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Google Fiが使えなくなり、米国で復活させた話

【Pixel 6 Pro】

 先日、カンファレンス取材で今年、2022年では初となる海外渡航で米カリフォルニア州に行ってきた。サンディエゴでの取材がメインとなるが、ついでに前回の渡航で突然止められてしまったBank of Americaのデビットカードがサンフランシスコの友人宅に配送されているので、それを受け取りにいくのが2つめの目的だった。

 そして、今年3月からの懸念だった「海外データローミングの止まったGoogle Fiを復活させる」という3つめの目的を果たしたので、今回はこの話題に触れたい。

米カリフォルニア州サンディエゴ中心部の歓楽街「Gaslamp Quarter」

不幸の通知は突然やってきた

 筆者は米国回線として「AT&T」と「Google Fi」の2回線を維持しているが、このうち後者のGoogle Fiは現在「Pixel 6 Pro」に挿入して運用している。米国SIMなのでカメラのシャッター音が鳴らないというメリットだけでなく、その最大の特徴として「対応国であれば、到着後すぐに国際データローミングでインターネットが使え、さらに料金は一律で1GBあたり10米ドルで利用可能」という点がある。

 料金的にはほかと比較して特別安いわけではないが、短期間しか滞在しないケースや、よりデータ通信料金がお得な現地SIMを購入するまでの“つなぎ”として大いに活用していた。実際、石川温氏あたりが本連載で活用事例などを報告しており、これを活用していたユーザーもそれなりにいたと思う。

 そしてもう1点、個人的にGoogle Fiで非常に重宝していたのが、日本にいる間でもこの回線経由で接続している限りは「米国のIPアドレス」が利用できるという部分だ。携帯電話ローミングではごく当たり前の仕様だが、日本にいながら米国のIPアドレスをすぐに利用できるメリットは大きい。

 たとえば筆者は各種調査で米国のオンラインストアや各種サービスの公式サイトをチェックしているが、日本のIPアドレスでは接続を拒否されたり、強制リダイレクトでまったく異なる米国仕様ではないページに飛ばされたりすることが多い。ストリーミングサービスで米国のコンテンツを強引に見るようなことはしないが、簡単な調査でさえ接続制限で利用できないのは非常に痛い。

 また個人的事情だが、「AT&Tの料金支払い機能が米国IPアドレス経由でしか利用できない」という酷い話があり前回Revolutなどを駆使していろいろ四苦八苦していた、のはこうした理由による。

 ただ、不幸なお知らせというのは突然やってくるもので、今年1月末にGoogleからこんなお手紙が舞い込んできた。曰く「この前の突然のポリシー変更でも言ったんだぎゃ、おみゃーさんのGoogle Fiが30日間アメリカ国内で利用実績がないようならデータローミング停止するだで」とか、だいたいそんな感じの内容だった。つまり、不幸の手紙が到着してから30日後、おおよそ3月初旬にはデータローミングが停止するということのようだ。

Googleからやってきた恐怖新聞……ではなくて、不幸の手紙の文面

 そして予告通り、日本時間で3月2日にデータローミングは停止された。実際どんな動作かといえば、日本の提携キャリアに「Google Fi」の名称でローミング接続されているものの、データがまったく流れない。Google Fiは仕様上ローミング表記は出ず、一見するとデータリンクも行われているように見えるのだが、データがまったく流れてこず、上流でせき止められているような印象だ。以後は前回の海外送金の話の通りで、国際通話とSMSしか使えなくなった回線で実質的に役に立たなくなり、渡米で復活させる日を待ちわびていたというわけだ。

不幸の手紙の第2弾。長らくGoogle Fiをごひいきいただきありがとうございました。またのご利用をお待ちしております

そして復活へ

 そんなわけで渡米してきたわけだが、サンディエゴに行くのになぜかハワイ経由だったため、最初の経由地であるホノルルに到着した瞬間にGoogle Fiは復活した。おまけにいきなり5Gである。

 今回はホノルル(空港のみだが)、サンディエゴ、サンフランシスコの3都市を順番にまわってきたが、最後サンフランシスコ市内をまわるようになるまで、ほぼ5Gで接続されていたことを確認している。日本国内でも特に自宅周辺はいまだ5Gエリアがないことを考えれば、思った以上に5Gが米国の主要都市で広がっていて驚いたところだ。

ホノルルに到着。Google Fiはすぐに5Gで復活した
きちんとGoogle Fi経由で5Gのデータ通信が確立している

 このほか、米国ではAT&Tとソフトバンクの「アメリカ放題」の2回線が有効になっているが、どちらも5G未対応のiPhoneにSIMが挿入されているため、今回5G接続を試すことはできなかった。ここで1点注意だが、ソフトバンクの「アメリカ放題」はコロナ禍の間に仕様が変更されており、従来の接続先だったSprintのCDMAネットワークが停止されたため、T-MobileまたはAT&Tのネットワークに接続されるようになっている。

 ただ、この接続は“ローミング扱い”となっており、データ通信を確立するためにはデータローミングの設定を“オン”にしなければならない。これが従来との最大の違いだ。データローミングを有効化するのは一瞬躊躇するが、ソフトバンク回線の「アメリカ放題」を米国で利用したい場合は、まず到着した際にこの操作を忘れず行う必要がある。さらにいえば、日本に帰国する際、あるいは米国外の国に出る場合に忘れず“オフ”にするようにしよう。不幸な事故を防ぐために必要だ。

現在のアメリカ放題の仕様では、データ通信のためにデータローミングを“オン”にしなければいけない

 さて、復活したGoogle Fiだが、日本に持ち帰っても元気よくデータ通信が有効化されたまま動作している。普段は家のネットワークか、外出先でドコモのギガホでローミングしているので使う機会がないのだが、いざというときは回線を有効化して米国IPを有効活用させてもらっている。

今日も元気にGoogle Fiは日本で利用できている。データ通信終了まであと20日ほどだが……