みんなのケータイ
6年で料金は3倍になったけど、テキストエディターは「Inkdrop」です
2024年11月15日 00:00
2018年の夏ごろから「とりあえず試しに」と思って使い始めたマルチプラットフォーム対応のテキストエディター「Inkdrop」だけれども、結局それからずっと使い続けている。Androidスマホでも、iPhoneでも、WindowsでもmacOSでも使えて、それらの端末間でデータを同期でき、データ紛失がまず起こらない(ような設定もできる)のがその理由だ。
周囲のライターの方とか編集者の方を見回すと、どうやら「秀丸エディタ」とか「EmEditor」とか、Windows黎明期と言っても過言ではないくらいの時代から存在するテキストエディターを使っている人が少なくない。のだが、筆者の場合はわりと浮気性で、Windowsだと最初の頃は「WZ Editor」で、その後は「xyzzy」にハマり、macOSでは「mi」をよく使っていた。
ただ、それらのツールはある程度バックアップ機能でリスク回避できるとしても、アプリケーションやOSのクラッシュタイミングによっては、せっかく書いた原稿がごっそり失われる可能性があった。加えて、パソコンだけでなくスマホやタブレットなど、マルチデバイスが当たり前の今の時代、それら端末間でデータを同期しにくいのも問題だ。移動中の電車内でちょっと原稿を直しておこうかな、なんてときにはパソコンをわざわざ開くのではなく、スマホでパパッとやってしまいたいわけで。
その点、Inkdropであればそれらの課題をまるっとクリアできる。編集データはローカルの端末内に格納されるが、オンラインであれば独自のクラウドにも逐次保存され、さらにバックアップデータも任意のローカルフォルダに保管可能。筆者はそのバックアップデータをクラウドストレージの同期フォルダ内に残すようにしており、そこから宅内LANのNASにも定期的に同期しているため、五重のバックアップ体制で万全の構えである。絶対に事故らないぞという強い意志を感じてもらいたい。
また、最初に書いたように、異なるプラットフォームの複数の端末間でデータを同期できる。自宅ではデスクトップパソコンで、出先ではノートパソコンで、移動中はスマホで、というように使い分け自在だ。一時的に全く新しい別環境のパソコンやスマホを使うことになったとしても、Inkdropをインストールして同期が完了するのに数分程度待てば、他と全く同じ状態で使えるようになる。
この6年あまりでInkdropを使って作成した原稿データは約2400件に上る。それなりに多くなってきたが、Inkdrop上ではカテゴリ分けできるし、タグ付けできるし、キーワード検索もできるから、管理面で混乱することはない。それらの機能がどのプラットフォームでも同じように利用できるのもポイントだろう。
個人的にはめちゃくちゃおすすめしたいツールではあるのだけれども、おそらく価格がネックになるだろうと思っている。2018年の導入当初は年額約5400円(請求はドル建て)だったのが、その後の若干の値上げや消費増税、為替変動によってじりじりとアップし、2023年は年額約8000円となった。
そして2024年は約2倍の大幅な値上げが行なわれ、なんと年額約1万6000円(月額プランは約1450円)に。これは、Inkdropが個人開発のツールということもあり、裾野を広げるのではなくプレミアムユーザーに的を絞って提供する方針を開発者が打ち出したためでもあるのだが、なかなかのインパクトかもしれない。
この値上げにはちょっとびびった筆者だが、今のところほかに似たような選択肢はないし、機能的には十分満足しているし、仕事内容的にケチる部分でもないので、フツーに継続した。ちなみに、もし別のツールに乗り換えるとしても、エクスポート機能で全データをまとめて吐き出せるので移行が面倒ということもない。
ヘンに囲い込もうとするソフトウェアが多いなか、そんな風にオープンな姿勢で作られているのも信頼のおける部分。14日間の無料試用期間もあるので、気になる方は試してみてもらえれば。