みんなのケータイ

MotoGP日本戦が中止になったので、スマホ×2とタブレットとPCの4画面でライブ中継を堪能した

MotoGP公式のアプリやWebサイトで楽しめるマルチアングル配信をフル活用!

 2021年10月に予定されていた、世界最高峰のオートバイレース「MotoGP」の日本グランプリが中止になってしまった。2020年に続き2年連続の中止で、毎年取材に行っていた筆者としてはさみしい限り。タイのMotoGPも2018年、2019年と2年連続で取材していて、2021年は今のところ開催予定だけれど、今の状況だと海外取材はまだまだ厳しそうだ。

 とりわけ今シーズンのMotoGPは(毎年そうなんだけれど)見どころが多いだけに、残念な気持ちはなおのこと大きい。たとえば、現役最多勝利数を誇るバレンティーノ・ロッシ選手が、ヤマハワークスチームからインディペンデントチームに移籍し、一新した環境でどんなレースを見せるのかが気になるところ。しかし、今年限りで引退する可能性も取り沙汰されており、日本でその最後の勇姿を見られないかもしれないのだ。

 また、日本人としては、2020年に表彰台まであと一歩に迫る活躍を見せた中上貴晶選手(LCR Honda IDEMITSU)にもやはり注目しているし、母国での走りと表彰台獲得をぜひ目の当たりにしたいところ。2020年はコンスタントに成績を残し、ついに初めてポールポジションを獲得したときは、オープニングラップで(緊張からか)転倒するというお茶目な一幕もあった。

 2021年はこれまでのところ、タイヤとのマッチングの影響か、中盤からペースが上がらず苦戦しているように見受けられるが、同じホンダマシンのライダーのなかでは、怪我から復帰したばかりのマルク・マルケス選手や、KTMから移籍してきたばかりのポル・エスパロガロ選手(いずれもRepsol Honda Team)らがまだ本調子とはいえないなかで、中上選手にかかる期待は大きい。

 でもって2020年に躍進した、KTMの勢いは今年も見逃せない。2017年にメーカーとしてMotoGPに参戦したばかりであるにもかかわらず、2020年シーズンにはさっそく勝利を挙げた。2021年からはコンセッションと呼ばれる新規参入メーカーに与えられる優遇処置から外れることになったけれど、ここ数戦は表彰台に上ることも増え、第7戦では今シーズン初優勝を果たしている。

 2019年より、KTMのテストライダーは、かつてRepsol Honda Teamで活躍したダニ・ペドロサ氏が務めている。KTMの最近の躍進に、それが関係していることは間違いないはず。いわば「マルケス仕様」がベースになっていたとされるホンダマシンで苦労したペドロサ氏の意趣返し、というと言い過ぎかもしれないが、そんな形でホンダ対KTMの仮想対決が見られるのも面白いポイントだ。

 そういうわけで、これほど注目ポイントの多いシーズンのレースを生で見る機会を失ってしまったのは本当に悲しい。この状況で、1レースファンとして何ができるだろうか……なんて大上段に構えて何かを主張するつもりはないのだけれど、とりあえず、スマートフォンやパソコンやタブレットをフルに活用して、この悔しくて悲しい気持ちをオンライン観戦にぶつけることにした。

 MotoGPのレースをライブで見る方法は、有料衛星放送(日テレG+)か、huluのストリーミング配信、もしくはMotoGP公式のMotoGP.comのストリーミング配信がある。このうち、個人的におすすめなのはMotoGP.comだ。なぜなら、最大で7つの「マルチアングル」視聴が可能だから。

MotoGP.comの公式アプリ

 実況・解説(英語)付きの通常映像に加えて、ヘリコプターからの空撮映像、マシンのオンボード映像専用のアングルなどが用意され、好きなときに切り替えて見ることができる。さらに、リアルタイムの順位やラップタイムがわかる「ライブタイミング」も利用可能だ。

 問題は、けっこう値段的にインパクトのデカいサブクスクリプションサービスだったりするところだろうか。映像が見られる「VideoPass」が年間139.99ユーロ(およそ1万8500円)、ライブタイミングの「TimingPass」が年間17.99ユーロ(およそ2400円)で、合計すると2万円を超えてしまう。

 しかし、1つのアカウントで映像を見られる端末数には厳しい台数制限はないようで、複数台で同時再生してもOKなのがいいところ。筆者の自宅だとarrows 5G F-51A、iPhone SE、Android TVのテレビ、パソコン(3台)、タブレット、Fire Stick TVの最大8台の端末で視聴可能だ。

 しかも、それぞれで別のアングルの映像を流せるので、すべての端末を駆使すれば7つのマルチアングルの映像全部を同時に見られることになる。ということで、リアルでレース観戦できなくなった今、レース業界の維持・発展のために2万円くらい投資しても、まあ、いいんじゃないかと思う。

MotoGP公式のライブ中継では、最大7つのマルチアングル配信を行なっている

 ただ、レース開始は時差の関係で夜21時以降になることが多く、家族の就寝時間でもあるので、それを邪魔しないように筆者の仕事部屋で見るとなると、使える端末(画面)は最大で4台か5台。なので、今回はarrows 5GとiPhone SE、パソコン1台で映像を流し、タブレットにはライブタイミングを表示して観戦することにした。

 メインとなる通常映像は一番画面の大きいパソコンのモニターに表示。arrows 5GとiPhone SEにはオンボード映像(もしくはヘリの空撮映像)を設定しておくことにした。各アングルの映像はそれぞれ別個のストリーミングになっているので、必ずしもほかの映像と同期して見えるわけではないのだが、それでも面白さは倍増以上である。

4画面でMotoGPオランダグランプリを観戦。パソコンの映像に同期して色合いが変化するスマートライトのHue Playも稼働させた

 たとえばトップ争いばかりを映している通常映像の方では知り得ない、別のポジション争いも視線を移すだけで把握できるし、ひいきのライダーのオンボード映像があれば、それをメインにして参戦気分を味わってもいい。何より、映像に囲まれている感があるのがすばらしい。どっちを向いてもレース映像。好きなときに好きな画面を見て、ときには気ままにアングルを切り替えて楽しめる。

 ライブタイミングの方は、ほぼ現地のリアルタイムの状況を示しているので、遅延のある映像より先に状況がわかる。ネタバレになることもあるので注意は必要だけれど、ライダーのペースやライダー間のタイム差を見ることで、数周先のレース展開を予測するのにも使える。

ライブタイミングも同時に見ると、レース展開がよりわかりやすい

 たしかにサブスクリプション料金は高いが、マルチアングルで観戦したときの満足度の高さや、過去の映像も含めて1年間ずっとオンデマンドで視聴できることも考えると、値段分の価値は十分にある。次回はぜひとも7画面すべてを同時再生して楽しんでみたいところだ。