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Osaka Metroで顔認証乗車を体験してきた
2025年12月9日 00:00
先日、JR東日本が上越新幹線の一部駅で顔認証改札機の実証実験を開始しましたし、東武鉄道も東武宇都宮線の栃木-宇都宮駅間で顔認証改札機を導入しました。このほかにも、JR西日本や京成スカイライナーなどで導入されるなど顔認証改札機の導入が徐々に始まっています。
そういった中、かなり早い段階から顔認証改札機を導入してきたのがOsaka Metroです。2019年12月に一部駅に設置して実証実験を行っていましたが、2025年3月には全134駅中130駅に設置を完了し本格運用を開始しています。
すでに本格運用開始から半年以上経過していますので、実際に試した読者も多いかもしれませんが、今回大阪に行く機会がありましたので、遅ればせながら顔認証での乗車を試してきました。
Osaka Metroで顔認証を利用するには、Osaka Metroの公式アプリ「e METRO」アプリをスマホにインストールして会員登録して、顔認証用の顔写真を撮影して登録。その後、顔認証改札機を通過できる対象のデジタル乗車券を購入した上で、そのデジタル乗車券に顔写真を紐付ける必要があります。
筆者の場合、e METROアプリをそれまで利用していなかったので、アプリのインストールと会員登録、顔写真の登録から行いました。手順は、よくあるアプリの利用登録と同じですが、いろいろと入力作業がありますので、それなりに時間はかかります。顔写真の撮影も含めて、事前にやっておいた方がいいでしょう。
以上が完了したら、次は対象のデジタル乗車券の購入です。顔認証改札機の本格運用が開始された当初は、対象となるデジタル乗車券は「Osaka Metro 26時間券」と「Osaka Metro 48時間券」の2種類だったようですが、現在では「Osaka Metro・大阪シティバス1日乗車券(平日用)」と「Osaka Metro・大阪シティバス1日乗車券(休日用)」、70歳以上の人が利用できる「1日乗車券シニア」の3種類が追加され、全5種類となっています。
今回は、「Osaka Metro・大阪シティバス1日乗車券(平日用)」を購入。価格は820円でした。なお、チケットの購入にはクレジットカードを利用する必要があります。
そして、最後に購入したデジタル乗車券に、アプリに登録した顔写真を紐付けて、顔認証改札での利用を設定する必要があります。ホーム画面の「MYチケット」に購入したデジタル乗車券が表示されていますので、そちらをタップして詳細情報を開き、「顔認証改札の利用」という項目をタップして、有効に設定します。
その後、詳細画面の下部にある「チケットを使う」ボタンをタップすると、そのデジタル乗車券の利用が開始となります。
アプリホームの「MYチケット」に表示されるデジタル乗車券の情報を見ると、「顔認証利用中」という表記が追加されていますので、顔認証改札を通過できることが確認できます。
この一連の作業は、アプリのインストールや会員登録から開始すると、それなりに手間と時間がかかります。ですので、可能な限りそれらはあらかじめやっておいた方がいいでしょう。
ちなみに、デジタル乗車券は有効期限が購入から1カ月後までとなっていて、その間に「チケットを使う」ボタンを押すとその時点から実際に使えるようになりますから、前日などにあらかじめ購入しておいても問題ありません。
そして、実際の顔認証改札の通過ですが、とにかく非常にスムーズで驚かされます。改札機には大きなフレームが取り付けられていて、進行方向奥側のフレームにあるカメラで顔を捉えるとともに、アプリで登録した顔写真と照合して顔認証しているわけですが、改札機に近付いた段階から顔を捉えて認証していることもあってか、まさに瞬時に認証が完了しているという印象です。
もちろん、改札機通過時にスマホを取り出す必要は一切ありません。両手に荷物を持っているときなどは、交通系ICカードやスマホをタッチするのも大変ですが、そういった場面でも歩いて通過すればいいだけですから、利便性という意味ではこれ以上のものはないと感じます。
また、今回試した限りでは、マスクを装着していても問題なく通過可能でした。おそらく、マスクに加えてキャップやサングラスを付けていたりすると正常に顔認証できない可能性が高いと思われますが、通常のマスクだけであればほぼ問題なく顔認証で通過できるのではないでしょうか。この点も利便性という点でかなりありがたい部分です。
以下は顔認証改札機を通過している様子になる。
このように、非常に利便性に優れる顔認証改札機ですが、使っている人はほとんど見られませんでした。と言うか、自分以外で使っている人は結局誰ひとり見られませんでした。そして、改札機の1つが顔認証改札機で占められていることで、ほかの改札機は結構な渋滞が発生しているようにも感じました。
もちろん私はその渋滞を尻目に誰も使っていない顔認証改札機を通過できたので良かったのですが、改札機の運用効率という意味ではちょっと問題あり、という気もします。
これは、まだまだ知名度が低いと言うこともあるかもしれませんが、根本的な問題は顔認証改札機を通過するためのハードルの高さもあるでしょう。
アプリをインストールしてユーザー登録し、顔写真の撮影、アプリにクレジットカード情報を登録してアプリからデジタル乗車券を購入、そのデジタル乗車券で顔認証の利用を有効化、という手順を踏む必要がありますから、この作業を経てまで使いたいと思う人はかなり少ないだろうな、と想像できます。
確かに、1度顔認証改札を経験すれば、これは便利でこれからも使いたいと感じるはずです。実際に筆者も、今後またOsaka Metroを利用する機会があれば、積極的に顔認証改札機を利用したいと思います。とはいえ、せっかく整えたインフラですし、もっと手軽に利用できる仕組みを構築してもらいたいと思います。













