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ホーチミンの空港でライドシェア「Grab」を待っていたらなぜか“白タク”に乗ってしまった話

 コロナウイルスの影響で、海外旅行が縁遠い存在になっていましたが、円安など環境の変化はあれどようやく落ち着いて楽しめるようになってきました。筆者も、この年末年始はアジア3カ国を周遊する旅に出かけ(うち2カ国はトランジットですが……)、ベトナム・ホーチミンのタンソンニャット国際空港に降り立ちました。

 ホーチミンは、1月でも日中は30℃を超える気温で、半袖で過ごせます。入国審査を長袖パーカーという暑そうな格好で1時間待ち(半袖は預け荷物に入れていた)、到着ターミナルで両替(キャッシング)とSIMカードを購入し、宿泊する市内のホテルに移動します。

 空港からホーチミン市街までは10㎞弱の立地。ベトナムは“バイク天国”といわれるほどバイクが多く道路の流れもイマイチですが、それでも30分程度で着いてしまいます。鉄道は通っておらず、市街地方面へ向かうバスもありますが、物価の安さの相まって多くの方はタクシーを使うことが多いでしょう。

 筆者も類いに漏れずタクシーで移動することに。ベトナムでは配車アプリ「Grab」が幅を利かせており、Uber同様にタクシーの配車からフードデリバリーまで対応。ベトナムやタイでは、バイクタクシーもGrabで手配でき、渋滞がひどいタイ・バンコクではバイクの方が早く到着する、なんてこともあります。今回は荷物があったので普通のタクシーを手配しました。

ピックアップポイントと目的地を指定すると、需要などに応じて運賃が決まる仕組み(ダイナミックプライシング)。運転手が捕まれば、そのまま配車されます

 通常であれば、地図でピンを刺した場所まで配車されますが、多くの人が利用する空港内では、Grabの集合場所が設けられています。設けられていると行っても、駐車場の一角を指定しているだけで、空港の案内もなく看板も立っていません。それでも、アプリ(なんと日本語対応)に行き方が案内されているので、それに従って進むだけ……のはずでした。ところが、久しぶりの海外、筆者はすっかり忘れていました。“ぼったくりタクシー”の存在を……。

Grabアプリは、割と日本語対応できており、空港の集合場所への案内も日本語と画像で確認できます

突然案内人が現れる

 指定された集合場所への道中、「Uber? Uber?」と話しかけられます。こちらが「Grabだ」と言うと「OK、OK」と、ついてこいというジェスチャー。一瞬、探すそぶりを見せると「呼んでやるよ」と筆者のスマホから運転手に直接電話します。数秒も経たないうちに「彼はここには来ない」と良い、アプリに掲示された価格から1割程度引いた価格で乗せてやると言い出しました。

 通常であれば、ここで引き返すべきところですが、筆者は「まあ、ベトナムで白タクに乗ったってネタになるしなぁ」と呑気なことを考え(多分疲れていた)、その交渉に乗ることにしました。ある車の助手席に乗せられ待っていると、案内人とは別の若い男性が運転席に乗り込み、先ほどの案内人からお金を受け取り、なにやら指示を出している様子。どうやら、先ほどの案内人は白タクのブローカーのような役割を果たし、斡旋しているようでした。

 ほどなくして発車。運転手からは「日本の紙幣をスマホに入れたい」などと、ネットで見たお手本通りの“おねだり”に感動しながら、「翻訳アプリが役に立たずにコミュニケーションができない」ふりをして切り抜け、無事(?)ホテルまで到着しました。結果的には、Grabよりも安価な運賃で到着し、運転手とは「Happy New Year!!」と別れましたが、みなさんはくれぐれもご注意ください。

安全な移動方法

 タンソンニャット国際空港の到着ターミナルの建物内は、到着利用者と指定された業者以外は入れないようになっています。SIMのカウンターのほかタクシーのカウンターもあるので、そのカウンターで送迎を手配してしまえば、迷うこと無く交渉した運賃で市内に迎えます(Grabよりも高くなることが多いですが……)。通常のタクシースタンドもありますが、メーターを使わない運転手もおり、観光客にはハードルが高い気がします。あるいは、日本からWebで事前に手配しておくのも手です。

2024年12月22日に開通したばかりのホーチミンメトロ1号線。タンソンニャット国際空港までの路線も計画されています

 ちなみに、帰りはホテルから空港まで懲りずにGrabで配車依頼をかけました。ホテルのチェックアウト時に「タクシー呼ぶ?」と聞かれましたが「Grab呼んでるで」と伝えると、そのままGrabの車がホテルの車寄せまで乗り入れられ、普通のタクシーと変わらない乗車体験でした。もちろん価格交渉することもなく、運転手から「国際線か?」と確認された程度でアプリで提示された料金のみ請求されました。チップもアプリで送れます。

 久しぶりの海外移動。身を引き締めて行かねばならないと、あらためて心がけた一日でした。

ホーチミン市街では、ちょうどOPPOのイベントも開催されていました