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東京から飛行機で40分、伊豆諸島の新島で高速通信するなら、山の上!?

東京から距離にして150km、伊豆諸島の新島に行ってきた

 念願だった調布飛行場の小型飛行機に乗って、伊豆諸島は新島(にいじま)に行ってきた。当然国内だし、れっきとした東京都内なので、海外に行くときみたいにSIMをどうしようとか悩むことはなく、荷物も最小限で気楽な旅行である。

 というか小型機だけあって重量にシビアなので、1人あたり無料で持ち込み・預け入れできるのは計5kgまで。それ以上になると追加料金がかかるため、最小限の荷物にしなければならない事情があったりする。重量バランスも考えて、乗り込む直前に1人ずつ座席指定されるのは新鮮だった。

調布飛行場から飛び立ち、新島へ

 それはともかく、こういう未知の土地に来ると気になるのがモバイル通信の速度だよね! と。通信できるのかできないのか、あるいはどれくらいのスピードで通信できるのかをあらかじめ知っておくと、何かあったときにも安心。ホテル宿泊時に最初に非常口と脱出経路をチェックしておくのと似たようなものだ(個人の見解です)。

 新島の場合、少なくとも筆者が宿泊した島で最も栄えている本村周辺では、宿泊場所や喫茶店などにちょこちょこ無料で使えるWi-Fiもあった。けれど、基本はモバイル通信に頼ることになると思う。

 今回、ドコモ(ahamo)とau(mineo、povo)の回線が使える端末を持って行ったので、島のあちこちで通信してみて、どれくらい速度が出るのか試してみることにした。なお、キャリアのエリアマップを見る限りでは、いずれも4G LTEまでの対応となっていて5Gエリアはない。

 まずは宿泊場所の室内。本村のほぼ中心にあるにもかかわらず、ドコモは下り14.6Mbs、auは20.2Mbsと低め。といっても、東京都内(本土)の筆者自宅室内でも20~40Mbpsくらいだったりするので、それに比べて少し遅いかな、くらいのレベルだ。メールやWebブラウジングのような軽い通信なら実用上は問題ないが、SNSで画像が高解像度で表示されるのに少し待たされることがある。

本村中心、宿泊場所での計測結果

 次は外へ。レンタサイクル屋さんに自転車をお借りして(軽快車、いわゆるフツーのママチャリが1日1500円くらい)、あちこちへ移動して計測してみることにする。中心部に近い海水浴に最適な前浜海岸では、ドコモが10.0Mbps、auは12.8Mbpsと一段遅くなったが、写真撮影してSNSにアップロードするくらいならストレスは感じない。

前浜海岸。自転車を借りると島内の移動がかなり楽になる
前浜海岸での計測結果

 今度はそこから南下して、毎日釣り人が集う新島港の桟橋で計測する。が、ドコモもauも電波がかなり弱く計測はエラーになった。さらにその南、海を見渡せる無料露天風呂、湯の浜露天温泉でも同様に通信できず……。

 露天風呂からの眺めはサイコーだが、この日、海から吹き付ける南風が激しく、たどり着くのにも一苦労だった。途中の道は自転車をこぐより、押して歩いた方が安全で速いと思えるほどだ。

新島港の桟橋
湯の浜露天温泉

 ところで、島の北部と南部にはそれぞれ400メートル級と300メートル級の山々がそびえている。なんとなく南東にある白ママ断崖を見たくなり、南側の山を越えたら絶景に出会えるかもと思って、ママチャリで山越えしてみることにした。

 途中、ゆるやかな坂の上にある石づくりの恐竜があるスポットで計測してみると、ドコモは12.3Mbps、auは通信不可となった。auのエリアマップでは電波が届いているはずだが、テストに十分な電波強度までは確保できなかったようだ。

石づくりの恐竜がある公園らしきスポット
恐竜付近での計測結果

 そこからさらに坂を上り、大峰展望台を目指す。序盤は整備された舗装路面になっているものの、すぐに凹凸の激しい荒れた半舗装路面になり、しかも終始5~8%くらいの勾配(感覚値)が続くから、レンタルのママチャリ(電動アシストなし)で登るのは正直言っておすすめしない。わりとフツーに苦行である。

 さて、大汗をかきながらたどり着いた大峰展望台は、展望台というわりには小さなスペースだし、視界もそこまで開けていないので、ちょっとガッカリスポット気味。だけれど、縦に長い新島の東西の海岸両方を見渡すことができ、はるか遠くの本村を眺めると、ここまでよく来られたなあ、という達成感は得られる。

 で、計測結果はドコモ63.1Mbps、au 27.1Mbpsで、今回の最高値となった。その意味でも苦労したかいがあったかもしれない。

大峰展望台
大峰展望台からの眺め。左が島の西側となる本村と前浜海岸、右が羽伏浦海岸
大峰展望台での計測結果

 登り道はまだ続いている。さらに自転車をこいでいくと、ほとんど山の頂上のような道の終点あたりに白ママ断崖に降りられそうな小道がある(Google マップの衛星写真より)。

 が、残念ながら崩落の危険があるとのことで行き止まりの規制。せっかくここまで登ったのに……という気持ちになるも、通信速度を知るために来たんだ! と思い込むことにして、汗まみれの手でスマホを操作し、計測。ドコモは41.0Mbps、auは通信不可という結果だった。

写真右奥は何かしらのインフラ系設備があり、行き止まりとなっている
かろうじて羽伏浦海岸が見えるが、断崖絶壁はすぐ右真下なので見えない
頂上付近での計測結果

 最後に山を下り、本村とは反対の東側にある羽伏浦海岸へ。ここは大きな波が押し寄せるサーフィン向きのスポット。南側に白ママ断崖へと続く、そこそこ見応えのある絶壁を目の当たりにできるので、サーフィンをしない人もぜひ訪れてほしい。通信速度はドコモ32.2Mbps、au通信不可だった。

島の東側にある羽伏浦海岸
南方向にはわりと見応えのある絶壁が続く
島の東側にある羽伏浦海岸
南方向にはわりと見応えのある絶壁が続く

 今回計測した範囲では、高速通信はあまり期待できないものの、通信のしやすさという点ではなんだかんだでドコモの圧勝。島をサイクリングするときに地図を確認したり、ナビしてもらったりするときにも、つながる回線であることは重要だ。あまり広範囲にテストはできなかったけれども、少しでもみなさんが新島へ遊びに行くときの参考になれば。

計測結果をざっくりした地図にざっくりとまとめてみた