法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

「motorola razr fold」、モトローラが挑む横開きフォルダブル

 国内外で多彩なラインアップを展開するモトローラから、国内市場向けにフォルダブルスマートフォン「motorola razr fold」の発売が発表された。

モトローラ・モビリティ・ジャパン「motorola razr fold」、サイズ(開いた状態):約160.5mm(高さ)×144.47mm(幅)×4.55mm(厚さ)、(閉じた状態):約160.5mm(高さ)×73.6mm(幅)×9.89mm(厚さ)、約243g(重さ)、カラー:PANTONE Lily White (リリーホワイト)(写真)、PANTONE Blackened Blue(ブラッケンドブルー)をラインアップ

 これまで縦開きスタイルのフォルダブル「motorola razr」シリーズを展開してきたが、「motorola razr fold」は同社初の横開きフォルダブルになる。ひと足早く実機を試用できたので、レポートをお送りしよう。

いよいよ本格化する『横開きフォルダブル』の争い

 スマートフォンの基本的な形状と言えば、「スレート形」や「バータイプ」と呼ばれる板状のボディが一般的だ。これに対し、ここ数年で徐々に増えてきたのが本体を折りたたむことができる「フォルダブルスマートフォン」だ。

 『曲げられる』という有機ELディスプレイの特徴を活かし、コンパクトなタブレットのようなメインディスプレイを書籍のように折りたためるようにした「横開きフォルダブル」、スレート形のスマートフォンを縦方向に折りたためるようにした「縦開きフォルダブル」という2つのスタイルが存在する。

 フォルダブルスマートフォンは2019年にサムスンが「Galaxy Fold」、ファーウェイが「HUAWEI Mate X」を相次いでグローバル向けに発表したことで、市場がスタートしている。

 当初はサムスンが国内向けに「Galaxy Z Fold」シリーズと「Galaxy Z Flip」を展開するのみだったが、2019年にモトローラが往年の名機の名を冠した縦開きのフォルダブル「motorola razr」を国内市場に投入。

 その後、デザインやスペックを進化させながら、ほぼ毎年、国内向けに新機種を展開し、オープン市場向けだけでなく、各携帯電話会社のラインアップにも採用されるほど、拡大した。

 一方、横開きのフォルダブルは、Googleが2023年に「Pixel Fold」を発売し、「Pixel 9 Pro Fold」「Pixel 10 Pro Fold」と進化させてきた。

 国内市場では「Galaxy Z Fold」シリーズと「Pixel Fold」シリーズ以外になかなか新機種が増えなかったが、2025年12月にはZTEから「nubia Fold」、今年4月にはオウガ・ジャパンから「OPPO Find N6」も国内向けに発売され、横開きフォルダブルの選択肢も徐々に拡がりつつある。

 7月22日22時(日本時間)にはサムスンが「Galaxy Unpacked 2026」の開催を予定しており、例年通りであれば、「Galaxy Z Fold」の新機種が発表される見込みだ。そして、今年9月にはついにアップルからも「iPhone Fold」や「iPhone Ultra」といった名称で、フォルダブルスマートフォンが発表されると噂されており、いよいよ各社の横開きフォルダブルが出揃い、本格的な争いがくり広げられることになりそうだ。

 前述のように、フォルダブルスマートフォンには「横開き」と「縦開き」という2つのスタイルが存在する。いずれのスタイルも閉じた状態でコンパクトに持ち歩き、開いたときは大画面で利用できるというメリットを持つ。

 ただ、「motorola razr」をはじめとする縦開きフォルダブルは、ケータイ時代の『折たたみ』を知らない若い世代を中心に注目を集め、Flexスタイル(端末をL字に開いた状態)でのメインカメラでの自撮りなどのニーズなどが支持されたのに対し、横開きフォルダブルは端末を開いた状態で7~8インチクラスの大画面を利用できるため、映像コンテンツや電子書籍などを楽しんだり、ビジネス文書を扱うような実働世代にも支持されている。

 筆者もワールドカップ期間中、行きつけのバーで、「Galaxy Z Fold7」でDAZNを表示しながら、試合を視聴していたが、どちらかと言えば、テック系に関心の強いユーザーが多く、まだまだ一般的なユーザーに拡がるところまでは普及していない。

 ただ、本誌の「みんなのケータイ」のコーナーをご覧いただくとわかるが、やはり、業界内では「Galaxy Z Fold」や「Pixel Pro Fold」などの横開きフォルダブルを利用するライター諸氏や記者は非常に多い。

 今回発表されたモトローラの「motorola razr fold」は、同社初の横開きフォルダブルに位置付けられる。これまでの「motorola razr」シリーズは、Snow Manの目黒蓮をアンバサダーに起用したこともあり、若い女性を中心に「motorola」「razr」というブランドを浸透させることには成功したが、販売実績では縦開きフォルダブルのライバルである「Galaxy Z Flip」シリーズには十分に対抗できていないという指摘もあり、今回の「motorola razr fold」に賭ける期待は大きい。

 販売価格についてはモトローラ公式オンラインストアで「29万9800円」と、「motorola edge」シリーズをはじめとしたスレート形のハイエンド端末に比べ、3倍程度の価格設定となっているが、MVNOのIIJmioがMNPによる移行ユーザーに対し、8月4日10時から10万円引きの「19万9800円」で販売するとアナウンスしており、ユーザーからの反応が期待される。

 その他の販路については、エディオンやJoshin、ビックカメラ、ヤマダデンキ、ヨドバシカメラなどの家電量販店、モトローラ公式ストア、Amazonなどの国内主要ECサイトなどで販売される。

剛性感と質感を兼ね備えたスリムなフォルダブル

 まず、外観からチェックしてみよう。ボディは表組を見てもわかるように、他の横開きフォルダブルとほぼ同じようなサイズ感にまとめられている。

国内で販売されている横開きフォルダブルのサイズを比較。「motorola razr fold」は「Galaxy Z Fold7」に迫るサイズにまとめられている

 もっともスリムで軽い「Galaxy Z Fold7」には及ばないものの、幅、厚さなどは次点クラスの仕上がりだ。折りたたんだ状態もスリムで持ちやすく、手にフィットしやすい形状と言えそうだ。

本体を閉じたときのサイズ感は一般的なスレート形スマートフォンと変わらない

 両筐体が合わさる右側面のエッジ部分は、それぞれの筐体にわずかに丸みが付けられており、端末を開きやすくしている。背面側はカメラ部分が「motorola edge 60 pro」などと同じように、少し隆起した状態でまとめられ、各カメラはメタル調のプレート内に収められている。

本体を閉じたときの右側面。右筐体(上側)に電源ボタンと分割式音量キーを備える。左筐体(下側)にはサイドキーを備え、長押しで「moto ai」などを起動可能
本体を開いたときの右側面。カメラ部がmotorola edge 60 proなどと同じように、少し隆起したデザインとなっている。カメラ部の厚みは実測で10.6mm程度なので、本体に対して、約6mm程度の隆起
本体を開いた状態の左側面。本体の上部寄りの部分にサイドキーを備え、長押しで「moto ai」などを起動可能
本体を閉じた状態の左側面はヒンジのカバー部分
本体を閉じた状態の背面。中央にモトローラの「M」マーク、下側に「razr」のロゴがあしらわれている。背面部分は指紋の付きにくい仕上げ。PANTONE Blackened Blueは別の仕上げを採用
パッケージには半透明のケースが付属する。背面側はボディにはめ込む構造で、前面のアウトディスプレイ側はシールを剥がして、本体に貼り付ける
本体に付属のケースを背面側に装着。本体カラーを活かすことができる半透明のケース
本体を閉じた状態の下部。右筐体(上側)の下部にはUSB Type-C外部接続端子を備える。左筐体(下側)のヒンジよりの部分にはピンで取り出すタイプのSIMカードスロットを備える
本体を開いた状態の下部。本体の厚みはわずか4.55mm。両側端がわずかにラウンドしていることから、本体の指がかりが良く、開きやすいデザイン

 隆起したカメラ部がやや厚みを感じさせるが、背面はカラーごとに異なる仕上げを採用し、高い質感を演出する。

 本体の開閉しやすさを左右するヒンジは、剛性感のあるステンレススチール製ティアドロップヒンジを採用する。

 開閉時に途中の角度で停めることもできるため、L字に開いた状態で机の上などに置き、小さなパソコンのような使い方もできる。開閉動作は非常にスムーズで、剛性感もあり、安心して利用できそうだ。

 耐環境性能はIP4X防塵、IPX8/IPX9の防水に対応する。フォルダブルにはヒンジがあるため、スレート形端末並みの防塵性能は難しいものの、防水は水深約1.5mに30分間の水没に耐えられるIPX8に加え、最近、ハイエンド端末で対応が増えてきている高圧の水噴流に耐えるIPX9にも対応している。

 日常生活での防水だけでなく、外出時の降雨などにも対応できるのは心強い。

 フォルダブルスマートフォンは落下時の破損などが気になるが、モトローラでは「moto care」と呼ばれる補償サービスを提供している。

 原稿執筆時点で「motorola razr fold」の月額料金は明示されていないが、縦開きフォルダブルの最上位モデル「motorola razr 60 ultra」が月額968円なので、同程度以上の料金になると推察される。

 使い方にもよるが、価格が高いうえ、一般的なスレート形端末に比べると、内部のメカニズムなども複雑なので、万が一に備え、契約したほうが安全だろう。

フォルダブルスマートフォン最大級の6000mAhバッテリー搭載

 バッテリーはシリコンカーボン技術を採用した6000mAhの大容量バッテリーを搭載する。シリコンカーボンバッテリーはリチウムイオンバッテリーのバリエーションのひとつで、国内でも採用例が増えており、バッテリーの負極にシリコンとカーボンの複合素材を組み合わせることで、高エネルギー密度を実現する。

 フォルダブルスマートフォンはボディを薄型化するため、バッテリーの搭載スペースが限られており、コンパクトなサイズでも高エネルギー密度を確保できるシリコンカーボンが採用されている。

 充電は最大80WのTurboPower急速充電、15WのQi規格準拠のワイヤレス充電に対応するほか、5Wの電源共有(ワイヤレス及び有線によるリバース充電)にも対応する。急速充電については[設定]アプリ内で[急速充電]を有効にする必要があり、10分の充電で最大12時間以上のバッテリー駆動時間を得られるとしている。

 ただし、パッケージにはACアダプターが同梱されておらず、モトローラ公式オンラインストアで販売されているACアダプターも30Wなので、急速充電を利用するには、別途、市販品などを購入する必要がある。

 生体認証は右筐体の右側面の電源ボタンに内蔵された指紋センサーによる指紋認証、インカメラによる顔認証に対応する。顔認証はアウトディスプレイとメインディスプレイのどちらのインカメラでも認証可能だが、マスクを装着した状態でのロック解除には対応していない。

アウトディスプレイのガラスにCorning Gorilla Glass Ceramic 3を採用

 端末を開いたときのメインディスプレイは、2484×2232ドット(2K)表示が可能な約8.1インチpOLED(有機EL)、端末を閉じたときのアウトディスプレイは、2520×1080ドット表示が可能なフルHD+対応pOLED(有機EL)をそれぞれ採用する。

本体を閉じたときのホーム画面。最下段に固定されたDockが表示される。日付をタップすれば[カレンダー]、時間をタップすれば[アラーム]が表示される
本体を開いたときのホーム画面。最下段のDockは左4つが固定表示で、右半分は最近起動したアプリが表示される
本体を上方向にスワイプすると、アプリ一覧画面が表示される。最上段は最近起動したアプリが表示され、下段の検索ボックスからアプリを検索することも可能。アプリをフォルダーにまとめることも可能
本体を開いた状態のアプリ一覧画面。基本的なレイアウトは閉じたときのアプリ一覧と変わらず、アプリを検索したり、フォルダーにまとめることが可能
画面を下方向にスワイプすると、クイック設定パネルが表示される。各機能がアイコン表示のみで、キャプション(機能名表示)がないのはやや不親切。慣れてしまえば、気にならないが……
本体を開いた状態のクイック設定パネルは左半分に表示される。右半分は通知が表示される

 メインディスプレイは最大120Hzのリフレッシュレートに6200nitsの最大輝度、アウトディスプレイは最大165Hzのリフレッシュレートに6000nitsの最大輝度となっている。

 メインディスプレイは端末を閉じるときに折り曲げるため、Ultra Thin Glassと呼ばれる極薄のガラスが採用されているが、チタン製インナースクリーンプレートがヒンジからの圧力を均等に分散するため、端末を開いたときの折り目はほぼ目立たない。

 もっともこれだけディスプレイが明るいと、何か表示しているときは元々、折り目が目立ちにくく、実用面ではまったく気にならない。

 アウトディスプレイはスマートフォンとしては世界ではじめて、Corning社製Gorilla Glass Ceramic 3を採用する。

 Gorilla Glass Ceramic 3はMWC Barcelona 2026で発表されたばかりのもので、Corningのニュースリリースによると、コンクリートを模した表面に対し、2メートルを超える高さからの落下にも耐えられる性能を持つ。

 ただし、この耐落下性能はGorilla Glass Ceramic 3のもので、「motorola razr fold」の本体に対するものではない点を間違えないようにしたい。とは言え、アウトディスプレイに一段と強化されたガラスが備えられたことはユーザーにとっても安心につながるだろう。

 ディスプレイに関連する機能として、別売の「motorola pen ultra」(1万2000円/モトローラ公式オンラインストア価格)によるペン入力が挙げられる。

別売の「motorola pen ultra」は充電可能なケースとペンで構成される。価格は1万2000円

 横開きフォルダブルは書籍やノートのような形状から、ペン入力に対するニーズが高く、「Galaxy Z Fold」シリーズは「Galaxy Note」シリーズの流れを受け、2021年に発売された「Galaxy Z Fold3 5G」からサムスン独自のSペンに対応していた。

 ところが、昨年発売された「Galaxy Z Fold7」では薄型化を実現するためか、Sペンに非対応になってしまっていた。

 「motorola razr fold」のペン入力は、メインディスプレイとアウトディスプレイの両方に対応しており、モトローラの[メモ]アプリをはじめ、お絵描きアプリとして広く知られる[CLIP STUDIO]も利用できる。

「motorola pen ultra」を使い、[メモリ]アプリに簡単な地図を書いてみた。画面内左側に扇形で表示されているのがペンのメニュー

 [メモ]アプリはペンの手描きで絵や図版などを描くだけでなく、大まかに書いた絵からAIで画像を生成したり、ペンの手書き文字をテキスト化するといった使い方もできる。ちなみに、「motorola pen ultra」は専用ケースにペンを収納して、ペン本体を充電するしくみで、専用ケースの下部にはUSB Type-Cポートが備えられ、専用ケースを充電できる。

DXOMARKで「フォルダブルNo.1」の評価を得たカメラ

 「motorola razr fold」は背面にトリプルカメラを搭載する。メインで利用するのは1/1.28インチ5000万画素イメージセンサー/F1.6を採用したメインカメラ(23mm)で、ソニーセミコンダクタソリューションズ製の「LYTIA 828」を採用する。

本体背面には5000万画素イメージセンサーのトリプルカメラを搭載

 LYTIA 828はLOFIC(Lateral Overflow Integration Capacitor/横型オーバフロー蓄積容量)技術を採用したイメージセンサーで、幅広いダイナミックレンジを実現しながら、ノイズを低減した撮影を可能にすることで、明暗差のあるシーンや暗いところでの撮影でも高品質な写真を撮影できるとしている。マルチスペクトル補助カメラセンサーも内蔵されており、高い色再現性を実現する。

 望遠カメラ(71mm)は1/1.95インチ5000万画素イメージセンサー/F2.4を採用し、ペリスコープ構造による光学3倍カメラとなっている。超広角/マクロカメラ(12mm)は1/2.76インチ5000万画素イメージセンサー/F2.0で、122度の画角でのワイド撮影や接写が利用できる。

 アウトディスプレイ上部のパンチホール内には2000万画素イメージセンサー/F2.4のインカメラ(22mm)、メインディスプレイ右上のパンチホール内には3200万画素イメージセンサー/F2.4のインカメラ(22mm)をそれぞれ内蔵する。

 モトローラによれば、スマートフォンやカメラの評価機関として知られる「DXOMARK」において、フォルダブルの端末のカメラとして、「世界No.1」の評価を得たとしている。

 ただ、ひとつ気になるのはこの評価を得たのが2026年3月現在で、その後、国内では「OPPO Find N6」が発売され、まもなく「Galaxy Z Fold」や「Pixel Pro Fold」の新機種も登場するため、「世界No.1」の評価を保持し続けられるかどうかはわからない。

 カメラの撮影モードは「スローモーション」「動画」「写真」「ポートレート」が標準で用意され、「詳細」を選ぶと、「スキャン」「ナイトビジョン」「最大画素」「グループショット」などを選ぶこともできる。

 今回は試用期間が短かったため、あまり撮影ができなかったが、日中や夜間、屋内外を問わず、全体的に明るく写真を撮ることができた。

メインカメラで撮影。画面下段に透かしを表示可能。機種名や撮影時の設定情報なども表示される
[写真]を起動し、1倍(24mm)で撮影
同じポイントで2倍(48mm)で撮影
同じポイントで3倍(71mm)で撮影。
同じポイントで6倍(142mm)で撮影。画質の劣化もあまりない

 セールスポイントのひとつである光学3倍望遠カメラも有用で、デジタルズームとAI処理を組み合わせた最大100倍スーパーズームでは遠景の被写体をしっかりと撮影できた。

日中の月と基地局のアンテナを撮影。約20倍程度(479mm)だが、月はともかく、構造物(アンテナや支柱)はしっかり撮影できている
あまりクリアな天候ではなかったが、約30倍(710mm)で富士山を撮影
コインをマクロで撮影。数cm程度まで寄って撮影できる
メインカメラで撮影するとき、アウトディスプレイの表示を有効にし、アニメーションを表示する「アイキャッチアニメ」。子どもを撮影するとき、視線を引くことができる

 ただ、遠景をズームで撮影するとき、ファインダー内でマクロ/0.5x/1x/2x/3x/6xのアイコンをタップして倍率を変更できるものの、それ以上はズームアイコンにタッチしたときに表示される円形のゲージをドラッグする必要があり、やや操作しにくい印象を受けた。

 ファインダーをピンチイン/ピンチアウトすればいいのだが、他機種では光学ズームを超える10/20/30倍といった高倍率ズームもアイコンを表示して、ワンタップで選べるため、「motorola razr fold」もユーザーインターフェイスに少し改善を期待したい。

 撮影した写真や動画はGoogleフォトと連動する[フォト]アプリで確認したり、編集ができる。編集については[自動]で[補正][ダイナミック][AI補正]が利用できるほか、[ツール]では[消しゴムマジック][背景のぼかし][ノイズ除去]などのおなじみの機能も利用できる。前述の「motorola pen ultra」を組み合わせれば、撮影した写真に手描きで記号やエフェクトを描き加えたり、不要な部分をペンで選択して削除するといった使い方もできる。

 こうした画像や写真などを編集するとき、「motorola razr fold」は横開きフォルダブルの特長を活かし、端末を開いて、より大きな画面で操作できることも見逃せないメリットだろう。

本体をL字に折り曲げた状態のラップトップスタイルにすれば、動画視聴もしやすい
ラップトップモードでは表示されたツールバーで簡単に操作できる
本体をL字に折り曲げた状態で机に置き、アウトディスプレイ側にはカレンダーや時計を表示することが可能

QuickShareによるApple AirDrop送受信に対応

 チップセットは米Qualcomm製Snapdragon 8 Gen5を採用し、RAM 12GBとROM 256GBを搭載する。外部メモリーカードには対応しない。スマートフォンに求められるメモリー容量(RAM)はAIの利用を考慮し、8GB程度がひとつの目安とされているが、「motorola razr fold」は2つのディスプレイを搭載した横開きフォルダブルということもあり、求められるシステムリソースも高く、12GB RAMを搭載したようだ。

 最近、多くの機種でストレージの一部をRAMに割り当てる「RAMブースト」や「RAM拡張」の機能が搭載されているが、「motorola razr fold」では具体的に4/6/8/12GBといった拡張メモリサイズを選ぶだけでなく、AI学習によって、メモリー使用量を最大12GBまで拡張する「AI自動」という設定も利用できる。

他のモトローラ製端末でも搭載されている[RAMブースト]は、AI学習によって、最適なメモリーを割り当てる「AI自動」を選ぶことも可能

 ネットワークは5G NR/4G LTEに対応し、海外では3G(W-CDMA)/2G GSMも利用できる。5G SAの対応についてはグローバル向けモデルが対応しているがわかっているものの、モトローラの日本法人のWebページには表記がなく、5G SAが利用可能な場所で、auのSIMカードを挿しても5G NSAでしか接続できなかった。

 auの「au 5G Fast Lane」やソフトバンクの「Fast Access」など、各携帯電話会社は5G SAをベースにしたサービスを拡大する状況にあり、オープン市場向けがメインとは言え、「motorola razr fold」も各携帯電話会社と連携を取り、5G SAやStarlink Directなどの対応状況をしっかりとアナウンスしてほしいところだ。

 SIMカードはnanoSIMカードとeSIMのデュアルSIMに対応する。eSIMの転送についてはメーカーや各携帯電話会社の対応機種のWebページに何も記載がない。

本体の左筐体(画面内上部)の下部にはピンで取り出すタイプのSIMカードトレイを備える。デュアルSIMはeSIMとの組み合わせで可能

 これも5G SAなどと同じように、メーカーで動作検証のうえ、情報発信をお願いしたいところだ。Wi-FiはIEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax/be準拠で、2.4GHz/5GHz/6GHzでの利用が可能。Bluetooth 6.0にも対応する。

 非接触ICはFeliCaを搭載し、おサイフケータイの各サービスが利用できる。モバイルSuicaの対応機種一覧やマイナンバーカードのAndroidスマホ用電子証明書の対応機種にはまだ掲載されていないが、これまでの縦開きフォルダブルの「motorola razr」シリーズは対応機種として掲載されてきた実績があるので、おそらく「motorola razr fold」も発売後に掲載されるだろう。

 衛星による位置情報の測位機能は、米GPS、露GLONASS、欧州Galileo、中国BDS(BeiDou)、印NavIC、日QZSS(みちびき)に対応する。

Android 17へのバージョンアップを予定

 プラットフォームはAndroid 16を搭載する。発表時には今秋、Android 17へのバージョンアップを予定していることが明らかにされた。

 OSのアップデートやセキュリティパッチの提供期間はアナウンスされていないが、他の「motorola razr」シリーズは基本的に3回のOSバージョンアップと3年間のセキュリティパッチの提供を実施しており、本製品もそれに準じた形でサポートされると推察される。

 横開きフォルダブルということで、ホーム画面などのユーザーインターフェイスが通常のスレート形と異なるが、「Pure Android」と呼ばれるモトローラ製端末のユーザーインターフェイスを継承しており、ホーム画面から上方向へのスワイプでアプリ一覧が表示され、ホーム画面だけでなく、アプリ一覧でもアプリをフォルダにまとめておくことができる。

 端末を開いたときのメインディスプレイも同様で、アウトディスプレイとメインディスプレイの左半分はアイコンの配置などが連動している。

 メインディスプレイは大画面を活かし、複数のアプリを同時に起動できる。たとえば、[マップ]を起動し、下段からスワイプして、アプリメニューを表示し、前述の[メモ]アプリで簡易的な地図を描いたり、[Gmail]アプリでメールを確認するといった使い方ができる。

 ここまではGoogleの「Pixel Pro Fold」なども対応しているが、「motorola razr fold」では同じようにアプリメニューから3つめのアプリを起動し、3つのアプリを並列して、利用することもできる。

本体を開いた状態では画面を分割して、2つのアプリを同時に起動できる
さらにもうひとつアプリを追加して、同時に3つのアプリも分割表示ができる。1つの画面に収まらないが、それぞれのウィンドウをタップして、切り替えながら操作できる

 中央に表示しているアプリ以外はアプリの画面が見切れてしまうが、タップすれば、そちらのアプリに表示を切り替えることもできる。

 ただし、これらのアプリの分割表示はアプリが対応している場合のみ利用でき、一部の分割表示に対応していないアプリは全画面表示になってしまうので、注意が必要だ。

 通信関連ではQuickShareを利用したAppleのAirDropとの送受信に対応している。発表時にはメーカーから「対応を検討中」とアナウンスされていたが、今回試用した端末では実際に「iPhone 17e」との間で、受信者を「すべての人(10分間)」に設定することで、写真を送受信できた。

 Googleの「Pixel」シリーズやサムスンの「Galaxy」シリーズを皮切りに、対応機種が増えているが、発売当初から対応できているのは購入を検討するユーザーにとってもうれしいだろう。

 これまでのモトローラ製端末で採用されてきたジェスチャー操作をはじめ、モトローラ製端末ならではの機能はしっかりと継承されている。従来のような[Moto]アプリは存在しないが、ホーム画面には[Moto]アプリを構成していたアプリ群がひとつのフォルダーにまとめられており、同じように利用できる。

モトローラ製端末ではおなじみの[Moto]アプリもインストールされ、2回ひねってカメラを起動するなどのジェスチャーコントロールも利用可能

ライバルに迫る横開きフォルダブルの実力派モデル

 これまで一部のメーカーのみがラインアップしてきたフォルダブルスマートフォン。なかでもテック系に強いユーザーやビジネスユースでの活用を検討するユーザーには、大画面で利用できる『横開きフォルダブル』への関心が高い。

 これまでは「Galaxy Z Fold」シリーズや「Pixel Pro Fold」シリーズが注目されてきたが、今年9月にはアップルも参入することで、いよいよフォルダブル市場が本格的に拡大しそうな気配だ。

 今回、モトローラから発売された「motorola razr fold」は、これまで同社が縦開きフォルダブル「motorola razr」シリーズで培ってきたノウハウを活かしながら、初の横開きフォルダブルとして、しっかりと作り込んできた印象だ。

 サイズ感こそ、ごくわずかにライバル機種に譲るものの、機能面では5000万画素イメージセンサーを採用したトリプルカメラをはじめ、moto aiをはじめとした充実のAI機能、「motorola pen ultra」によるペン対応など、ユーザーが横開きフォルダブルを活用していくうえで、着実に役立つものをしっかりと搭載してきた印象だ。

 半導体高騰や強烈な円安など、外的要因はかなり厳しい状況にあるが、価格は何とか30万円を切り、IIJmioではMNPなどの条件付きながら、10万円引きでの販売も実現している。オープン市場向けの端末ながら、「moto care」などのサポート体制も提供できており、これからフォルダブルの世界へ足を踏み出すユーザーにとって、非常に魅力的な実力派モデルと言えそうだ。

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