法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」
「motorola razr 50」、『フツー』を超えたい人のためのフォルダブルスマートフォン
2024年12月17日 00:01
「フォルダブル」や「折りたたみ」が世界中で注目を集める中、ラインアップを拡充しているのがモトローラだ。
往年の名機のネーミングを継承した「motorola razr」シリーズに、「razr 50」が発売された。筆者も実機を試すことができたので、レポートをお送りしよう。
『フツー』に飽きてきた?
昨年来、国内市場では端末の製造コスト増に加え、急激な為替レートの変動により、端末価格が全般的に高騰し、スマートフォンの売れ行きがあまり芳しくないと言われる。生活者から見ても物価高騰の煽りを受け、新しいスマートフォンの購入に割り当てるほどの余裕がなくなってきたという見方もある。
その一方で、各社のスマートフォンはデザインが画一化され、カメラやAIなど、機能面や性能面の進化が限られているため、『買い換えても目新しさがない』という指摘も少なくない。特に、デザイン面ではスレート状(板状)のボディばかりで、製品として、『飽きられてきた』という声も聞こえてくる。
こうした状況の中、スマートフォンの新しいフォームファクターとして、注目を集めているのが『フォルダブル』だ。有機ELパネルの曲げられるという特性を活かし、大画面ディスプレイを搭載しながら、折りたたんだ状態でコンパクトに持ち歩くことができるというメリットを生み出し、数年前から各社がハイエンドモデルを中心に次々と新モデルを投入している。
改めて説明するまでもないが、『フォルダブル』には大きく分けて、2つのタイプがある。ひとつは文庫本のように横に開くタイプで、国内では「Galaxy Z Fold」シリーズや「Google Pixel Fold」シリーズが販売されている。海外でもシャオミやOPPO、ファーウェイなどが多くの製品を投入し、今年9月、ファーウェイが世界初の三つ折りのフォルダブルスマートフォン「HUAWEI Mate XT」を発表し、注目を集めた。
もうひとつのフォルダブルが端末を縦方向に折りたためるタイプで、かつての折りたたみケータイのようにコンパクトに持ち歩きながら、端末を開くと、一般的なスレート状(板状)のスマートフォンと変わらない感覚で使うことができる。ケータイ時代を知るユーザーには懐かしく、ケータイ時代を知らない若い世代には新鮮なイメージで受け入れられ、スマートフォンの新しいデザインとして、注目を集めている。
今回、取り上げるモトローラの「motorola razr 50」は、『そろそろフツーに飽きてきた?』というキャッチコピーを掲げ、メーカーとしても携帯電話会社としても強い意気込みを感じさせるモデルだ。モトローラは世界初の携帯電話を開発したメーカーとして知られ、数多くの名機や通信技術で携帯電話業界や通信業界をリードしてきたが、現在はパソコンなどでおなじみのLenovo傘下で、スマートフォンなどの事業を展開している。
現在、モトローラの国内向けのラインアップとしては、ミッドレンジからエントリー向けの「moto g」シリーズ、ミッドハイからフラッグシップに位置付けられる「motorola edge」シリーズなどを展開しているが、これらのモデルとは一線を画し、モトローラとしてのイノベーションの象徴に位置付けられるのが「motorola razr」(レイザー)シリーズとされる。
この「razr」というネーミングは、ケータイ時代を知る読者なら、よくご存知のように、2000年代に発売されていた超薄型の携帯電話「RAZR」を受け継いだものだ。当時の「RAZR」シリーズはいくつかのモデルが販売され、グローバル市場ではひとつのモデルで累計1億台以上を売り上げるほどのベストセラーを記録したことでも知られる。フォルダブルスマートフォンとしては、2021年に国内向けに「motorola razr 5G」が発売され、その後、2023年に「motorola razr 40 ultra」や「motorola razr 40/40s」が発売。
今回の「motorola razr 50」はこれらの後継モデルに位置付けられ、オープン市場向けに販売される。同型のモデルはソフトバンクからも「motorola razr 50s」として販売され、12月には「M702iS」以来、18年ぶりにNTTドコモ向けのモデルとして、「motorola razr 50d M-51E」が発表になり、12月19日から販売が開始される。
これらのモデルのうち、「motorola razr 50」と「motorola razr 50s」はメモリーやストレージの仕様が異なるものの、基本的に共通モデルで、「motorola razr 50d M-51E」は「motorola razr 50」をベースにしながら、後述するように、NTTドコモの5G向けバンド(周波数帯域)対応などの変更が加えられている。
12月6日に発売された「motorola razr 50 ultra」は、これらの上位モデルに位置付けられる。モトローラは2024年秋から冬にかけて、合計4機種のフォルダブルを市場に投入することになり、幅広いマーケットに「motorola razr」シリーズを展開しようという構えだ。
『フォルダブルスマートフォン』はグローバル市場でも徐々に販売が伸びているが、「motorola razr 50/50s」の発表会に登壇したソフトバンクのコンシューマ事業推進統括 モバイル事業推進本部 本部長の郷司雅通氏は、日本でのフリップ/フォールドタイプのスマートフォンのシェアは、米国の1/4程度で、国内市場におけるフォルダブルスマートフォンは今後、拡大することが期待できるとしていた。
こうした市場環境を踏まえ、モトローラはグローバル市場だけでなく、国内向けにおいてもフォルダブルスマートフォンのラインアップを揃え、各携帯電話会社やMVNO各社に供給する体制を整えてきた。プロモーションについても人気俳優の目黒蓮をテレビCMに起用するなど、同社の並々ならぬ意気込みが感じられる。
スタイリッシュで持ちやすいフォルダブル
まず、外観からチェックしてみよう。
本体は基本的に従来の「motorola razr 40」シリーズの流れをくんでおり、一見、細かいリファインが中心の進化と捉えられそうだが、実機を手にすると、サイズ感こそ、大きく変わらないものの、端末の開閉動作が非常にスムーズかつ軽くになり、扱いやすくなった印象を受ける。
実は、フォルダブルスマートフォンの進化については、各社共、あまり構造的な説明をしない傾向にあるが、業界関係者によると、フォルダブルを支える重要な技術は2つあるという。
ひとつはヒンジ、もうひとつはメインディスプレイの曲がるガラスで、なかでもヒンジはメーカーの開発競争が激しく、年を追うごとに小型化され、動きもスムーズになってきたという。
「motorola razr 50」が従来モデルに比べ、開閉動作がスムーズになり、開ききるときにわずかに加速がつくなどの工夫が加えられている。一見、どの機種も同じような部品を採用していると受け取られそうだが、モトローラは独自のヒンジを開発し、ライバル製品と差別化を図ろうとしている。
ボディの背面(下筐体側)は、独特の触り心地のヴィーガンレザーを採用する。筆者が試用したスプリッツオレンジはヴィーガンレザーらしい柔らかい質感だが、別の場所で使用したビーチサンドとコアラグレーはヴィーガンレザーというより、ザラッとしたサンド仕上げという印象だ。
耐環境性能はIPX8の防水に対応する。防塵には対応していないため、ディスプレイの折り目付近の両サイドから砂などの細かいゴミが入らないように注意したい。耐衝撃性能は備えていないため、実用を考慮すると、カバーを装着したいが、パッケージには本体と同色のカバーが同梱されている。市販の保護カバー類も豊富に販売されている。
ボタン類のレイアウトとしては、上筐体の右側に電源キーと分割式の音量キー、左側面にピンで取り出すタイプのSIMカードスロットを備える。電源ボタンには指紋センサーが内蔵されており、本体を閉じた状態でも開いた状態でもワンタッチで認証し、ロック解除ができる。生体認証は指紋認証のほかに、顔認証にも対応するが、本体を開いたときのインカメラだけでなく、本体を閉じた状態ではアウトカメラで画面ロックを解除できる。ただし、マスクを装着した状態でのロック解除には対応しておらず、端末が4時間以上、ロックされている状態からの顔認証もロック解除が制限される。
バッテリーは4200mAhを本体の下側筐体に内蔵し、本体下部のUSB Type-C外部接続端子を利用しての最大30WのTurboPowerチャージ、Qi規格準拠の最大15Wワイヤレスチャージに対応する。充電器は同梱されていない。[設定]アプリの[バッテリー]のメニューには「電源共有」というメニューが用意され、他のワイヤレス充電対応製品にワイヤレスで給電できるように表記されているが、筆者の手元にあるAirPodsをはじめとした製品は充電ができなかった。画面上のチュートリアルでは「RazrでMoto Buds+(日本未発売)を簡単に充電できます」と表示されているため、対応機器に制限があるのかもしれない。
約6.9インチメインディスプレイと約3.6インチアウトディスプレイを搭載
本体を開いたときのメインディスプレイには、約6.9インチのフルHD+対応pOLED(有機EL)を採用する。リフレッシュレートは最大120Hzで、[設定]アプリ内では最大120Hzまでのスマート最適化(可変)の「高」、最大60Hzまでのスマート最適化の「標準」を選ぶことができる。電力消費を抑えたいときは「標準」を設定するが、「motorola razr 50」はフォルダブルなので、端末を閉じた状態で画面を消灯でき、アウトディスプレイでもひと通りの操作ができるため、「高」の設定のままでも十分利用できる印象だ。
メインディスプレイはピーク輝度も2000nitと非常に明るく、色域もDCI-P3 120%と広いうえ、フォルダブルで気になる折り目部分もほぼ目立たないため、映像コンテンツなどもストレスなく、楽しむことができる。
一方、上筐体外側のアウトディスプレイは、約3.6インチのpOLED(有機EL)を採用する。
「motorola razr 50」が従来モデルの「motorola razr 40」と比べ、もっとも大きく変わったのがアウトディスプレイで、従来は小窓のような約1.5インチのOLEDだったため、かつてのケータイの『サブディスプレイ』のような使い方しかできなかった。
これに対し、今回の「motorola razr 50」はぼぼスクエアな形状で、対角サイズは上筐体の外側部分のほとんどを占める約3.6インチという大きなサイズのディスプレイを搭載する。しかも基本的にメインディスプレイとほぼ同じ操作ができるユーザーインターフェイスが採用されているため、端末を閉じたままの状態でもさまざまなアプリを起動できる。
ライバル機種の「Galaxy Z Flip6」なども同様の上筐体のほとんどをアウトディスプレイ(カバーディスプレイ)が占めるデザインになっており、今後のフォルダブルはこのスタイルが主流になりそうだ。
アウトディスプレイが大きくなったことで、「motorola razr 50」の使い勝手は、従来モデルから大きく進化した。モトローラでは筐体を開いた状態のフレックスビュースタイルで、3つの置き方を提案している。
ひとつは端末を90度よりもわずかに閉じた状態で机などに置く「スタンド」スタイルで、アウトディスプレイとメインカメラを使いながら、自撮りをしたり、ビデオチャットができる。
端末をくの字に開き、開いた側を下向きにして机などに置く「テント」スタイルでも同様の使い方ができる。「テント」スタイルの場合、「スタンド」スタイルに比べ、カメラが下側に位置するので、写真やビデオなどで撮影するときの画角が違ってくる。
端末をL字に開き、机などに置く「ラップトップ」スタイルはその名の通り、ノートパソコンのような置き方で使うもので、画面を分割して、上半分で動画を再生しながら、下半分で関連するWebページを表示するといった使い方ができる。
また、カメラの使い方については、「スタンド」や「テント」といったスタイルでの自撮りなどのほかに、端末をL字に開いた状態で、端末を横向きに構え、下筐体部分を手で持つ「カムコーダーモード」も利用できる。
具体的には、L字に開いた端末をビデオカメラのように持って撮影するスタイルで、メインディスプレイをファインダーとして利用できるため、拡がりのあるシーンでパンしながら撮影したり、被写体を追いかけながら撮るようなシーンなどで、ビデオカメラ的な使い方が利用できる。
下筐体側はタッチパッドのような表示に切り替わり、タップして録画の開始/停止、スワイプしてのズーム操作などができる。ちなみに、ライバル機種も同様のスタイルで利用できるが、ビデオカメラのように使える操作画面は表示されないため、このスタイルでの操作性は「motorola razr 50」に一日の長がある印象だ。
チップセットはMediaTek製を採用
チップセットはMediaTek製Dimensity 7300Xを搭載する。MediaTek製チップセットは各社のミッドレンジやエントリー向けの製品を中心に採用例が増えており、Dimensity 7300Xはミッドレンジ向けのチップセットで、米Qualcomm製Snapdragon 7 Gen3の対抗製品とされる。性能的にもほぼ同等のパフォーマンスが得られ、一般的な用途であれば、ストレスなく、使うことができる。
メモリーとストレージについてはオープン市場向けの「motorola razr 50」がRAM 12GB、ROM512GB、ソフトバンク向けの「motorola razr 50s」とNTTドコモ向けの「motorola razr 50 M-51E」はRAM 8GB、ROM256GBをそれぞれ搭載する。
メモリーについてはRAMブーストにより、最大12GBまで追加できるが、新たに「AI自動」という項目も用意され、AIによる学習を利用し、最大12GBまでのメモリーを最適化して、利用できる。
モバイルネットワークは5G NR/4G LTE(TDD/FDD)/3G W-CDMA/GSMに対応する。5GについてはSub6のみの対応で、「motorola razr 50」と「motorola razr 50s」はNTTドコモが5Gで利用する「n79」には対応しない。
ただし、NTTドコモ向けに発表された「motorola razr 50d M-51E」ではサポートされており、NTTドコモのモバイルネットワークのパフォーマンスを重視するのであれば、そちらを選ぶ手もある。モトローラ製端末の「n79」非対応については、これまでもレビュー記事などでマイナス点として指摘してきたが、これを機に、今後は「n79」サポートが標準的になっていくことを期待したい。SIMカードはnanoSIM/eSIMのデュアルSIMに対応する。
Wi-FiはIEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax(2.4GHz/5GHz/6GHz)準拠で、Bluetooth 5.4にも対応する。衛星による位置情報の測位は、米GPS、露GLONASS、欧州Galileo、中国BeiDou、日本QZSS(みちびき)に対応しており、ナビゲーションやマップでの正確な測位に利用できる。FeliCaも搭載しており、おサイフケータイの各サービスも利用できる。
プラットフォームはAndroid 14を搭載する。モトローラ製端末は従来から「Pure Android」と呼ばれるAndroid標準にもっとも近いユーザーインターフェイスを採用する。出荷時設定ではホーム画面を上方向にスワイプすると、アプリ一覧が表示され、ナビゲーションはジェスチャーと3ボタンのどちらでも設定できる。通知パネルも大きいアイコンで、Wi-Fi接続時はアクセスポイント名が表示されるなど、各項目の設定内容がキャプションで表示されるため、非常にわかりやすい。OSのバージョンアップやセキュリティパッチの提供期間については、Webページにも特に明記されていないため、一般的な2年の提供と推察される。
「motorola razr 50」のAndroidプラットフォームが「motorola edge」シリーズなどと違うのは、フォルダブルというフォームファクターを採用しているため、アウトディスプレイについての設定項目が用意されている点が挙げられる。
外部ディスプレイの壁紙や通知パネルの表示項目、通話設定、スリープディスプレイ、表示するアプリの選択と各アプリの動作設定、音楽プレイヤーの表示内容などを細かく設定できる。これらのうち、スリープディスプレイは、端末がスリープ状態のとき、時刻や通知、メディアプレイヤーのコントロールを表示して、操作する機能になる。端末の使い方は人それぞれだが、「motorola razr 50」のアウトディスプレイを活かし、音楽プレーヤーとして利用するスタイルはなかなか便利かもしれない。
ソフトウェアという点では、Googleが提供する「Gemini」を標準で搭載する。すでにGoogleの「Pixel」シリーズなどに搭載されている「Gemini」だが、モトローラとしてはいち早く搭載し、メインディスプレイだけでなく、アウトディスプレイからも利用できる環境を整えている。たとえば、「折りたたみスマートフォンは売れてる?」などと問いかけると、それに対する答えとして、「注目を集めているが、まだニッチな市場です」などと答えたり、「フォルダブルスマートフォンにどういう形があるのか?」を問うと、ブック型(フォールド型)とクラムシェル型(フリップ型)があることをサンプル画像と共に説明し、メリットとデメリットについても解説してくれる。
具体的なイメージを描かせることもできる。「motorola razr 50」ということで、フォルダブルスマートフォンについての質問にしたが、スマートフォンに限らず、ユーザーの自由な発想で問いかけができる。端末を閉じた状態で問いかけたときは、端末を開けば、連動して、[Gemini]の内容が表示される。
また、モトローラ製端末でおなじみの[Moto]アプリ内では、[カスタマイズ]-[壁紙]-[AIで作成]を選ぶと、「スタイルシンク](StyleSync)で服装の画像などを撮影して、オリジナルの壁紙を生成できる。仕上がりはベースの写真次第だが、壁紙らしいパターン柄のものが生成される。発売時には「ソフトウェアアップデートで対応」とされていた「Magic Canvas」はすでにアップデートが提供され、Motorolaアカウントを入力すると、利用できる。機能としては、ユーザーが文章(日本語)で入力した内容に合わせ、オリジナルの画像を生成できるもので、生成した画像は[ギャラリー]に保存したり、壁紙に設定することもできる。生成する画像のスタイルは「アブストラクト」「アニメ」「印象派」「リアル」などの設定から選べるため、いろいろなグラフィックを楽しむことが可能だ。
クアッドピクセル対応カメラを搭載
カメラは、アウトディスプレイ内に5000万画素イメージセンサー/F1.7のメインカメラ(25mm)、1300万画素イメージセンサー/F2.2の超広角/マクロカメラを搭載する。
メインディスプレイ上部のパンチホール内には3200万画素イメージセンサー/F2.4のフロンカメラ(25mm)をそれぞれ搭載する。
メインカメラとフロントカメラについては、4つの画素を1つの画素として撮影するクアッドピクセル(ピクセルビニング)に対応しているため、暗いところでもより多くの光量を取り込んで、明るく撮影ができる。
メインカメラについてはオールピクセル位相差検出(全画素位相差検出)AF対応で、確実にフォーカスの合った写真を撮ることができる。超広角/マクロカメラは120度のワイド撮影ができるほか、設定を切り替えることで、マクロ撮影もできる。マクロ撮影の最短撮影距離は明示されていないが、今回試用した印象では4~5cm程度の距離が適しているようだ。マクロ撮影は動画にも対応する。
また、メインカメラと超広角カメラで撮影するときは、アウトディスプレイにプレビューを表示したり、アイキャッチアニメを表示することができる。プレビューはその名の通り、ファインダーの画面を映し出すものだが、アイキャッチアニメはアウトディスプレイに顔を描いたイラストによるアニメーションを表示することで、視線をこちらに向けさせる機能で、子どもたちを撮影するときなどに便利だ。
カメラはこれまでもモトローラ製端末同様、端末を持った状態で手首を2回ひねるように動かすと、起動できる。端末を開いた状態でも閉じた状態でもアウトディスプレイ側のメインカメラが起動するため、端末を閉じた状態であれば、端末2回ひねりから、手のひらシャッター(手のひらを見せて、タイマー撮影)ですぐに自撮りができる。ちなみに、手のひらシャッターは「スタンド」や「テント」といったスタイルで机などに置いたときの撮影でも有効なため、使い方を覚えておきたい。
撮影モードは標準で「スローモーション」「動画」「写真」「ポートレート」「プロ」「詳細」が用意されており、「詳細」には特定の色を残したモノクロ撮影ができる「スポットカラー」、前後のカメラを利用する「デュアル撮影」、3秒間隔でさまざまな写真を撮影する「フォトブース」などの機能も用意されている。
撮影時の機能としてはカメラAIを活用し、被写体の動きを捉えながら手ぶれを抑える「Adaptive Stabilization」、動画撮影時に水平をロックする「動画の水平ロック」(超広角カメラのみ)などが利用できる。撮影した写真や動画はImpress Watch Video「法林岳之のケータイしようぜ!!」の「0789 モトローラ「motorola razr 50」とソフトバンク「motorola razr 50s」を紹介!」でも紹介しているので、合わせて、ご覧いただきたい。
撮影した画像はGoogleフォトと連携する[フォト]アプリで管理する。編集はGoogleフォトの機能が利用できるため、写り込んだ他の人物などを消去する「消しゴムマジック」や「背景ぼかし」などの機能が利用できる。
『フツー』のスマートフォンとは違った楽しさを求める人に
ここ数年、新しいスマートフォンの形として、注目を集めているフォルダブル。
国内ではサムスンの「Galaxy Z」シリーズやGoogleの「Pixel Fold」シリーズ、ZTEの「nubia Flip/Libero Flip」などが販売され、徐々にユーザーが拡大している印象だが、フォルダブルスマートフォンのラインアップとして、もっとも充実しているのは、モトローラの「razr」シリーズだろう。
かつての名機「RAZR」シリーズの名を受け継いだモデルは、世代を追うごとに着実に進化によって、完成度を高め、今年は今回試用した「motorola razr 50/50s」だけでなく、上位モデルの「motorola razr 50 ultra」、NTTドコモ向けの「motorola razr 50d」と、基本仕様を共通化しながら、バリエーションを拡大している。
今回試用した「Motorola razr 50/50s」は、フォルダブルスマートフォンの要とも言えるヒンジが従来モデル以上に開閉しやすくなり、ボディもヴィーガンレザーによって、非常に質感のいいものに仕上げられている。大型化したアウトディスプレイは自撮りがしやすいだけでなく、閉じた状態でアプリが利用できる閑居を整えている。AIを活かした機能もグラフィック関連を中心に充実しており、今後の進化に期待が持てそうだ。
フォルダブルというフォームファクターはどうしても耐久性などを不安視する向きがあるが、万が一のときのために、SIMフリー版についてはモトローラが提供する「moto care」、ソフトバンク版は「あんしん保証パックプラス」、NTTドコモ版は「smartあんしん補償」に加入しておくことを強くおすすめしたい。筆者も数台のフォルダブルスマートフォンを利用してきたが、数年前には使用開始から一年程度で、保護フィルムに浮きが出てきたケースもあり、保証サービスの契約は必須だと考えている。ただ、保証サービスに限らず、モトローラとしても保護フィルムの貼り替えサービスを各地で利用できるようにするなど、ユーザーのサポート体制を拡充して欲しいところだ。
価格については、モトローラ公式ストアが「motorola razr 50」を13万5801円で販売しており、IIJmioなどのMVNO各社でもこれに準じた価格で販売している。ソフトバンクの「motorola razr 50s」は一括販売価格が11万5200円に設定されているが、新トクするサポート(プレミアム)を利用すれば、1~12回までが月額3円、13~48回までは3199円で購入できる。つまり、1年後に返却するのであれば、実質36円に早トクオプション利用料の1万9800円を加えた1万9836円で利用できる計算になる。ただし、この販売方法は総務省のガイドライン改定により、12月26日以降に改定される見込みで、購入を検討しているのであれば、早めに手を打っておきたい。ちなみに、NTTドコモの「motorola razr 50d M-51E」は11万4950円で、「いつでもカエドキプログラム」を利用することで、2年後に返却すれば、実質負担額を5万9510円に抑えることができる。
各社のスマートフォンのデザインが画一化され、今ひとつ個性が感じられない中、フォルダブルスマートフォンは端末のデザインだけでなく、使い方も含め、新しいスタイルを生み出そうとしている。モトローラの「motorola razr 50」は、従来モデルから着実に進化を遂げ、『フツー』のスマートフォンと違った存在感と楽しさが体験できるモデルに仕上げられている。オープン市場向けの「motorola razr 50」に加え、ソフトバンク向けの「motorola razr 50s」、NTTドコモ向けの「motorola razr 50d M-51E」とラインアップも豊富に揃え、幅広いユーザーが手にしやすい環境を整えている。ぜひ、実機を手に取り、フォルダブルスマートフォンの新しい可能性を体験していただきたい。
製品情報「motorola razr 50」(モトローラ)
https://www.motorola.co.jp/smartphone-motorola-razr-50/p
製品情報「motorola razr 50s」(ソフトバンク)
https://www.softbank.jp/mobile/products/smartphone/motorola-razr-50s/
製品情報「motorola razr 50d M-51E」(NTTドコモ)
https://www.docomo.ne.jp/product/m51e/
moto care(モトローラ)
https://moto-bu.motorola.co.jp/moto-care/
あんしん保証パックプラス(ソフトバンク)
https://www.softbank.jp/mobile/service/anshinpack/plus/
smartあんしん補償(NTTドコモ)
https://www.docomo.ne.jp/service/smart_anshin_hoshou/