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エンジニア向けメモツール「Inkdrop」を原稿執筆に試用中

【V30+ L-01K】

「Inkdrop」は自分にとって最高の原稿執筆ツールとなるか

 原稿執筆はこれまでずっとパソコンの普通のテキストエディターを使ってきた。運の良いことに、これまでのところは執筆途中でクラッシュして原稿が消えた、みたいなことはないし、エディターの機能面でも満足しているのだけれど、それでも万が一というのは想定しておかないとならない。

 それに、パソコンを使わないと原稿を書けもしないし読めもしない、というのは大きな不満でもあった。ときには通勤電車のなかで片付けてしまいたい仕事なんかもある。でも、通勤電車でノートパソコンを開くのは、新幹線ならともかく混雑する在来線だと周囲に迷惑だろう。こちらとしては画面をのぞかれるのが気になって集中できないというのもある。

電車のなかでの執筆は、パソコンよりスマホの方がやりやすい

 ということで、電車内でも気軽に取り出せるスマートフォンで、パソコンと同じように執筆できて、今の時代らしくクラウドにも自動で都度バックアップ(同期)するような仕組みはないものか、と思った。NASを使った1日単位とか1週間単位とかのバックアップ環境はすでにあるが、それでは全然足りないのだ。なんなら1文字でも入力したらどんどんバックアップしてほしいわけで。

 だからといってDropboxやGoogle ドライブ、OneDriveみたいなクラウドストレージと組み合わせるのはちょっと違う。パソコン上で編集することだけを考えればそれでもいいかもしれないけれど、すぐに同期されない場合があったり、結局スマートフォン用のテキストエディターを別途探さなければいけなかったりするからだ。EvernoteとかDropboxのPaperとかも、使えなくはないが原稿執筆用のテキストエディターとしては機能が過剰に感じられる。

シンプルなメモツール「Inkdrop」

 そんなときに見つけたのが「Inkdrop」というメモツール。Windows/macOS/Linux/Android/iOSのクロスプラットフォームに対応したアプリケーションで、「Markdown」という特殊な記法でテキスト編集できるものだ。

 Markdownというのは、プレーンテキスト内に「**」や「[]」といったシンプルな記号を用いてHTML的な装飾表現を加えられるもの。Inkdropでは、テキスト編集画面でボタンをクリックするだけで、太字、イタリック、見出し、引用、リンクといった表現に必要な記号を簡単に挿入できるようになっている。さらにボタン一発で、それらの表現が適用されたプレビューモードに切り替えることができる。

 ただ正直なところ、筆者の原稿執筆作業のなかでMarkdownが必要となる機会はそれほど多くない。まれに、画像などを挿入して全体の見栄えを確認しておきたい原稿を作る際に役立つかな、というくらい。将来的にはMarkdownも積極的に活用してみたいところだけれど、今のところは、どちらかというとスマートフォンでもパソコンと同じように編集できるところが気に入っている。

太字や見出し化、画像挿入などが可能
プレビューモードにして見栄えをすぐに確認できる

 Inkdropは登録したユーザーアカウントでログインして使うツールで、パソコンで編集した内容はスマートフォンでも編集でき、しかも専用のクラウドを介して行われる同期は高速。テキストエディターと既存のクラウドストレージを組み合わせて使うのとは違って、どのデバイスでも統一的なUI上で違和感なく編集できるのも大きなメリットだ。執筆中か、終わった原稿か、あるいはケータイ Watchの原稿か、それ以外の原稿か、といったステータスやタグの設定が可能で、「ノートブック」として複数のテキストをカテゴリごとに分類できるから、原稿の整理がしやすい。

ノートブックにテキストを分類したり、原稿1つ1つにステータスやタグを設定できるのは、原稿整理に便利。このへんはEvernoteに近いかもしれない

 ただ問題もあって、やはりMarkdownで記述することを前提としたツールなので、この原稿のように全角スペースで字下げした文章の後に改行すると自動で先頭に半角スペースが入ったり、文章途中に記号を入れるとMarkdown用の記号と判定されて見た目が太字になったりと、ちょっとした不都合もある。

記号を途中に入れるとこんな風に見栄えが変わってしまうことがある
試しにこの原稿に画像を挿入してみたところ。ローカルやオンラインの画像をリンクできる。表示サイズ指定は実装されていないようだ

 正式版は月額4.99ドル、年額49.9ドルだが、60日間という長めの試用期間が設けられているので、原稿執筆には余計なこともある機能や挙動なんかを確認しつつ、自分にとって本当に有用なツールかどうか、もうしばらく使って確かめてみようと思っている。