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値上がりするスポーツ配信、MotoGP.comも年2万4000円でつらい

 スポーツの動画配信サービスであるDAZNの、野球やサッカー観戦ができるプランの値上がりっぷりが話題になっている。そんななか、筆者が毎年加入している世界最高峰のバイクレースであるMotoGPの動画配信サービス「MotoGP.com」もそれに負けず劣らずイイ感じの料金になってきているので、けっこうつらい。

MotoGP.comの代表的な料金プラン

 具体的には、2024年シーズンの「VideoPass+TimingPass」というプランの年間料金が148.99ユーロ、日本円にして約2万4000円となっている。

 DAZNの野球専用プラン「DAZN BASEBALL」が年間2万7600円なので、それよりはいくぶんかマシだが、グローバルな(おそらくユーザー数が桁違いの)サービスでこの値段はなかなか強気ではないだろうか。

 振り返ってみると、MotoGP.comの視聴にかかる費用はだいたい毎年順当に上がってきている。筆者の記録に残っている限りだと、2015年秋に購入した2016年シーズンのVideoPassが99.95ユーロ(当時の日本円で約1万3500円)だった。

 これでもけっこう高いなあと思った記憶があるが、2018年シーズンになると139.99ユーロ(同1万8800円)へ一気に値上がり(2017年シーズンがどうだったかは不明)、翌2019年シーズンは約1万8200円とほぼ前年維持だった。

2016年シーズンは99.95ユーロだったのだが……

 しかし、この頃からVideoPassとは別にTimingPassというサービスが現れ、それまではたしかVideoPassだけで利用できたはずのライブタイミング(レース中のリアルタイムのラップタイムなどがわかる)が別料金となった。合計すると2万円前後だ。

 2020年シーズンは、VideoPassとTimingPass(17.99ユーロ)を合わせると約1万9300円(120円の円高で大幅値上げは避けられた)。ちなみにこの年は新型コロナウイルスの影響で、ほぼヨーロッパラウンドのみの中途半端なシーズンに。

 それもあって有効期限が翌年初戦終了時にまで延長され、以降の有効期間もそれまでの「前年最終戦後~シーズン最終戦まで(秋~秋)」から「シーズン開幕戦~翌シーズン開幕前まで(春~春)」に改められている。

 しかしそんなこととは無関係に、2021年の料金はVideoPassとTimingPassの合計で約2万500円とついに2万超えとなる。

 その後は円安がどんどん進行していったことから、セット価格148.99ユーロの「VideoPass+TimingPass」が2023年は2万1600円(1ユーロ145円)、2024年は2万4000円(1ユーロ160円)となった。2016年シーズンと比較すると90%以上の値上がりである。

2024年の「VideoPass+TimingPass」は約2万4000円

 元々の値上げと円安のコンボでたしかにインパクトのある料金になってはいるのだが、この数年の間にサービスの中身もちゃんと進化してきてはいる。

 映像の高画質化はもちろんのこと、以前は現地でスイッチングされた実況映像1本のみだったところ、マルチアングル映像(実況映像、オンボードカメラ、ヘリコプター視点など)から好きなものを選んで視聴できるようになった。

 最近ではライダーの肩に取り付けたショルダーカメラや、おそらく2024年からはライダーの背中カメラも投入され、次々に新しい視点を模索しているのも素晴らしい。

マルチアングル対応で好きなカメラ視点の映像に切り替えられる。ショルダー・背中カメラはこの中にはない

 ただ、以前はライブ中継終了後のアーカイブだと、レーススタートやアクシデントなど見どころのタイミングがシークバー上にマーキングされ、すぐに気になる箇所を見られるようになっていたのに、サービスのリニューアルで廃止されたのか今はもう見当たらず……。それと、いまだタブレットにアプリが最適化されていないのもどうかと思わないこともない。

タブレットだとコンテンツが横置き表示にならない。動画は全画面に表示されるけれども……

 3月8日に開幕した2024年シーズンの見どころは、ここしばらく勝利から遠ざかり背水の陣とでもいうような状況になっている日本勢(ホンダとヤマハ)が復活なるか、といったところや、ホンダを抜けてドゥカティに乗り換えたマルク・マルケス選手がどんなパフォーマンスを見せるか。

 さらにはウィングだらけになってまさしく空力お化けのレースマシンになった見た目、そして初開催される6月のカザフスタン戦あたりも面白いポイントかな、という感じ。

 結局開幕戦の日本勢は終始ほとんど空気で、決勝レースのときにホンダとヤマハ4台がトップのはるか後方、11~14位で接戦になっているのを見た現地の実況者が「日本選手権を戦っているようだ」とか言ってて笑った。笑いごとじゃないが。マルケス選手の方はスプリントレースも決勝レースも入賞で、さらにマシンに順応していけば表彰台も期待できそう。

 日本で人気だったバレンティーノ・ロッシ氏はすでに去ってしまい、唯一の日本人ライダーであるホンダの中上貴晶選手も苦戦しているとはいえ、毎年なにかと見どころのあるMotoGPは、ネット配信に2万4000円の価値があるかどうかはともかく、筆者としては見ないという選択肢はない感じ。

 でも、最近はなんとなく市販車ベースの最高峰レースであるスーパーバイク世界選手権(WSBK)の方が気になっているのも正直なところ。

 こちらはVideoPassが69.9ユーロ(同1万1200円)と2016年シーズンのMotoGP並みの料金だが、さすがに両方とも購入するのはつらいので、すでに加入済のJ-SPORTS(衛星放送)でカバーしようと思っている。やっぱり円安がけっこうきついなあ。