ニアバイシェアと統合されたような、されてないようなクイック共有

　Androidのファイル共有「ニアバイシェア」が、Galaxyシリーズの「クイック共有」に統合される。すでに、一部のPixelシリーズからアップデートが始まっているほか、海外で販売が始まった「Galaxy S24」シリーズもクイック共有に一本化されている。筆者が普段利用しているドコモ版の「Galaxy Z Fold5」も、クイック共有にアップデートがかかり、Galaxy以外の端末とファイルを共有する項目が加わっている。

Galaxy Z Fold5のクイック共有にアップデートがかかり、ニアバイシェアとの統合が始まった

　仕組みとしては、次のとおり。Galaxy同士のファイル共有には従来通り、Samsungアカウントを登録する一方で、Galaxy以外のデバイスとファイル共有をするためのGoogleアカウントも設定できるようになっていた。この設定を済ませておけば、Galaxy以外のAndroid端末とも、クイック共有で画像や動画、文章などのファイルをやり取りできるようになる……はずである。

Samsungアカウントだけでなく、Googleアカウントも登録できるようになっている

　はずとしたのは、まだ自分で試せていないため。Galaxy側にはクイック共有のアプリアップデートがかかった一方で、もう1台のAndroidスマホとして運用している「Pixel 8」には、まだ1月にFeature Dropが降ってきていない。そのため、クイック共有はもちろん、Galaxy S24シリーズとPixel 8/8 Proに先行搭載される「かこって検索」も利用できない。アップデートは順次になるため、いつになるのかは不明。おそらく、これが済めば、Galaxy Z Fold5側のクイック共有でPixel 8を検出できるようになると見られる。

　ニアバイシェアからクイック共有に置き換わると言っても、Galaxy側のクイック共有で、ニアバイシェアにしか対応していない端末とファイル共有ができるわけではないようだ。グーグルは、1月の発表でPixel以外のAndroidスマホもニアバイシェアをクイック共有に置き換えていくとしていたが、いつの時点でアップデートがかかるのかは不明。OSアップデートが必要になってしまうと、キャリアモデルの多い日本では、特に時間がかかりそうな気もしている。PixelもFeature Dropのため、アプリの入れ替えだけで済むわけでもなさそうだ。

Pixel 8のファイル共有メニュー。まだFeature Dropが降ってきていないため、ニアバイシェアのままだ

　それもあってか、クイック共有がアップデートされたあとのGalaxy Z Fold5には、以前と同様、ニアバイシェアも残されている。現時点では、まだクイック共有対応端末はGalaxyと一部アップデートを済ませたAndroid端末に限定されるため、Galaxyユーザーは2つを使い分ける必要がありそうだ。これは、ちょっとめんどくさい……。といった事情もあり、統合するならするで、早めに対応をしてほしいと感じている。

アップデート後も、ニアバイシェアは残っている。現状、ニアバイシェアからアップデートされていない端末とは、こちらでしかファイルのやり取りができない

　なお、Galaxy側でニアバイシェアの共有を受けると、「クイック共有できるデバイスが付近にあります」と表示される。この状態でファイルを受け入れると、ニアバイシェアを経由しての受信になる。アップデートされたクイック共有と、表記が一部変更になったニアバイシェアが併存しているのは何とも分かりづらい。過渡期特有の混乱かもしれないが、この辺はもう少しすっきり整理してほしいものだ。

Galaxy側で付近のニアバイシェアを検知した際に出るメニューには、「クイック共有」と記載されていた。これが少々ややこしい……。

　Androidの“共有財産”のようになってしまったクイック共有だが、Galaxyのそれは、以前から多機能なのが魅力。グーグルの発表を見る限り、Galaxy以外のクイック共有は、現状、単にニアバイシェアの名前が置き換わっただけのように見える。これに対し、Galaxyのクイック共有はQRコードやメッセージなどでファイルをシェアする機能が搭載されている。

　これを使うと、写真などのデータが、一時的にSamsungアカウントのクラウドにアップロードされる。ファイルを受け取る側のユーザーは、Galaxyの画面に表示されたQRコードを読み込んでそのファイルにアクセスする仕組みだ。クラウドにアップロードされたファイルのURLを受け渡しているだけのため、LINEやMessengerを経由することも可能。端末同士が直接データ通信するニアバイシェアやクイック共有とは違い、モバイルデータ通信を使ってしまうが、iPhoneやPCなど、相手のプラットフォームを選ばないのが便利だ。

クラウド経由で画像などのファイルを送ることが可能。このQRコードを読み取ると、ファイルにアクセスできる

　また、Galaxy同士でクイック共有する場合、ファイルにアクセスできる有効期限を設定できる「プライベート共有」も利用できる。現時点では、こうした機能が利用できるのはGalaxyのクイック共有だけだ。目の前にいるiPhoneユーザーに対し、簡単にファイルを送信できる機能として、覚えておいて損はないだろう。クラウド経由でのファイル送信は非常に便利なため、Galaxy以外のクイック共有が対応することも期待したい。