法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

「Xiaomi 13T Pro」、120W急速充電対応の“神ジューデン”スマートフォン再び

 スマートフォンからウェアラブルデバイス、IoT製品などを国内市場に展開するシャオミから、フラッグシップモデル「Xiaomi 13T」シリーズが発売された。「Xiaomi 13T Pro」と「Xiaomi 13T」がラインアップされているが、今回はオープン市場向けとソフトバンクで扱われる「神ジューデン」対応「Xiaomi 13T Pro」について、レポートしよう。

シャオミ/ソフトバンク 「Xiaomi 13T Pro」、163mm(高さ)×76mm(幅)8.5mm(厚さ)、8.6mm(アルパインブルーのみ)、206g(重さ)、206g(アルパインブルーのみ)、アルパインブルー(写真)、メドウグリーン、ブラックをラインアップ

存在感を増すシャオミ

 2019年12月に国内市場に参入して以来、コストパフォーマンスの高いスマートフォンやタブレット、ウェアラブル端末、IoT製品など、着実にラインアップを展開してきたシャオミ。スマートフォンについては、当初、オープン市場向けが中心だったが、おサイフケータイなどの日本仕様をサポートしたモデルを開発し、国内携帯電話会社が扱う「キャリアモデル」としても採用されるようになってきた。

 なかでも2022年12月にソフトバンク向けに供給した「Xiaomi 12T Pro」は、120W急速充電に対応し、ソフトバンクが「神ジューデン」スマートフォンとしてアピール。吉沢亮さんと杉咲花さんを起用したCMでは、「♪ジューデン、ジューデン、ジューデン、神ジューデーン♪」の歌と共に、各方面で話題になった。「充電」というスマートフォンを使ううえで、もっとも基本的な機能を強化したことをアピールし、シャオミの存在感を大きく示すモデルになった。

 シャオミの日本法人は、2023年11月にモバイル業界の国内外メーカーでの経験を持つ大沼彰氏を取締役社長に迎え、新体制をスタートさせた。発表会ではフラッグシップモデルの「Xiaomi 13T」シリーズ、ちょい上を狙う普及モデル「Redmi 12 5G」をはじめ、チューナーレステレビ、ロボット掃除機などのIoT製品、「Xiaomi Smart Band 8」などのウェアラブル端末など、多くの製品ラインアップがお披露目された。

 今回、発売された「Xiaomi 13T」シリーズには、「Xiaomi 13T Pro」と「Xiaomi 13T」の2機種がラインアップされている。今回、紹介する「Xiaomi 13T Pro」はオープン市場向けに販売されるほか、ソフトバンクでも販売される。もう一方の「Xiaomi 13T」はauとUQモバイルが「Xiaomi 13T」をそれぞれ販売する。両機種は一部を除き、基本的に共通仕様となっているが、今回はオープン市場向けの「Xiaomi 13T Pro」を取り上げる。auとUQモバイル向けに販売される「Xiaomi 13T」は、別途、レポートをお送りする予定なので、そちらをご覧いただきたい。

カラーによって異なる背面仕上げ

本体下部にはUSB Type-C外部接続端子を備える。右側はSIMカードスロット
上部のカメラ部のすぐ上には赤外線ポートを備える。「Miリモート」アプリを利用すれば、テレビなどのリモコンとして利用できる
本体左側面はボタン類がなく、フレームの継ぎ目やアンテナ内蔵部分の樹脂パーツなどもない
右側面にはシーソー式音量キー、電源ボタンを備える。カメラ部の突起は実測で約4mm

 まず、外観からチェックしてみよう。シャオミは国内市場向けに「Xiaomi」シリーズ(従来は「Mi」シリーズ)と「Redmi」シリーズを展開し、ボディは背面の両側端をわずかにラウンドさせたデザインを採用し、ほぼ共通化されていたが、昨年、国内市場向けに発売された「Redmi 12 5G」では、背面がほぼフラットなデザインに変更されていた。これに対し、今回の「Xiaomi 13T Pro」は一昨年の「Xiaomi 12T Pro」を継承するデザインになり、背面の両側端が湾曲した形状に仕上げられている。ユニークなのはボディカラーによって、背面の仕上げが異なる点で、アルパインブルーは環境に配慮した素材を使い、革のような仕上がりを実現したヴィーガンレザーを採用しているのに対し、メドウグリーンとブラックは光沢感のあるガラス仕上げを採用している。光沢仕上げの2色は指紋や手の跡が指紋が気になるが、メドウグリーンの方が跡が目立ちにくい。重量もわずかに違い、アルパインブルーの200gに対し、2色のモデルは206gに仕上げられている。

「Xiaomi 13T Pro」(左)と「Xiaomi 13T」(右)の前面。出荷時のアイコンの配列は異なるが、ディスプレイの仕様やボディサイズは基本的に同じ
「Xiaomi 13T Pro」(左)と「Xiaomi 13T」(右)の背面はまったく同じデザイン。撮影時は剥がしているが、IMEIなどが記載されたシールを除けば、見分けがつかない
「Xiaomi 13T Pro」(左)と「Xiaomi 12T Pro」(右)の前面。ボディの縦横サイズは同じで、ディスプレイの仕様も共通
「Xiaomi 13T Pro」(左)と「Xiaomi 12T Pro」(右)の背面は、カメラ部の大きさやデザインが大きく変わっている
「Xiaomi 13T Pro」(左)と「Xiaomi 12T Pro」(右)では、背面側のエッジ部分と側面の形状が変更されている。「Xiaomi 13T Pro」の方が薄いが、側面は垂直に立った形状に仕上げられている
背面はカメラ部とXiaomiロゴのみのデザイン。おサイフケータイに対応しているが、おなじみのロゴマークはデザインされていない

 ヴィーガンレザーは他機種でも採用例があるが、少し柔らかい触り心地で、汚れに強く、耐久性にも優れる。どちらを選ぶのかはカラーの好みにもよるが、保護カバーなどを装着したくないのであれば、ヴィーガンレザーのアルパインブルーの方が良さそうだ。ちなみに、カラーバリエーションによる仕上げの違いは、「Xiaomi 13T」も共通となっている。

アルパインブルーの背面はヴィーガンレザーが採用されている。革のような仕上がりで、触り心地も少し柔らかい印象。擦れは難しそうだが、汚れは拭き取れば、キレイになる。メドウグリーンとブラックはツヤありのガラス仕上げ

 耐環境性能はIPX8の防水とIP6Xの防塵に対応する。前モデルの「Xiaomi 12T Pro」がIPX3防水とIP5X防塵に対応だったため、防水防塵共に、ワンランク上の性能をクリアしたことになる。特に、耐水についてはIPX3が実質的に防滴レベルであるのに対し、「Xiaomi 13T Pro」のIPX8は水深1.5mに沈め、水没から約30分後に取り出しても電話機として利用できることを想定しており、安心して利用できる。

 ディスプレイは2712×1220ドット表示が可能な約6.7インチのフルHD+有機EL(AMOLED)を採用する。輝度は標準で1200nit、ピーク輝度で2600nitと、かなり明るい。リフレッシュレートはデフォルト(出荷時設定)が表示内容に合わせ、30/60/90/120/144Hzと変わる可変リフレッシュレートに対応し、なめらかな表示を可能にしながら、消費電力とのバランスを取ることができる。カスタムに設定すれば、「60Hz」と「144Hz」の固定設定もできる。ディスプレイには実使用可能な保護フィルムが出荷時に貼られている。

ディスプレイのリフレッシュレートは「デフォルト(推奨)」が表示内容に合わせ、30/60/90/120/144Hzで動的に調整される。「カスタム」を選ぶと、60Hzと最大144Hzを選ぶことができる

 生体認証はディスプレイ内蔵の光学式指紋センサーによる指紋認証、インカメラを利用した顔認証に対応する。今回試用した限りでは、マスク装着時も顔認証でロック解除ができた。ただし、顔認証は似たような外見の人物や顔写真などでもロック解除される可能性があるため、セキュアに使いたいのであれば、指紋認証のみを利用する方がベターだ。指紋認証はセンサーの位置がやや下部側に寄った印象もあるが、光学式のため、レスポンスも早い。ちなみに、従来モデルに引き続き、「設定」アプリの「追加設定」‐「心拍数」を選ぶと、光学式指紋センサーに指先を当てて、心拍数を計測できる。

ディスプレイ内の指紋センサーを指で覆うと、心拍数を計測することができる

19分で100%まで充電できる「神ジューデン」

 バッテリーは従来モデルに引き続き、5000mAhの大容量バッテリーを内蔵し、従来の「Xiaomi 12T Pro」に引き続き、19分でフル充電ができる急速充電に対応する。しくみとしてはパッケージに同梱された120W専用充電器とUSBケーブルを「Xiaomi 13T Pro」と接続することにより、最短19分で1~100%までの充電を可能にする。ちなみに、「OPPO Reno10 Pro 5G」のときにも同様の説明をしたが、「神ジューデン」はソフトバンクが商標を保有しているため、オープン市場向けの「Xiaomi 13T Pro」では「Xiaomiハイパーチャージ」という呼称を使っている。性能的にはまったく同じで、内容に違いはない。

パッケージには120W対応急速充電器、急速充電対応USBケーブル(Type-A to Type-C)、クリアタイプの保護カバーなどが同梱される

 充電時の安全性については、2つの充電チップセットで構成される「Xiaomi Surgeバッテリー管理システム」を搭載しており、バッテリーの安全性やパフォーマンスの向上、バッテリーステータスの検出、バッテリー持続時間の改善などを実現しているという。シャオミとしては今回の「Xiaomi 13T Pro」だけでなく、これまでも国内向けに「Xiaomi 11T Pro」や「Xiaomi 12T Pro」などの急速充電対応モデルを投入しており、安心して利用できるレベルの実績を持つと見て、差し支えないだろう。

 実際の充電については、今回もバッテリーを放電した状態(0%)から同梱の120W専用充電器とUSBケーブルで充電をしてみた。複数回、計測したうち、最短では手動計測で約26分38秒でフル充電ができた。計測した回によって、多少の差異はあったが、だいたい10~12分程度で50%、20分で70~80%まで充電できている。複数回、計測した中には100%充電まで、30分を超えるケースもあったが、これはおそらく筆者の手元に来たデモ機が各メディアによって、0~100%のフル充電をくり返されたため、ややバッテリー性能が劣化していたのかもしれない。あるいは、充電中の外気温や画面点灯(残量確認のため、1分1回程度)の操作などが充電速度に影響していたことも考えられる。「神ジューデン」で謳われている19分には及ばなかったものの、実用面では十分すぎる充電性能を確認できた。

電源オフの状態で、0~100%までの120W急速充電を数回試したが、26分38秒が最短だった。端末を起動した状態ではもう少し充電時間が長くなるが、それでもかなり速い

 「Xiaomi 13T Pro」に搭載された「神ジューデン」(Xiaomiハイパーチャージ)は、前モデルのテレビCMなどでもアピールされていたように、前夜に充電を忘れたようなシチュエーションにおいて、朝の身支度を調えている数十分のうちにフル充電ができることがメリットだ。これまでの一般的な利用スタイルでは、帰宅すると、すぐに充電器を接続し、バッテリー切れを起こさないようにしていたが、19分で急速充電ができるのであれば、バッテリー残量とその後の行動を考えて、充電した方が効率的だ。たとえば、帰宅時にバッテリー残量が50~60%以上であれば、とりあえず、そのままで置いておき、翌朝、身支度を調えている間に100%まで充電して、出かけるといった使い方ができる。逆に、帰宅時にバッテリー残量が少ないのであれば、とりあえず、フル充電をしておき、就寝時には充電器を取り外し、翌朝、バッテリー残量が十分であれば、そのまま出かけるスタイルもアリだろう。このあたりはユーザーによって、使い方が異なるため、自分なりのスタイルを考えていくことになるが、いずれにせよ、本体内蔵バッテリーへの負荷などを考慮するなら、これまでのように「充電器につなぎっぱなし」の使い方ではなく、バッテリー残量を確認しながら、必要に応じて、充電器を接続する使い方に切り替えていく方が良さそうだ。

 また、前モデルのレビューでも指摘したが、実際に使っていくうえで、ひとつ気になるのは、外出時や旅行のときの充電器の扱いだ。同梱の120W専用充電器はサイズが64×60×28mm(プラグを除く)とやや大きく、重量も約180g(実測値)と、そこそこの重さがある。これに専用USBケーブルが加わるため、実質的には120W急速充電のために、スマートフォン1台分の重さを持ち歩くことになる。旅行などであれば、スーツケースなどの預け入れ荷物に入れておけるが、日常生活で持ち歩くのはちょっと負担が大きそうだ。そのため、同梱の充電器とUSBケーブルは自宅で使い、外出時はもう少しコンパクトな市販の充電器を使う方が良さそうだ。ちなみに、同梱品と同じ充電器とUSBケーブルの「120W ハイパーチャージ対応急速充電器・ケーブルセット」は、シャオミの公式オンラインストアで7990円で販売されている。

MediaTek Dimensity 9200+を搭載

 チップセットはMediaTek製Dimensity 9200+を搭載する。前モデルでは米Qualcomm製Snapdragon 8+ Gen1を搭載しており、「Xiaomi 13T Pro」ではチップセットのベンダーを切り替えたことになる。Dimensity 9200+はTSMCの4nmプロセスルールで製造されており、性能はSnapdragon 8 Gen2の同等以上というベンチマークテストのスコアも報告されている。実使用についてはまったくストレスなく使うことができており、ゲームなども十分に楽しめるスペックを実現していると言えそうだ。冷却については5000mm立方のステンレス製VaperChamberと多層グラファイトシートを組み合わせた「LiquidCoolテクノロジー」を搭載しており、高負荷時の発熱を抑えている。

 メモリーとストレージはRAM12GB、ROM256GBで構成され、外部メモリーカードには対応しない。ストレージを占有して、最大8GBまでメモリーを追加し、合計20GBまで拡張する機能も備える。

「設定」アプリの「追加設定」‐「メモリー増設」で、ストレージを占有して、4/6/8GBのRAMを追加可能

 ネットワークは5G NR/4G LTE/3G W-CDMA/2G GSMに対応し、5Gについては国内各社のバンドに対応するが、NTTドコモの「n79」には対応しない。SIMカードはnanoSIMとeSIMのデュアルSIMで、シャオミのグローバル向けWebページによれば、日本国内でのeSIMの利用については、NTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルをサポートするとしている。ただし、実際の利用については、各社の対応状況を確認してから利用したい。

本体下部にピンで取り出すタイプのSIMカードスロットを備え、nanoSIMカードを1枚のみ、装着可能。2枚目のSIMカードはeSIMを利用する

 Wi-FiはIEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax準拠で、Wi-Fi 6E/Wi-Fi 6に対応する。Bluetoothは5.4に対応する。衛星による位置情報は、米GPS、欧州Galileo、中国Beidou、インドNavICに対応するが、日本のみちびき(QZSS)には対応しない。

 プラットフォームはAndroid 13ベースのMI UI 14を搭載する。日本語入力はAndroid標準の「Gboard」を採用している。ユーザーインターフェイスはAndroid標準に準拠しており、ホーム画面モードはホーム画面にアプリアイコンが並ぶ「クラシック」、上方向にスワイプして、アプリ一覧を表示する「アプリドロワー」、アイコンを大きく表示する「シンプルモード」から選ぶことができる。操作時のアニメーションの速度を変更したり、ホーム画面のレイアウト固定、テキストの非表示など、細かい部分までカスタマイズできる機能も備える。「設定」アプリ内の項目はMI UI 13から少し変更されており、シャオミ独自の機能の多くは「設定」‐「追加設定」にまとめられている。よく使うアプリを登録しておいたり、ウィンドウ表示ができる「サイドバー」は、「追加設定」‐「フローティングウィンドウ」‐「サイドバー」で設定できる。

ホーム画面は左上に「時刻と日付」、右上に「天気」のウィジェットがそれぞれ配置されている。下方向へのスワイプは一般的なAndroidプラットフォームと違い、左半分が通知、右半分がクイック設定パネルがそれぞれ個別に表示される
「設定」アプリの「ホーム画面」‐「ホーム画面モード」ではホーム画面のモードを選ぶことができる
「ホーム画面モード」で「アプリドロワー」を選ぶと、上方向にスワイプしたときにアプリ一覧が表示される。左右にスワイプすると、アプリのカテゴリーを選べるほか、右上の歯車アイコンをタップすれば、「アプリドロワー」のカスタマイズも可能で、カテゴリーの追加や削除、並べ替えもできる
ホーム画面右上から下方向にスワイプすると、クイック設定パネルが表示される。ディスプレイの明るさだけでなく、自動明るさ調整もこの画面から操作できる
システムナビゲーションは「設定」アプリの「ホーム画面」‐「システムナビゲーション」で設定でき、「ボタン」と「ジェスチャー」から選ぶことができる
「設定」アプリの「追加設定」にはシャオミ製端末の独自機能やカスタマイズの項目が集められている
「設定」アプリの「追加設定」‐「フローティングウィンドウ」‐「サイドバー」を選ぶと、よく使うアプリや機能を登録できるサイドバーの表示を設定できる。ゲーム中や動画再生中にそれぞれの特殊機能を表示させることも可能
近くのシャオミ製端末と写真などをやり取りできる「Miシェア」は、OPPO製端末の「OPPO Share」とも接続が可能。AndroidプラットフォームやWindowsで利用できる「ニアバイシェア」にも対応

5000万画素イメージセンサーによるトリプルカメラを搭載

 「神ジューデン」(Xiaomiハイパーチャージ)による急速充電は、従来モデルをほぼ継承した形になっているが、カメラは大きく仕様が変更されている。

 メインの広角カメラ(24mm)は5000万画素/F1.9のソニー製IMX707(1/1.28インチ)を採用し、7枚構成レンズで光学式手ぶれ補正を搭載する。望遠カメラ(50mm)は5000万画素/F1.9のOmniVision製OV50D(1/2.88インチ)を採用し、5枚構成レンズで最大20倍のデジタルズームにも対応する。超広角カメラ(15mm)は1/3.06インチの1200万画素/F2.2を採用し、5枚構成レンズで固定フォーカスとなっている。従来の「Xiaomi 12T Pro」は国内初の2億画素イメージセンサーを採用したカメラが話題になったが、今回は広角カメラと望遠カメラに異なるメーカーの5000万画素イメージセンサーを採用している。フロントカメラはディスプレイ上部のパンチホール内に内蔵し、2000万画素/F2.2という仕様で、78度の画角に対応する。

カメラは背面にトリプルカメラを搭載する。広角と望遠に5000万画素イメージセンサーを採用

 撮影モードは「写真」「ビデオ」「ポートレート」「夜景」などのほか、領収書や書類に適した「ドキュメント」、シャッタースピードや露出などを細かく設定できる「プロ」などが用意されている。「写真」や「ポートレート」などは基本的に4つの画素を1つの画素として撮影するピクセルビニングで撮影されるが、広角カメラと望遠カメラについてはピクセルビニングを使わず、5000万画素イメージセンサーのフル画素で撮影する「50MP」モードも選ぶことができる。「夜景」モード(ナイトモード)については「0.6X」(超広角)、「1X」(広角)、「2X」(望遠)のいずれでも撮影できる。フロントカメラでは[夜景]や[ポートレート]での撮影が可能で、手のひらを見せてシャッターを切る「手のひらシャッター」にも対応する。動画撮影についてはモーショントラッキングフォーカス(追尾フォーカス)に対応しており、子どもやペットなど、動く被写体を撮影するときにも連続的にピントを合わせることができる。フロントカメラでも最大1080p/30fpsでの撮影に対応するため、自撮りのムービー撮影にも適している。

カメラを起動し、画面最上段の「▽」をタップすると、カメラの各機能のON/OFFが切り替えられる。右下の「設定」をタップすれば、細かい項目も設定可能
カメラを起動したとき、左方向にスワイプすると、撮影モードが切り替えられる。「もっと見る」にはフル画素で撮影する「50MP」をはじめ、「長時間露光」や「スローモーション」などの撮影モードも用意されている
夜景モードでホテルの窓越しに夜景を撮影。広い街並みを全体的に明るく撮影できた
薄暗いバーで撮影。明るさや背景のボケだけでなく、氷やグラスが非常にクリアに撮影されている。従来モデルよりも一段と明るく撮れる印象

 撮影した画像や動画はシャオミ独自の「ギャラリー」アプリで閲覧できるほか、Googleの「フォト」アプリも利用でき、Googleフォトに写真や動画をバックアップすることもできる。「フォト」アプリではGoogleフォト標準の編集機能が利用できるのに対し、シャオミの「ギャラリー」アプリでは写真内のテキストを認識させたり、保護用透かしを加えたり、AIによる背景のボケ具合調整、撮影した人物の美肌や顔などの補正などの編集機能も利用できる。使い方はユーザー次第だが、基本的には「ギャラリー」アプリで閲覧や編集を利用し、Googleの「フォト」アプリをバックアップなどのために利用する使い分けが便利そうだ。

撮影した写真は「ギャラリー」アプリで確認できる。下段の「カメラ」と「すべて」で表示を切り替えたり、右上のボタンから「ビデオエディター」や「コラージュ」の機能を起動することも可能。Googleフォトの「フォト」アプリもインストールされている
「ギャラリー」アプリの「編集」ではGoogleフォトとは違った編集機能が利用できる。作例と同じ夜景で雪を降らせてみた。背景に花火を打ち上げるといった効果も加えられるほか、「消しゴムマジック」と同じような「オブジェクト消去」も用意されている

120W急速充電に加え、日本仕様もしっかりサポートした期待のフラッグシップモデル

 スマートフォンを使っていくうえで、欠かすことができないのが「電気」だ。「Xiaomi 12T Pro」のレビューでも触れたが、スマートフォンの進化と共に、端末やプラットフォームの省電力化が進み、ほとんどのモデルで丸1日程度の利用が可能になってきた。もちろん、人によって使い方が違うため、一概に言えないが、なかには数日の電池持ちをアピールする機種もある。これに対し、電気を蓄えるための「充電」は、徐々にUSB PD対応の急速充電が普及しつつあるが、それ以上の急速充電を訴求する製品は少ない。

 今回、シャオミとソフトバンクから発売された「Xiaomi 13T Pro」は、前モデルに引き続き、120W急速充電を可能にし、「神ジューデン」(Xiaomiハイパーチャージ)を強くアピールしている。環境や端末の状態によって、多少の差異はあるものの、対応する同梱の充電器とUSBケーブルがあれば、バッテリー残量がない状態から、数十分でフル充電ができるため、充電と利用のスタイルも変わることになりそうだ。これまでのように、端末に充電器をつないだまま、ゲームをしたり、通話をするのではなく、空き時間にサッと充電をして、端末を使いたいときは充電器を外して、操作するといった本来の使い方ができるわけだ。ユーザー自身も少し頭を切り替え、120W急速充電を活かした使い方をしたいところだ。

 また、「Xiaomi 13T Pro」は120W急速充電だけでなく、IP68準拠の防水防塵、おサイフケータイなど、日本仕様をしっかりとサポートしている点も評価できるポイントだ。特に、従来モデルでは耐環境性が防滴レベルだったことを考えると、ユーザーが使っていく上での安心感はグッと増したことになる。

 もうひとつ見逃せないのは、やはり、価格だろう。シャオミが販売するオープン市場向けのモデルもフラッグシップモデルながら、10万9800円という購入しやすい価格を実現している。これに加え、ソフトバンク版については昨年12月からスタートした「新トクするサポート(バリュー)」で購入することにより、13カ月目の端末返却を条件に、実質負担額を2万1996円(1833円×12回)に抑えることができる。約1年前にほぼ同価格で発売された「Xiaomi 12T Pro」の買取価格が状態のいいもので約4万円ということを考慮すれば、1年程度のタイミングで機種変更をしたいユーザーにとっては、かなり魅力的なプランと言えるだろう。1年間の利用で、破損などによって、査定額が変わってしまうことが不安なら、ソフトバンクが提供する「あんしん保証パック」などの補償サービスに入っておきたいが、それでも実質負担額は3万円前後に抑えられる。

 ここ数年、高騰する印象ばかりが強いスマートフォンだが、フラッグシップモデルに相応しい充実のスペックに加え、120W急速充電という独自のアドバンテージを持ち、日本のユーザーが求める防水防塵やおサイフケータイもしっかりとサポートした「Xiaomi 13T Pro」は、まさにコストパフォーマンスの高い魅力的なモデルと言えるだろう。