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ANA国内線のSKiP廃止、半年使って結構便利だと思った

【iPhone SE(第2世代)】

 今年の3月にANA(全日空)の国内線で利用できていたSKiPサービスが終了してしまい、国内線を利用するユーザーはもれなくチェックインが必要となりました。

 よく飛行機を利用するユーザーからすると、これまでは保安検査場でANAカードなどをかざせば乗れてしまっていた飛行機が、空港またはオンラインでチェックイン手続きをしなければいけなくなりました。普通に考えると「不便になりましたね」という話になってしまうのですが、意外とそこまで不便ではなかったり、メリットを見つけられたりと、いろいろ感じるところがあります。

チェックインはフライト24時間前から

 チェックインは、Webやスマートフォンアプリからフライトの24時間前からできるようになります。

 チェックインできるようになると、スマートフォンに通知が届くのですが、フライトの直前になると前方座席が解放されるなどで選択できる座席が増えるので、座席変更やプレミアムクラスへのアップグレードをするいいきっかけになります。また、筆者のように週末の予定をコロコロ変える場合、変更可能な運賃で予約した航空券をどの日程で予約したかを気づけるいいきっかけにもなります。

アプリからチェックインができます。チェックイン後、iPhoneの場合Apple Walletに追加をタップすると
Walletアプリに情報が飛び、右上の「追加」を押すと、Walletアプリで搭乗券のPassが登録されます

 また、アプリを入れておくと、チェックイン開始の通知以外にも「保安検査締め切りの案内」や「搭乗開始の案内」、「手荷物返却の目安時間と回転台の場所」が通知で送られてきます。空港のラウンジやレストランでゆっくりしつつ、搭乗開始の案内でゲートに移動、その後はスムーズに手荷物返却台まで進めるので、思った以上にストレスを感じないようになりました。

Walletに入れられる

 チェックイン後、搭乗券の役目を担う2次元コードが表示されます。これを印刷して当日空港へ持参するのもいいのですが、多くの方はWalletアプリに登録しているのではないでしょうか。

 iPhoneユーザーである筆者は、チェックイン後すぐにWalletアプリに搭乗券を登録します。こうすることで、フライトが近づくとロック画面に行き先と時刻の通知が表示されるので、フライトの時間を失念していても、すぐに確認できます。

 実はSKiPサービス時代からこの機能はあったのですが、ANAカードをかざせば簡単に飛行機に乗れたので、これまではあまり使ってきませんでした。

 筆者にとって、このWalletアプリに搭乗券を入れられるということには3つのメリットがあります。どちらも一般の方にはあまり関係ないかもしれないのですが……。

 1つめは「なくさない」こと。

 紙の搭乗券やANAカードだと、「どのポケットにしまったっけ?」や「荷物整理でカバンの奥底に入ってしまった」となってしまう経験がよくあります。スマートフォンは、常に取り出しやすい場所に入れておけるので、搭乗ゲートであたふたせずに“スマートに”搭乗できます。

 また、空港のラウンジでうっかり飲み過ぎてしまい、スマートフォンを忘れてしまっても、搭乗券としてスマートフォンが必要になるので、すぐに忘れたことに気づけます。

 紙の搭乗券もスマートフォンも無くさずにすむ、筆者的には考えられたサービスだと思っています。

 2つめは、搭乗の記録を残せること。

 マイレージを手動で登録しないといけなかったり、なにかと話の種になる搭乗記録をつけるために、筆者は「紙の搭乗券」を発行して乗ることが多かったです。

 これが、Walletアプリに電子化されるので、必要なときにすぐに参照できるようになりました。

 一方で、ANAの搭乗券では運賃種別などまだまだ紙の搭乗券でしか掲載がないものもあるので、ここはぜひとも導入してもらいたいところです。

Walletアプリでは、期限切れのPassを自動で非表示にされるしくみがあるので、そのままとっておくことができます
米国サウスウエスト航空の搭乗券の例。詳しい内容も確認できるようになっています

 3つめ、これは当面の間(だと願いたい……)の話ですが、携帯回線の通信状況がよくない場合でも、Walletに入れておけば通信環境にかかわらず搭乗券を表示させられることができます。自分の回線の電波状況に関わらず通過できるのは、安心感につながります。

現場の混乱も最小限で全体の満足度向上につながっている?

 筆者がSKiP廃止で懸念していたことのひとつは、現場が混乱するのではないか? ということでした。

 これまで数年間にわたりANAカードをかざせば搭乗できていたので、廃止後にゲートが詰まるのではないか? そんな心配をしていました。

 ところが、蓋を開けてみるとそういう光景はあまり見られず、スムーズに進んでいる印象でした。これは、SKiP廃止を大規模に宣伝していた影響であると思います。空港での案内のほかテレビCMもバンバン打っていたので、多くの方に認知されたのだろうと思います。

 また、2次元コードの読み取り不良も心配していましたが、やはり多少詰まっている場面は多く見えます。ただ、ゲートで並んでさえしまえば、乗り遅れるリスクはありませんし、全席指定席の機内で争うのは頭上の荷物スペースぐらいなので、そこまで気にならないものだなぁと感じます。

 逆に、SKiPのように搭乗券となる媒体がANAカードや2次元コード、紙の搭乗券など複数あると混乱してしまうケースもあると思います。

 多いと感じていたのが「保安検査場でかざした搭乗券がどれかわからない」というケース。搭乗ゲートでは、保安検査場でかざした搭乗券をかざすことになっているのですが、それがANAカードだったのか紙の搭乗券だったのかわからないという方は、自分も含めてよく見かけました。

 もちろん、SKiP廃止後の現在でも物理的に複数の搭乗券媒体をもつことは可能ですが、利用者からオンラインチェックインするよう促すことで、搭乗券のデジタル化が進み、利用者の意識付けに一定の効果があるのかなと感じます。

また、これまでは、カウンターや自動チェックイン機で「紙の搭乗券」を発行した上で、保安検査場で「黄色の保安検査済証」を受け取り、搭乗口で「ご搭乗案内」をもらいます。また、非常口座席を予約していた場合、ごくたまにカウンターで非常時に関する案内の紙を受け取ることになり、筆者は最大4枚の紙をもって搭乗することがありました。

 一部空港では、この「黄色の保安検査済証」や「ご搭乗案内」の発行を廃止する機器を導入しており、この「紙だらけでよくわからない」となったり、SDGsへの貢献にもなっているのではないでしょうか。

 コロナによる制限も緩和され、紅葉や冬の帰省など飛行機に乗るシーンも多くなってくると思いますが、ANA便を利用する際はぜひ活用してみてはいかがでしょうか。