みんなのケータイ

Galaxy Z Fold7用に作ったアプリをPlayストアに登録、販売してみた

【Galaxy Z Fold7】

 前回、このコーナーで紹介したように、「なければ作ってしまえ」ということでバイブコーディングを始めた筆者。エディタを作る前に、機能的にもシンプルで簡単そうという理由で開発したのが、時差を計算するアプリだった。

時差を自動で計算して、都市ごとの時間を表示するアプリ。機能は絞りに絞ってシンプルにした

 筆者の読みどおり、タイムゾーンごとの時間を表示し、それを並べ替えるだけというシンプルな構成だったこともあり、開発環境を整えたあとの作業は本当に一瞬だった。

 アプリをビルドし、「Galaxy Z Fold7」や「Pixel 10」で実際に動かしたあと、対応する都市を増やしたり、ダークモードとライトモードを切り替える機能を入れたり、時間をドラッグ&ドロップした際にバイブでフィードバックを返す仕様を入れたりしたが、トータルでも2時間程度でできてしまった。

ダークモードとライトモードの切り替えは可能

 僚誌「窓の杜」にもバイブコーディングでアプリを開発する記事があったので読んでみたが、ネットワークにつながって他サービスのAPIを使ったり、ユーザー情報を管理したりしなければならないアプリは、非エンジニアがいきなりバイブコーディングで作るのはやはり難しい……らしい。

 その意味でも、最初に端末内で完結し、表示させるのは時間だけというアプリから作り始めたのはとっかかりとしては正解だった気がしている。

 もともとほしかったシンプルな時差を計算するアプリということもあり、そのまま端末にサイドローディングでインストール。こうしたことが簡単にできるのは、Androidの自由度の高さであり、魅力である。無事にアプリが動くことや、一連の流れを体験したあと、前回紹介したエディタの開発をしてみることにした。

しばらくの間、サイドローディングで複数の端末に作ったアプリをインストールして、実機で不具合が出ないかを確認してみた。ストアを通していないので、インストール時にはこんな警告が出る

 それと並行して、せっかくアプリを作ったのであれば、Playストアで配布してもいいのではと思うようになった。同じようにシンプルなアプリがほしいものの、バイブコーディングをする時間もない人はどこかにいるかもしれない。みんなが自分のほしいツールを作って、それをおすそ分けするような形のものがあってもいいのではと思ったのである。

 そこで、グーグルのPlayストアに開発者として登録してみることにした。Playストアに開発者登録するには、グーグルアカウントと登録料の25ドル(約4061円)が必要。登録が済むと、開発者用の「Google Play Console」が利用できるようになる。ということを、今回も片っ端からGeminiに聞き(笑)、登録項目で分からないところはスクリーンショットを都度読み込ませて確認していった。マルチモーダルなAIに感謝である。

Google Play Consoleからアプリの開発者登録を行った。筆者は、後述のように組織(会社)として登録している

 Geminiに確認している過程で、1つハードルになりそうだなと感じたのは、個人開発者の登録条件。具体的には、23年11月に設定された要件で、個人開発者は最低12人を集めてクローズドテストを14日間連続で行い、それをクリアしなければならないという条件が課されている。アプリを売ってばんばん儲けてやる……と思っているわけではないので、これはなかなか面倒だ。

 そう思いながら、いろいろと情報を調べていたところ、どうやらこのテスト必須の条件は法人であればスキップできるらしい。幸い、筆者は日々の仕事を請けるために法人化していたので、登記簿(履歴事項全部証明書)を取り寄せた。1つ、引っかかったのがD-U-N-Sナンバーというもので、普段の仕事ではほとんど使わない。

 これは、米企業のDun & Bradstreet社が管理するコードで、世界各国の企業に振られているらしい。日本では、東京商工リサーチのサイトで照会できる(ただし、有料)。また、D-U-N-Sナンバーは、アップルの開発者登録にも必要になり、そちらでも照会ができる(こちらは無料)。というようなことをGeminiに聞きつつ調べたところ、弊社にもいつの間にかD-U-N-Sナンバーが振られていることが分かった。

米Dun & Bradstreetが振っているD-U-N-Sナンバーが必要だった。日本だと必要になるシーンがほぼないので、これについてもいろいろとGeminiに確認した

 このようなステップをクリアしたあと、アプリを登録していく。ただ、配布となると単に開発するのと違い、チェック項目も多くなる。プライバシーポリシーを作ってWebに掲載したり、広告が入っていないことを宣言したり、アプリのレーティングを定めたり、行政や金融取引機能がないことを宣誓したりと、いろいろな項目をクリアしていかなければならない。

プライバシーポリシーを作ったり、レーティングを定めたりと、配布にあたってはさまざまな説明をしなければならない。意味がよく分からないものをGeminiに確認しながら作業を進めたので、ここにも時間がかかった

 また、Playストア掲載用のスクリーンショットを定められたサイズピッタリに作らなければならないなど、簡単だと思っていたところに意外と苦戦してしまうこともあった。エラーが出るたびに、Geminiにスクリーンショットを投げ、エラーを修正して進めるのを繰り返した結果、ついにアプリの登録ができ、審査に進んだ。

ストアに掲載するための素材も、サイズの指定などがあり、やや面倒だった。スクリーンショットだと地味になってしまうのも難点

 数日経ち、アプリが審査を通った結果、現在はPlayストアにアプリが登録されている。無料でばらまいてもよかったが、将来的に広告を入れると思われるのも嫌だったので、広告フリーをうたいつつ、とりあえずワンコインの価格を設定してみた。アプリはここからダウンロードできるので、一応紹介しておく。

 仕事の合間合間で作業していたため、正確な時間は分からないが、正直なところ、ゼロベースでアプリを作るよりも不明点をGeminiに聞くことが多く、時間がかかってしまった(笑)。とは言え、これまでまったくアプリを開発したことがなかった筆者が、誰にも頼らず(Gemini以外には、だが)、ストアへの登録までできたのはなかなかすごいなと思った。筆者は指示と一部パソコンの操作をしただけ。優秀な社員を1人抱えたような感覚になった。

Playストアアプリで表示した筆者のアプリ。とりあえず、手持ちの端末にはまとめてインストールしておいた

 個々人が自分のために作ったアプリがほかの誰かにフィットする可能性はある。「よく読む記事を書いているあの人が作ったアプリ」のような、属人的な選び方があってもいい。単にアプリを作るだけでなく、ストア登録までいくのはやはりハードルが少々高かったが、やってできないことではなかった。生成AIによって、その難易度が大きく下がったと言えそうだ。