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DAZNが月額3000円に値上げした理由――成長に向けて描く今後の展開とは
2022年1月25日 19:44
DAZN Japan Investmentは、スポーツのライブ配信サービスDAZNの月額料金を3000円に改定する。新料金は2月22日から適用される。25日、同社は報道関係者向け説明会を開催し、料金改定の狙いなどが語られた。
月額料金は3000円に
DAZNは、野球やサッカー、F1などが楽しめるスポーツに特化した動画配信サービス。2016年8月からサービスを開始した。
従来、月額1925円だった料金が2月22日以降、3000円に増額される。並びに、より気軽にサービスを体験できるよう「1カ月無料体験【トライアル】」が提供されてきたが、同日をもって終了する。一方、同社では今後、ほかのオプションの提供を検討しているという。
年間プランの料金も合わせて改定され、新料金は2万7000円となる(アップル経由での価格は2万7800円)。
新たに2月22日からは、「DAZN年間プラン(月々払い)」が提供される。従来提供されてきた年間契約は一括払いのみだったが、今回提供の新プランにより月額2600円と月間プランよりも低廉な価格でDAZNのコンテンツを楽しめるようになる。
途中解約には対応していない。また、支払い方法はクレジットカードとPayPalに対応する。
値上げは今後の成長につながる
DAZN Japan Executive Vice Presidentに就任した山田学氏は、サービス開始からこれまでの5年間を「投資期間だった」と位置づける。従来の料金設定(月額1925円)という比較的廉価な価格設定は、より多くのユーザーがサービスを試すきっかけとなっていた。
一方で山田氏は、今回の値上げについて「今後の成長のため」と語り、今回のタイミングでの値上げは必要なものだったと説明した。月額3000円という値段になった理由としては、DAZNで現在提供されているライブ配信やオリジナルコンテンツなどの内容を考慮したものという。他社と比較しても、コンテンツ数の豊富さなどから競争力がある価格だとした。
新型コロナウイルスの影響により、スポーツイベントにも滞りが見られた時期があったが、現在では回復傾向にあり、DAZNも順調な成長を遂げられているという。今後の収益化に向けてさまざまなビジネス展開に向けて取り組んでいくとしている。
グローバルで体制変更も
DAZN Japan 社長&マネージングディレクターの中村俊氏は、同社のこれまでと現況について語った。
同社は2016年に立ち上がり、同年8月から日本でのサービスを開始した。それから5年が経過した現在、サービスを提供している国と地域は200以上、総ストリーミング時間は当初の104倍、コンテンツ数は8倍超(いずれもグローバル)を数えるという。
特に日本は、スポーツへの興味関心の高さやテクノロジーも発達しているから、重要な市場という。日本における総ストリーミング時間はサービス開始当初の270倍、配信コンテンツ数も8倍にまで成長し、サービス認知度の観点からも大きな発展を遂げた。
同社は、グローバルで経営体制を変更。CEOにはシャイ・セゲフ氏を、CFOにダレン・ウォータマーマンを迎えており、日本市場においてもエグゼクティブバイスプレジデントに山田学氏が就任。今後の業務拡大へ向けて勢い付けるかまえを見せている。
「DAZN Japan 2.0」に向けて
日本での価格改定だけではなく、グローバル、そして日本でもDAZNは経営体制を変化させた。
こうした変化は、DAZNが新たなステップを踏み出したことを明確に示すものだ。それはいったいどういったものなのか。
山田氏は、今後の成長戦略として「スポーツ専門動画配信サービスの先」を目指す「DAZN Japan 2.0」をかかげる。大きく「オンプラットフォーム」「オフプラットフォーム」「多様なパートナー事業」の各分野を強化していくことでサービスの魅力向上につなげる狙い。
オンプラットフォームとは、DAZNがこれまでも手掛けてきた、スポーツ番組の配信のこと。対してオフプラットフォームでは、DAZN以外のSNSやパートナーとなるメディアの手を借りて、さらに幅広い層にコンテンツを届けていくことを意味するという。
YouTubeやインスタグラムといったサービスやDAZNのオウンドメディア「DAZN News」などもを活用し、この領域での事業の成長や新たなスポーツコンテンツ体験を提供したいと山田氏は語る。
加えて、DAZNのコンテンツやユーザー規模といった資産を活用しながら外部企業とさまざまな事業を作り上げていきたいという。2022年秋頃に登場が見込まれるというtotoの新サービスなどに合わせての新事業を検討していると明かした。
25日の説明会では、新料金が正式に発表され、その狙いが今後の成長に向けたものであることが示された。その具体的な取り組みとしての「オンプラットフォーム」やソーシャルメディアでの展開、外部パートナーとの新事業創出などが示されたが、価格改定後による新たなDAZNがユーザーにどう評価されるのか、引き続き注目されるところだ。