法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」
「Redmi Note 13 Pro+ 5G」、2億画素カメラとエッジスクリーンで楽しむ一台
2024年7月2日 00:00
国内で数々の製品を送り出すシャオミから、ミッドレンジに位置付けられる「Redmi Note」シリーズの最新モデル「Redmi Note 13 Pro+ 5G」がオープン市場向けに発売された。
上位モデルに迫る充実したスペックと機能を持つ一台だ。筆者も実機を購入したので、レポートをお送りしよう。
製品ラインアップの拡充を推し進めるシャオミ
2019年12月に国内市場に参入した中国のシャオミ。以前から国内市場参入を期待する声が多く、当時は「ようやく参入してくれた」という反応が聞かれたくらいだったが、国内参入後は積極的に製品を投入し、スマートフォンやタブレットだけでなく、スマートバンドやスマートウォッチ、完全ワイヤレスイヤホンなどのIoT製品も拡充してきた。
スマートフォンでは他の海外メーカーに続き、おサイフケータイや防水防塵といった国内で求められる仕様を満たしたモデルをラインアップに加え、auやソフトバンクといった国内携帯電話会社への納入も実現している。
現在、シャオミのラインアップは大きく分けて、3つのシリーズが国内向けに展開されている。ひとつは「Xiaomi」の名が冠されたフラッグシップのシリーズで、先般、本連載で取り上げた「Xiaomi 14 Ultra」をはじめ、ソフトバンクやauに納入している「Xiaomi 13T」シリーズなどが挙げられる。
これに次ぐのがミッドレンジやエントリーなどがラインアップされるのが「Redmi」シリーズで、コストパフォーマンスに優れたモデルが数多く投入されてきた。そして、もうひとつのシリーズが「POCO」で、国内向けにはオンライン専用ブランドとして展開されている。
シャオミの国内参入から約4年半になるが、この短期間にこれほどラインアップを拡充し、各携帯電話事業者への納入も実現してきたメーカーは、過去にあまり例がなく、積極的な姿勢とメーカーとしての勢いを感じさせる。5月25日からは9月1日までの期間限定ながら、東京の渋谷PARCOで「Xiaomi POP-UP Store」をオープンするなど、ユーザーが直接、製品を手にできる環境も整えつつある。
今回、紹介する「Redmi Note 13 Pro+ 5G」は、シャオミのラインアップにおいて、ミッドレンジに位置付けられるモデルになる。「Redmi」シリーズと言えば、昨年末に「Redmi 12 5G」が国内向けに発売されソフトバンクやUQモバイルなどでも販売されているが、「Note」と名が付加された「Redmi Note」シリーズは、ひとつ上のクラスに位置付けられる。国内向けに販売される「Redmi Note」シリーズとしては、2022年5月に発売されたRedmi Note 11 Pro 5G」以来の新モデルになる。
今年5月の発表イベントでは、「Redmi Note 13 Pro+ 5G」のほかに、au向けに「Redmi Note 13 Pro 5G」が供給されることも合わせて発表されたが、au向けの「Redmi Note 13 Pro 5G」はデザインや外見こそ、似ているものの、チップセットや電源周りの仕様が違うなど、微妙に似て非なる「兄弟モデル」(姉妹モデル)のような製品となっている。
こうした細かい仕様面の違いは、価格にも反映され、オープン市場向けの「Redmi Note 13 Pro+ 5G」が5万9800円(RAM 8GB/ROM 256GB)という価格が付けられているのに対し、au向けの「Redmi Note 13 Pro 5G」はメモリーとストレージが同じモデルでも価格が4万1800円(auオンラインショップ価格)という価格が設定され、スマホトクするプログラムを利用すれば、さらに負担を抑えて購入することもできる。
デザインや仕様などがよく似たモデルであるがゆえに、ユーザーとしては迷うかもしれない。ちなみに、オープン市場向けの「Redmi Note 13 Pro+ 5G」はシャオミのオンライン公式ストア(mi.com)をはじめ、IIJmioのサプライサービス、ヨドバシカメラやビックカメラなどの家電量販店、Amazon.co.jpやXiaomi公式楽天市場店などのECストアで購入できる。
背面を湾曲させたデュアルトーンデザインの美しいボディ
まず、外観からチェックしてみよう。シャオミの「Redmi」シリーズはこれまでも何機種か、本連載で取り上げてきたが、カメラ部などは少し目立たせながら、全体的にスタンダードなデザインを採用してきた印象が強い。今回の「Redmi Note 13 Pro+ 5G」は、背面のカメラ部付近とその下側でカラーのトーンを変えるデュアルトーンデザインを採用し、少し特徴的な仕上がりとなっている。
いずれの部分も基本的にはマットな仕上げで、手で触れても指紋や手の跡が付きにくく、必要以上にさらさらしすぎていない印象だ。ボディ幅は74.2mmと、大画面モデルの中ではちょうど持ちやすいサイズにまとめられている。背面の左右両側面部分は少しラウンドした形状で、後述するディスプレイのエッジスクリーンとも相まって、手にした印象は意外にスリムだ。
耐環境性能はIPX8防水、IP6Xの防塵に対応しており、IPX3対応に留まる「Redmi 12 5G」に比べ、しっかりと防水に対応し、水に触れることが多いこれからの季節も安心して利用できると言えそうだ。
ディスプレイや指先などが濡れた状態でも安定したタッチ認識や操作ができる「ウェットタッチテクノロジー」にも対応しており、ディスプレイに付いた素敵などによる誤操作や誤動作を防ぐことができる。
耐衝撃性能には対応していないものの、パッケージにはソフトケースが同梱される。ただし、「Redmi Note 13 Pro+ 5G」に同梱されるケースは、これまでのシャオミ製端末に同梱されてきたクリアタイプ、もしくは半透明のタイプではなく、黒に近い濃いグレーのケースで、カメラ部を含む上部の1/3が窓のように空いているという形状となっている。
同梱品とは言え、製造コストやサステナブルな取り組みの影響があるのかもしれないが、ミッドナイトブラックはともかく、スカイブルーやポーラーシルバーといった明るいカラーのボディにはやや不似合いな印象が残る。
上部1/3が空いた形状は、カメラ部の右横に内蔵されたLEDランプを考慮したようだが、それでもこの大きな窓の仕様は賛否の分かれるところだろう。ちなみに、筆者は市販品のクリアタイプのケースを購入したが、こちらはカメラのレンズ部分のみが丸く空き、LEDフラッシュの部分も小さく穴が空いているのみなので、背面をしっかりカバーできる。
バッテリーは5000mAhを内蔵し、本体下部のUSB Type-C外部接続端子から充電する。充電は上位機種の「Xiaomi 13T Pro」と同じく最大120WのXiaomiハイパーチャージ、ソフトバンク版で言うところの『神ジューデン』に相当する充電が可能。
パッケージには120W対応ACアダプタ(充電器)とUSBケーブルが同梱されており、これらを使えば、最短19分で100%まで充電することができる。
ワイヤレス充電には対応しない。独自の機能としては、「充電速度のブースト」が用意されている。これをオンにすると、充電プロセスが高速化され、バッテリー残量が少ないときほど、充電速度が速くなるという。
「Redmi」シリーズ初のエッジディスプレイを採用
ディスプレイは6.67インチCrystalRes AMOLED(有機EL)を搭載する。「Redmi」シリーズではこれまで基本的にフラットなディスプレイを搭載してきたが、今回の「Redmi Note 13 Pro+ 5G」は「Redmi」シリーズとして、はじめて両側端が湾曲したエッジスクリーン(エッジディスプレイ)を搭載する。
エッジディスプレイは動画を再生したり、ゲームなどを楽しむとき、より没入感が得られるのが特徴だが、最近ではサムスンの「Galaxy S」シリーズやGoogleの「Pixel」シリーズなどでエッジスクリーンからフラットスクリーンに切り替えるモデルも増えている。
表示するコンテンツがより大きく見えるのはうれしいが、落下時などに露出しているエッジ部分に傷を付けてしまうリスクがあることは覚えておきたい。
ディスプレイのガラス面にはCorning社製Gorilla Glass Victusが採用され、出荷時には実仕様が可能な保護フィルムが貼付されているので、傷がついたときはフィルムを貼り直すこともできる。
ディスプレイの仕様としては、フルHD+対応の2712×1220ドット表示、最大120Hzのリフレッシュレート、コントラスト比が500万:1、DCI-P3色域が100%となっている。
輝度はピークで1800nitと非常に明るく、屋外の太陽光の下での視認性も十分なレベルにある。HDR10+やDolby Visionなどにも対応し、存分に映像コンテンツを楽しめる。
ディスプレイの内側には光学式指紋センサー(指紋スキャナー)が内蔵されており、指紋認証が利用できる。画面ロック解除だけでなく、アプリの起動やWebサイトへのログインなどにも利用できる。
指紋認証時のアニメーションをカスタマイズできるほか、指紋センサーの長押しで、心拍数を計測したり、画面ロック解除から指紋センサーを押し続けたままで、[スキャナー][検索][カレンダー]の3つのアプリを起動できるようにしている。
ディスプレイの上部に内蔵されたインカメラを利用した顔認証の「AI 顔認証ロック解除」にも対応する。スペック表や本体内の表示には表記がないものの、マスクを装着した状態での認証にも対応する。
MediaTek製Dimensity 7200-Ultra搭載
チップセットについては4nmプロセスルールで製造されたMediaTek製Dimensity 7200-Ultraを搭載する。ここのところ、国内向けモデルでもMediaTek製チップセットの採用例が増えており、Dimensity 7200シリーズとしては、国内で4月に発売された「Nothing Phone (2a)」がDimensity 7200 Proを搭載しており、同製品に続いてのDimensity 7200シリーズの採用になる。
あまり採用例がないチップセットということで、性能面が気になるかもしれないが、本製品の兄弟モデルであるau向けの「Redmi Note 13 Pro 5G」に搭載された米Qualcomm製Snapdragon 7s Gen2がライバル製品とされており、同等以上の性能を持つとされている。
実際に試用した印象もストレスなく使えており、ゲームなども快適に楽しむことができている。ちなみに、ゲームについては他のXiaomi製品同様、[GAME TURBO]と呼ばれるアプリが用意されており、ゲームプレイ時のパフォーマンス向上やスクリーンショット、DND(Do Not Disturb/着信やアプリの通知をOFF)、ボイスチェンジャーなどの機能が利用できる。
メモリーとストレージについては、RAM 8GB/ROM 256GBとRAM 12GB/ROM 512GBという2つのモデルが用意されている。メモリーは他のシャオミ製端末同様、ストレージの一部をメモリーとして利用する「メモリ拡張」にも対応しており、最大12GBをメモリーとして追加することができる。
外部メモリーカードには対応していないため、比較的、容量が大きいゲームなどをプレイするのであれば、ROM 512GBのモデルを検討するのも手だ。モバイルネットワークは5G NR/4G LTE/3G W-CDMA/GSMに対応し、5GについてはSub6のみに対応になる。
NTTドコモの5Gに割り当てられたバンドのひとつである「n79」には対応しないが、他の5G対応バンドでも利用できるうえ、他社の転用5Gバンドにも対応しているため、NTTドコモ、au、ソフトバンクのネットワークを利用したMVNO各社のSIMカードでも問題なく、利用できる。SIMカードについてはnanoSIMとeSIMのデュアルSIM対応となっている。
Wi-FiについてはIEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠で、2.4GHzと5GHzでの利用が可能で、Bluetooth 5.3にも対応する。衛星による位置情報は米GPS、欧州Galileo、露GLONASS、中国BeiDou、日本のQZSS(みちびぎ)に対応する。
プラットフォームはAndroid 14ベースの「Xiaomi Hyper OS 1.0.3」を搭載する。「Xiaomi 14 Ultra」の記事でも触れたが、これまでのシャオミ製端末ではAndroidベースの「MI UI」が搭載されてきたのに対し、他製品との統一する関係などもあって、今後は「Xiaomi Hyper OS」という名称が使われる。Google Playなどは通常通り、利用でき、日本語入力にはAndroid標準の「Gboard」が搭載される。
Xiaomi Hyper OSのユーザーインターフェイスは、基本的に従来の「MI UI」を継承している。ホーム画面モードはすべてのアプリがホーム画面に並ぶ[クラシック]、上方向へのスワイプでアプリ一覧を表示する[アプリドロワーを使用]、アプリアイコンなどを大きく表示する[シンプルモード]が用意されている。
アプリドロワー使用時のアプリ一覧は[コミュニケーション]や[エンターテインメント]など、カテゴリー別にタブで表示を切り替えることができるが、アプリ一覧上でのフォルダー作成などの機能はない。
少し気になるのは、ホーム画面で右上から下方向にスワイプしたときに表示されるコントロールセンター(クイック設定パネル)で、[Bluetooth]や[機内モード]などのアイコンが並んでいるが、キャプションが表示されず、アイコンのみの表示のため、使いはじめたときはどういう機能が割り当てられているのかがわからない。
ほとんどのAndroidスマートフォンはクイック設定パネルの各機能のボタンにキャプションを表示したり、ボタン内に機能名を表示していることを考えると、デザイン重視とは言え、Xiaomi Hyper OSのコントロールセンターはやや不親切なユーザーインターフェイスと言わざるを得ないだろう。
2億画素イメージセンサーによるトリプルカメラ搭載
カメラは背面にトリプルカメラを搭載する。メインとして利用するのが背面左上にレイアウトされた1/1.4インチの2億画素イメージセンサー/F1.65のメインカメラ(23mm)で、16-in-1(4×4)のピクセルビニングで撮影される。
メインの2億画素イメージセンサーによるカメラは、光学手ぶれ補正と電子手ぶれ補正を組み合わせることで、ブレを抑えた写真や動画を撮影することができる。その下に位置するのが800万画素イメージセンサー/F2.2の超広角カメラで、最大120度のワイド撮影が可能。
2つのカメラの内側に搭載されているのが200万画素イメージセンサー/F2.4のマクロカメラで、縦画面時のファインダー画面で下方向にスワイプし、表示された設定画面で[マクロ]をオンにすると、マクロ撮影に切り替えられる。マクロモードでの適切な撮影距離は明示されていないが、筆者が試した範囲では4cm程度が適切なようだ。
撮影モードとしては「写真」「ビデオ」「ポートレート」「夜景」などの一般的なものに加え、2億画素イメージセンサーでピクセルビニングを使わずに撮影する「200MP」、資料や書類などを撮影するときに便利な「ドキュメント」が利用できる。
「ドキュメント」は他のシャオミ製端末にも搭載されており、筆者やご同業のライター諸氏の間ではスクリーンに投影されたプレゼンテーション資料の撮影に重宝しているという声が多い。
撮影した写真の仕上がりについては、それぞれの写真でご確認いただきたいが、暗いところでの撮影もピクセルビニングの効果もあって、明るく撮影できている。
他の多くのスマートフォンのピクセルビニングが4つの画素を1つの画素として利用しているのに対し、「Redmi Note 13 Pro+ 5G」は16個(4×4)の画素を1つの画素として撮影しており、ピクセルビニング時のピクセルピッチ(画素ピッチ)も2.24μmとかなり大きく、より多くの光を取り込むことができる。
撮影した写真や動画はシャオミ独自の[ギャラリー]アプリで閲覧や編集ができるほか、Googleフォトの[フォト]アプリも利用できる。[ギャラリー]アプリでの編集では[トリミング]や[フィルター]などの一般的な機能に加え、[消しゴム]では背景に写り込んだ人物やオブジェクトを消したり、[ボケ]ではポートレートで撮影した背景をぼかしたり、[空]では曇天をAIで晴天にするといったこともできる。
ちなみに、筆者は作例に機種名を透かしとして写し込んでいるが、これも[ギャラリー]アプリの編集で[透かし]をタップすると、オフにできる。透かしはデバイス名だけでなく、日付や特定の文字列を登録して、写し込むこともできる。
2億画素カメラやエッジディスプレイでエンターテインメントを存分に楽しめる一台
国内市場に参入して、約4年半になるシャオミ。昨年9月からは日本法人の新体制がスタートし、スマートフォンやタブレット、スマートウォッチなどに加え、チューナーレステレビやロボット掃除機など、IoT家電も投入してきた。
そして、今年5月の発表会では今年2月にグローバル向けに発表したフラッグシップモデル「Xiaomi 14 Ultra」をいち早く国内向けに投入するなど、さらにラインアップの拡充を推し進めている。
今回、取り上げた「Redmi Note 13 Pro+ 5G」は、シャオミのラインアップにおいて、ミッドレンジに位置付けられるモデルだが、2億画素イメージセンサーによるカメラ、ゲームや動画コンテンツを没入感のある画面で楽しめるエッジディスプレイを搭載し、最大120Wの急速充電が可能なXiaomiハイパーチャージに対応するなど、スマートフォンを存分に楽しめる仕様を満たしながら、防水防塵やおサイフケータイといった日本のユーザーが求める機能もしっかりとサポートしたスキのないモデルに仕上げられている。
しかも価格は5万9800円に抑えられており、幅広いユーザーが手にしやすいお買い得モデルとなっている。ユーザーインターフェイスなどに少し独特な部分があり、使いはじめは少し戸惑うかもしれないが、十分に慣れることができるものであり、プラットフォームを含めた移行ユーザーにもおすすめできる一台と言えるだろう。