法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

「Galaxy Z Fold5」グローバル版、スリムに進化したフォルダブルの本命

 7月26日、サムスンは韓国・ソウルにおいて、イベント「Galaxy UNPACKED 2023 July」を開催し、フォルダブルスマートフォンやタブレット、スマートウォッチを発表した。

 今回発表された製品のうち、「Galaxy Z Fold5」のグローバル向けモデルをいち早く試用することができたので、そのレポートをお送りしよう。

存在感を増すフォルダブルスマートフォン

 スマートフォン本体のデザインが画一的になり、各製品の個性の打ち出し方が難しくなると言われる中、ここ数年、急速に存在感を増しているのがフォルダブルスマートフォンだ。

 フォルダブルスマートフォンは、2019年9月にサムスンやファーウェイが相次いでグローバル向けに発表し、世界中から高い注目を集めた。当初は価格面だけでなく、耐久性などを疑問視する向きも多かったが、ヒンジや耐環境性能の改良が進められ、徐々に信頼性を高めている。シャオミやOPPOなど、後発メーカーの製品も登場し、今年はついにグーグル(Google)からも「Pixel Fold」が発売された。

 フォルダブルスマートフォンのフォームファクターとしては、文庫本のように端末を横方向に開くモデルでスタートしたが、かつてのケータイを彷彿させる縦方向に折りたためるフォルダブルスマートフォンも登場している。

 2020年2月にサムスンから「Galaxy Z Flip」が発表され、国内でもauから発売された。2021年にはモトローラが往年の名機のネーミングを冠した「moto razr 5G」を発表し、国内ではソフトバンクから発売された。今夏にはその後継モデル「motorola razr40 ultra」も発表されている。

 この縦方向に折りたためるケータイライクなフォルダブルスマートフォンは、コンパクトなボディとポーチのように提げるファッションスタイルが人気を集め、海外では女性を中心に利用が拡大し、国内でも若い世代の女性を中心に、高い関心を集めている。

 今回発表された「Galaxy Z Fold5」は、そのモデル名通り、「Galaxy Z Fold」シリーズの5代目モデルになる。「Galaxy Z Fold」シリーズは世代を追うごとに、着実に進化を遂げてきたが、今回は従来モデルからヒンジ部分の構造を一新し、ボディの形状や開閉動作などを大幅にバージョンアップさせている。ユーザーインターフェイスも見直され、これまで以上にメインディスプレイでさまざまなタスクを操作しやすくしている。

 今回試用した端末は、米国向けに販売されるグローバル版だが、サムスン電子ジャパンで技術適合証明を受けており、国内向けのSIMカード(NTTドコモのahamo契約)を挿して利用している。

 「Galaxy Z Fold5」はサムスン電子ジャパンのWebページでも予告されているように、国内向けに供給されることが確実視されているが、今回試用した製品と国内向けに各携帯電話会社から発売される製品とは、プリインストールされているソフトウェアなどに差異があるかもしれない点をご了承いただきたい。価格などについては国内向けがどのような価格設定になるのかがわからないため、今後、サムスン電子からの発表と本誌ニュース記事でご確認いただきたい。

スリムになったヒンジは開きやすく

Samsung「Galaxy Z Fold5」(米国版)、開いた状態:約154.9mm(高さ)×129.9mm(幅)×6.1mm(厚さ)、閉じた状態:約154.9mm(高さ)×67.1mm(幅)×13.4mm(厚さ)、約253g(重さ)、Icy Blue(写真)、Phantom Black、Cream、Gray、Blueをラインアップ

 まず、外観からチェックしてみよう。

 発表時のファーストインプレッションでも触れたように、今回の「Galaxy Z Fold5」は一見、従来モデルと変わらないデザインのように見えるが、ヒンジが一新されたことで、デザインも扱いやすさも変わっている。

 「Galaxy Z Fold」シリーズは2つの筐体をヒンジでつなぎ合わせ、それぞれの筐体をまたぐように1枚のメインディスプレイをセットし、有機ELディスプレイの曲げられる特性を活かすことで、本体を閉じたり、開いたりできる構造を採用している。

 ディスプレイが曲がる内側の部分、出版用語で言うところの「ノド」側の部分はある程度、曲げに余裕を持たせるため、従来モデルでは端末を閉じた状態でも少し隙間があった。注意して利用すれば、それほどトラブルにはならないが、この隙間にゴミが入ってしまうとディスプレイを傷つけてしまうリスクがあった。同時に、本体を閉じた状態では、ヒンジ側と外側で本体の厚みが違い、くさび形のような形状になっており、厚さはヒンジ側が15.8mm、2つの筐体が合わせる側面側が14.2mmとなっていた。本体を保護するカバーを装着すると、一段と厚みが増し、ヒンジ側は22mmを超えていた。

 これに対し、今回の「Galaxy Z Fold5」では、「デュアルレール」と呼ばれる新しい高耐久のヒンジを開発し、ヒンジを構成するパーツを刷新することで、本体を閉じたとき、左右の筐体の合わせ部分の隙間を大幅に少なく仕上げている。「Galaxy Z Fold4」と並べた写真を見れば、一目瞭然で、「Galaxy Z Fold5」は2枚の板状の筐体を重ねたようなフラットな形状にまとめられ、厚さはヒンジ側も側面側も13.4mmに仕上げられている。カバーを装着すると、厚みは増すが、それでも18~19mm程度に抑えられている。

 全体的なサイズとしては、従来の「Galaxy Z Fold4」と比較して、スペック上、高さが0.2mm、開いたときの幅が0.2mmという違いで、大きさの差があまりないように感じられるが、ヒンジ部分が2.4mm、スリムになり、重量が10gの軽量化を実現したため、筆者のように実機を使ってきたユーザーは「軽く、スリムになったな」と実感でき、はじめて触れる人も「前のに比べて、薄く軽くなったのね」と答えるくらいの差がある。

本体を閉じて、上部から見たところ。2つの筐体がほぼぴったり合わさっている。カメラのリング部分の突起は約3mmほど
本体を閉じた状態の右側面。右筐体(上側)の中央付近に指紋センサー内蔵電源キー、その左隣にシーソー式の音量キー。左筐体(下側)の上部にはピンで取り出すタイプのSIMカードスロットを備える
背面はフラットでさらっとした仕上がり。ヒンジの構造が変わったことで、置いた状態でもヒンジ側(右手前側)がスリムに仕上げられている
本体を開いた状態での背面。カバーディスプレイと反対側の筐体の境目部分はほとんど隙間がない仕上がり
右筐体(上側)の本体下部にはUSB Type-C外部接続端子を備える
本体を閉じて、下部から見たところ。2つの筐体がぴったりと合わさっていて、非常に美しい仕上がり
「Galaxy Z Fold5」(左側)と「Galaxy Z Fold4」(右側)の上部から見たところ。「Galaxy Z Fold4」(右側)はヒンジ部分に隙間が空いているのに対し、「Galaxy Z Fold5」(左側)は上下の筐体がぴったりと合わさり、ヒンジ部分にもほぼ隙間がない
フラットなカバーディスプレイ側を下に向けて置くと、「Galaxy Z Fold4」(右側)がくさび形になっていることがよくわかる。「Galaxy Z Fold4」(左側)はほぼフラットな仕上がり
「Galaxy Z Fold5」(上側)と「Galaxy Z Fold4」(下側)を重ね、下部から見たところ。ヒンジ部分の仕上がりの違いがよくわかる

 新開発のヒンジは、本体の開きやすさにも影響している。以前、本誌の「みんなのケータイ」で、筆者が「Galaxy Z Fold4」を使いはじめたとき、「思ったほど、端末を開かず、閉じたまま使っている」という話を書いたが(当該記事
)、今回の「Galaxy Z Fold5」は開閉動作が少し軽くなり、開きやすくなっている。ユーザー自身の意識によるのかもしれないが、フォルダブルスマートフォン本来の魅力である端末を開いた状態での利用シーンが増えることになりそうだ。

本体を開いた状態。ヒンジの構造を一新したことで、端末を開きやすくなった

 側面のボタン類の位置や、本体下部のUSB Type-C外部接続端子などの基本的なレイアウトは変わらない。側面の電源ボタンには指紋センサーが内蔵されている。本体を閉じた状態でも開いた状態でも右側に位置する電源ボタンでロック解除ができる。インカメラを利用した顔認証にも対応する。指紋認証は「Samsung Pass」アプリ(従来は「Galaxy Pass」アプリ)によって、サイトのログインやアプリ起動時のID/パスワード入力などを登録しておくことができる。

 耐環境性能はIPX8の防水で、防塵や耐衝撃性能には対応していない。防水については韓国・亀尾(グミ)工場を見学した際、製造工程での試験を見ることができたが、製造中の本体を水没させるのではなく、決められた気圧をかけることで端末本体の密閉を確認し、基準をクリアしているかどうかを確認している。

 バッテリーは従来の「Galaxy Z Fold4」と同じ4400mAhの大容量バッテリーを搭載するが、チップセットの性能を活かした省電力技術の向上により、従来よりも長時間の利用が可能としている。

 具体的には音楽で最長72時間、動画で最長21時間、それぞれ再生することが可能だ。短い期間だが、筆者の「Galaxy Z Fold4」と併用してみたところ、「Galaxy Z Fold5」の方が少しバッテリー消費が緩やかになった印象を得た。もっとも「Galaxy Z Fold4」は約1年近く利用しているので、バッテリー性能そのものが低下している可能性も否定できないが……。

メインディスプレイとカバーディスプレイは従来と同サイズ

 ディスプレイはと本体を開いたときに利用するメインディスプレイと本体を閉じた状態で利用するカバーディスプレイ(サブディスプレイ)の2つを搭載する。

 メインディスプレイは2716×1812ドット表示が可能なQXGA+対応7.6インチDynamic AMOLED 2X(有機EL)を採用する。リフレッシュレートは1~120Hz対応で、なめらかな表示と省電力を両立させている。ディスプレイの最大輝度は従来モデルの1000nitから1200nitに向上し、ピーク時の輝度は1750nitまで高められている。

 カバーディスプレイは2316×904ドット表示が可能なHD+対応6.2インチDynamic AMOLED 2Xを採用する。リフレッシュレートは48~120Hz対応で、メインディスプレイとは少し仕様が異なる。

 ディスプレイの保護については、メインディスプレイは従来モデル同様、出荷時に保護フィルムが貼られており、剥がさずに利用するのに対し、カバーディスプレイはガラスのみのため、必要であれば、保護フィルムや保護ガラスを貼って利用することになりそうだ。

「Snapdragon 8 Gen2 for Galaxy」を搭載

 チップセットは米Qualcomm製の「Snapdragon 8 Gen2 for Galaxy」を採用する。メモリーとストレージは販売する国と地域によって異なり、今回試用したモデルは12GB RAMと256GB ROMを搭載していた。グローバルでの発表時はこのモデルのほかに、12GB RAM/512GB ROM、12GB RAM/1TB ROMのモデルがラインアップされていた。

 外部メモリーカードについては、Galaxy S23シリーズなどと同じように、対応していない。

 SIMカードはnanoSIM/eSIMのデュアルSIMで、前述の通り、今回はahamo契約のnanoSIMカードを装着して、試用した。最近のNTTドコモのネットワークの安定性は別にして、モバイルネットワークに接続できれば、ストレスなく利用できている。eSIMについては楽天モバイルのeSIMを登録してみたが、こちらも問題なく、利用できている。

本体の左筐体(下側)にピンを挿すと、取り出すことができるSIMカードトレイ。nanoSIMカード1枚のみを装着が可能

タスクバーとフレックスモードパネルが進化

 プラットフォームはAndroid 13を採用し、サムスンのUIアプリ「One UI5.1.1」がプリインストールされている。

 日本語入力は国内向けの「Galaxy Z Fold4」と同じSamsungキーボードが利用できた。ただし、海外で販売されているモデルでも同様の設定ができるかどうかは未確認だ。

カバーディスプレイに表示されるホーム画面。出荷時にはおなじみの天気ウィジェット、検索ボックスが設定されている
カバーディスプレイのホーム画面を上方向にスワイプすると、アプリ一覧が表示される。最上段の検索ボックスを使えば、アプリを検索することも可能
カバーディスプレイに表示される通知パネル。ここから電源操作や検索、[設定]アプリの起動、明るさの調整などができる
メインディスプレイに表示されるホーム画面。最下段のドックにはカバーディスプレイで表示される4つのほかに、「Samsung Notes」と「ギャラリー」アプリが追加される。カスタマイズも可能
メインディスプレイのホーム画面を上方向にスワイプすると、アプリ一覧が表示される
メインディスプレイに表示される通知パネル。カバーディスプレイの4個×3行に対し、5個×3行のボタンが表示される。電源操作や検索などの機能は同じ。カスタマイズや並べ替えも可能

 「Galaxy Z Fold」シリーズを使っていくうえで、気になるのはディスプレイの使い方だろう。

 筆者がこれまで「Galaxy Z Fold4」を使ってきた印象から言うと、音声通話やメール、メッセージアプリなどはたたんだままカバーディスプレイで使い、ブラウザでWebページを表示したり、動画を再生したりするときは、カバーディスプレイで表示した状態から、端末を開いて、メインディスプレイに表示を切り替えることが多い。

 写真を他人に見せるときや、Instagramを表示するときなど、ビジュアルメインなアプリについても、同様にメインディスプレイを利用する。メインディスプレイで写真などを全画面表示にすると、ナビゲーションバーなどが表示されなくなるが、画面最下段から上方向にスワイプすると、タスクバーが表示される。ここで、アプリのアイコンをメインディスプレイにドラッグすれば、マルチウィンドウで複数のアプリを最大3つまで並行して使うことができる。

 たとえば、メールを見ながら、行き先をマップで確認したり、スケジュールを表示しながら、メッセージアプリで予定の調整しつつ、電卓で交通費を計算といった使い方ができるわけだ。

メインディスプレイでアプリを起動中、タスクバーのアプリ一覧アイコンをタップすると、アプリ一覧を表示できる
アプリ一覧からアイコンをドラッグ&ドロップすると、画面を分割して、複数のアプリを同時に起動できる
Googleで検索しながら、動画を再生しつつ、「設定」アプリで設定を変更できる。境界線を操作すれば、ウィンドウの大きさを変更したり、閉じることも可能
ブラウザでWebページを表示しながら、カレンダーを見つつ、Gmailをチェック。こうした複数のアプリを簡単に同時利用ができるのはフォルダブルの大画面ならでは

 このタスクバーの右側には、最近使ったアプリのアイコンを表示できるが、今回の「Galaxy Z Fold5」では最大4つまで表示することが可能だ。「設定」アプリで「ディスプレイ」→「タスクバー」→「最近使用したアプリを表示」を選ぶと、表示できるアプリを2つから4つまで拡張できる。

「設定」アプリの「ディスプレイ」→「タスクバー」を選ぶと、「最近使用したアプリを表示」が設定できる
従来モデルでは、「最近使用したアプリを表示」で最大2件のアプリしか表示できなかったが、「Galaxy Z Fold5」から最大4件に拡張された

フレックスモード

 今回の「Galaxy Z Fold5」で、もうひとつ便利なのが拡張された「フレックスモードパネル」だ。

本体を折り曲げ、机などにおいて、利用できるフレックスモード

 「Galaxy Z Fold」シリーズや「Galaxy Z Flip」シリーズでは、端末をL字に曲げ、机の上などに置いたフレックスモードで動画を再生することが多いが、従来モデルではYouTubeなどを再生すると、垂直の画面に動画の再生画面、水平の画面にはコンテンツの説明やコメントが表示される。この状態で動画の再生位置をシークバー(スライダー)で動かそうとすると、垂直画面の下部、ディスプレイの折り目付近にシークバーが表示され、操作がしにくかった。

 これに対し、「Galaxy Z Fold5」では「設定」アプリの「便利な機能」→「ラボ」→「フレックスモードパネル」を有効にすると、フレックスモードに切り替えたとき、水平の画面左下付近にアイコンが表示され、ここをタップすると、水平の画面にツールバーが表示され、タッチパッドや通知パネルを表示したり、スクリーンショットなどの操作ができる。また、意外に面白いのが動画再生時のシークバーで、水平の画面に再生位置にシークバーや早送り/早戻し、前後スキップなどのボタンが表示される。このスライダーはYouTube以外の動画を再生しているときにも有効で、今まで以上に動画の視聴が便利になりそうだ。

[設定]アプリの[便利な機能]に「ラボ」の項目がある。このメニューには独自機能がまとまっているので、ぜひチェックしておきたい
「ラボ」では正式リリース前の機能をお試しで使うことができる。ここでは「フレックスモードパネル」を選ぶ
フレックスモードパネルを有効にすると、フレックスモード時に画面左下にアイコンが表示される
フレックスモードパネルのアイコンをタップすると、画面左側にツールバーが表示され、タッチパネルなどの機能が利用できる

 また、実用面では、従来に引き続き「Sペン」に対応する。

 手書き入力などの機能は、メインディスプレイのみでの利用になるが、今回、新たに販売される「Slim S Pen Case」は、Sペンが細くなり、右側筐体の裏側(メインカメラの面)にスリムに格納できるようになっている。Sペンそのものもパステルカラーの明るい色のものが用意されているうえ、IP68の防水防塵にも対応している。

 従来の「Galaxy Z Fold4」のオプションとして販売されていた「Standing Cover with Pen」のSペンや「SペンFold Edition」、「SペンPro」などに比べると、Sペンそのものが細いため、書きやすさは一歩譲るが、コンパクトにカバーに収納できるため、利用するシーンが大きく拡がりそうだ。

オプションとして販売される「Slim S Pen Case」。従来モデルの「Standing Cover with Pen」よりもシンプルだが、Sペンのカラーのアクセントがいい
「Slim S Pen Case」からSペンを取り外したところ。Sペンは細いが、ボタンもあり、手書き入力やホバーなどの機能も使える
オプションとして販売される「Slim S Pen Case」を装着したところ。本体前面のカバーディスプレイの周囲と側面をカバーする
「Slim S Pen Case」を装着した背面。カバーに格納されたSペンは上部側のスイッチを下側にスライドさせると、取り出せる
「Slim S Pen Case」を装着し、本体を開いたところ。ケースに厚みはあるが、それほど本体が大きくなる印象はない
「Slim S Pen Case」を装着した右側面。指紋センサー内蔵電源キー、音量キーの周囲はスペースが取られているので、操作性に影響はない

フォルダブルならではの多彩な撮り方が楽しめるカメラ

 カメラについては、本体の右側筐体の裏側にトリプルカメラ、カバーディスプレイ上部のパンチホール内にカバーカメラ、メインディスプレイの右上パンチホール内にインカメラをそれぞれ内蔵する。基本的な構成は従来の「Galaxy Z Fold4」と変わらない。

 メインのトリプルカメラは上から順に、1200万画素/F2.2の超広角カメラ(12mm)、5000万画素/F1.8の広角カメラ(23mm)、1000万画素/F2.4の望遠カメラ(光学3倍)で構成され、広角カメラと望遠カメラが光学手ぶれ補正に対応する。

右側筐体の背面に備えられたトリプルカメラ。「Galaxy S23」シリーズなどと同じ三眼デザインを採用

 カバーディスプレイ内のカバーカメラは1000万画素/F2.2の広角(24mm)、メインディスプレイ内のインカメラは400万画素/F1.8の広角(26mm)という仕様だが、どちらも画面ロック解除時の顔認証の顔データ登録と認証に利用できる。データも共通なので、個別に登録する必要はない。

 撮影モードとしては「ポートレート」「写真」「動画」があり、「その他」では「EXPERT RAW」「ナイト」「食事」「ポートレート動画」などを選ぶことができる。

 「写真」モードを選べば、自動的にシーンに合わせた撮影が可能で、暗いシーンではピクセルビニングにより、明るく撮影することができる。望遠についてはフラッグシップモデルの「Galaxy S23 Ultra」の光学10倍/超解像100倍ズームにはかなわないものの、「Galaxy S23」のカメラと同等のスペックであり、幅広いシーンで活用できる。

カメラを起動したときのファインダー画面。メインスクリーンに表示したときは、撮影モードと設定のアイコンは上下のままだが、倍率アイコンが左、シャッターが右に、それぞれ移動する

 これに加え、フォルダブルの特性を活かした多彩な撮影が楽しめることが「Galaxy Z Fold5」ならではのアドバンテージだ。

 端末を開いた状態でカメラを起動し、ファインダー画面上部に表示される[カバー画面プレビュー]ボタンをタップして、有効に切り替えると、メインカメラのファインダー画面がカバーディスプレイ側にも表示される。これにより、被写体は自分自身がどのように写っているのかが見えるうえ、ひとりで自撮りをするときもメインカメラで撮影することができる。

 自撮りはGalaxyシリーズのカメラでおなじみの「手のひらシャッター」(カメラに向かって、手のひらを見せれば、一定時間後にタイマーでシャッターが切れる)が利用できるので、簡単に決めのポーズで撮影できる。さらに、本体をL字に折り曲げ、カバーディスプレイを下側にして、机の上などに置けば、三脚などを使わなくても安定した状態で動画や静止画を撮ることができる。

 撮影した写真や動画については、Galaxyシリーズ独自の「ギャラリー」アプリで確認できるほか、Androidプラットフォーム標準の「フォト」(Googleフォト)アプリも利用できる。どちらも同じように閲覧ができ、編集やエフェクトなどの効果もついかできるが、「ギャラリー」アプリの方が背景のぼかしなどの効果をより簡単に追加できる。好みと状況に合わせて、使い分けるといいだろう。

作例
ポートレートで撮影。「ギャラリー」アプリではこの状態から背景のボケなどを簡単に編集可能。モデル:葵木ひな(Twitter:@hina1006ta_aoki、Instagram:hina_aoki_official、所属:ボンボンファミン・プロダクション
本体を開き、カバーディスプレイにプレビュー画面を表示して、メインカメラで撮影。被写体側からも写りがわかるので、ポーズも取りやすい。モデル:菅谷はつ乃(左)、葵木ひな(右)
いつもの薄暗いバーで撮影。カクテルの色合い、グラスの曇り具合い、背景のボケなど、Galaxyらしい仕上がり

「Galaxy Z Fold5」でフォルダブルをはじめよう

 これまでスマートフォンはディスプレイやカメラ性能など、さまざまなスペックで各社の製品が競争をくり広げてきた。もちろん、スペックも大事な要素であることは間違いないが、スマートフォンに「フォルダブル」というフォームファクターが登場したことで、これまでと違ったスタイルでスマートフォンを活用できるようになってきた。

 なかでもサムスンが展開する「Galaxy Z Fold」はもっとも早くからフォルダブルを手がけ、防水やSペンといった実用面の強化を図るだけでなく、ヒンジの構造などを着実に進化させ、より薄く、より持ちやすく、より扱いやすく、より楽しめるように仕上げてきている。

 今回の「Galaxy Z Fold5」はヒンジ部分の構造を刷新することで、本体を閉じたとき、左右の筐体がしっかりと合わさり、ほぼ隙間のないスリムな形状に仕上げている。端末を開いたときのフレックスモードも新たにフレックスモードパネルを進化させることで、さらにユーザビリティを向上させている。ユーザーが実際に使っていくうえで、実用性をしっかりと実感できる進化点を惜しまずに投入してきたモデルと言えそうだ。

 国内向けについては、近日中にサムスン電子ジャパン及び各携帯電話会社から発表される見込みだが、おそらくGalaxy Harajukuをはじめ、全国各地のショップでも国内版を試す機会が提供される見込みだ。ぜひ一度、「Galaxy Z Fold5」と「Galaxy Z Flip5」の実機を手に取り、フォルダブルの新しい楽しさを体験していただきたい。