法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」
Googleの最新サービスを5Gで楽しめる「Pixel 5」&「Pixel 4a(5G)」
2020年12月4日 06:00
Googleは10月1日、今年8月に予告していたPixelシリーズの「Pixel 5」と「Pixel 4a(5G)」の2機種を発表し、10月15日から販売を開始した。Googleの最新サービスを体験できる端末として、2018年から国内向けにも展開したPixelシリーズ初の5G対応端末になる。筆者も実機を試すことができたので、レポートをお送りしよう。
拡大するPixelシリーズ
Googleは世界中で広く利用されている「Googleマップ」や「Gmail」、「Googleドライブ」などのオンラインサービスを提供する一方、Androidプラットフォームを開発し、世界中の端末メーカーなどに供給してきた。Androidプラットフォームが展開され始めてから数年間は、「Nexus」シリーズと呼ばれるリファレンスに位置付けられるスマートフォンをHTCやサムスン、LGエレクトロニクス、モトローラなどと共に開発し、市場供給してきた。
Androidプラットフォームの完成度が高められ、多くのメーカーがスマートフォンやタブレットなどの製品を開発するようになってからは、Googleは方針を転換し、新しいスマートフォンのシリーズとして、「Pixel」シリーズを市場に展開している。当初は米国などを中心に販売されていたが、2018年からは国内向けにも展開し、2018年11月に「Pixel 3」「Pixel 3 XL」、2019年5月に「Pixel 3a」「Pixel 3a XL」、2019年10月に「Pixel 4」「Pixel 4 XL」を発売してきた。今年8月には2020年モデルとして、「Pixel 4a」を発売したが、同モデル発表時、今秋には5Gネットワークに対応した「Pixel 5」と「Pixel 4a(5G)」を投入することを明らかにしており、その2つのモデルがいよいよ正式に国内向けに発売されることになった。
ちなみに、本誌の読者諸兄はよくご存知だろうが、Pixelシリーズには、大きく分けて、2つのシリーズが存在する。ひとつは型番の末尾に数字のみが与えられたモデルで上位モデルに位置付けられる。これに対し、末尾に「a」が付加されたモデルは普及モデルに位置付けられ、少しリーズナブルな価格が付けられている。つまり、今年8月に発売された「Pixel 4a」は普及モデルのラインアップであり、今回の「Pixel 5」は上位モデル、「Pixel 4a(5G)」は普及モデルの5G対応版になる。モデル展開やネットワーク対応が変わる過渡期なのかもしれないが、なじみのないユーザーにとっては、ちょっとネーミングのルールが複雑で戸惑ってしまいそうだ。
また、Pixel 4シリーズまでの世代は、Pixel 4などの末尾に何も付かない標準サイズのモデルのほかに、「XL」という型番を与えた「Pixel 4 XL」という大画面モデルがラインアップされてきたが、2020年モデルでは大画面モデルがなくなり、「Pixel 4a」「Pixel 5」「Pixel 4a(5G)」というように、ネットワーク対応の違いなどにより、3つのモデルがラインアップされることになった。いずれのモデルも「Googleの最新サービスを快適に体験できる」というPixelシリーズの基本コンセプトは貫かれているが、サイズや仕上げなどはややバラバラの印象もあり、はじめてのユーザーからは「どれがどういう位置付けなのかがわかりにくい」という指摘も少なくない。
今回、発売された「Pixel 5」と「Pixel 4a(5G)」は、Pixelシリーズとして初の5G対応端末になる。今年、国内ではNTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの5Gサービスがはじまり、auと楽天モバイルが料金プランとして、NTTドコモがキャンペーンという形でデータ通信の使い放題を提供し、緩やかに5Gサービスへの移行が始まりつつある。グローバル市場に目を向けると、すでに昨年から5Gサービスが展開されている国と地域があり、これらの国と地域から見れば、「Pixelシリーズもようやく5Gに対応した」という印象のようだ。Googleとしてはそれぞれの国と地域の状況を考慮したうえで、端末の展開を決めているそうだが、国内市場については、各社の5Gサービスの展開とうまくタイミングがマッチしたとも言える。
「Pixel 5」と「Pixel 4a(5G)」はGoogleストアで販売されるほか、「Pixel 5」はauとソフトバンク、「Pixel 4a(5G)」はソフトバンクでも販売される。なかでもソフトバンクはかつて同社がiPhoneを取り扱いはじめたときのように、各ソフトバンクショップでの販売に注力しており、店頭でも購入者に冊子を配布するなど、かなり積極的に取り組んでいる印象を受ける。価格は別表の通りで、「Pixel 4」までの世代に比べ、いずれのモデルも手を出しやすい価格帯に設定されている。これは「Pixel 4a」のレビューでも触れたように、Googleとして、ハイエンドを追求したスマートフォンを開発するのではなく、Pixelシリーズの本来の主眼である「Googleの最新サービスを快適に体験できる」という方針を重視し、幅広いユーザーに手にできる『ちょうどいいスマートフォン』を目指したことが背景にある。価格についてはiPhoneなどと同じように、メーカー(Google)自ら販売するものの方が割安である半面、auとソフトバンクで購入する場合は分割払いが利用でき、「かえトクプログラム」や「トクするサポート+」で割安に買うこともできる。ユーザーの予算によって、買い方を選べばいいだろう。
Pixel 5 | Pixel 4a(5G) | ||
一括価格 | 7万4800円 | 6万500円 | |
au | 一括価格 | 7万9935円 | - |
かえトクプログラム | 4万3815円 | - | |
ソフトバンク | 一括価格 | 8万7840円 | 6万5520円 |
トクするサポート+ | 4万3920円 | 3万2760円 |
手触りの良さがフィットするコンパクトな「Pixel 5」
まず、外観からチェックしてみよう。「Pixel 5」と「Pixel 4a(5G)」はカメラなど、一部の仕様が共通であるものの、デザインやボディなどは違うため、最初に「Pixel 5」を説明し、「Pixel 4a(5G)」は別に説明するので、その点はご理解いただきたい。
まず、「Pixel 5」のボディは、幅70.4mmというコンパクトで持ちやすい形状に仕上げられている。今年8月に発売された「Pixel 4a」が幅69.4mmであり、これとほぼ同じサイズ感ということになる。フレームはアルミニウム(100%リサイクル)を採用し、背面はガラス仕上げだが、iPhoneをはじめとした多くの機種で採用されている光沢感のある『ガラスらしい仕上げ』ではなく、つや消しのマット仕上げで、側面への回り込みの部分も含めて、セラミックのような質感に仕上げている。Googleの担当者曰く、「手にしたとき、自然を感じる」「大理石に触れたような触感」を意識したそうだが、確かに「石」に触れるような感触で、ガラス仕上げとは違い、落ち着いた印象を受ける。ちなみに、重量は151gに抑えられており、カバーを装着した状態でも十分な軽さを実現している。
本体は「Pixel 4a」などと違い、IP68規格に準拠した防水防塵に対応する。昨年の「Pixel 4」も防水防塵に対応しており、Googleとして、上位モデルについては防水防塵対応がひとつの基準になっているようだ。国内市場で販売される製品であれば、やはり、防水防塵対応はFeliCa(おサイフケータイ)と並んで、必須と言えるだろう。ちなみに、従来モデルに引き続き、FeliCaは搭載しており、Google PayによるモバイルSuicaやQUICpayなどの各サービスを利用できる。
ディスプレイは2340×1080ドット表示が可能な6.0インチOLED(有機EL)を採用する。アスペクト比は19.5:9で、最大90Hzのスムーズディスプレイに対応する。対角サイズは「Pixel 4」の5.7インチ、「Pixel 4a」の5.8インチよりも大きいが、ボディ幅は1.0~1.6mmしか違わない。その分、ベゼル(額縁)はかなり狭く、インカメラを前面左上のパンチホールに収めたことで、画面占有率は91%に達する。ディスプレイのガラスには割れにくさで定評のあるConing Gorilla Glass 6を採用する。OLEDの特長を活かし、従来モデルに引き続き、「常に表示状態のディスプレイ」(Always on Display)を搭載するほか、HDRもサポートし、対応コンテンツを美しく再生することができる。本体にはステレオスピーカーを搭載し、3つのマイクにより、通話時などのノイズ抑制などの機能も備える。
バッテリーは4080mAhの大容量バッテリーを内蔵し、最大18Wの急速充電、USB-PD 2.0に対応するほか、Qi(チー)規格準拠のワイヤレス充電(12W)にも対応する。「Pixel 4」の2800mAh、「Pixel 4a」の3140mAhに比べると、バッテリー容量は大幅に増えたことになる。ユーザーの利用状況に応じて、アプリへのバッテリー供給をコントロールする「アダプティブバッテリー」(自動調整バッテリーとも表記される)により、長時間の利用を可能にする。さらに、「スーパーバッテリーセーバー」をオンにすれば、使っていないアプリの電力をオフにすることで、1回の充電で最長48時間の持続が可能になるという。パッケージには18W対応USB-C電源アダプターが同梱される。
また、「Pixel 5」はワイヤレス給電にも対応する。通知パネル内で「電池の共有」を選べば、他のスマートフォンにワイヤレスで給電したり、Pixel Budsなどのワイヤレスイヤホンなどを充電することができる。他の端末に給電するシーンはあまりないかもしれないが、ワイヤレスイヤホンを充電できるのは便利だ。
ひと回り大きな画面で楽しめる「Pixel 4a(5G)」
次に、「Pixel 4a(5G)」の外観について、チェックしてみよう。「Pixel 4a(5G)」は前述のように、今年8月に発売された「Pixel 4a」の5G対応版に位置付けられるが、内部的には「Pixel 5」ともかなり共通点が多い。ただし、ディスプレイサイズの違いなどもあり、ボディサイズはひと回り大きい。「Pixel 5」や「Pixel 4a」が幅70mm前後のコンパクトサイズであるのに対し、「Pixel 4a(5G)」は幅74mmと少しワイドで、高さ(長さ)も153.9mmと1cmほど、長い。2020年モデルには「Pixel 4」までラインアップされていた「XL」の名を冠した大画面モデルがないが、そこまでは大きくないものの、中間サイズのボディという印象だ。
ボディは「Pixel 5」などのアルミニウム製と違い、ポリカーボネートのユニボディを採用するが、仕上げは「Pixel 5」のつや消し仕上げを継承しており、指紋の跡も付かず、クリーンに利用できる印象だ。ただし、防水防塵には対応していないため、水廻りでの利用などは十分に注意が必要だ。FeliCaは搭載しており、Google PayによるモバイルSuicaやQUICpayなどの電子マネーサービスも利用できる。
ディスプレイは2340×1080ドット表示が可能な6.24インチOLED(有機EL)を採用する。アスペクト比は19.5:9で、「Pixel 5」や「Pixel 4a」よりも対角サイズはひと回り大きく、画面占有率は90%に達する。ディスプレイの左上にはインカメラを収めたパンチホールがあり、カバーガラスにはConing Gorilla Glass 6を採用する。昨年の「Pixel 4 XL」に比べると、ベゼル(額縁)が狭く仕上げられたため、ボディも対角サイズもコンパクトながら、「Pixel 4a(5G)」の方が大画面に見える。本体にはステレオスピーカーが内蔵されており、2つのマイクによるノイズ抑制機能も備える。「Pixel 5」にはないものとして、3.5mmステレオイヤホンマイク端子を備える。
バッテリーは3885mAhの大容量バッテリーを内蔵し、「Pixel 5」や「Pixel 4a」と同じように最大18Wの急速充電、USB-PD 2.0に対応する。ただし、ワイヤレス充電には対応していない。「アダプティブバッテリー」や「スーパーバッテリーセーバー」などの電源制御は「Pixel 5」と共通で、「スーパーバッテリーセーバー」をオンにすれば、1回の充電で最大48時間まで利用できる。パッケージには18W対応USB-C電源アダプターが同梱される。
チップセットなどが共通の「Pixel 5」と「Pixel 4a(5G)」
続いて、チップセットなど、内部の仕様について、チェックしてみよう。ボディやディスプレイサイズが違う「Pixel 5」と「Pixel 4a(5G)」だが、ハードウェアの仕様はかなりの部分が共通となっている。
まず、チップセットは両機種共、米Qualcomm製Snapdragon 765Gを搭載する。メモリーとストレージは「Pixel 5」が8GB RAMと128GB ROM、「Pixel 4a(5G)」が6GB RAMと128GB ROMで構成され、microSDメモリーカードなどの外部メモリーには対応しない。チップセットについては、従来の「Pixel 4」などの上位モデルがSnapdragon 855など、各シーズンの最上位のチップセットを採用してきたのに対し、上位モデルの「Pixel 5」と普及モデルの「Pixel 4a(5G)」の両機種がミッドハイクラスのチップセットを採用している。Googleとして、ハイスペックを追求するばかりではなく、より多くのユーザーに5Gの環境を提供することを考えたためとのことだが、同時に、冒頭でも説明したように、Pixelシリーズ本来の目的である「Googleの最新サービスを快適に体験できる」という基本コンセプトを反映したものとも言えるだろう。
生体認証は両機種共、背面に指紋センサーを備え、「Pixel Imprint」と呼ばれる指紋認証を搭載する。従来の「Pixel 3」などは背面に指紋センサーを搭載し、「Pixel 4」では顔認証のみに切り替えていたが、「Pixel 5」と「Pixel 4a(5G)」は「Pixel 4a」と同じように、背面の指紋センサーのみに再び戻る形となった。「Pixel 4」などの顔認証は便利だが、昨今の環境下ではマスクを装着していることが標準のため、指紋認証の方が明らかに有用であり、その意味でも堅実な仕様になったとも言えそうだ。背面に備えられた指紋センサーは、自動車で車載ホルダーに装着したときなどに操作しにくいことが挙げられるが、Smart LockでカーオーディオやBluetoothイヤホンと連携させることにより、ロックを解除したままで操作できるので、これを上手に活用したいところだ。
プラットフォームは最新のAndroid 11が搭載されており、発売後、最低3年間のOSアップデートとセキュリティアップデートが保証されている。今回試用した端末は原稿執筆時点で、2020年11月5日版のAndroidセキュリティアップデート、2020年9月版のGoogle Playシステムアップデートが適用されていた。こうしたプラットフォームの更新の早さは、Googleが手がけるPixelシリーズならではの安心感であり、長く安定した環境で使いたいユーザーにとっては、地味ながらも魅力的なポイントだろう。ちなみに、日本語入力はAndroidプラットフォーム標準のGboardが搭載される。
ネットワークは新たに5Gに対応するほか、既存の4G LTE、3GのUMTS(W-CDMA)やHSPA+、2GのGSM/EDGEなどにも対応する。5GについてはSub-6のみの対応となるが、Googleは国内で5Gサービスを提供する4社で利用できるとしている。ちなみに、NTTドコモの5Gへの対応について、両機種がサポートする5G対応バンドに、NTTドコモが提供するn79(4.5GHz帯)が含まれていないため、注意が必要という指摘もあったが、現時点で5G対応エリアはかなり限定的であるうえ、n77/n78(3.9GHz帯)は他社同様に利用できるため、あまり気にする必要はないだろう。
SIMカードはnanoSIMカードに対応し、eSIMも利用できる。国内ではIIJmioと楽天モバイルがeSIMを利用したサービスを提供しており、IIJmioは両機種共、対応機種に挙げている。楽天モバイルは情報が更新されていないが、Pixel 4やPixel 4aが対応機種になっているため、おそらく利用できると見ていいだろう。ただし、いずれの場合も5Gを利用するときは少し注意が必要だ。「Pixel 5」と「Pixel 4a(5G)」は物理SIMカードとeSIMカードのデュアルSIMで利用できるが、5Gで利用するときはデュアルSIMをオフにする必要がある。今のところ、5G対応のeSIMサービスは楽天モバイルしかないが、もし、同社のeSIMサービスを5Gで利用するときは、物理SIMカードが利用できないケースがあることを覚えておきたい。Wi-Fiは2.4/5GHz対応のIEEE 802.11a/b/g/n/acに対応する。最新のWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)が含まれないていないのは、やや残念な印象も残るが、実用面ではそれほど大きな差にならなさそうだ。
広角&超広角のデュアルカメラを搭載
カメラについては、背面カメラ、前面カメラ共に、共通仕様となっており、搭載位置や形状なども同じとなっている。
背面カメラは12MピクセルのデュアルピクセルイメージセンサーにF1.7のレンズを組み合わせた広角カメラ、16MピクセルのイメージセンサーにF2.2のレンズを組み合わせた超広角カメラを搭載する。広角カメラは光学式と電子式手ぶれ補正に両対応し、視野角は77度となっている。超広角カメラは視野角が107度になっており、ライバル機種の超広角カメラに比べると、やや狭めだが、レンズの歪みをソフトウェアで補正し、対象の人物も判別した上で、補正をするなど、Pixelシリーズらしく、AIを活かした機能を充実させている。
撮影モードについては、夜景モードと夜景ポートレートモードなどを搭載し、フラッシュがない環境でも撮影できるようにしている。撮影時に周囲の明るさに合わせ、自動的に夜景モードに切り替わる仕様となっている。新機能の夜景ポートレートモードは夜景をバックに人物を撮影するための機能で、イルミネーションやライトアップが多く見られるこれからのシーズンに威力を発揮できそうな機能だ。ポートレートについては撮影後にライティングを自由に設定できるエフェクトも用意されており、自分の好みに合わせた写真を手軽に作成できるようにしている。
動画撮影ではシネマティック撮影という新機能が搭載される。映画などの映像作品で、なめらかにフレームを移動しながら撮影するパン操作やスローモーション撮影などの演出が使われるが、こうした操作をスマートフォンで手軽に撮影できるとしている。
前面カメラは8MピクセルのイメージセンサーにF2.0のレンズを組み合わせ、固定フォーカスで視野角は83度となっている。仕様としては標準レベルだが、背面カメラと同じように夜景ポートレートなども利用できるため、夜景のセルフィーが楽しく撮影できそうだ。
「Pixel 4a」のときにも感じられたが、PixelシリーズのカメラはGoogleが掲げる「Hardware+Software+AI」の力によって、ユーザーが美しいと感じる写真を生成する方向に進化を続けている。今回の「Pixel 5」と「Pixel 4a(5G)」では、新たに夜景ポートレートモードという形でまとめており、単純に暗いところでも撮影できるだけなく、背景の光源を活かした『見映えのする写真』を誰でも手軽に撮影できるようにしている。
肩肘を張らずにGoogleサービスを5Gで楽しめる「Pixel 5」と「Pixel 4a(5G)」
GoogleのPixelシリーズは、Androidというプラットフォームを提供するGoogleが手がけるスマートフォンということもあり、アップルのiPhoneと比較されることが少なくない。しかし、実際に端末を手に取ってみると、基本コンセプトや方向性に違いがあることがわかる。ここ数年、高級志向を強めてきたiPhoneに対し、PixelシリーズはGoogleが普段から説明しているように、ハードウェアとソフトウェアにAIを組み合わせ、Googleが提供する多彩なサービスを快適に使えるようにすることを目指している。
なかでも今回発売された「Pixel 5」と「Pixel 4a(5G)」は、今年、国内でサービスが開始された5Gをより身近に使えるようにすることを目指しており、その狙いが6~7万円という価格設定に表われている。改正電気通信事業法が施行されて約1年が経つが、やはり、市場でのトレンドはハイスペック&ハイエンドの機種が求められるケースが減りつつあり、どちらかと言えば、10万円以下、5万円以下のレンジのモデルが注目を集めているようだ。今回の「Pixel 5」と「Pixel 4a(5G)」は、誰もがあまり肩肘を張らず、気軽に5Gの環境を体験できる端末に仕上げられている。機能的な派手さはないものの、実用的な機能がしっかりとサポートされており、「Pixel 5」と「Pixel 4a(5G)」の両機種共に買って損をしない端末に仕上がっていると言えるだろう。
ただ、惜しむらくは、どうしてもコロナ禍の影響なのか、発売時期が少し後ろにずれ込み、短期間に連続して機種が登場したため、今回の「Pixel 5」と「Pixel 4a(5G)」、今年8月発売の「Pixel 4a」がうまくユーザーに認識されておらず、今ひとつ存在感を示すことができていないことは気に掛かる。素直でまとまりのある端末であるだけに、少しでも多くのユーザーが体験できる環境を整えて欲しいところだ。手軽に5Gサービスをはじめたいユーザー、安定して長く使える端末を求めるユーザーに、ぜひ試して欲しい2機種と言えるだろう。