比べると、今時的Android端末やiOS端末は、も~の凄く快適に操作できます。とくに文字入力はそう。必要に応じてソフトウェアキーボード・タイプを変えて入力できますし、不要なときは消えてくれます。変幻自在のソフトウェアキーボード! キーボード搭載の古い端末と今時の端末を使い比べると、「素晴らしいぞ今時の端末!」と痛感します。

 って、そりゃそのハズ、求められ鍛えられてそう発展してきたんですから。今時の端末について、ある種贅沢な不満は出るとしても、優れたカタチだから現在まで発展し存在しているのだと思います。

 そう考えると、ノキア「E61」やブラックベリー「BlackBerry Bold」のキーボードや、あるいは復刻版ガラケー的な見え方でもある「MD-02P」に搭載された物理キーに、現在本当に価値があるのかは……ちょっと怪しくなってきたりもします。でもまあ多くのフツーの人は、「今時、物理キーとか、要らなくね?」ってな感じで、フツーの端末をフツーに選ぶのかな~、と思います。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。