みんなのケータイ

「Pixel 7 Pro」のカメラもいいけれど、一眼カメラもやっぱりいいんだよね

一眼カメラの新しいレンズを買った

 もはや日常の風景を切り取るときにスマートフォンのカメラを使う以外の選択肢はほぼなくなってしまったのだけれど、仕事だとまだ一眼カメラに頼らざるを得ないときもあるなあ、と思う今日この頃。なぜ今さらあらためてこんなことを言うのかというと、カメラレンズを新しく買ってしまったからだ。

 モノは2023年2月に発売されたばかりのソニーEマウントレンズ「FE 20-70mm F4 G(SEL2070G)」。広角から中望遠までカバーし、風景にも物撮りにもぴったりなズームレンズである。ていうか、通常価格が18万4800円で、レンズプロテクターを合わせると20万円近くという筆者的にはものすごくデカい投資になってしまい、でもその分スゲぇ写真が撮れるので、みんなもぜひ見てほしい! 「Pixel 7 Pro」のカメラもスゴいけど、一眼カメラもいいんだよ! と言いたいのが今回の主旨である。要するに自慢である。お金かかったんで! でも写真のウデには期待しないでほしい!

ソニーEマウントレンズ「FE 20-70mm F4 G(SEL2070G)」

 さて、どうしてこのレンズにしたのか。3年前にカメラ本体を購入したときのことは本誌の別コーナーでも記事にしたが、当時はできるだけ1本のレンズで近くから遠くまでカバーできるようにと、24~240mm(SEL24240)という望遠レンズを選んだのだった。

 が、その後コロナ禍に入って大型イベントが一切なくなった。最近になってイベント自体は開催されるようになってきたものの、記者会見なんかはわりとこじんまりと、少人数ずつ何回かに分けて実施されることが少なくない。大きな会場で遠くからステージ上の人を写さないとならない、というようなシチュエーションはかなり減った。240mmなんていう望遠が必要になる機会はめっきり少なくなってしまったのだ。

右が3年前に購入した「FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS(SEL24240)」。めちゃんこ重い

 というか、この24~240mmのレンズ、いろいろな場面を幅広くカバーしてくれるのはいいけれど、欠点もある。それは最短撮影距離の長さと、重さ(780g)だ。

 仕様上の最短撮影距離は0.5~0.8mだが、たとえば片手でスマートフォンを持ち、それをもう一方の手でカメラ撮影する、なんてときには、両腕を目一杯広げないとフォーカスが合わない。ファインダーを覗くのは不可能で、カメラのモニターがギリギリ見られるか、見られないかくらいの感じ。しかもレンズ(とカメラ本体)が重いから腕がぷるぷるする。

 つまり、仕事柄わりと多くなりがちな物撮りに全く向いていないのである。もう1本、16~35mmレンズ(SEL1635Z)もあって、こちらはある程度接写もできるが、これだとテレ端にしても物撮りにはちょっと使いにくい感じ。そんなわけで、SEL2070Gならそこそこ広い視野角を収められるうえ、ポートレート撮影にもちょうどいい感じになりそうだし、ポストコロナの仕事にジャストフィットするのでは、と思ったのだ。

SEL2070Gを装着!

 で、実際に撮影してみたら、本当に良かった。感動した。最近のほとんどの取材や物撮りはSEL2070Gだけでまかなえている。室内全体を撮りたいときも、ガジェットや食事のような物撮りも、人物撮影も、全部OK。これまで使ってきたどのレンズよりも明らかに解像感が高いし、しかもめちゃ軽い。これなら20万円の価値はある! のかな?

 ただ、いくら高性能でもWeb掲載時の写真となると、だいたいが横幅1920ピクセル以下の解像度に縮小してしまうこともあり、実はそれくらいだと「Pixel 7 Pro」で撮影したものとパッと見はそこまで変わらなかったりする。たとえば下記の写真を見てみてほしい。Pixel 7 Proで撮影した写真とα7 III(SEL2070G)で撮影したものだが、画角や色味が若干異なるとはいえ、なかなか優劣つけがたい。

作例1:Pixel 7 Pro
作例1:α7 III(SEL2070G)
作例2:Pixel 7 Pro
作例2:α7 III(SEL2070G)
作例3:Pixel 7 Pro
作例3:α7 III(SEL2070G)

 正直、比べる前までは「やっぱ一眼カメラの圧勝でしょ」なんて思っていたのだが、これを見て少なからずショックを受けた。20万もかけたの、ちょっとしくったかも、と思って冷や汗が出たのはここだけの話である。いやしかし、それでも明確な違いはあるのだ。たとえば先ほどの写真1枚目をトリミングして等倍にしたものを見てみよう。

Pixel 7 Proで撮影した写真の等倍イメージ
α7 III(SEL2070G)で撮影した写真の等倍イメージ

 どうっすか! 「Pixel 7 Pro」の方はノイズが目立つのと補正が入っているためか、細部が不自然な表現になってしまっている。一方、「α7 III」(SEL2070G)の写真はそういった不自然さは一切なく、キリッとした輪郭を保っていて、看板の文字もしっかり読める。

 そもそも解像度が異なるのもあるのだけれど、それだけでは説明がつかないのは、画像右上のビル屋上に見えるアンテナらしきオブジェの色。「Pixel 7 Pro」はぼんやりとしたグレーっぽく見えているが、「α7 III」の方で見ると実は赤白に塗り分けられていることがわかる。

 進化してきたスマートフォンのカメラとはいえ、こうやって細部まで見てみると、まだまだ一眼カメラに及ばないところがあるのだなあ、と安堵する。大胆にトリミングすることもある仕事の写真では、この差がかなり大きいのでいまだに一眼カメラが手放せないのだ。とりあえず、そういうことにしておきたい。

 しかし言い換えれば、こうやってトリミングして使うのでなければ「Pixel 7 Pro」で十分。そういう場面の方がどちらかというと多いだろうなあ、と思ったりもする。でも、一眼カメラが必要になるシーンはこれからもあるし、何よりスマホとはちょっと違った意味で感動を味わえるのは、一眼カメラならでは。スマートフォンのカメラに頼るのもいいのだけれど、みなさんにも時々は一眼カメラの良さを味わってほしいなと思うのである。20万もかけるのはどうかと思うけれど。以上、自慢でした!